あやのん手帖

セレクトインテリアショップ「SHIOGAMA APARTMENT STYLE」のスタッフがつづるブログ。

 No.280 カリモク家具工場見学in岐阜 〜ダイニングチェア編〜

No.278 カリモク家具工場見学in岐阜 〜リビングテーブル編〜
http://d.hatena.ne.jp/sa-style/20120413/p1
つづきです。今度は「ダイニングチェア編」


午後は、講義から始まりました。


山本さんです。よろしくお願いします。
樹齢の話から。このナラの木で、80年。

構造の話。これは、チェアを支える脚の命、
「地獄の底まではずれない」、その名も『地獄ホゾ』
一番荷重のかかるシートと後ろ脚の接合に使われます。

接合に使われる小さなパーツ『ダボ』もこだわってます。
お客さんに見えない部分だからこそ、手をかける。
このダボには、トルネード状に筋が入っていて、より強く接着できるように工夫されています。


そして、座り心地研究のために登場したのが、

本物!っぽいホネ。

座るホネ。
「座る」って、「立つ」よりも、腰や背骨に荷重がかかるそうです。
どうしたらどこが痛くなるから、どの姿勢がいいのか、
聞きながら、姿勢を正したくなる話です。



椅子の中身はどうなっているのか、断面モデルです。
張り地の下は、木の板ではありません。
航空機のシートに使われる、メッシュ状の布が張られています。

木の板の椅子と座り比べてみました。
おしりを受け止めてくれる感触、ストン!と座った時の底突き感が全く違います。


そして!門外不出シリーズ。
カリモク60 ダイニングチェアの設計図』です!

商品が誕生するには、スケッチからデザインが起こされ、
試作と耐久テストをしながら、原寸大の設計図に起こされます。

カリモク60のデザイン主任でもある、
岐阜カリモクのデザイナー、高峯(たかみね)さんも来てくださり、
カリモク60ダイニングチェア誕生秘話を聞きました。



デザインには、60(ロクマル)の時代の資料も参考にされていることや、

どんなパーツから作られているか、

『地獄ホゾ』はここに使われています。

カリモク60のダイニングチェアも座り心地研究されています。ホネも大活躍。




このスケッチ。
日付は2005年です。
ダイニングチェアを開発するため、高峯さんが描いたいくつかの中の、ひとつです。
この資料が、岐阜カリモクの工場外に出ることはありません。
初めて見せていただき、ちょっと鳥肌もの。
高峯さんの絵は、とても丁寧できれいです。


講義の後には、工場に入り製造工程を見学します。

これは!
〜さっきの〜

このパーツが組み立てられると...


おお、ダイニングチェア。


一脚一脚、組み付けをします。


そして、塗装工程に流れていきます。


塗装工程を経て、また一脚一脚、背もたれを張り込みます。

スツールも発見!


最後に取り付けられるのが、シート(座面)です。

カリモク60のダイニングチェアのシートの中にも、
メッシュの布バネが張られています。

シートはフレームに組み付ける構造なので、こんなふうに独立して作られます。
(だから、メンテナンスとして、シートだけの交換もできます。)


ラスト、耐久テストの話。
店頭でも、「60kgの重りを...」と話をさせていただいている、
その60kgの重りが、

これなんです。
重りをしばりつけた状態で、

後ろにひっぱってきて、パッと離して、ガタン!
これを3万回!
(※音量ご注意です!)

UFUFU_02 from sa-style on Vimeo.

すべてのモデルに、この耐久テストをして、
耐え抜いたものだけが、カリモク家具の製品としてデビューします。
これはフレームの耐久テスト。


シートの耐久テストもします。
また60kg。

どん!

どん!
これ...何万回だったかな...
※3万回でした!


家具は日常、意外と「想定外の使い方」をされるそうです。
椅子に座ったまま、後ろに体重をかけたり(まさに耐久テストの動作)
大きなテーブルを一人で運ぶとなって片側だけを引っ張って移動(ひっぱられる脚に荷重がかかります)など。
そんな日常にある家具は「耐久消費財(長く使われるもの)」だから、
すぐ壊れて捨てちゃうのではなく...
当たり前に使えて、メンテナンスもできて、長く使えることを、大事にしているそうです。


以上、
こうして、カリモク60のダイニングチェアが作られています。
(Oさん、写真お借りします!)


たくさん歩きましたからね〜見学後のビールとご飯のうまいこと!!!
「西村」という和洋料理のお店に行ったのですが、
ママさんもマスターも優しくて、本当に美味しかったです。

高峯さんも来てくれました!
となりのお二人も、カリモク家具のデザイナーさんです。
会社でただ一人、原寸大設計図をもすべて手書きする、というスゴい方と、
42.195kmを3時間半で走る、というスゴい方です...!

そして高峯さん私のカメラでキッコーマン醤油瓶を激写。
いつの間に!


カリモク家具工場見学in岐阜、まだ続きがあります。
最終回は「ダイニングテーブル編」です。


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