大相撲名古屋場所。

このところ毎日暑い。「谷中ぶらぶら」、日暮里駅まで戻ってくるには、あと2回ばかりはかかるのであるが、暑さの中、なかなか足が進まない。
いや、別に炎天下、外へ出ているわけじゃない。もちろん室内、エアコンの下にいる。多くは名古屋場所を見ている。時には、BSの裏番組で1時すぎから見る。このころは幕下の取組み、大体3〜40枚あたりの取組みである。
見出すとこれが面白い。
三段目から上がってきた力士の中には、お前、そんな小さな身体で相撲取りがやっていけるのか、と将来を心配してしまう力士もいる。逆に十両から落ちてきた力士もいる。十両どころか、幕内で取っていたなんて力士もいる。幕下、それらが入り混じっている面白さがある。
私が秘かに”名古屋場所の女”と呼んでいる女人もお元気そうだ。恐らく粋筋の女性、連日、日替わりで涼しげな着物姿でお出ましになっている。西花道脇の溜席に。今年初めて気づいたが、この女人、幕下20枚目ぐらいの頃にはすでに席に座っておられる。凄い。
通常、多くの席が埋まっていくのは、十両の取組みの後半あたりからである。リタイアする前、年に1、2度、国技館の枡席へ招待されていた。いつも行くのは十両の取組みの途中、幕内土俵入りの前だった。そのような人が多かった。
しかし、”名古屋場所の女”の粋な女人は、幕下の取組みから見ておられる。15日間、ずっとであろう。その相撲好き、というか相撲愛、凄いな。
それはそれとしてである。
3時すぎになると、冷蔵庫からビールを取り出してくる。十両の取組みの半ばあたり。昔、枡席でビールや酒を飲みながら見ていたような気分になってくる。350ミリ缶であるが、1本ですまず、「本日の取り止めー」までに3本ほど飲んでしまう。夕飯は少ししか食べなくなる。焼酎の水割りを飲み出す。
「谷中ぶらぶら」を記すことなど、面倒になってくる。
大相撲名古屋場所の話にする。
今場所、稀勢の里の綱取りの場所、と言われていた。13勝の優勝でも、と。甘い、甘い設定であった。
その中、稀勢の里、7日目までに3敗を喫した。栃煌山、千代大龍、豪栄道、と。いずれも完敗。横綱なんて10年早い、というありさまである。
今日、中日、曲者・安美錦の技に危うく引っかかるところであったが、白鵬、それを凌ぎ、全勝。中日にして、白鵬の一人旅が始まった模様。
しかし、今場所は十両が面白い。特に、4人の新十両。

アフリカ初の関取・エジプト出身の大砂嵐。
189センチ、143キロ。2012年3月、初土俵。21歳。

ムスリム、断食月・ラマダンに入り、日中は食べることができない。腹が減るだろうに頑張っている。今日、中日まで5勝3敗。
厚い胸板。将来が楽しみだ。

青狼。モンゴル出身。
その化粧廻し。朝青龍に憧れ、青の文字を四股名に取り入れたそうだ。

錣山部屋、豊真将の弟弟子である。
それより、青狼・青き狼、チンギスハーンである。青狼、チンギスハーンの如き躍動はできるか。

琴弥山、出雲出身では、57年ぶりの関取。
今日で30歳となる。
入門は、1999年5月場所、あの朝青龍が入門した翌場所。十両昇進まで、85場所、14年余という歴代4位のスロー昇進。

今日、中日まで3勝5敗。出雲国琴弥山後援会もある。何とか勝ち越させてやりたい。

それにひきかえ、この力士は凄い。

四股名も追いつかぬ。本名の遠藤のまま。今年春幕下付け出しで入門、幕下2場所で十両へ上がった。あまりのスピードに髷も結えない。
この日、5日目まで4勝1敗。

今日、中日では、7勝1敗。十両単独トップを走る。
遠藤、日大出身の元アマ横綱。22歳。184センチ、143キロ。あと2〜3場所の内に、幕の内に駆け上がるであろう。大銀杏は結えないであろう。丁髷さえ結えるかどうか。
末は大関、横綱、と言われながら、叶わなかったアマ強豪・久島海の例はある。遠藤は、どうなるであろうか。興味深い。

十両の取組みでは、隆の山の取組みに目がいく。
これは、2日目、徳真鵬との一番。隆の山、96キロ。徳真鵬、211キロ。体重差、115キロ、倍以上。

隆の山、吹っ飛ばされてしまった。
隆の山、今日、中日まで、2勝6敗。十両番付でも、お尻までさほどの枚数はない。隆の山、ヘタをすれば、来場所、幕下へ落ちているかもしれない。
今場所の相撲がらみ、後半戦は残っているものの、大勢は決した。
幕下、十両の楽しみはあるが。