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生活の記録 Twitter

2014-10-25

日本人はどう住まうべきか

数年前、妻が読んでいた本がKindkeでも売り出されていたので買って読んでみた。隈研吾と養老孟司の対談集。この本のポイントは「だましだまし=現実主義」なのだろうが、対談部分と最後の隈研吾の長いあとがきにはちょっとニュアンスの違いを感じた。

対談部分では養老孟司が議論を引っ張っていて、「だましだまし=現実主義」一本の話をしている。一方、あとがきでは隈研吾は現実主義の大前提は夢(理想主義)が存在することであり、現実主義と理想主義がタッグを組むことで夢は現実に向かうのだという話をしている。この話を読んで松尾先生の「左翼入門」の「嘉顕」と「鉄二」の話を思い出した。こうなると、対談部分はこの「あとがき」のための長い導入部分だったような気もする。

専門家が書いている専門以外の部分が妙に歪んでいると感じることがTwitterのツイートであるけれど、この対談での養老孟司の言葉にも同じことを感じた。ああ、だからこの人の書いたものはあまり好きではないのだなと思った*1

日本人はどう住まうべきか?

日本人はどう住まうべきか?

*1:同じような感じを味わうのは内田樹か。「寝ながら学べる構造主義」は良い本だと思うけれど。

2014-10-24

幕末維新の城

南アフリカのケープタウン、ダーバンを旅している最中に自炊した本を読了。

「城」というと戦国時代と結びつける本がほとんどだと思うのだが、この本はペリー来航前から西南戦争までの歴史の中で日本のあくちの城がどんな命運をたどっていったかということを丁寧に調べた本。なかなか面白い視点だと思う。

欧州列強が日本近海に来航したり開国要求をする中で作られた城(品川台場五稜郭は知っているが、鯖江城とか福江城などは知る人は少なさそう)、戊辰戦争の中で戦争に巻き込まれた城、版籍奉還や廃藩置県による城の命運(廃藩置県をきっかけに取り壊された城が多いことは知っていたが、詳しい経緯は知らなかった)。

この本の中で興味深かったのは戊辰戦争後の江戸城西の丸の招魂祭の部分(170ページ)。江戸城で官軍側の戦没者の招魂祭を行い、敵側は邪霊として扱われたという記述。しかしこれは日本古来の戦没者の弔い方ではないのではないかと、筆者は禁門の変後の孝明天皇による供養(官賊両方の戦死者の供養を行った)。この江戸城西の丸の招魂祭がその後の東京招魂社、靖国神社につながっていったというのが興味深い。官軍側の戦没者の招魂祭を行ったのは長州藩で幕末に始まったとされているが、そのバックにある考え方はどこから来たのだろう。

2014-10-11

思考をみがく経済学

経済学思考の技術思考の「型」を身につけようにつながる、飯田先生の経済学思考の本。もともとNHKの「ラジオビジネス塾*1という番組を書籍化したもののようで、かなりビジネス実践編的な内容になっている。

私自身、経済学と経営学は全く思考が異なるものだと思っていて、経済学は経済活動に関わる仕組みを疑い、分析するもの、経営学は制度を含む経済活動に関わる仕組みを所与としてその中で一番企業組織がパフォーマンスを上げる方法を分析するものだと思っているけれど、この本では経済学的には競争は素晴らしいものでも、会社経営では競争を避ける手立て(差別化)を考えなければいけないことを説いている。

その他には機会費用やサンクコストの考え方、自然独占、情報の非対称性、ゲーム理論などを具体的な事例を踏まえながら説明している。経済学のバックグランドがない人でもとっつきやすいのではないだろうか。

NHKラジオビジネス塾 思考をみがく経済学

NHKラジオビジネス塾 思考をみがく経済学

2014-10-05

帰っていく場所、大きな約束、続 大きな約束

高校から大学時代にかけて山に登っていたこともあって、椎名誠の本は紀行ものを中心にたくさん読んだ。モンゴルや桜蘭、パタゴニアの本を読んでそういう場所に行くことに憧れ、違う形ではあったが、モンゴルや中国の内陸部、メコン川の流域には仕事で行くことにもなった。今もアフリカ南部で仕事をしているが、こういう仕事をしているのも著者の影響を受けたと言えばそうなのかも知れない。

そういう紀行ものに加えて、「岳物語」、「続・岳物語」などの私小説と呼ばれるものや自伝的小説も何冊か読んだ。

9月末から10月初めのザンビアでの仕事の合間に岳物語、続・岳物語の続編に位置づけられている3冊の本をKindle版で読んだ。

3冊の本の世界は今から5年から10年くらい前のことで、それからまた時間が経っている訳で、著者は一段と老いを重ねているはず。そして、いつの間にか、私自身が著者が一番熱く仕事をしていたという年代になっている。そういう感慨を持ちながら3冊の本を読み進めた。

岳物語シリーズ 大きな約束 4 (集英社文庫)

岳物語シリーズ 大きな約束 4 (集英社文庫)

2014-09-27

10歳から身につく問い、考え、表現する力

日本とアメリカで学び、アメリカの大学で教えた著者だからこそ書くことができる日本とアメリカの教育の良いところ、悪いところ。

なるほど、と思ったのが、まずは、日本では先取りして新しいことを学ぶ能力を持つ子供でも先に進ませてあげないということ。筆者は「頭脳の減反問題」と言っている。算数で言うと、簡単な問題を不必要に難しく考えさせることに繋がっているということ。

もう一つは抽象化と具体化を行き来するという視点。国語の読解問題なんかはこれに繋がると思っていたが、結局、筆者の言うようにその他の教科(さらにその先の学問)でもこのような視点が必要であると言うこと。それと関連して形式の科学としての数学の重要性。

その他にも勉強のテクニックも含めて様々なヒントがちりばめられている。自分の子供はもう10歳を超え、半ばに入りかかっているが、自由研究を通じた科学的思考や読書感想文の書き方などはいいヒントになりそう。

紙の本を自炊して読んだが、Kindle版も出ているようだ。