久我真樹:英国メイドがいた時代

 同人誌。C81のコミケで買った。
 本書は「英国メイドの世界」の続編的な位置づけらしい。構成は二部に分かれている。ヴィクトリア朝的英国の使用人世界の終焉を描く「英国メイドがいた時代」と現代に生きる家事に従事する使用人についてのレポート的な「メイドがいる時代を生きている、生きていく」である。Part1はまるで読んでいて「ローマ帝国衰亡記」とか読んでいるような気分になった。一つの世界観が崩壊するという重要なシーンがこの本で書かれているのだ。でもこういう研究って学者がやることだよなあ、とか思ったりした。アマチュア(失礼)でここまでやれるのはすごい。まあニッチな分野だから日本ではあまり研究されてないのかもしれないけれど。ぱっとみ整理されてるし活字も少ない感じなので読みやすかったと思う。余談だが、カントリーハウス物語で第二次大戦で屋敷が利用されたという記述を見て、軍事ネタ好きとしてはニヤリとしてしまったのだが、当の屋敷にとっては痛んだりと迷惑なことだったんだな、と思ったりした。(接収した箇所の多さに驚くほかない)
 Part2は現代に生きる家事従事者についての研究。雇用構造については似たような部分があるが、もちろん雰囲気はあまり残っていない。現代日本においてメイドが目立つ存在ではなく、あまり良い地位を得てないということもないので、サブカルチャーでの幻想的なメイドブームが起こったのだろうか、とか皮肉なことを考えたりした。いまだに酷使される人々がいる、という当たり前の事実に気付かされる。(現代日本でも過労死とかあるけど)
 まあ、使用人事情は面白いけれど、自分が興味持つ領域とはちょっと違うかもしれない。
 文中で「翻訳スキルはあまり高くない」と書かれているのが意外だった。バリバリ読みこなしているイメージがあったので。
 どうでもいいけど、この本はWonder Parlor Cafeという店に行ったときに読みました。外じゃ恥ずかしくて読めないし家だとゲームやってるし…。