わりとコンテクストが難しかった~Women On The Verge of HRT

ゲイエティ劇場でWomen On The Verge of HRTを見てきた。マリー・ジョーンズの1999年の戯曲である。中年の親友同士であるアンとヴェラが、お気に入りのスターであるダニエル・オコンネルのショーを見にドニゴールに行ってホテルに一泊するが、そこで妖精の魔…

やはりどうも好きになれなかった…『グリース』

ニコライ・フォスター演出の『グリース』UK&アイルランドツアー公演を見てきた。舞台の上のほうの奥の部分にずっとラジオ放送中のDJがいるとか、キラッキラのHIGH SCHOOLという看板があるとかいうような舞台美術にかかわるところなどはけっこう面白かったの…

『スター・ウォーズ エピソード1/ ファントム・メナス』25周年記念上映

ダブリンのライトハウスシネマで『スター・ウォーズ エピソード1/ ファントム・メナス』の25周年記念上映を見てきた。もちろん何度も見たことがあるのだが、久しぶりに大画面で見るとポッドレースや最後のライトセーバーの殺陣が迫力あって楽しかった。あと…

老いたるフォルスタッフ~Player Kings

ロバート・アイク演出Player Kingsを見てきた。シェイクスピアの『ヘンリー四世』二部作(+ほんのちょっとだけ『ヘンリー五世』の冒頭)を編集して3時間くらいにまとめたものである。けっこうカットしてスピーディな展開になっているが、それでもわりと大作…

タイトルに偽りあり?Underdog: The Other Other Brontë

サラ・ゴードンの新作戯曲Underdog: The Other Other Brontëをナショナル・シアターで見てきた。演出はNatalie Ibuで、Norther Stageとの共同プロダクションである。タイトルどおりブロンテ姉妹を扱った作品だ。 www.youtube.com タイトルからすると姉妹の中…

「ウィ・アー・ザ・ワールド」収録の舞台裏~『ポップスが最高に輝いた夜』(配信)

Netflixで『ポップスが最高に輝いた夜』を見た。「ウィ・アー・ザ・ワールド」収録時の舞台裏に関する音楽ドキュメンタリーである。 www.youtube.com Just for One Dayとほぼ同じ頃に見たのだが、「ウィ・アー・ザ・ワールド」も先例のバンドエイド同様、な…

アイルランド国立図書館

仮渡航許可が本許可になってパスポートが手元に戻ってきたので、アイルランド国立図書館にリーダーチケットを作りに行ってきた。イェーツの無料展示をやっている他、建築模型なども展示してある。 建築模型

アイルランド文学博物館

アイルランド文学博物館(Museum of Litarature Ireland、略称MoLI)に行って来た。ここは2019年オープンで比較的新しい博物館である。展示は一般的なアイルランドの文学についてのものがある他、大部分はジェイムズ・ジョイスが中心である。 アイルランドの…

兄と妹の陰惨な人間ドラマ~『モルフィ公爵夫人』

レイチェル・バグショー演出『モルフィ公爵夫人』をサム・ワナメイカー・プレイハウスで見てきた。 www.youtube.com 『モルフィ公爵夫人』は一度イギリスで見たことがあり、日本ではあまり上演されないが、イギリスでは女優の技術の見せ所としてよく知られた…

KUNILABOのブックトークに参加します

5月25日(土)19時より、「KUNILABO春のブックトーク 西村紗知『女は見えない』」に参加することになりました。ダブリンからのオンライン参加になります。お気軽にご参加くださいませ。 女は見えない (単行本 --) 作者:西村 紗知 筑摩書房 Amazon

包括的性教育教材『コロカラBOOK』にインタビューが掲載されました

正進社から出た中学生向けの包括的性教育教材『コロカラBOOK』にインタビューが掲載されました。pp. 98-99でフェミニスト批評の話をしています。包括的性教育はとても重要だと思うので、是非中学校で使ってほしいと思っています。 www.seishinsha.co.jp

警察における人種差別~サム・ワナメイカー・プレイハウス『オセロー』

サム・ワナメイカー・プレイハウスでオラ・インス演出『オセロー』を見た。 www.youtube.com 舞台は現代ロンドンのスコットランド・ヤードで、完全に警察ものになっている。舞台はキプロス島ではなくロンドンのウォーターフロントだし、オセロー(Ken Nwosu…

『芸術新潮』映画レビュー最後の連載では『ミセス・クルナスvs.ジョージ・ブッシュ』をとりあげました

『芸術新潮』映画レビュー連載の最後の回で『ミセス・クルナスvs.ジョージ・ブッシュ』をとりあげました。グアンタナモに収容された息子を取り戻すべく戦うドイツのトルコ移民のお母さんを描いた、実話に基づくお話です。1年間の連載、どうもありがとうござ…

リッチモンド・バラックス&ゴールデンブリッジ墓地ウォーキングツアー

歴史的建造物であるリッチモンド・バラックスの歴史ウォーキングツアー2種類に参加してきた。 まずはリッチモンド・バラックスからキルメイナム刑務所までのツアー。 リッチモンド・バラックス。 かつては英軍の施設だったのだが、今は市立図書館とか文化セ…

書肆侃侃房にて1年間の連載『素面のダブリン市民』を始めました

書肆侃侃房にて1年間の連載『素面のダブリン市民』を始めました。ダブリンでのサバティカルについてゆるーく書く感じの連載です。初回はプロローグということで、「サバティカルとは」「アイルランドはどこにあるのか」みたいな話をしています。 note.com

