白い本 待っている怪談
怪談シリーズ(?)の最新作で、これが一番好き。「白」「雪」をモチーフに切ない初恋のお話になっていて、女子好みだと思います。竹岡美穂さんの絵はあいかわらずお話によく合わせていますね。
ピーターラビット全おはなし集 愛蔵版 改訂版
ピーターのお父さんが、肉のぱいにされてしまったくだりは有名だと思いますが、改めて全話を読むと、実に「食うか食われるか」の世界であることに気づかされます。ほのぼのとした美しい田園風景を舞台に繰り広げられる弱肉強食の世界(笑)。
「ひげのサムエルのおはなし」は、子猫のトムがねずみのサムエルに「ねこまきだんご」にされて食べられそうになる話で、窮鼠猫を噛むってレベルじゃねえ…! と震撼しました。ピーターの妹フロプシーの子ども達も、干し草の中で眠っているところをマクレガーさんにつれていかれたり(「フロプシーのこどもたち」)、アナグマにさらわれたり(「きつねどんのおはなし」)して油断も隙もないです。
それでも全く陰惨な感じじゃないのは、それが生命にとって「当たり前」であるという著者の冷静な観察眼と、可愛らしい美しい絵によるところが大きい。私は特に「2ひきのわるいねずみのはなし」で、ハンカ・マンカに抱かれたゆりかごの赤ちゃんの図がとても好きです。これはお話自体も大好き。ねずみたちに人形の家を荒された女中は「ねずみとりをかけますよ!」というのですが、その台詞の横には、ねずみ取りを前に、幼い子供たちにねずみとりの仕組みを教えているトム・サムの図が描かれていて、微笑ましいというかなんというか。
日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで
日本SFはタブーを設けずに、あらゆるものに懐疑のまなざしを向け、宗教にも思想にも歴史にも絶対的に身を委ねない徹底した批評精神を、ニヒリズムに陥ることなく抱き続けるという不断の努力を通じて、独自の発展を推し進めつつあった。