「樺太1945年夏 『氷雪の門』」

シアターN渋谷にて。

ネタバレしてますが
実話を元にしたお話なんで有りかと。


1945年8月敗戦間際、まだ樺太に戦争の影はなかった。
都会から疎開してきた人達も、この島で戦争を忘れ、穏やかに暮らしていた。

広島に原爆投下後、ソ連の強行参戦にこの島にも遂に、軍の発砲が始まり、
奥地から順に島民に退去命令が下される。

九州ほどの大きさもある島の移動は女子供には険しく厳しいものだった。
容赦なく押し寄せるソ連軍の攻撃の中、ひたすら逃げるものの
汽車に乗る事なく命を落とし、子供が捨てられて行きます。


そんな中、真岡町の真岡郵便電信局で働く女性電話交換手達が
この島の人々の危機の為に
退散命令を断って、最後の最後までその仕事を全うし、
そして、ソ連軍がすぐそこまでに迫って回線も切断され通話不可能になるその瞬間まで、島を守る事に勤めた乙女たちの悲劇です。



この映画は昭和49年あたりに公開されたが
ソ連からの圧力によって上映中止。
それから日の目を見る事のなかったこの映画が
36年振りの上映となりました。

「氷雪の門」とは稚内の端っこに建つ慰霊碑で、樺太を向いてます。
9人の電話交換手の悲しい最後がここに刻まれているそうです。



あの戦争で数週間で一気に激戦地になって
一気に死に迫った

広島原爆投下から毎日日付の字幕が出るけど、
あと3日で終戦だしってわかって観てるから本と悲しい。
でも、15日後もソ連の爆撃が止む事はなく、
落とさなくていい命が消えて行く事にまた納得いかないわね。
ソ連が圧力かけるはずです。
ソ連の軍人が結構汚いとこしか描いてないし。


乙女達の凛としたド根性みたいなもんに脱帽です。
あの時代の価値観が背景にあるにしても
みんなまとめて逃げてほしかったと思う。
逃げた人も皆助かった訳ではないんだけどね。

恋人や旦那さんや
家族や、スキな唄や、甘いお汁粉や、かっこいい先生や
会話はみなごくご普通のガールズトーク
夢は本当にささやかで
何故、そんな普通が潰されなくてはいけないのかしら。


8月20日最後の日、当直だった9人の乙女は
最後の通信を終わらせ、
薬屋の娘さんが盗んできていた「もしも」の時に為に隠し持っていた劇薬で
短い命を終わらせます。

死んではいけないって局長さん達がどんなに乙女達を説得しても
この時代の教えがいかに根強かったかが分かる。

終わったはずの戦争なのに
樺太が何故戦場になっちゃったんだろうな。
「負けた国に国際法なんてない」
だって。
なんと恐ろしい。



「みなさん、これが最後です。さようなら。さようなら。」


この言葉が最後です。