ウェールズのヒーローが見る、死ぬ前の走馬灯~『ナイ』

ナショナル・シアターで『ナイ』を見てきた。ティム・プライスによる戯曲で、ルーファス・ノリス演出である。ウェールズで最も尊敬されている政治家で(首相になったロイド・ジョージより人気があるらしい)、国民保健サービスの父である「ナイ」ことアナイ…

これ、こんなに明るい話なのかな…?『オープニング・ナイト』

イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出『オープニング・ナイト』を見てきた。ジョン・カサヴェテスの1977年の有名な映画をルーファス・ウェインライトの音楽でミュージカル化したものである。 www.youtube.com 舞台の大女優マートル(シェリダン・スミス)は新作の役…

トリニティ・カレッジ・ダブリン図書館

トリニティ・カレッジ・ダブリンの図書館で簡単なスタッフツアーをしてもらった。ここは『ケルズの書』を持っており、いつも大混雑である。13年前に一度見たことがあるのだが、多少展示は変わっていた。 何度来てもすてきなジェダイ公文書館ことロングルーム…

現代アメリカの政情を考えると非常に切実な映画~『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』

フィリス・ナジー監督『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』を見た。 www.youtube.com アメリカで中絶が合法化される以前に実在していたジェーン・コレクティヴの話に緩く基づく映画である(ただし名前などはけっこう変えてある)。シカゴの郊外に住む…

宗教権力による子どもの運命の変転~『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』(試写)

マルコ・ベロッキオ監督新作『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』を試写で見た。 www.youtube.com 1858年にボローニャのユダヤ人であるモルターラ一家に突然兵士たちがやってきて、まだ小さい息子のエドガルドを連れ去るところから始まる。なん…

ポストモダン・ジュークボックスライブ

ポストモダン・ジュークボックスのライブに行ってきた。ポストモダン・ジュークボックスはジャズミュージシシャンのスコット・ブラッドリーがやっているプロジェクトで、最近のヒット曲をジャズアレンジで演奏するグループである。YouTubeでバイラルになって…

王道のスポーツ映画~『リバウンド』(試写)

『リバウンド』を試写で見た。 www.youtube.com 人数減少で廃部寸前の釜山中央高校バスケ部をコーチのカン・ヤンヒョン(アン・ジェホン)があの手この手で盛り上げようとする…というお話である。緩く実話に基づいているそうだ。あまり予算はかかっていない…

全然知らない歴史についての興味深いドキュメンタリー~『革命する大地』(試写)

『革命する大地』を試写で見た。1969年のペルーの農地改革法を題材とするドキュメンタリー映画である。 www.youtube.com 全く予備知識なしに見たのだが、クーデターで政権を掌握し、大改革を行おうとしたフアン・ベラスコ・アルバラードの功罪についていろい…

大変重要な映画だと思うが、たしかにこんな映画はないほうがいい~『マリウポリの20日間』(試写)

『マリウポリの20日間』を試写で見た。文字通り、マリウポリがロシアに攻撃された時の20日間の様子をAP通信のチームが撮影したドキュメンタリー映画である。 www.youtube.com 監督のミスティスラフ・チェルノフがアカデミー外国語映画賞を受賞した際にこんな…

A Night Out with Irvine Welsh

リバティ・ホール・シアターで行われたA Night Out with Irvine Welshに行ってきた。アーヴィン・ウェルシュによる『トレインスポッティング』の一部朗読、トーク、質問のイベントである。ウェルシュは一時期ダブリンに住んでいたことがあるということで、そ…

『ヴィクトリア朝時代のインターネット』文庫版帯にコメントを寄稿しました

トム・スタンデージ『ヴィクトリア朝時代のインターネット』文庫版帯にコメントを寄稿しました。これは新入生に是非すすめたいと思っていたのですが入手困難で困っていた本なので文庫版が出てとてもよかったです。 ヴィクトリア朝時代のインターネット (ハヤ…

演出とキャラクターの食い合わせが…『マクベス』

Dock Xでサイモン・ゴドウィン『マクベス』を見てきた。 www.youtube.com ウォーターフロントの倉庫みたいな場所での上演で、お客は舞台裏から兵士(スタッフが扮しているわけだが)が見張っている通路を通って客席に入るという変わった作りの劇場である。冷…

真面目な法廷もの~『死刑台のメロディ』(試写)

エンニオ・モリコーネの特選上映で4Kリマスター英語版が上映される『死刑台のメロディ』を試写で見た。有名なサッコ&ヴェンゼッティ事件の映画化である。 www.youtube.com 全体的に真面目な法廷もので、イタリア系の移民で左翼であり、英語にも訛りがあるニ…

音楽はいいが…『ラ・カリファ』(試写)

エンニオ・モリコーネの特選上映で日本で初めて映画館上映される『ラ・カリファ』を試写で見た。 企業家ドベルド(ウーゴ・トニャッツィ)と、夫を労働争議で亡くした活動家イレーネ(ロミー・シュナイダー)が不倫関係になってしまうという話なのだが、正直…

アイルランド現代美術館

キルメイナム刑務所のすぐそばにあるアイルランド現代美術館にも行って来た。無料で入れる。こんな建物である。 中庭と美術館の建物 第一次世界大戦以降のヨーロッパ政治と芸術に関する展示と、デリーの映画ビデオワークショップグループなどについての展示…