霜里農場訪問記 その5


金子美登さんにお会いしてから、1週間。まだ興奮が冷めない。
「変わり者」と言われてから40年。確かに変わり者である。
40年を経てどうだろう。変わり者が今オピニオンリーダーになっている。
2006年「有機農業推進法」という法律が制定されたのは、画期的なことである。
何のことはない、金子さんの霜里農場が、モデルになったのだ。
やがてこの日本全国にも、小川町でなしえた有機農業を、というイメージが彼の頭の中にある。
私はそう感じた。


彼は、怒りを込めてこう言った。

「先進国は、農業を大事にする」

「戦争で荒廃したデンマークが、農業でもって国を立て直した。そして、いまや自給率300%だ」
「立身出世するするよりも、人間らしい生き方を選ぼう」

どうして有機農産物は伸びてこないのかと、私が大胆にも質問させていただいた。

有機認証制度は、表示だけの問題だ。その制度の委員をしていたが、この肥料もいいんじゃないか、
この農薬もいいんじゃないかと、増え、信用ならない。」と、裏話を聞かせてもらった。

有機認証制度には最低3年かかるから、国の支援が必要だ。」 同感。

「イギリス等、有機農業は環境に良いということで、政府の支援によって一気に増えてきた。」

有機農業推進法の制定から、5年間様子を見て、戸別に補助金を直接支払い制度に移行するのでは?」

補助金や国の援助なしでは、伸びないという現実は、とても悲しい。
しかし、慣行農法農家には補助金が配られているというのに、有機農家には国は、援助の手は差し伸べてくれない。

多少、確実性のある慣行農法の農家が、
1%に満たない「変わり者」とよばれた、リスクのある、有機農法の農家になろうものか。
転換するわけがない。


ここ最近またさむくなってきた。春の訪れが待ち遠しい。
今年も気合を入れて、頑張るぞ。


                         有機のいちごハウス、カマキリが産卵したトウガラシが見える。

野菜と祈り

昨日は、妻R子のママのお見舞い。
今日は、母のいつもの通院に出かけた。みんな年をとったなあ。
診察が終わる間、ビーンズで暇つぶし。この本が目にとまり、つい買ってしまった。

牧師さんが書いた、農業本。

「農具」の章に注目。
農具の反対語は、武器。
人を殺す道具だ。
しかし農具は、人の命をはぐくむ道具である。
命を生み出す道具だ。

武器がすべて農具に変わる日を夢見ている。
その日は必ず来る。
人間がお互いを殺しあう武器の開発をどうしてしたのだろう。
自分のおろかさを認める日がやがてこの地上にやってくる。

星野牧師もデンマークの素晴らしさを説いている。
グルントィ(牧師、政治家)が「三愛精神」を訴えた。
荒れ地から、「乳と蜜の流れる地」へと導いたのだ。

グルントィが引用した旧約聖書の一節。

「主は国々の争いを裁き、多くの民をいましめられる
 彼らは剣を打ちなおして鋤とし
 槍を打ちなおして鎌とする
 国は国に向かって剣をあげず
 もはや戦うことを学ない」 
               旧約聖書 イザヤ書2章4節

 感動のあまり妻R子と二人で泣いた。