トゥーンタウンがディズニーランドの中にあるのは納得いかないということと、ロジャー・ラビットに関連した幾つかのメモ。

トゥーンタウンとは?

トゥーンタウン」と聞いてみなさんは何を思い出すでしょうか?やはりディズニーランドでしょうか?
実はこの「トゥーンタウン」というのは、実写とアニメの合成映画「ロジャー・ラビット(1988)」(原題 Who Framed Rojer Rabbit /誰がロジャーラビットを陥れた)のなかで常にアニメキャラが住んでいるアニメの町いう場所があり、それが「トゥーンタウン」なのです。
そして、この映画から設定を借りてきてディズニーランドに作られたものがディズニーランドのトゥーンタウンです。

なぜ納得出来ないか

さて、なぜこのディズニーランドのトゥーンタウンが納得出来ないのか。
それはこの「ロジャー・ラビット」の映画の最大の売りである特徴が関わっています。
この映画はディズニー映画なのですが、ディズニーの中でも主に大人向けの映画を配給する「タッチストーン・ピクチャーズ」の映画なのです。(参考:Wikipedia)
そしてこの映画の最大の売りとは何か。それはアメリカン・アニメーションの黄金期のディズニー、ワーナー、MGM、パラマウントのアニメキャラクターがクロスオーバー出演する作品ということなのです。(作中の設定年代もその時代です。)
特に、全体のアニメのタッチはワーナーの「ルーニー・テューンズ」っぽく作られています。
しかもこの映画のオリジナルキャラクターであるロジャーはテックス・アヴェリーのアニメようなダイナミックなアクションをしています。(ディズニーのセルアニメの動きでテックス・エイヴリーのようなアクションを見てるだけで私は幸せになれます。)
また、この映画には「ジェシカ・ラビット」というロジャーの恋人が出てくるのですが、このジェシカ・ラビットは明らかにテックス・アヴェリーの「おかしな赤ずきん」(原題:red hot riding hood)がモデルでしょう。

テックス・アヴェリーはワーナー、MGMには在籍しましたがディズニーには在籍していませんでしたし、このロジャー・ラビットという映画自体、テックス・アヴェリーのオマージュ作品であることは明らかです。

このような映画の舞台である「トゥーンタウン」だからこそ、私はディズニーランドの中にあるのが納得出来ないのです。

ロジャー・ラビットを見るときに注目してほしいところを幾つか

私はロジャー・ラビットが大好きで何度も見ているのですが、いくつか注目して欲しい所を挙げておきます

ダフィー・ダックドナルド・ダックのピアノ対決

このダフィー・ダックドナルド・ダックのピアノ対決、まさにワーナーとディズニーの対決でもあります。そして弾いている曲が「ハンガリー狂詩曲 第二」なのですが、この「ハンガリー狂詩曲 第二」というのはアメリカン・アニメーションの黄金期では色々なキャラクターたちが弾いていた曲でもあります。一番有名なのはワーナーでもディズニーでもなくアカデミー賞を獲ったトムとジェリー(MGM)のものです。

バックス・バニーとミッキーマウスの共演

ワーナーとディズニーの看板キャラが同時に一画面に。おそらくこの映画以外ではありえません。

出演できなかった有名キャラクターはセリフで

この映画はワーナー以外の会社からもキャラクターの権利を借りてきているのですが、「トムとジェリー」、「ポパイ」、「フィリックス」というアメリカン・アニメーションの黄金期では重要なキャラクターの権利を借りてくることができず、出演していません。(その代わりにMGMからはドルーピーパラマウントからはベティ・ブープが出演している。)
ただし、これらの有名キャラクターは主人公エディ・バリアントがバーでおじさんにからかわれる場面のセリフの中で総出演します。

メリーゴーランドは壊れた

この映画の中で「メリーゴーランドは壊れた」(原題:Merry-Go-Round Broke Down)という曲が2回ほど効果的に使われています。この曲はワーナーの「ルーニー・テューンズ」のテーマとしても有名です。

Smile, Darn ya, Smile!

「Smile, Darn ya, Smile!」という曲も効果的に使われています。しかしこれもディズニーではなく「ルーニー・テューンズ」が出典でしょう。

(え、ミッキーマウスに似てるって?まあ、この時代のアニメキャラクターはみんなフィリックスに似てたよね)

これはCGではない

最近ではアニメと実写の合成というとCGが使われますが、アニメはすべてセルアニメです。実写カメラの動きに合わせたアニメキャラクターの動きを楽しみましょう。

ACMEについて

この映画に「アニメーションに出てくる商品」の会社の社長として「マービン・アクメ」という人物が登場しますが、この会社の名前がACME。このACMEについて、ルーニー・テューンズが好きな方は当然思い出しますよね。ロードランナーを。

このACMEという会社名、アメリカン・アニメーションの黄金期ではほとんどのスタジオの作品でも出てくるものです。日本の漫画で言うと「◯×商事」というような使われ方をする会社名なのですが、本来、ディズニー作品では「AJAX」という会社名のほうがよく使われています。
このことからもこの映画がルーニー・テューンズ色が強いと言えるでしょう。

ロジャー・ラビットを観よう

以上を踏まえて、映画を観てみてください!出来ればDVDで。できればおまけの短編が三本入っていて、手塚治虫の解説ブックレットがついてくるコレクターズエディションで。

ロジャー・ラビット コレクターズ・エディション [DVD]

ロジャー・ラビット [DVD]

そして、この映画、実はニコニコ動画でも見られます。(2012年4月15日現在) リンクしませんが。


トゥーンタウンとロジャーラビットについて、言いたいことをほぼ書いておきました。これでもう思い残すことは……あるかもしれない。なにしろ細かいネタが多い作品でもあるので。
今日のところはこれにて。