2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

これは女性の不条理な人生についての映画である〜『10クローバーフィールド・レーン』(ネタバレあり)

『10クローバーフィールド・レーン』を見た。実は『クローバーフィールド』は見ていない…のだが、『10クローバーフィールド・レーン』は女性の映画として物凄く面白かった。はっきりフェミニストSFといってもいいような作品だったと思う。 主人公は男と別れ…

トム・ハーディの演技を見るための映画〜『レジェンド 狂気の美学』(ネタバレあり)

ブライアン・ヘルゲランド監督『レジェンド 狂気の美学』を見てきた。 実在した60年代ロンドンのギャングである、レジーとロニーのクレイ兄弟をトム・ハーディが一人二役で演じる時代ものである。全体はレジーの恋人から妻になり、最後は自殺するフランシス(…

超セクシーな『カルメン』のバレエ版翻案〜マシュー・ボーン『ザ・カーマン』 in シネマ

マシュー・ボーンの『ザ・カーマン』の映画館上映を恵比寿ガーデンシネマで見てきた。ボーンの主な演目では唯一見たことのないものなので楽しみにしていたのだが、大変面白かった。とにかくセクシーである。 音楽はビゼーの『カルメン』を使っているのだが、…

王の悲惨〜百年先俳優会『リチャード二世』

東長崎てあとるらぽうで百年先俳優会による内田聡明演出『リチャード二世』を見てきた。あまり期待していなかったのだが、思ったより断然面白かった。いろいろ良くなかったところもあるのだが、演出が好みだという点ではデイヴィド・テナント版や蜷川の『リ…

ウィキペディアに「メイズ・オヴ・オナー・タルト」の記事を作りました

ウィキペディアに「メイズ・オヴ・オナー・タルト」の記事を翻訳で作りました。ウィキペディアについての模擬講義でデモ用としてお作ったので、もうちょっと俗説とかについて説明したかったけど時間切れ…

ウィキペディアに「アイオワ州マディソン郡の屋根付橋の一覧」の記事を作りました

ウィキペディアに「アイオワ州マディソン郡の屋根付橋の一覧」の記事を翻訳で作りました。

ウィキペディアに「ハーバード・ハウス」の記事を作りました

ウィキペディアに「ハーバード・ハウス」の記事を翻訳で作りました。ストラットフォード・アポン・エイヴォンにある家で、ハーバード大学ゆかりのものです。

団地は時空の歪みの最前線〜『団地』(ネタバレあり)

阪本順治監督の新作『団地』を見てきた。 主役はヒナ子(藤山直美)と清治(岸部一徳)の山下夫妻。老舗の漢方薬店をたたんで団地に引っ越してきた。この2人は3年ほど前に息子を交通事故で亡くしており、その精神的トラウマに苦しんでいた。団地のしがらみに疲れ…

どうってことない料理映画に突如現れる可愛さ爆弾〜『二ツ星の料理人』

『二ツ星の料理人』を見てきた。 主人公はドラッグ中毒で何もかも失い、しばらく雲隠れしていた天才シェフ、アダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)。フランスで店をつぶして周りに大迷惑をかけまくっていたのだが、ロンドンで再起をはかり、かつての友…

青ひげの創造主と自由意志〜『エクス・マキナ』(ネタバレ多数)

アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』を見た。 ある日突然、社内抽選で社長ネイサン(オスカー・アイザック)の別荘に呼ばれたプログラマーのケイレブ(ドーナル・グリーソン)。社長は天才プログラマーで、世間から隔離された別荘でAIを作っていた。ケ…

世田谷パブリックシアター、萬斎『マクベス』再演

世田谷パブリックシアターで野村萬斎の『マクベス』を見てきた。つまらないというわけではなかったのだが、ただ2年前に見た時のほうが面白かった気が…少し演出がシンプルになっているように思ったのだが、そのせいかな?

『コペンハーゲン』

科学史学会メンバーでシスカンパニーの『コペンハーゲン』を見てきたのだが、これについてはちょっと依頼劇評を書く可能性があるので、劇評を準備するためのメモ程度に。 ・第一幕でできあがった物語を第二幕でブチ壊す構造→歴史記述に対する批判、『ゴドー…

今学期の英日翻訳ウィキペディアン養成プロジェクトクラスが始動しています

今学期の英日翻訳ウィキペディアン養成プロジェクトクラスが始動しております。既に[[ハイドロックス]](オレオの本家みたいなクッキー)と[[2013年王位継承法]](イギリスで男子優先の王位継承を廃止した法律)を新規立項し、[[キューバンサンドイッチ]]と[[ロ…

6/26武蔵大学オープンキャンパスでウィキペディアについての模擬授業をします

6/26に行われる武蔵大学オープンキャンパスで、「あなたにも作れるウィキペディア記事〜英日翻訳で社会貢献」と題して、英日翻訳ウィキペディアン養成プロジェクトクラスに関する模擬授業を実施します。高校生や一般の方向けにプロジェクト紹介をする感じに…

真面目な諷刺、深みのあるキャラクター、なぜかおっさんダンス〜『マネーモンスター』(少しネタバレあり)

ジョディ・フォスター監督作『マネーモンスター』を見てきた。 舞台は生放送の金融エンタテイメント番組『マネーモンスター』の撮影現場。放送中にこの番組のホストであるリー(ジョージ・クルーニー)のアドバイスに従ってアイビス社に投資し、アイビス社のシ…

抑圧をはねのける生き生きした子どもたち〜『裸足の季節』(ネタバレあり)

デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督の映画『裸足の季節』を見てきた。 舞台はトルコ北部のド田舎の村。両親がおらず、祖母の保護のもとで暮らしている若く美しい五人姉妹は自由にのびのびと育っていたが、娘たちが結婚できそうな年齢になってきて、封建的な…

『ブラー:ニュー・ワールド・タワーズ』

『ブラー:ニュー・ワールド・タワーズ』を見てきた。 ブラーが『マジック・ウィップ』を作る様子を撮ったドキュメンタリーで、12年ものブランクを越えてメンバーがわだかまりを解消し、新しい作品を作る様子を丁寧に記録しているので別につまらないことはな…

新国立劇場マンスリープロジェクト演劇講座「ジョン・フォードとエリザベス朝演劇」

新国立劇場マンスリープロジェクト演劇講座「ジョン・フォードとエリザベス朝演劇」に行ってきた。講師は師匠である河合祥一郎先生である。 上演中の『あわれ彼女は娼婦』を、他の芝居との比較を通して英国ルネサンス演劇の中に位置づけるというもので、とて…

井村君江新訳『テンペスト』出版記念講演会 「シェイクスピアと妖精たち」

早稲田のスコットホールで井村君江新訳『テンペスト』出版記念講演会 「シェイクスピアと妖精たち」を聞いてきた。 妖精について基本事項をおさえて、かつ『夏の夜の夢』と『テンペスト』の妖精の違いについてという感じの話だったが、プリントが足りなくな…

カラヴァッジョ展

国立西洋美術館でカラヴァッジョ展を見てきた。卒業旅行でイタリアに行った時に必死にカラヴァッジョを見て回ったので、既に見たことのあるようなものも数点あったのだが、それでもけっこう粒のそろった良い絵がきており、これだけまとめて見られるととても…

messy連載に「男性に自由を奪われた「籠の鳥」〜チャイコフスキー『白鳥の湖』と森鴎外『雁』」を書きました

いつものmessyの連載に「男性に自由を奪われた「籠の鳥」〜チャイコフスキー『白鳥の湖』と森鴎外『雁』」を書きました。鑑賞初心者として、ゆるい感じでバレエの楽しみを書いたものです。マシュー・ボーンをオススメしています。 ちなみに今回の連載は、卒…

夏に世界シェイクスピア学会で渡英いたします

今年はシェイクスピア没後400周年で世界中でシェイクスピアのイベントが開催され、イギリスでもメモリアルイヤーのシェイクスピア学会が開かれます。私もRecreating Shakespearean Performance Cultures Worldwide: Live Digital Relay as Creative Practice…

まっとうな悲恋もの〜『あわれ彼女は娼婦』

ジョン・フォード作『あわれ彼女は娼婦』を見てきた。シェイクスピア以外の英国ルネサンス演劇としては比較的頻繁に上演される作品である(2006年の蜷川版は私も見たことある)。栗山民生演出で、主演はアナベラ役を蒼井優、ジョヴァンニ役を浦井健治。 物語は…

大泉学園、静かの海でごはん

仕事ではじめて大泉学園に行ってきたのだが、ここは美味しいお店がたくさんあるらしいということで、カフェめし偵察にいってきた。 こちら、静かの海というカフェの親子丼ランチ。オムライスみたいだが、けっこうダシの味がする。 デザートのシフォンケーキ…

7/9に表象文化論学会大会でデヴィッド・ボウイのセッションを組織します

表象文化論学会第11回大会のプログラムが出ました。詳細はウェブサイトをごらんください。 今回の大会は7/9-10にかけて京都の立命館大学で行われます。今回はパフォーマンスがなく、かわりにメインシンポジウムのあとに企画パネルがあります。こちらは私が組…

ちゃんとした恋愛映画〜『デッドプール』(ネタバレあり)

『デッドプール』を見てきた。 話はたいへん単純な復讐劇で、悪党のせいでアイデンティティと愛を失った男が復讐を遂げるというものである。主人公ウェイド(ライアン・レイノルズ)は恋人ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と幸せに暮らしていたが、ある日突然…

神様女神様パティ様〜THE POET SPEAKS

すみだトリフォニーホールで『THE POET SPEAKS』を見てきた。パティ・スミスが来日し、フィリップ・グラスと組んでアレン・ギンズバーグの詩を読む演目を上演するということで、とりあえずパティ・スミスが詩を読むところが見られる機会なんてめったに無いの…

前公演よりかなり良くなった〜Casual Meets Shakespeare 『A Midsummer Night’s Dream』

Casual Meets Shakespeare 『A Midsummer Night’s Dream』を見てきた。 前回、同じプロダクションで『十二夜』を見たのだが、美術はかなり似ている。前回同様、トランプのような白黒に塗り分けられた床にいくつか道具として箱がある程度のシンプルなセットで…

邪神論の神と大地母神の戦いをカワイく描いたゆるふわ神学ファンタジー!〜『神様メール』(ネタバレあり)

ジャコ・ヴァン・ドルマル監督のベルギー映画『神様メール』を見た。 舞台はブリュッセル。神はブリュッセルに実在し、アパートで旧式のコンピュータを使って人間の運命を管理していた。神はサイテーなヤツで、妻や娘にはつらくあたり、人間たちにはたちの悪…

ここはカンザスじゃないみたいよ〜『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(ネタバレあり)

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』をみてきた。タイトルからわかるようにマイケル・ムーアの監督作で、ムーアがヨーロッパや地中海の各国に出かけて行って現地の良さそうなアイディアを盗んでくるという「侵略」行為を行う様子を描いたドキュメンタリ…