共変および反変基底ベクトル

いままで基底ベクトルには正規直交基底ベクトルeを使ってきました
ここでは正規でも直交でもない,より一般的な基底ベクトルgについて考えます

covariant base.wxm
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryooji_f/20160603/20160603000909.png
g : 共変基底ベクトル
G : 反変基底ベクトル
このgには共変基底ベクトル(covariant base vector)という立派な名前があります
gと対になる別の基底ベクトルGを用いて%o1式が成り立つとします
δ[ij] はクロネッカーのデルタ(Kronecker's delta)です( i = j → 1, i ≠ j → 0 )
free indexについて書き下すと 3 x 3 = 9個の式を得ます(%o2)
gの各成分を%t3〜5に,Gの各成分を%t6〜8にそれぞれ示します


http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryooji_f/20160603/20160603000908.png
%o2式を9個の連立方程式としてGの9個の成分について解きます(画面出力は省略)
求まった基底ベクトルGの成分をそれぞれ%o10〜12式に示します
このGは反変基底ベクトル(contravariant base vector)と呼ばれます



%o13にてベクトルの外積を返す関数crossを定義します(画面出力は省略)
gのスカラー三重積(scalar triple product)をVとして%o14式で定義します
反変基底ベクトルGは共変基底ベクトルgの外積と三重積を使って%o16〜18式で定義されます
実際に成分計算を行い,%o10〜12式とそれぞれ一致することを確認します(%o19〜21)



いま%o22〜24式に示す具体的な基底ベクトルの成分をgに代入します
三重積を計算した結果を示します(%o25)
反変基底ベクトルを計算した結果を%o26〜28式にそれぞれ示します




共変基底ベクトルgと反変基底ベクトルGをdraw3d関数を使ってplotします(%o29)
青色で描かれている矢印の組がgを,赤色の組がGをそれぞれ表します



e : 正規直交基底ベクトル
いま%o32〜34式に示す正規直交基底ベクトルの成分をgに代入します
このgの反変ベクトルを計算すると,元の正規直交基底ベクトルを得ます(%o36〜38)
もしeが任意の回転を受けてもe[i].e[j] = δ[ij]は自明であり,eは自分自身と双対関係にあることが解ります
なので正規直交基底ベクトルは G = g が成り立つ特別な基底ということになります


[追記]
ここでは共変/反変を文字の大小で表現していますが,一般的には添字の上げ下げで区別しますので注意してください('A`)


非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎

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