ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

下層民は、必ず社会革命を志向するか?

旧来の研究では、ミュンスター再洗礼派運動において下層民が多かったかという問題は、そのまま、再洗礼派運動が社会革命だったか、宗教運動だったかという問題と同一視されてきたというところがあります。これは、下層民による反乱を、マルクス主義的に解釈…

歴史を知らないと、遠回りする。

アラン・ケイ氏のインタビューを読みました。(成城トランスカレッジ!経由)面白い。 (Altoを生み出した)パロアルト研究所は'70年代には多くの発明を生み出す有名なコミュニティだった。面白いのは過去約25年間、その発明がみな、再発明されていることだ。 …

一致モデルと対立モデル

ピーター・バークの『歴史学と社会理論』によれば、社会についてのモデルの重要な二項対立の一つに、デュルケームを代表とする一致モデルとマルクスを代表とする対立モデルがあるとのことです。(40頁) しかし、言うまでもなく、この両者は補完関係にあり、相…

コンピューターミュージック

ここしばらくエレクトリックな音楽が、自分にとって最もジャストな感じがするのですが、これは何故かと考えた場合、やはりMP3 で音楽を聴いているというハードウェア的な要因によるのではないかと思います。MP3 の音は薄っぺらくてクリアなので、打ち込みの…

I wish I was a punk rocker

本日は大変お日柄も良く、気温も適度で、絶好の行楽日和となりました。皆様方も、各々楽しい休日を過ごしていることと思います。誠に慶賀に堪えません。翻って己を鑑みると、薄暗い部屋で、いつもと同様に文献を読んでいるので、晴れも休みも知ったことじゃ…

ベネディクト16世の講義の日本語訳

色々な国で炎上を引き起こしてしまった、教皇ベネディクト16世の問題の講演が日本語訳されました。 教皇ベネディクト十六世のレーゲンスブルク大学での講演 講演を読むと、すでに色々なところで指摘されているように、信仰は、暴力によって強制するのでは…

岡村淳監督「第三世界の環境都市ブラジル・クリチバの挑戦」と「緑の砂漠か緑の再生か ブラジルのユーカリ植林と日本」

仙台国際センターで、仙台国際センターまつりが行われたので、行ってきました。このまつりでは、色々な国の店が出たり、ワークショップがあったり、イベントがあったりしました。その中で、ドキュメンタリーの上映会があったので、行ってきました。私が見て…

日本宗教学会第65回学術大会

日本宗教学会第65回学術大会のパネルディスカッション「宗教における『語りえぬもの』と『示しうるもの』」を聞いてきました。私は会場でレジュメをもらえず、なおかつきちんと発表内容を理解できたと言い難いので(門外漢には、大変難解な発表が多かった…

教皇の失言?

教皇ベネディクト16世が、イスラムの開祖を貶めると解釈されかねないようなことを言ってしまい、案の定世界中で炎上祭が起きているようです。私は、まだ事情を良く把握しませんが、とりあえず、FAZ の記事をクリップしておきます。「Merkel verteidigt den…

クリチバ

世界のまちづくり見聞録「クリチバ」 Wikipedia「クリチバ」 都市設計が凄いとの評判のクリチバです。ヴァンダレイ・シウバも、クリチバ出身だったのか!!

フランスとドイツの政教分離

Chorolynさんが、またもやどえらい詳細な本の紹介をしていました。谷川稔『十字架と三色旗‐もうひとつの近代フランス‐』この本は、革命期以降のフランスの「ライシテ Laïcité =非宗教性」の過程を扱ったものらしいです。 フランスは非常に厳格な政教分離を…

面白そうな文献

紀伊国屋書店の洋書カタログを見ていたら、面白そうな本が色々とありました。読む暇はないわけですが、メモしておきます。 Templin, J. Alton, Pre-Reformation Religious Dissent in the Netherlands, 1518-1530, 2006 King, Margaret (ed.), Other Voices:…

ミニマルな記述

ケルゼンブロッホの年代記には、宗教改革運動の最中の市当局と司教や諸身分などの手紙が、延々と引用されています。その中で、彼らは自分たちの身に起こったこと、そして司教が行ったこと、それに対する不平を述べているのですが、別々の相手に出した手紙で…

フランス革命期における女性

Chorolynさんが、ミシェル・ヴォヴェル『フランス革命と教会』を詳細に紹介していました。私が気になるのは、やはり自分の研究と関わる、社会運動における女性の役割です。 それでは逆に、非キリスト教化運動への抵抗はどこまでわかるのか?多くは、女性がか…

阿部謹也先生死去

今年の春に、フランス社会史の第一人者の二宮先生が亡くなりましたが、今度は社会史を世の中に広めた最大の功労者である阿部謹也先生が亡くなってしまいました。一般向けの本を沢山お書きになり、社会史の面白さを多くの人々に知らしめた先生の功績は、本当…

統計学と確率論と集合的沸騰

人間の条件 (ちくま学芸文庫)作者: ハンナアレント,Hannah Arendt,志水速雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1994/10/01メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 105回この商品を含むブログ (158件) を見る 統計学の法則が有効なのは、対象が多数あるいは長期の…

結構需要はあるのだろうか?

昨日のミュンスター再洗礼派に関するメモが、結構はてなブックマークされているようで(と言っても5人ですが)、これはどえらいことだと思いました。自分用のメモなので、あれだけ読んでも、大半の方には何のことか良く分からなかったと思うのですが。実は…

神学を理解していない者が、いかにしてある神学を支持するようになったか?

1532年8月16日に、ベルンハルト・ロートマンをはじめとした福音派説教師が、教会に残る悪癖についての文章を、市参事会に手渡し、その文章が彼らの前で読み上げられました。この文章の中で、ロートマンは教会の聖餐式に対して批判を行っているのです…

フランコ・カッサーノ『南の思想』

南の思想-地中海的思考への誘い (講談社選書メチエ)作者: F.カッサーノ,F.ランベッリ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/07/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 13回この商品を含むブログ (7件) を見る本屋で見かけて、非常に読みたくなった本。ヨーロ…

国際歴史学会議シドニー大会とグローバルヒストリー

「歴史学研究」2006. 6, No. 815 特集:第20回国際歴史学会議シドニー大会2005年の7月3日から9日までシドニーのニューサウスウェスト大学で開かれた国際歴史学会議の様子が、歴史学研究で特集されています。この大会での主要テーマは、「歴史におけ…

埴谷雄高『死霊』一章−三章

死霊(1) (講談社文芸文庫)作者: 埴谷雄高出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/02/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 89回この商品を含むブログ (98件) を見る この味気ない生活にも、何か癒しが必要だろうということで、埴谷雄高の『死霊』を読んでいま…

博士課程、51年ぶり定員減 国立大・大学院

来年度の国立大・大学院の入学定員のうち、博士課程の定員が51年ぶりに減ることが30日、文部科学省のまとめでわかった。博士課程に進む学生の「質の低下」を防ごうという大学側の意向や「ポストドクター」の余剰問題、企業や研究機関などでの受け皿の縮…