最後のご臨席。

終戦から73年、日本武道館での全国戦没者追悼式、今年は特別な意味合いを持つ。
今上天皇のご臨席、最後となる。

11時50分、厚労相・加藤勝信の先導で会場へお入りになる。

お席へ。

今上天皇、皇后両陛下にとっては、30回目の全国戦没者追悼式へのご臨席。
毎年この日はテレビの前に座りNHKの中継を見ているが、今年のこの日は特別である。ひとつの時代が流れ去っていくような思いがある。

内閣総理大臣・安倍晋三と三権の長、その向こうは麻生太郎と野田聖子。手前には二階俊博、枝野幸男、山口那津男など。
皆さんどういう思いで、戦没者追悼式への今上天皇の最後のご臨席を受けとめていたであろうか。

今上天皇、挨拶に向かう安倍晋三の背中を見つめておられる。
はっきり言って、今上天皇にとって安倍晋三は好ましい総理大臣だとは思っておられなかった。
憲法の制約があり、もちろんそういう発言はされてはいない。しかし、分かる。天皇を注視し、安倍晋三をも見ていると。

安倍晋三、「歴史と謙虚に向き合い・・・」とは語るのだが、あの戦争をどう捉えているかについては「深い反省」と語られる今上天皇ほど踏みこんではいない。

天皇皇后両陛下、祭壇の前へ。

何を思われるのであろうか。

73年前、昭和天皇の玉音放送が流された12時、黙禱。

その後、今上天皇「おことば」を述べられる。
新しく「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」という文言を語り、「ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い・・・・・」、と語られる。
戦争に対する今上天皇の最後の「おことば」である。日本国民、特に政治家の皆さんには心して聞いてもらいたい文言である。

一礼し・・・

お席へ戻られる。

天皇、何を思われたであろうか。

遺族代表の挨拶を聞く両陛下。

12時22、3分、ご退席。

一礼され・・・

スロープを下られる。
皇后・美智子さまは、手すりを掴まれておられる。

天皇のお身体も心配であるが、皇后のお身体も気にかかる。
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天皇皇后両陛下、スロープを下りたところで会場へ振り向き会釈される。

そして、退場される。

天皇皇后のお姿、だんだん小さくなっていく。
平成が終わっていく。幕を下ろしていく。そういう思いが強くある。

来年の全国戦没者追悼式、新しい天皇皇后のご臨席のもとに行われる。
どのようなものになるのであろうか。私は、その模様を見ることができるのであろうか。