砂の影

2008-01-29 山村浩二さんに、教えて8ミリ!

砂の影

アニメーション作家山村浩二さんに、教えて8ミリ!

| 16:02

今回は、アニメーション作家である山村浩二さんアトリエにお伺いいたしました。シネカノン有楽町2丁目で今週末まで上映中のカフカ 田舎医者』で、今年の毎日映画コンクールの大藤賞を受賞されました!

そんな山村さんは、学生時代からアニメーションや実写など8ミリカメラや16ミリカメラなどを使い、作り続けていらっしゃいました。実際に8ミリフィルムや映写機を見せていただき、こんなに小さなところに『砂の影』が焼きつけられたのか!と興奮を呼ぶお話を伺うことができました。

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―『砂の影』を見ていただきまして、ありがとうございます。

今まで『頭山』などから始まって配給でおつきあいをしていた越川さんがプロデュースしたものを見たいな、と。そして、たむらまさきさんが8ミリを撮るということにも興味がありましたから。

―今まで、監督でなく、撮影を意識して映画を見ていたことはありましたか?

ずっとディレクターで映画を選んでいたのが、『さすらい』『アメリカの友人』などヴィム・ヴェンダースの主な作品や、ラ−ス・フォン・トリアー『奇跡の海』などを撮影されているロビー・ミュラーというオランダ人のカメラマンがいて、ふと気付いたら彼が撮影した作品が同じ監督の作品の中でも好きだったりして、カメラマンの力は少し意識していました。あとダニエル・シュミットラ・パロマ『ヘカテ』の撮影も凄いと思っていたのですが、最近DVDで見たマノエル・ド・オリヴェイラ『家宝』の撮影がいいなと思っていたら、シュミット作品のカメラマンと同じレナート・ベルタだったんですよ。ああ、そうかディレクターだけじゃなくてカメラマンの力って凄いなと最近改めて気づかされました。

―山村さんは、昔、実写映画も撮られていらっしゃったと伺いましたが。

アニメーションも作りながら、映画も作ってという風に、並行して作っていました。中学生の時に8ミリでアニメーションを作り、同時に、これで実写も撮れるぞと思ったんです。最初は学校の先生にシングル8をお借りして、それを借りたまま実写も撮ってしまったんです(笑)。カメラというものがあった時から、アニメーションも実写も試みていました。当時は、町のカメラ屋さんで現像を受け付けてくれて、1,000円か2,000円くらいだったかな。お小遣いをためて。それで、現像されてきたフィルムをカットして編集をしていく。最初は編集機もなかったので、勘でフィルムを見ながらカットして、映写機にかけて上映していました。

―編集の感覚は映画もアニメーションも似ているのですか?

編集を一生懸命やったのは、映画の方でしたね。アニメーションは撮影時にかなり編集を考えて作るので。アニメーションの場合は、撮影している時にコマ単位で理解しているけれども、映画では流れでしか理解していないから、初めて現像した後で目に見えるものになって、編集できるという違いは大きいですね。映画は自分の力以上のものが入ってくるのがわかる気がします。その場のみんなの雰囲気で、当初考えていたカメラアングルじゃなかったり、頭の中でというよりもその場の雰囲気をうつしとる、という感じがしますね。アニメーションは、楽しい雰囲気を作ろうとしたらキャラクターや絵など色々描いて、細かく仕掛けをしていかないといけない。そういう意味で、写し取り方はちょっと違う。

アニメーションは、全部をコントロールできる…?

学生のころは編集はいらない、ぐらいに考えた事もありましたが、『頭山』以降から、編集って大事だなと思うようになりました。当初の予定で作っていっても、実際カットが重なって映画としてのモンタージュが生まれはじめると、数コマの間とかでも本当に意味が変わってくるんですね。編集でかなり細かく調整していくと映画としての完成度、映画として語れる部分が増えるというんでしょうか。アニメーションの方が予定通りにはできるという部分も多いですが、絵を描いたり、動かす自分のコンディションもあるので、そのカットごとにいい感じにできたものや、うーんというところもあるのでそんなに実は違わないのかなと。ひとつひとつのカットのきらめきは、その時のいろんな状況で変わってくるんですよね。

―ひとつひとつのカットのきらめき。偶然的な必然が映画に集まるような感じですよね。昔、8ミリの映画を作られた時は音はつけられたんですか?

つけました。映写機のマイクにマイクをさして、映し出される映像を見ながら声をつけられるんですね、そうやって同時録音していたんですよ。

―とってもアナログなやり方ですね!

物凄いアナログなんだよね、(笑)。ミキシングなんてありえない世界だったんですよ。8ミリ用のミキサーも売っていましたがそこまで手が出ないし、もし持っていたら、磁気テープでいくつか録音したものを色々いじれたんですけどね。

―8ミリの映写機はどこから音が出るんですか?

映写機のスピーカーから音が出るんです。僕のもっているタイプは、蓋がスピーカーになっている。今もここにありますよ、カメラも映写機も。

―学生の頃、シングル8は流行っていたのですか? まわりで8ミリカメラを持っている人はいましたか?

何人かは持っていましたね。今のハンディのカメラのような感じで、家族の旅行や運動会とかを映したりと。まだビデオがなかった時代ので。初めてアニメーションの映画祭で上海に行った時も、記録を8ミリで撮ったんです。軽いから(カメラの)揺れが凄いんですよ。興奮が伝わってきて、それがまた面白い。『砂の影』では、やはりたむらさんなので、揺れやブレは抑制されていましたけれど、8ミリカメラの軽さという意味での特性は感じました。

※山村さんに、お持ちのカメラの中で最高のシングル8を見せていただきました。(シングル8のZC1000。)

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―こんなに大きいシングル8もあるんですね! 片手で持つと、銃っぽいですよね。

うん、本当に。銃みたいだよね。f:id:sabaku_m:20080119150750j:image:right


このあと、映写機で上海での映像を見せていただきました!

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持ち運び可能な映写機。フィルムを回しはじめるとカタカタカタカタ…となんとも言えない味わいのある音が。、映写機の回る音と雰囲気にじわじわと胸が熱くなりました。コンセントにつなぎ、電源を入れ、フィルムをかけ、回す…それだけで、異空間になったように山村さんのアトリエは上映スペースに!見ているそれぞれが同じ映像をみながら、いろんな思いを馳せる。自宅でひとりDVDを見るだけでは味わえない興奮を感じました。 この小さな8ミリフィルムに『砂の影』が焼きつけられ、光や、粒子が大きなスクリーンに映し出される。片手で持てるカメラを武器に、私たちはゲリラ部隊のように闘っているのではないか、というような空想さえ浮かんできた印象深い一日となりました。

今回、山村浩二さんから、『砂の影』へのコメントをいただきました。

見えているもの、見えていないもの、聞こえているもの、聞こえていないもの、実像と影、不在と実在、背反する不確かさの揺さぶりの中から「映像」が「映画」という形に変容しはじめる瞬間に立ち会えた。ーー山村浩二アニメーション作家]

『砂の影』に寄せられたコメントは、コメントチラシとして、都内各劇場、書店等に置かれています。是非手に取ってみて下さい!!


ヤマムラ・アニメーションHPは、こちらから。

http://www.yamamura-animation.jp/body_j.html