一般意味論

昨日は、情報産業論でした。今日は、犯罪被害者についてのつもりでしたが、あんまりおもしろかったので、一般意味論にします。

思考と行動における言語

思考と行動における言語

一般意味論という学問の古典的テキストです。一般意味論というのは、言語の意味について分析する学問のようです。

文脈

言語の意味は、文脈に左右される。

リンカーンを褒める文脈で「宣伝」といったら、リンカーンを「宣伝」として貶めている、と批判された、という例があげられています。

はてなキーワードというのは、この文脈依存性を逆手にとって、キーワードからいろいろな文脈をたどって楽しむ、という発想なのでしょう。

隠喩、引喩

隠喩、引喩は、前提となる言語の意味を知っていないと理解するのは困難。だから外国人にはわからない。

隠喩というのは、「おまえは豚だ」、というように、「〜のような」を使わない比喩です。豚の持つ意味が違うと、違った意味になる。豚が高貴な動物とされている社会では、おまえは豚だ、というのはほめ言葉なのです。

引喩というのは、聖書や古典から引用して一定の意味を表すことです。

「神は死んだ」ニーチェ

のように。この場合、文脈的に引喩になっていませんが。

このような前提となる言葉の意味まで知らないと、生の外国語を完全に理解するのは困難。アメリカ留学経験者(勉強しなくてもTOEIC900点超の人たち)が、日常会話はわからない、と口をそろえる理由がわかりした。

ユーモア、ウィット

著者は日系アメリカ人で、上院議員だった学者です。具体例が非常に豊富で、しかもユーモアやウィットに満ちている。こういう人が、本当のインテリなんでしょう。

意味論自体興味深いのですが、具体例がおもしろく、夢中になってしまう一冊です。


今日は、一般意味論でした。明日は、犯罪被害者について。

株式投資

現役大学教授がこっそり教える 株式投資「必勝ゼミ」

★★★★☆

要旨は以下のサイトにあるとおり。

兜町大学教授の教え
http://www.prof-sakaki.com/sakaki.html

本書は、株式投資に対する考え方や、著者が提唱する基準を採用すべき理由づけ、実際の投資の記録を、株式投資経験のない人にもわかりやすく解説してくれる。

Excelシートの無料ダウンロードも実際にやってみる際のとっかかりを提供してくれて◎。

ちょっとやってみたところでは、実際にサイトで検索してExcelに転記するのも結構手間。株式投資不労所得ではない、頭脳労働だ、と著者がいうとおり。

ひとつ、根本的な疑問。仮にハイパーインフレが到来したとしたら、株価はどうなるのだろうか?

円がドルに対して相対的に安くなった場合、実質的には資産額は目減りしてしまうように思える。

安全性の高い株式だから、市場平均に比べれば株価は上がるのだろうが、実質的にはドルでもっていたほうが価値は高かった、ということになるおそれもある、ということか。

フリーソフトの営利目的での使用

ご存じのとおり、フリーソフトにはすばらしいものがたくさんあります。FirefoxThunderbirdといったわりとメジャーなものから、FreemindiEditOpenOfficeのように一部では有名なものまで、お世話になっているひとも多いことでしょう。

ところが、フリーソフトを自社の有料の製品といっしょに売ろうととすると、すぐに壁が高くなります。

その壁の原因は、特許および著作権です。

「権利者から使用許諾を受けるから問題ないんじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、その権利者から権利侵害を主張されることは使用許諾の条件を確認すくことでほぼ回避できます。

しかし、特許はある日突然成立しますから、そのソフトウェアの権利者以外の特許を侵害していないかどうかについてはリスクをゼロにすることはできません。また、著作権については、特許とも違って調べる手段がありません。

よって、フリーソフトを自社の有料の製品といっしょに売っていたら、特許侵害や著作権侵害を主張され、製品を回収するはめになった、というリスクはどうしても残るのです。

また、特許、著作権は国ごとに成立しますから、別の国で売るときには、その国の特許を調べなおす必要もあります。

このような状況が、フリーソフトの普及を、妨げているようにみえます。SCOがIBM等を訴えたのは記憶に新しいところです。

もちろん、リスクをとるベンチャーはいるでしょうし、保険等でリスクをコントロールする方法がまったくないわけではないと思いますから、あとは、どこまでリスクをとるか、というビジネス上の判断次第でしょう。

こういう状況を経済学的にはなんていうのでしょうね? フリーソフトという公共財の普及を知的財産権という個人の財産権が阻害している、ということだと思うのですが。

情報に対する想像力

SEにとってはデータはシステムの中を流れる素材にすぎないからでしょうか、SEにとっては、誰のどんなデータか、というのはあまり興味のわかないことのようです。

紙の機密情報については施錠管理していても、データの機密情報についてはセキュリティをかけずに持ち歩くのですから。

このことから学べるのは、情報管理には想像力が必要だ、ということです。

そのデータが、誰のどんなデータで、どんな価値を持っているのか、もれるといったいどういうことになるのか。そういったことを想像しないと、取り扱いかたがわからない。こういうことにイメージをもたずにただ機密情報だから守れ、といわれてもピンとこないのでしょう。

もちろん、想像力や推測する力というものは、何をやっても必要です。これらがないと、いわれないことはやらない、というロボットだかプログラムだかわからない無機的なものと同じです。

