地域の活性にアート

 最近のロンドンは、どこもかしこも開発で華やいでいる。開発といっても工業的なものではなく、治安の良化を含んだ地域の活発化だ。それに伴い、地価が上がり続けているらしい。例えば、つい最近も物騒と言われていた「エレファント&キャッスル」や、「キングスクロス」の辺りも開発が進んでいて、数年先にはトレンディーな場所になっているかもしれない。現に、有名なギャラリーなども、場所をそちらのほうに移しているらしいし*1。ポテンシャルな場所だということを証明しているかのようである。

 よく話に出されるが、今若者に人気のあるロンドンの東、「オールド・ストリート」や「エンジェル」、「ブリックレーン」といった場所は、アーティストが住み始めたことが活発化の引き金となったそうだ。そんな場所もつい数年前まで、夜には歩かないほうが良いほど、物騒な場所のひとつだったらしい。物騒だが安いという理由で移り住んだアーティストたちが、住むだけに居たらず、スタジオやギャラリーをどんどんオープンしていった。それが、お洒落な街、何か活発な町、にしていった理由だということだ。

 今、この現象を踏まえて、ロンドンの各地で活発化が続いている。East(東)だけではなく、もちろん、かなり物騒らしいブリクストンなんかの南も、次のトレンドになるかもしれないとか、しばらく言われ続けている。

*1:フォグレスの記事より。

近所

 ところで、最近ハックニーにある我が家の周りも、随分色んな人が歩き始めた。私が移ったのは、去年の暮れ。そのときのハックニーの第一印象は、白人が少ない!ということだった。よく歩いているのは、ジャマイカ系やインド系のアジア人(黒人系)ばかり。行くスーパーや、オフライセンス*1、八百屋さんも、驚くほどフレンドリーなアジア人やトルコ人の家族が営んでいる。(うーん、これは聞いていた話どおりだ。)と思った。唯一パン屋さんだけは、毎朝、イギリス人の真っ白なオバアチャンたちが元気に働いている。

 通りでは、ジャマイカンなビッグ・ママたちが大笑いしながら歩いているし、ジャマイカン料理のテイク・アウェイではおじいちゃんシェフが、お店の隅にある小さなテレビで、じーっとサッカーを見ながらお客さんを待っている。子供たちも、「もののけ姫」に出てくる「こだま」みたいに群がっては、走り回ったり、家の前の階段で溜まって何かを話している。突き出した屋根の上には洗濯物がたなびく横に、アウトドア傘がさしてあり、さながら夏を演出しているかのようだ。その下には、ちゃっかり折りたたみベッドまで置いてあった(まるでミニ・ビーチ状態)。レゲエの曲がパンピング・アウトする車が練り回り、週末にはジャマイカン・チキンBBQの匂いが立ち込める。オバアチャンも、階段で読書。ここは、一体どこなんだろう。 − と、これは以前友人に送った、ハックニーの描写である。この街は、観察すれば観察するほど、可笑しなことで溢れている。そう、ここは下町という表現がぴったりだ。人情とはまた違うけれど、人が飾らないということかなぁ。

 その近所に、最近、白人系の率が増え始めた。私には、それがイギリス人かヨーロッパ系の人かはわからないけれど、気になるのは、ちょっとブリックレーン風の変ったお洒落をする人や、ドレッド・ロックのヒッピーたちが突然歩き始めたということだ。中には、かなり金持ちっぽい、いい格好している人もいる。まだ、図りかねないが、これは、もしかして、、、。もしかして、、、。

 ハックニーは治安が悪い、悪いといわれているが、それはここよりもう少し北に行った話しだそうだ。ここらへんは、ファミリーばかりで、お店も夜遅くまで開いていて明るい。ちょっと下ったところには、最近ギャラリーも沢山移って来ていて、ビクトリア・パークもある。面倒なのは私の大学への便だけ。(本当に大学がこっちに移ってくれればどれだけ良いか、と思う。金持ち地区に、わざわざ再度オープンするなんて。むーん。)家賃も今ではどこも高いが、安く住むことが出来て助かるし、ハックニーと言う場所には満足している。今後が楽しみでもある場所である。

*1:酒屋さん。