さとりさんと触れ合えば触れ合う度に、さとりさんのことを何も知らないのだと思い知らされる。勿論聞けば話してくれるけれども、聞けば聞くほど自分の知らないさとりさんが見えてきて、さとりさんと僕との間にある時間や種族と言った様々な壁を感じずにはいられない。さとりさんは、こんな壁を感じている僕をどう思うのだろう? ひょっとしたら、誰の間にでもあるような当たり前のことに思い悩まされている僕のせいで寂しい思いをさせているのかもしれない。さとりさんも同じように僕との間に壁を感じているのかもしれない。ただ一つ言えることは、僕にはさとりさんの様にさとりさんの心を知ることはできないのだということ。……心を読めないことを歯痒く思うなんて、ちょっとした贅沢かもね。

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 さとりさんが溜息をついている。何か悩みでも? と聞くと笑って「そうじゃないのよ。ちょっと考え事をね」なんて言うものだから少し寂しくて、さとりさんばっかり僕の悩みを見通して、自分の悩みは一人で抱え込んじゃうとか、そんなの嫌だよなんて、つい声を荒げてしまう。さとりさんは僕の心を読めてしまうから話さなくても僕のことを分かってくれるけど、僕はさとりさんが話してくれないと駄目なんだ。もっと声を聞かせて欲しいんだ。

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 さとりさんに甘えたい。恥も外聞もかなぐり捨てていい子いい子してもらったりとか、抱きしめてもらってむやみやたらに優しい言葉を掛けてもらったりとか、何かそういう子供染みた甘え方をしたい。

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