Hatena::ブログ(Diary)

Commentarius Saevus このページをアンテナに追加 RSSフィード




電子書肆 さえ房」開業!電子書籍『共感覚の地平』を無料公開中

2018-05-01

イギー・ポップがカワイイ!〜『アメリカン・ヴァルハラ』

| イギー・ポップがカワイイ!〜『アメリカン・ヴァルハラ』 - Commentarius Saevus を含むブックマーク イギー・ポップがカワイイ!〜『アメリカン・ヴァルハラ』 - Commentarius Saevus のブックマークコメント

 イギー・ポップクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジジョシュ・ホーミと組んで作ったアルバムポスト・ポップ・ディプレッション』の製作状況とツアーを撮ったドキュメンタリー映画アメリカン・ヴァルハラ』を見てきた。

D

 イギージョシュの他、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジからディーン・フェルティタと、アークティック・モンキーズのマット・ヘルダースが参加しており、けっこうなスーパーグループである。『ギミー・デンジャー』に続いて、イギーがパワフルなパフォーマンスを見せる一方で自分音楽を明快にわかりやすく語ってくれる。一方でイギーは他のミュージシャンたちが技術的には自分よりもだいぶ上手いということを素直に認めており(それはそうだろうと思う)、自分が足を引っ張ってるとか謙遜して見せるあたりがちょっとカワイイ多忙ジョシュの気を引くため、ツアークリエイティヴなことができなくなっていると思われる最中手書き資料(曲の準備のための詩からベルリンで曲を作っていた時の回想を含むメモまで、すごく面白そうなもの)を送って創造性を刺激しようと思ったとかいう話をしており、とてもチャーミングだ。

 アルバムの前半はジョシュア・トゥリー国立公園にあるランチョ・デ・ラ・ルナ・スタジオで撮ったらしいのだが、砂漠の真ん中にある雰囲気のあるスタジオで、ここの景色を撮ったショットなども綺麗である。後半はツアーの話になるのだが、リハーサル初日デヴィッド・ボウイが亡くなってしまうという大事件が発生する…ものの、頑張って皆で乗り越えたそうだ。

2018-01-25

ビートルズ展「Ladies and Gentlemen... THE BEATLES!」+ロックの殿堂ジャパンミュージアム

| ビートルズ展「Ladies and Gentlemen... THE BEATLES!」+ロックの殿堂ジャパンミュージアム - Commentarius Saevus を含むブックマーク ビートルズ展「Ladies and Gentlemen... THE BEATLES!」+ロックの殿堂ジャパンミュージアム - Commentarius Saevus のブックマークコメント

 有楽町無印建物の中にあるビートルズ展「Ladies and Gentlemen... THE BEATLES!」ロックの殿堂ジャパンミュージアムに行ってきた。

 ビートルズ展はこんな感じ。

f:id:saebou:20180125221422j:image

f:id:saebou:20180125221423j:image

 展示品はともかく、解説パネルの作り方にはけっこう閉口した。この写真にある右上のパネルなんかは一番高いところに白文字で書いたものを設置しており、身長が低い人にはかなり読みづらいところにある。他にも読みづらい位置に設置されたパネルとか、パネルの解説じたいがあまりわかりやすいとは言えないもの(楽器の来歴などがあまり詳しく書かれてないとか)もあった。

f:id:saebou:20180125221424j:image

 

 ロック殿堂ジャパンミュージアムは衣類の展示が多い。これはマドンナ

f:id:saebou:20180125221425j:image

 バングルズのスザンナ・ホフス。

f:id:saebou:20180125221427j:image

 楽器もある。これはジャーニー

f:id:saebou:20180125221426j:image

 

2017-11-02

生きるための音楽〜『ソニータ』(ネタバレあり)

| 生きるための音楽〜『ソニータ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus を含むブックマーク 生きるための音楽〜『ソニータ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus のブックマークコメント