とはいえ、自分の興味のある分野、得意な分野については、誰しも想像や推測を駆使します。

だから、必要なのは、興味のない分野や、苦手な分野についても、ちょっと考えてみる、という姿勢なのでしょう。

30歳からの成長戦略 「ほんとうの仕事術」を学ぼう

成長戦略を考える際のキーワードは、山本さんのいうとおり、「ひとことで言うと」だと思います。「ひとことで言うと、何のためにそれを学ぶの?」 という問いを常に自分に投げかけることが、成長のための選択と集中の戦略を考える際の大原則になるのでしょう。

ひとことで言うためには、いらない部分を削らなければならない。この、削るための絞り込みの思考が、目的を明確にし、本質を探り、構造を探求するためのきっかけになるのだと思います。

この思考は、ロジカルシンキングの基本であり、読むの際のポイントであり、情報整理のキーワードでもあります。

「ひとことで言うと」を考えるということは、文章やプレゼンでいうと、ピラミッド構造の頂上にくるメインメッセージと、それを直接ささえる理由付けを考える、ということです。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

アメリカの速読術のフォトリーディングでは、まず、なんのために読むのか、を書くこととされています。目的をはっきりさせることにより、目的に必要なキーワードを脳が勝手に選別する、というような理由付けがされていたと思います。

あなたもいままでの10倍速く本が読める

同じように、GMOの熊谷社長は、PCやメールのフォルダを「目的別」に整理することを提唱されています。情報収集は、あくまで目的のための手段なのだから、ということです。

情報整理術 クマガイ式

といいつつ、捨てることは難しいですね。文章を書いていても、いいたいことを削るためには思い切りがいります。常に自分に「ひとことで言うと」、と問いかけることを習慣にしたいと思います。

学習についていうと、アウトプット志向学習にまで発展させることを目標にしたい。「何のために学ぶのか」、をもう少し具体化して、「何をアウトプットとして作るために学ぶのか」、に変える、ということでしょうか。

ターンA ガンダム

月に繭 地には果実〈上〉 (幻冬舎文庫)

ストーリー

異邦人の少年が、いったん平和な日常を手に入れるも、戦争にまきこまれ、恋愛や闘争、そして戦争をくりかえす人類への絶望を通じて成長し、日常へ帰るまでを描く。

ふたつの故郷、というのはガンダムの伝統ですね。地球の民と宇宙の民の民族対立に翻弄されるためには必須の設定なのでしょう。大人と子供、男らしさと女らしさの狭間にいる主人公、というのも伝統ですね。

ターンA ガンダムとは、高度文明を消滅させ地球を再生する花咲か爺さんなんだそうです。いままでのガンダムは単なる強力な兵器ですが、ターンAはもっと高次元のシステムですね。

恋人にもう一度会いたいがために戦争のきっかけをつくったディアナ、ロランにふられて殺戮に走ったラインフォード、同胞を殺された怒りで最終兵器を発射するハリー、ハリーにふられてラインフォードに加担するキエルなど、主要キャラクターの大半が情念や怨念で戦争なり殺戮なりに走ります。物語としてはだからこそ感情移入できるわけですが、現実はどうなんでしょう。もっとドライな利害で世の中動いているようにも思えます。まあ、怨念で動いてないからこそ核兵器や毒ガスがそれほど使われずにすんでいるのかもしれません。もっとも、自爆テロは怨念がないとできないかな。あれは、洗脳技術を駆使しているんでしょうか、それとも宗教の力なんでしょうか。

アニメはみていないのですが、富野監督によると、福井版ターンAは、世界観の総論を語り、TV版は、その局部を語るもの、だそうです。比較してみるとおもしろそうですね。

解説にひとこと

宮台真司の解説をなぜ下巻にもってきたのでしょう?

クールな分類づけでラストの余韻から引きずり出されました。

SFアニメの歴史におけるターンA ガンダムの位置づけの分析はおもしろいと思います。ですが、福井晴敏の圧倒的な戦闘シーン、破壊シーンの描写や登場人物の悲哀と収まりのいいラストシーンの感動に浸っているところに、福井さんのふの字も出てこない俯瞰的な分析を読まされたのはちょっと。

上巻にもってきて、富野由悠季を下巻にもってくるべきだったのではないかと思います。

集団の法則

近代経済学では、合理的人間の存在を仮定します。近代経済学の流れを組むゲーム理論でもそうです。

そして、私の知る限り、合理的人間は存在しません。そこから、ゲーム理論などの非現実性がいわれるわけです。

一方で、一定のサンプル数の下で、一定のふるまいをする場合がある、というのが統計学の説くところです。

これらをかけ合わせると、一定の条件の下での集団のふるまいを仮定すると、より現実的な意思決定の理論が生まれるのでしょうか?

アメリカの偉大な作家・科学者であるアイザック・アシモフは、社会歴史心理学、というものを空想しました。歴史の流れと集団の行動を数式で解くことができる、というように。

また、ユングは集団的無意識の概念を作りました。神話の世界や物語の世界は、集団的無意識の現れであるかのように、一定のパターンがみられる、という人もいます。

集団なるものに一定の法則を見いだそう、という発想(複雑系といわれるものもこの範疇でしょうか。)になぜか興味を惹かれます。