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生活の記録 Twitter

2014-10-05

帰っていく場所、大きな約束、続 大きな約束

高校から大学時代にかけて山に登っていたこともあって、椎名誠の本は紀行ものを中心にたくさん読んだ。モンゴルや桜蘭、パタゴニアの本を読んでそういう場所に行くことに憧れ、違う形ではあったが、モンゴルや中国の内陸部、メコン川の流域には仕事で行くことにもなった。今もアフリカ南部で仕事をしているが、こういう仕事をしているのも著者の影響を受けたと言えばそうなのかも知れない。

そういう紀行ものに加えて、「岳物語」、「続・岳物語」などの私小説と呼ばれるものや自伝的小説も何冊か読んだ。

9月末から10月初めのザンビアでの仕事の合間に岳物語、続・岳物語の続編に位置づけられている3冊の本をKindle版で読んだ。

3冊の本の世界は今から5年から10年くらい前のことで、それからまた時間が経っている訳で、著者は一段と老いを重ねているはず。そして、いつの間にか、私自身が著者が一番熱く仕事をしていたという年代になっている。そういう感慨を持ちながら3冊の本を読み進めた。

岳物語シリーズ 大きな約束 4 (集英社文庫)

岳物語シリーズ 大きな約束 4 (集英社文庫)

2014-09-27

10歳から身につく問い、考え、表現する力

日本とアメリカで学び、アメリカの大学で教えた著者だからこそ書くことができる日本とアメリカの教育の良いところ、悪いところ。

なるほど、と思ったのが、まずは、日本では先取りして新しいことを学ぶ能力を持つ子供でも先に進ませてあげないということ。筆者は「頭脳の減反問題」と言っている。算数で言うと、簡単な問題を不必要に難しく考えさせることに繋がっているということ。

もう一つは抽象化と具体化を行き来するという視点。国語の読解問題なんかはこれに繋がると思っていたが、結局、筆者の言うようにその他の教科(さらにその先の学問)でもこのような視点が必要であると言うこと。それと関連して形式の科学としての数学の重要性。

その他にも勉強のテクニックも含めて様々なヒントがちりばめられている。自分の子供はもう10歳を超え、半ばに入りかかっているが、自由研究を通じた科学的思考や読書感想文の書き方などはいいヒントになりそう。

紙の本を自炊して読んだが、Kindle版も出ているようだ。

2014-09-23

第一次世界大戦

今年は第1次世界大戦開戦から100年ということで、100年前の今日に何が起こったかツイートするツイッターアカウント@というアカウントもできている。

そんな中、ツイッターで評価の高い意見の多く、またこの記事

を見たこともきっかけにこの本を読んでみた。

この本を読んで分かるのは、対戦に参加した欧州の各国は、最初は短期の戦争である(これまで欧州で行われてきた戦争のようなもの)と考えていたこと、戦争が長期化する中で、前線の兵士だけでなく各国の国民が後方で主に経済活動を通じて戦争に参加する体勢が初めて本格的に取られたこと、各国の国民意識や民族意識が高まってくる中で、これはでは限られた人のみで隠れるように行われてきた外交交渉や国際関係のルールが変わったことで、やはり世界の国際関係のルールが大きく変わったタイミングだったと思う。

このような中で開戦初期に少しだけアジアでの戦争に参加し、連合国の中でも費用対効果を得た日本が欧州の経験から学ばなかった(ように見える)ことは、中国との戦争から太平洋戦争へと突き進んでしまったこと、そして場合によっては現在の戦争認識にもマイナスになっているように感じる。

筆者のこの言葉は同じことを言っているのだと思う。

筆者は、日本の対外戦争観・戦争経験と、ヨーロッパんでのそれの最も大きな違いはの一つが、この戦場・前線と本国・銃後の距離と距離感、前線と銃後間の交流の密度の差、また海に囲まれた孤立国家と、複数の国家と地続きの国家を持つ多国境国家との差にあり、それが国民の戦争経験の違いにも、また戦争観にも、大きな影響を与えてきたと考えている。それはまた、日本での他国の戦争経験についての理解にも大きな影響を与えていると思われる。

第一次世界大戦 (ちくま新書)

第一次世界大戦 (ちくま新書)

2014-09-22

なぜ八幡神社が日本で一番多いのか

なぜ浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか*1と対になっている、日本の神社のことについて紹介した本。

この本に書いてあるように、明治以前の伝統的な神社で祭られている祭神は古事記日本書紀などの神話にそれぞれ位置づけされているんだろうと思っていたがそうではなく、神社の系列の中で最多を誇る八幡神社は渡来人の祀る外来の神、稲荷は突然出現した神と、いろんなところから出現しているのだなあと思った。思えばもともと大木とか山とかの畏敬を持った自然物が原始的な信仰の対象のはずで、あとからある程度理屈を付けようとしてもつけきらないものだろう。

もう一つ、著者は神道の本質を「ない宗教」と言っている。この「ない宗教」という理屈が、明治以降の神道の位置づけや靖国の問題の原因の一つなのだろうなあ。著者の「靖国神社」もそのうちに手に取ってみようか。

*1:こちらは買って自炊しているが、まだ積ん読状態。

2014-09-13

日本経済は復活するか

最近はKindleの本を読むことが多く、自炊本を読むことがめっきり少なくなってしまった。この本も春先から読み始めたのだが、第2部の途中で止まってしまい、長らく放置してしまった。ここ数日で第2部の後半を除いて一気に読み進んだ。

この本の第1部と第2部は、藤原書店の学芸総合誌・季刊 「環」のvol.53(2013年4月)の特集の論文が元になっている。当時はアベノミクスの各施策が着手されて4ヵ月ほど、2014年4月の消費税増税までも間があって、リフレ政策を推進する人たちの論文もやっとトンネルを向けて明るくなったという雰囲気に満ちている。しかし、この本が出版された2013年秋にはまさに消費税の3%上げが決まる頃で、冒頭の田中先生の編者まえがきと第4部の片岡さん・田中先生の論文は消費税増税後の経済の先行きに警鐘を鳴らすものとなっている。そして、事実その心配が現実のものとなっている。

2015年の秋の更なる消費税の2%上げがこれから話題となってくる時期だけに、この編者まえがき(特にデフレ・レジームとリフレ・レジームのレジーム感競争の視点)と第4部(消費税増税のインパクトを抑制するための3つのポイント)は改めて読まれるべきものだと思う。