ニューヨーカー。

幕末、新島襄は、アメリカへ密航する。明治維新の前のこと。
アメリカで高等教育を受け、クリスチャンとなった新島襄は、1874年(明治7年)帰国し、翌、1875年、同志社英学校を開校する。今の同志社大学の前身だ。建学の精神は三つ、自由主義、キリスト教主義、そして、国際主義。
今、その精神を受け継ぐ神学部があり、大学院には、神学研究科がある。一昨日、昨日と触れた佐藤優も、この大学院神学研究科の出身である。
そこに、「一神教学際研究センター」という研究機関がある。一神教、つまり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を、また、それぞれの関わり、といったことを研究しているらしい。2003年から2007年までの5年間、文部科学省の支援を得たプログラムの成果のひとつが、一般向けに書籍化されている。
『ユダヤ教・キリスト教・イスラームは共存できるか 一神教世界の現在』(2008年、明石書店刊)である。海外の神学者も含め14人の研究者の論考が載っている。解かり易く書かれているものもあるが、市販書とはいえ学者の書くもの、事情を知らぬ者には理解し難いものもある。で、解かり易いところだけ、勉強する。
と、ここまで書いたら、11時になった。「BS名作選 ニューヨーク・1年後のカウントダウン」という番組が始まった。暫く観ているうちに、以前も観たことがあると気がついた。2002年1月に放送されたものの再放送。観ていると面白い。引きこまれる。

ニューヨークに住む、10民族10人の、9.11の年の年末、それぞれの姿を追っている。
ドイツ、ロシア、ポーランド、バングラデシュ、中国、フィリピン・・・・・からニューヨークへ来た人たち。日本人も中南米からの人もいた。
皆、さまざまな背景を背負ったニューヨーカーだ。
で、今日は、そのNHKの画面を写したものとする。

2001年9月11日のWTC。

9年前のあの頃、とめどなく流れた映像だ。

ロシアからの移民で、ラジオのディスクジョッキーをしている男。その年の暮でも、こう言っている。

何十年もクラシックのバイオリンを弾いている、82歳のオバアさん、こう言っている。

旧東ドイツから来たこの男、ニューヨークで一番の屋台の店となっている。
カミさんは、ハイチからの移民。そのカミさん、こう言っている。

バングラデシュから来たこの男は、こう言っている。

このエプロンの男は、ハーレムの教会で牧師をしている日本人。
その年の暮、ホームレスの人たちへの給食サービスや、エイズ患者への支援活動もしている。

東欧からニューヨークへ来た人たちの、年越しのパーティーでは、こういう発言も。

こういう絵を描いている人もいる。

こういう絵も。こういうことを話しながら。

先ほどのバングラデシュからの人。もちろん、ムスリムだ。
で、9.11の後は、FBIに調べられたそうだ。イスラム教徒だという理由だけで。恐かった、と話していた。

ロシアから来たディスクジョッキーの男、こうも話している。

初めに出てきた82歳のオバアさん、最後にこう言っている。

その年のカウントダウンが終わって暫く経ったタイムズスクェア。

その少し後、マンハッタンに陽が昇る。
そろそろ起き出すニューヨーカーもいただろう。これから寝につくニューヨーカーもいただろう。