はたらく魔王さま!

はたらく魔王さま! (電撃文庫)

はたらく魔王さま! (電撃文庫)

はたらく魔王さま! 和ヶ原聡司 イラスト029

アニメが面白かったです。ちーちゃんかわいすぎてその頃書いてた小説のヒロインがちーちゃんみたくなりました。だってかわいいんだもん。
(素直なキャラクターは好感が持てると評価されました。ありがとうちーちゃん)

最近ラノベを読んでいなかったので、手に取ってみました。
アニメの軽い感じとは違い、堅めの文章を書かれる方ですね。

もともと演技などをされていた方だけあって、面白いところを抽出するのが上手い印象を持ちました。
異世界の魔王がマグロナルドでバイトするというギャップが掴みですよね。そのために異世界の描写を徹底的にそぎ落としています。
アニメだと一話のアバン的な部分になってましたし、恐らく漫画だとタイトル前の半ページに当たる部分になると思います。
私に同じインスピレーションが降りてきても、序盤の異世界描写を濃厚にしてギャップを出そうとしてしまったり、過去の異世界話と現在のバイト話を平行して書こうとしてどうにもならなくなってしまいそう。

削るべきところは削り、見せるべきところは細かいとこでもきちんと描写する。バランスが優れた作品でした。
削っても魔王・勇者というテンプレ化された関係なので過去に何があったかは何となく分かるのがいいですね。
魔王と勇者が〜みたいな作品がたくさんあるのは過去の設定を説明する手間が少し省けるからかも。これが魔王じゃなくてコンドッティエーレとかだったらどういう役割で何をするのか一から説明しなくてはならないですもんね。

難点としては魔王がマグロナルドで働くまでの一年間を23ページで表したため、あらすじみたいになっていて読むのがあまり楽しくないと言うところ。
これは絵で表せる分野のものなら、一部一部を細切れにしてみせても違和感はないのですが、小説だと難しい表現ですよね。
アニメだと市役所に行って戸籍を取るシーン、不動産屋に行って下手な日本語で部屋を借りるシーン、それぞれ面白かったんですが。
アニメでたまにある、少しの台詞と制止画を何個か重ねて表現する時間経過(海で水掛け合うシーン「もうやめてよ〜」ビーチバレーのシーン「痛〜い」スイカ割のシーン「もっと右だって!」みたいなやつです)
を文章でも上手く表現したい。ような気がする。