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流山子雑録    『酔睡胡乱』

2016-01-02

草野心平とシナリ・ラトゥ。

一年近く前の国立新美術館「日本書作院展」に、草野心平の詩を書いた作品があった。書家の名は、「参事・大賞選考委員」という肩書のついた杉浦太奎なる人。機会があれば載せよう、と思いながらずるずると延びていた。

草野心平、「長安一片月」。

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   西安で買った錫の器に

   日本の酒をみたし

   炭の火で燗をしよう

   長安一片月の昔を偲ぼう

どんなものでも詩にする草野心平、これも詩であろう。

草野心平、1921年に広州嶺南大学へ留学している。孫文が設立した大学である。中国への思い入れは深い。

西安で買った錫の器に、日本の酒をみたし、炭火で燗をしよう、長安一片月の昔を偲んで、と。

長安一片月」、李白の「子夜呉歌」である。

月であるから、秋である。玉門関の彼方へ遠征している夫への妻の思いを、李白は詠った。

出征している夫への妻の思いを詠う李白に対し、草野心平は、西安で買った錫の器に託し、中国への思いを詠っている。

大規模な軍の組織改革を進めている中国、今日、「火箭軍(ロケット軍)」など3つの新しい組織を創設した、と発表した。習近平、こう語っている。

「大国としての地位の戦略的支柱だ」、と。

今の中国習近平体制、とてもおかしい。100年近く前の草野心平のように中国の大学に留学しようという若者、どれほどいるであろうか。訝る。

ひょっとして、軍事大国化を進める習近平李白の「子夜呉歌」を知らないなんてことはないだろうが。


それはともあれ、正月2日である。

草野心平のように西安で買った錫の器ではなく、私は、ありきたりの染付の盃で酒を飲んでいた。さほど飲んでいるワケではないが、眠くなってくる。ホットカーペットの上で、犬と一緒にうつらうつら。

箱根駅伝の5区、山登り。その後はラグビーの全国大学選手権の準決勝。

今年は、準決に早稲田が残っていないので面白くなし。が、準決勝の第二試合、絶対王者・帝京と大東文化大学の試合が面白かった。

大東大の準決勝進出は16年ぶり、とのこと。スタンドの大東大首脳陣の模様が何度も画面に現れる。シナリ・ラトゥの今の姿が現れるんだ。

もう25年、いや30年近く前の大東大ラグビー、強かった。早明慶の伝統校を脅かし、80年代後半から90年代初めにかけ、3度の大学選手権を制覇した。その中心にいたのがトンガからの留学生、シナリ・ラトゥであった。

トンガラグビーでは存在感はあるがありていに言えば小国。ラトゥ、経済発展著しい日本への憧憬はあったであろう。

今日、大東大のフィフティーンには、そのシナリ・ラトゥの息子の姿もあった。俊足バックス、キックでも活躍していた。

結果は、10トライを挙げた今の絶対王者・帝京がダブルスコアで勝った。しかし、大東大も5トライを挙げた。面白いゲームであった。

ホットカーペットの上でうつらうつらとしながらテレビ画面を見ていた私、草野心平とシナリ・ラトゥの思いに身を寄せる。