アッシュランド(5)アッシュランド・コンテンポラリー・シアター『RED』

 オレゴンシェイクスピア・フェスティバルに含まれてはいないのだが、フェス会場のすぐ近くの公民館みたいなところで、地元の劇団アッシュランド・コンテンポラリー・シアタージョン・ローガンの『RED』をやるというので行ってきた。

 この芝居は以前に新国立で見たことがあったのだが、演出にちょっと違いがあった。新国立のバージョンではアトリエのセットに絵画がたくさんあって、登場人物であるマーク・ロスコと助手のケンがその絵を見ながら話すという場面がけっこうあった覚えがあるのだが、このアッシュランドの演出ではアトリエセットの規模が小さく(一応、奥に一枚大きいカンバスがあるが)、設定では観客席のほうにもう一枚絵があることになっていて、ロスコとケンが観客のほうを見て「この絵は…」みたいな話をしたりする。箱が小さいこともあり、そのせいでかなり親密感があって、この演出はとても良かったと思う。

 しかしながら、話じたいは前回見た時同様、そんなに興味をそそられなかったなぁ…これはやはり個人的な問題で、私が抽象表現主義のシリアスな美学にあまり興味が無いということがあるのだろうと思う。展開される芸術論がちょっと趣味に合わないというか…こういう芸術を高く評価する人がいるのはわかるし、2人の人間の会話だけでずっとテンションを保たせる戯曲じたいはとてもよくできていると思うが、私はそんなに好きではない。

 あと、この芝居は一時間半程度しかないのだが、一度休憩が入る。これがかなり間延びする。一時間半だったらスピード感をもって突っ走り、休憩を入れないほうがいいのではと思う。