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日々の記録 Twitter

2015-04-15

「中卒」でもわかる科学入門

東日本震災後の科学への不信、そこから派生する疑似科学と、民主党政権下での事業仕分けの際の科学への評価(役に立つ研究)などを踏まえて書かれた本。第1章に書かれている「カネ」の関連お記述はちょっと...というところもあったが、科学について書かれていることは概ねその通りだと思う。特に、原子力政策のところ(経済的な観点から、原発は有利なテクノロジーではない)*1、科学と政治の話(役に立つことを目指したトップダウンの科学プロジェクトから、世界観を変える発見が得られることは滅多にない)*2

*1:でも一方で、「つなぎのエネルギー」として一部はとりあえず使っていかなければいけないのではないかとも思う。

*2:思えば、科学プロジェクトと産業政策は似た特徴を持っているかもしれない。事前にどんな科学プロジェクトが役立つか、どんな産業が有望産業か、決めることはほとんど不可能。

2015-03-27

英文法をこわす

筆者の本は「一億人の英文法」を初め、英語の勉強のために何冊か辞書的に使っているけれど、この人はどういうふうに考えて学校英語の文法ではない、感覚とかイメージを膨らませることによる英語の解釈に向かうということを考えたのかと思ってこの本を手に取ってみた。

仕事で英語を使うので、英語は論理的な文章が書ける、日本語はそれがあやふやになってしまうと思っているけれど、英語がもっとできるのであれば、感覚的な言葉というふうに思えるのかもしれない。

この本は参考書ではないので前置詞や同士の使い方、仮定法、不定詞などの文法について一通りカバーしているわけではない。でも、一つ一つの事例がなぜ学校英語の文法による分類のしかたではない方法で解釈できるかについて丁寧に解説してあって、確かにネイティブの人たちは英語の決まりごとをすべて記憶しているのではなくて、自分の持つ感覚で言葉を選んでいるのだろうと思えた。ちょうど我々日本人が、微妙に助詞を使い分けるように。

2015-03-18

100分de名著 般若心経

般若心経に何が書いてあるか、というよりも、もともとの「釈迦の仏教」(そこから上座部仏教に向かう流れ)と大乗仏教の違いがよく分かった。上座部仏教は自己救済、大乗仏教は周りの人(他人)の救済というのはなんとなく知っていた。でも、

釈迦の仏教では世の中を構成するものを分解すれば基本的な要素(十二処とか十八界)になり、それらは実在するという現代科学にも通じる考え方だったのに対して、般若心経をはじめとする大乗仏教ではそれらの要素さえも実在しないと考え、それが「色即是空」である。

という違いについては知らなかった。この考え方の違いは大きいように思うのだけど、自己救済から他人の救済に向かうときに、こんな風に世界の見方を変えるというのは面白く感じた。

筆者はもともと理系出身の人で、現代科学の考え方ともともとの釈迦の仏教の類似性、それらと大乗仏教の違いの説明がとてもクリアにしているように思う。この分野については、この人の本を何冊か読んでみたいと思う。

NHK「100分de名著」ブックス 般若心経

NHK「100分de名著」ブックス 般若心経

2015-02-28

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で「21世紀の資本」は読める!

ピケティ本の中では一番最後に出た部類で、マイナーな出版社から出ている本ではあるけれど、英語版の40ページくらいの要約本以上に「21世紀の資本」の内容をうまく要約できていると思う。

「21世紀の資本」自体は恐らく電子書籍版は出ないだろうし*1、最近だと電子書籍しか買わないと言う人もこれを読めば「21世紀の資本」のエッセンスは理解できる。

追記

本当はみすず書房には、「21世紀の資本」とか「貧乏人の経済学」とか電子書籍化して欲しいのだけど...。

*1:という自分も「21世紀の資本」の資本を自炊したが、iPad miniではちょっと字が小さくてなかなか読み進まない。そうこうするうちにKindle版でこちらを先に読んでしまった。

2015-02-24

ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼

この本の元になったSynodosの連載は一通り読んでいたけれど、書籍になって改めて全体の構成がすっきりした。1970年台後半以降のマクロ経済学・経済政策をこういう視点でまとめるたのはかなり斬新に感じる。『松尾経済学』がコンパクトにまとめられている感じがする。

<<この本の主題は、1970年代からの「転換X」への誤解が現在の混乱を招いている。>>

というもの。「転換X」への誤解というのは、1970年代のケインズ政策に対する新自由主義(及びその後の第三の道)、1990年代のソ連型経済システムの崩壊と市場経済の導入を指している。ではその転換Xというのは何か、をハイエク(ルールの重要性)や反ケインズ派(予想の重要性)の成果から「リスク・決定・責任」と導いている。

そして最後には、左派の側から「転換X」に則った政策のあり方を語っている。新スウェーデンモデルでの地域事業の運営の話(リーダーに決定と責任が集中するフェーズ、関係当事者に共有されるフェーズ)は以前読んだ新しい左翼入門と重なる話だなあと思っていたら、やはりこの部分を中心に扱うことを意図していたと書かれていて、なるほどと思った。