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日々の記録 Twitter

2015-07-03

イスラーム国の衝撃

「イスラーム国」の指導者がカリフに就任したと宣言されてからほぼ1年、いったんは縮小に向かうかと思ったその組織はしぶとく存在し、またこの本で書かれているよな「遠隔地での、直接のつながりがない組織による合流の表明」も続き、不安定な中東地域の状態が常態化している。また、イラク政権とイランの繋がりの強化など、新しい状況も生まれている。

この本を通じで改めてアル=カーイダからイスラーム国に向かう流れを確認。その流れの間に2011年の「アラブの春」があったけれども、そこでイスラーム主義穏健派が急激に台頭したけれども同時に急激に失墜し、そこから生まれた政治空白に過激派が台頭したという指摘はなるほどと思った。

それから日本のイスラーム専門家によるイスラーム世界の認識の仕方。

「先鋭的」であることに存在意義を見出す論者は、しばしば「イスラーム」を理想化し、それを「アメリカ中心のグローバリズム」への正当な対抗勢力として、あるいは「西欧近代の限界」を超活するための代替肢として対置させる。

と指摘し、この思想を下火になったかつての左翼イデオロギーや新興宗教に代わるネガティブな感情のはけ口になりつつあるという指摘。確かにこういうイスラーム世界の捉え方が新たな問題を起こす可能性がある。普通の、大多数とであろうと思われるイスラーム世界の人々の考え方を理解する必要があるんだろう。

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

2015-06-08

数学の言葉で世界を見たら

「1たす1はなぜ2なのか」とか、「素数の出現に法則はあるのか」というようなことを聞いてきた娘たちのためにこの本を買ってプレゼントしたけれど、自分も読んでおきたいと思ってKindle版を買ってみた。

第1章から第3章くらいまでは着いて行けていたが、4章の素数の部分以降はかなり途中の数式の確認は端折ってしまった。それでも一通り読むことができた。チャンスがあったら、補遺を確認しつつもう一度読み直してみたい。

印象に残ったのは、

数学は人間が自然を理解するために作り出したものだが、いったんできてしまうと、人間の都合とはお構いなしに、自分自身の生命を持って発展していく

複素数はもともとは人間が空想した数だったが、人間の住む現実の世界と独立に広がっている数学の世界の中に、確かに存在している数でもある

という言葉。数学が今も成長を続けている、フロンティアを歩んでいる数学者がいるということを強く感じることのできる言葉だと思う。

2015-05-27

日本がわかる経済学

この本のミクロ編にあたる「http://d.hatena.ne.jp/saka-san/20141011/p1:title=思考をみがく経済学」を読んでから半年ほど経ってしまった。

経済学の知識がない人にどうやってマクロ経済に関心を持ってもらうか、飯田先生の工夫が見られる。経済政策は人々の幸福のためにあることから始まり、経済政策は成長政策、安定化政策、再分配政策からなること、割引率とインセンティブに繋がる話(この本ではアーキテクチャと言っている)*1、人口からみた日本のこれから、戦後の日本経済史。

「思考をみがく経済学」ともども、経済学に初めて触れる人が手に取るといい本だと思う。

*1:この話だけちょっと他の部分と異質なものを感じた。「思考をみがく経済学」のストーリーの方が整合的に感じる。

2015-05-16

数学文章作法

ダッカに向かう途中のバンコクで読了。

自分の考えていることを読み手に伝えるためには、どれだけていねいに文章を準備しなければいけいか

について、それこそていねいに書いてある。数学的な部分を除いても、語句から文、段落、節・章、文章の構造、読者の理解を助けるメタ情報や例示の扱い方、問いかけと答えの出し方、目次と索引の作り方...。この本そのものが「自分の考えていることを読み手に伝えるためには、どれだけていねいに文章を準備しなければいけいか」そのものになっている。

著者の結城さんのTwitterでの言葉を読んでいても感じるが、本当に真摯に物事にあたる人で、文章を書くのが好きなんだということを改めて感じる。「数学ガール」シリーズはまだ読んでいないものもあるけれど、著者の気持ちに寄り添って読んでいきたいと思う。

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)

知ろうとすること

数学文章作法を読み終えたのち、バンコクでの長い乗り継ぎ時間の中読み始め、ダッカの宿に着いても読み続けて読了。

福島第一の原発事故直後、早野先生がどうして情報発信を始め、継続したか、糸井氏がどうやって早野先生と繋がったか、その後二人がどのように内部被曝、外部被曝の問題に取り組み、その後の福島の不安と戦ってきたかの記録。

早野さんが科学者の代表でぼくが非科学的な人の代表というわけじゃなくて、お互いの中に両方があると思うんです

という言葉を重く感じる。これは科学だけではなく、いろんなところで専門家(に近いところにいる人)と一般の人の間に起こることかもしれない。

最終章の第6章は「マイナスをゼロにする仕事から、未来につなげる仕事へ」。このタイトル通り、将来を感じさせる内容で前向きな気持ちになることができた。

知ろうとすること。(新潮文庫)

知ろうとすること。(新潮文庫)

2015-05-14

鳥獣戯画展

明日からの出張を控え、行っておかなければと思っていた「鳥獣戯画展」へ。13時半頃に東京国立博物館に到着すると、館外の待ち時間は90分ということだった。日差しが強く、一番暑い時間帯で屋外で立ち続けるのは辛かったが、1時間ほどで館内に入ることができた。

鳥獣戯画甲巻を見るための行列は120分。これは本当に2時間かかった。これならば明日の朝イチで見に来たほうが良かったかもと後悔。

個人的な見どころは、明恵上人が愛玩したという子犬の像、明恵上人像(樹上坐禅像)、そしてもちろん鳥獣人物戯画。