あべのハルカス美術館 開館記念特別展。

日本一高い構造物は、ご存じ東京スカイツリー。では、日本一高いビルは? 今年3月にオープンしたあべのハルカスである。高さ300メートル。今のところ、日本唯一のスーパートールである。
でも、あべのハルカスって何処にあるんだ、第一”あべの”ってのは何なんだ。そういう人も多かろう。特に、関東では。関東での報道、さほどのものではなかったから、無理もない。
”あべの”ってのは、地名です。大阪の古い町。近鉄(近畿日本鉄道)の地元である。
元々近鉄の”阿部野橋駅”のターミナルであり、近鉄百貨店も入っていたビルを再開発した超高層ビル。

あべのハルカス。
左は、JRの天王寺駅ビル。右は、あべのハルカス前の交差点にかかる歩道橋。何らかのワケはあるのであろうが、直線でなくうねっている。
それはともかく、日本一の超高層ビルの名称、あべのハルカスに決まるまでには、幾つかの曲折があったそうだ。
分かりやすく大阪ハルカス(東京スカイツリーと同じ思考法だな)がどうかとか、天王寺ハルカス(このあたり、聖徳太子が造った四天王寺がすぐ側にあり、天王寺としても知られる)がどうかとか、いっそ上方ハルカスはどうか、とかと。
最終的に、”あべの”という名称に拘りのある近鉄、大阪でも天王寺でも上方でもなく、”あべの”の名を冠したらしい。
4月下旬、私の三人の親父のひとりである叔父の法事に出る前日、行った。
半年ぶりに墓参りに行き、三人の親父の中唯一存命・今年満100歳になった叔父を老人ホームに見舞い、夕刻、あべのハルカスへ行った。

別にあべのハルカスのビルへ行ったワケじゃない。あべのハルカス美術館へ行ったんだ。その開館記念の特別展へ。
美術館、下へ下っていくようだ。
若いお嬢さんが、眼を開けたりつむったり、目ん玉を寄せたりしている”solaha”っていうのは、ハルカス内の何かなのであろう。

東京六本木ヒルズの森美術館は、六本木ヒルズのてっぺんの方、52、53階にある。しかし、あべのハルカス美術館は、あべのハルカスの16階、60階建てのビルの下の方にある。
近鉄、あべのハルカス美術館の開館記念特別展に何を持ってくるか、頭を悩ませたことであろう。
近鉄の地元、奈良の大寺を持ってくる。これは決まりであろう。
東大寺か、興福寺か、法隆寺か。
タテヨコ斜め、さまざま考えた末に出た結論は、東大寺。そうに違いない。おそらくそうに違いない。
それにしてもである。
ゴールデンウィークの前の平日ではある。それにしても、美術館へ来ている人が少ないじゃないか。あべのハルカス美術館の行末、少し心配。

美術館のエントランスの横に、こういうものがある。
東大寺南大門の仁王さんの顔と手。

撮影可能。もちろん模型であるが。
FRPによる模型。

こういう説明書きがある。
まさにその通り。迫力がある。

美術館エントランスの外には、こういうものもある。
お釈迦さまの誕生仏。天上天下唯我独尊。
これは灌仏会」、仏生会、つまり、花まつりの時にお出ましになっているお釈迦さま。
もちろん、国宝である≪誕生釈迦仏立象:灌仏盤≫は、美術館の中に待ち構えている。

こういう説明書きがある。
このあたり、やはり大阪の美術館。「あらゆるアートを、あらゆる人に」、というあべのハルカス美術館のコンセプトに沿っている。

国宝や重文が幾つも展示されている。
しかし、このような飛天がいい。
飛天、日本ではやはり奈良の寺。東大寺は当然。

国宝 ≪木造重源上人坐像≫。
鎌倉時代。リアリズムの極致。

重文 ≪木造地蔵菩薩立象≫。
鎌倉時代、快慶作。

重文 ≪木造弥勒仏坐像≫。平安時代。
この仏、40センチに満たない小さな彫像にもかかわらず、凄まじい存在感を持つ。”試みの大仏”とも称せられる。
いつの頃からか、私の好きな仏像のひとつ。
なお、上の三つの仏像、展覧会のチラシから複写した。

”仏とハルカス、見晴るかす”、関西・上方らしい言葉遊びかな、と思っていた。
しかし、そうではないらしい。
”晴るかす”、という言葉、古語だそうである。晴れ晴れとした未来を表す。
あべのハルカス美術館の将来、そうであれかし、と思う。


豪栄道、今日、協会からの正式の使者を迎え、こう語った。
「大和魂を貫いてまいります」、と。
大関となった豪栄道、モンゴル出身の3人の横綱に対し、対決姿勢を表明したか。
豪栄道、28歳である。残りの時間はさほどない。
突っ走れ。
できるか豪栄道。