ディーン、君がいた瞬間。

すべての人がそうではないだろうが、若い頃って捻くれる者が多い。もちろん私もそうであった。

ニューヨークのタイムズスクェア。雨が降っている。1955年の秋も終わり冬にかかる頃。
タバコをくわえた若い男、背をかがめ肩をすくめて歩いている。捻くれている様、必要十分。
デニス・ストックが撮ったジェームズ・ディーンのこの写真、60年少し前の若造は痺れた。

『ディーン、君がいた瞬間』、「瞬間」を「とき」と読ませているが、まさにジェームズ・ディーン、ジミーが我々の前にいたのは、「瞬間、一瞬」であった。
監督は、自らカメラマンであるアントン・コービン。
俳優ジェームズ・ディーンと写真家デニス・ストックの短い時間を切り取っている。ニューヨーク、そしてジミー・ジェームズ・ディーンの故郷・インディアナ。

『エデンの東』のキャル、『理由なき反抗』のチキン・レース、『ジャイアンツ』での屈折した感情、日本では1958、9年に公開されたんじゃないかと思うが、短期間で次々ではあるが、たった3作を残してあの世に行ってしまったジミー・ジェームズ・ディーン、60年以上前の若造に強烈な印象を残している。

ジミー・ジェームズ・ディーンにはデイン・デハーン、デニス・ストックにはロバート・パティンソンが扮する。
が、デイン・デハーン、ジミーに似ていない。60年前のジミー、幻となったジミーに似ていない。私には不満である。

(右)ジミーと共に写るのはピア・アンジェリであろう。
ピア・アンジェリ、ジミーの恋人と言われた。が、すぐに破局する。カソリックとプロテスタント、信仰の問題だった、と言われるが。

(右)散髪をしているジミー。
デニス・ストックが撮った散髪をしているジミーもよく知られている写真である。
この他、インディアナの雪の中の農場で豚の世話をするジミーとか、甥っ子たちと遊ぶジミーといった写真もあったのでは、と思う。
実は私、何十年か前、デニス・ストックが撮ったジェームズ・ディーンの写真集を古本屋で買った。どこかにあるはずであるが、私の部屋の山の中に埋もれてしまい出てこない。

これはこの映画のチラシを複写したもの。
マグナム・フォトのデニス・ストックが撮ったジェームズ・ディーン。
雨が降っているニューヨーク、タイムズスクェア、肩をすくめたくわえタバコの若者が行き過ぎる。
ジミー、ジェームズ・ディーン、、そのような若者であった。
海を隔てた日本の若造は、そのようなジミーに痺れた。


ISが自らの国の首都としてきたラッカが陥落した。
IS、イスラム国は、これで崩壊した、と言われる。
しかし、問題はこれからである。
集団の戦いではなく、ゲリラ戦が始まる。戦えるか。