星恵美子のお散歩ブログ

京都ゆるゆる鴨川散歩とスケッチクラブ

公募展のご案内『日本挿絵大賞」

絵文化は浮世絵の後に起こった大きなウエイブでした

戦前戦後にかけ出版美術は出版黄金時代といわれ出版の発展と共に大きな展開を見せる時代となりました。戦前から活躍していた本の装丁画、挿絵、新聞小説の挿絵を描く挿絵画家(イラストレータ−)。絵物語作家と言われる紙芝居から生まれた絵を中心とする物語を描く絵師が人気作家としてもてはやされた時代でした。

大物絵師がキラ星のごとく活躍し、いずれも小説と共に時には小説をそれ以上に物語を創造し絵で見せる技術を競い合うような時代だったのです。

その中において圧倒的な技術と人気を誇った天才岩田専太郎を初代理事長として昭和23年に創設された、日本では最初の挿絵画家の職能団体(プロのイラストレータ−の団体)日本出版美術家連盟(JPAL)が誕生しました。
その後所属した300名に及ぶ著名な画家(物故者)の活躍により70年の時がたち現在に至っています。
さてこの度『日本挿絵大賞』を立ち上げ全国から一般公募する事になりましたが、それについて私共の会は改めて挿絵の原点に帰り出版美術の役割を再度、再認識し再発見しようという試みです。本(小説や物語)においての重要なイメージである「絵」は作家またその作者以上に内容を読み解きそのイメージをもっと大きな世界へと創作する仕事です。それぞれの画家のデッサン力や感性、技術と才能と想像力で限りなくアートに近いものとし、仕事の中で限られたスペースに物語を創造するファンタジスタであるのです。出版において最も重要なビジュアルコンテンツである事を出版社にも書店にも読者にも見て知って頂きたいのです。

そこには挿絵画家(イラストレータ−)としてお金(原稿料)だけではない創造の世界があるのです。絵の魅力により圧倒的に読者(庶民)の心を熱くとらえるものそれが浮世絵にも通ずる挿絵なのです。

何故デジタルの時代に手描きなのかという問いにはこう答えましょう。
手描き原画は絵描きにとっては命のようなもの人間の力、デッサン力で創りだされる最高のもの。この世界に2枚として同じものを生み出す事ができない貴重なものだからです。本の世界と読者を繋ぐその原画と展示を見て頂く事で出版物とは全く違う美しさと瑞々しさ、巧みな技術と感性をそこに確認出来るでしょう。絵画とはまた違う魅力を見つける事ができるはずです。
販売により読者にとっても本の絵の原画を買って楽しめる新しい文化を創りだし、世界へむけても発信したいと思っています。
ニューヨーク紀伊國屋店においての海外展示、販売は浮世絵以外の出版美術を世界につなぐ窓になると思います。

昨年6月に亡くなられたアメリカで活躍されたイラストレータ長岡秀星先生が『絵の世界はただ見せるだけでいい、言葉はいらない。貴方にもできる事だよ。』とおっしゃられました。

日本出版美術家連盟は『貴方』を待っています。

公募お待ちしております。