 『ソニータ』を見てきた。ロクサレ・ガエム・マガミ監督によるドキュメンタリーで、イランに住むアフガニスタン難民の少女で、ラッパーを目指すソニータを撮った記録である

D

 ソニータは苦しい状況の中でもラッパーになる夢に向かって努力している。ところがアフガニスタンから母親がやって来て、16歳のソニータを9000ドルで見知らぬ男に嫁がせようとする。強制結婚の危機に直面したソニータを見て、土壇場でとうとう監督が介入、母親にお金を払ってソニータがしばらく結婚しなくていいようにしてもらう。ソニータは強制結婚に関するラップのビデオを作り、それが話題になるが、イランでは女性がレコーディングするのは禁止で、今まで世話になっていた福祉センターから面倒をみてもらうことができなくなってしまう。そんなソニータに、アメリカの音楽学校から声がかかり…

 とにかくドラマティックかつつらい話だ。映画になっているくらいだからとにかくなんとかなるんだろうと思って見ていた…ものの、ソニータが母親にアフガニスタンへと連れ去られそうになるところでは本気で心配になった。ここで監督が介入してしまうあたりはあまりドキュメンタリー映画らしくないのだが、この状況ならば当たり前だし、人間としての良心を優先して、それを全部記録した監督は立派だと思う。

 ソニータのラップは超カッコ良く、今でも強制結婚などの抑圧に苦しんでいる若い女性たちの心をありありと伝えるリアルなものだ。ソニータの歌を聴いていると、音楽というのは本当に生きるためのものなんだということがひしひしと伝わってくる。そんな才能あふれるソニータであるので、ビデオと楽曲が驚くほどの成功をおさめ、途中からはまるでシンデレラの物語みたいな展開になる。アメリカのワサッチアカデミーが声をかけてくるあたりでは、英語もほとんどできない子どもをドンと預かって教育しようということができる度量は凄いと思った。

 ソニータは自らの有り余る才能と知性で悲惨な運命を逃れ、自分の人生を生きることができるようになったわけだが、ほとんどの少女はソニータほど恵まれていないことを考えると暗い気持ちにもなる。ソニータは芸術家及び社会運動家として強制結婚に対する批判を行っており、アフガニスタンなどの女性たちにとても人気があるらしい。

2017-09-29

血も涙もないハッピーなバンドドキュメンタリー~『ギミー・デンジャー』

| 血も涙もないハッピーなバンドドキュメンタリー~『ギミー・デンジャー』 - Commentarius Saevus を含むブックマーク 血も涙もないハッピーなバンドドキュメンタリー~『ギミー・デンジャー』 - Commentarius Saevus のブックマークコメント

 ジム・ジャームッシュ監督によるザ・ストゥージズのドキュメンタリー映画ギミー・デンジャー』を見てきた。

D

 ザ・ストゥージズがどういうところから出てきたか、そしてどうバラバラになっていったのかを、バンドメンバーや関係者の証言に基づいて丁寧かつ面白くまとめた作品だ。プレパンク/グラムの伝説的グループとしてアルバム三枚で崩壊したバンドの伝記映画としては全体的に後味が良く爽やかな出来で、血が飛び散ったり涙が流れたりするような展開は少ない。これはたぶんジャームッシュが本気でストゥージズの大ファンなのと、フロントマンだったイギー・ポップが大変元気なのと(酒やらドラッグやら若い頃の超絶不健康ライフを送っていたのにいまだにあんなにパワフルでハンサムだなんて信じられない)、バンドメンバーがとくに凄く不仲というわけではなく2000年代になってから再結成していることに起因するものだろう(亡くなった人もいるが)。とくにジェームズ・ウィリアムソンの話がドラマチックで、ウィリアムソンは途中でバンドに加入し、バンドをやめた後はスタジオで技師をしていたのだが、その過程で電子工学に興味を持ち、大学で学位をとってソニーの重役にまで上り詰めた…ものの、2009年になってから退職してバンドの再結成に参加するというびっくりするような経歴の持ち主だ。ウィリアムソンの話はこれだけで劇映画にすべきだと思う。

