ウイスキーのためなら…『ウイスキーと2人の花嫁』

 『ウイスキーと2人の花嫁』を見た。

 舞台は第二次世界大戦中のスコットランドの島、トディ島である。戦争のために生活に欠かせないウイスキーの配給が止まってしまい、島民はひどく困っている。冠婚葬祭にもウイスキーを用いる習慣があるので、郵便局長ジョセフ(グレゴール・フィッシャー)の二人の娘ペギー(ナオミ・パトリック)とカトリーナ(エリー・ケンドリック)は婚約をしているにもかかわらず、結婚式もあげられない。そこへ、島の沖で大量のウイスキーを積んだ船が座礁したという連絡があり、村人たちは全く危険を顧みず船に忍び込んでウイスキーを盗み出す。一方、本土出身のワゲット大尉(エディ・イザード)は村人の違法行為を取り締まろうと駆け回るが…

 トディ島は架空の島だが、実際に第二次世界大戦中にエリスケイ島の側でウイスキーを積んだ船が座礁し、近くの人々が積み荷をサルベージしたことがあったそうだ。ここまで面白おかしい話ではないのだろうが、事実に基づいているらしい。原作は小説があり、映画化も既に一度されている。

 作りとしては『ウェイクアップ!ネッド』とかに似た、田舎の島の人たちが外から来た多少権威のある連中と対峙するっていうコメディである。ウイスキーのサルベージについては、村民どころか本土の軍の上官も全然悪いと思っておらず、ワゲット大尉だけが盗みの証拠を見つけようと張り切ってるところがおかしい。また、教会の権力が強くて日曜日は一切仕事ができないとか、地域色と時代色を用いたユーモア描写もある。ペギーとカトリーナは原作よりも活躍するようになっているらしいが、ベクデル・テストはパスしない。全体としては肩の力を抜いて見られるコメディで、すごく面白いってわけでもないが笑えるところはいっぱいある。