Supercell /Today Is A Beautiful Day 感想

Today Is A Beautiful Day

Today Is A Beautiful Day

5点満点で言えば★★★ってとこだろうか。

アルバム全編通して聴いて感じるのは、1つ目にnagiさんの力量不足。
2つ目にオリジナリティをあまり感じないこと。
 
ボーカロイドは調教の上手い下手はあれど、基本的には曲の良し悪しがダイレクトに伝わるのが長所で、
そこで圧倒的な支持を受けてきたsupercellの楽曲が一定のレベル以上であることに異存はない。
しかしこうやって一人のボーカリストを迎えて作ってしまうと、曲のクオリティには楽曲+ボーカルというのが当然入ってくる。
一部では透明感のある歌声がハマっているのだが、これだけ多彩な曲群を全て歌いこなすのは少し無理があったか。
できればnagiさんに限定せず、楽曲に合わせて多数のボーカリストを迎えて制作した方が良かったように思う。
 
私は日本のアーティストも多少は聴くが、やはり全体的な楽曲のクオリティにおいて、UK、US勢には劣っていると言わざるを得ない。
そんな中で対等に渡り合えるものを見ると、そこにはオリジナリティというのが相当重要になってくるように思う。
凛として時雨Perfumeなんかはその最たるものではないだろうか。
そういう点においてsupercellのこのアルバムは、よく出来てはいるがありきたりな作品だ。
遠慮なく心を鷲掴みにするようなメロディもなければ、痺れるようなギターソロもなければ、思わず唸ってしまうアンサンブルの妙もない。
全てが平均点以上で綺麗にまとまっている優等生的な作品で、あらゆる面で借り物感が拭えない。
これではニコ動時代からの支持者やアニメファン、ボカロファンは取り込めたとしても、
普段洋楽やJ-ROCKを聴いている人たちを振り向かせるには弱いだろう。
 
もちろんメディアミックスが売りの一つなので、音楽だけでsupercellの価値の全てを決めつけているわけではない。
あくまで通常盤の音楽のみを聴いての感想だと捉えていただきたい。
 
なんというか、こういう路線では先は見えないんじゃないだろうか。
こちらの作者の方がメジャーシーンで挑戦する意義はあるように思う。