 この映画を見ると、同時代のメディアではバカみたいなバンドだと思われていたらしいストゥージズが非常に知的なバンドだったことがわかる。フラワーパワーの時代のヒッピー文化(これはストゥージズのサウンドと対極にあるものだと思うで、初期のストゥージズがマリファナ吸って共産主義的共同生活をしてたっていうのを聞いてへえーっと思った)やサイケデリック・カルチャーからアナーバーの大学文化、ジョン・ケイジの実験音楽までさまざまな幅広い芸術に影響を受けており、あの即興的で野性的なサウンドは実はバンドメンバーの知的好奇心から生みだされたものだったんだろうなと思った。やはりイギーの話は面白く、非常によく考えられた音楽的分析を披露したと思ったら突然不思議ちゃんみたいな発言をしたり、なんだか可愛らしいところもある。

2017-03-29

創造性と文化交流〜『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』

| 創造性と文化交流〜『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』 - Commentarius Saevus を含むブックマーク 創造性と文化交流〜『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』 - Commentarius Saevus のブックマークコメント

 モーガン・ネヴィル監督の音楽ドキュメンタリー映画『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』を見てきた。ヨーヨー・マが世界各地の才能ある音楽家を集めて協働で演奏を行う「シルクロード・アンサンブル」プロジェクトを追った作品である

D

 凄くポジティブな音楽ドキュメンタリーで、ヨーヨー・マを中心にした才能溢れる国際色豊かな音楽家たちが互いの文化や伝統を持ち込むことにより素晴らしい演奏が生まれていく様子を楽しく撮った作品である。ヨーヨー・マも仲間たちも、音楽が世界をつなぎ、平和や理解などに貢献できるというような理想を心のどこかで信じていて、信頼や理想が崩れそうになってもプロジェクトを継続していく様子は見ていて元気が出る。

 メンバーの音楽家たちはたいへんな状況を生き抜いてきた人々で、はっきり言って理想を持って音楽を続けられているのが驚異的とすら思えるようなひどいめにあってきた人たちばかりだ。ケマンチェ奏者のケイハン・カルホールは政情不安のせいで家族を失い、イランにも住めなくなっている。クラリネット奏者のキナン・アズメは紛争で故郷シリアに帰れなくなった(最近はトランプの入国禁止令でアメリカに帰れなくなりかけたらしい)。ピパ(琵琶)奏者のウー・マンは文化大革命を生き延びるために親に音楽を習わされたらしい。ガリシアのバグパイプであるガイタ奏者のクリスティーナ・パトはファンキーで才能豊かでまるでロックスターみたいなミュージシャンだが、ガリシア地方は文化的には豊かだが経済的には貧しく疲弊していて、グローバル化の中でガリシア人としてのアイデンティティを保つのが難しくなりつつある。それでもこの音楽家たちは理想を持って交流しあうことで自分のルーツを守り、かつ他の文化の人々と調和させるということにチャレンジしており、その様子が生き生きと描かれている。ただ、これは全員が創造性に溢れたプロだからできることだと思う。結果としてできあがった演奏は素晴らしいものである

 ただ、ひとつ思ったのは、もう少し人集めの過程を描いてもいいんじゃないかということである。いったいどういうネットワークを使ってこれだけ多くの地域から才能あるミュージシャンをリクルートしているのか(暴力に対して音楽で戦いを挑む人たち集めてるので、リクルートっていう言葉が逆説的にふさわしい気がする)、素人目には大変難しいことをしているように見えるのだが、そういうところはあまり記録されていない。途中でちょっと出てくる、サン=サーンスの「白鳥」でヨーヨー・マとコラボしていたダンサーのリル・バックはフェイスブックとYouTubeのせいでヨーヨー・マと仕事するようになったらしいのだが、ミュージシャン集めはいったいどういう人脈でやっているのかをちょっと知りたかった。