Hatena::ブログ(Diary)

生活の記録 Twitter

2014-11-22

日清戦争

11月の初めから読み始めたが、仕事が忙しくなったこともあって、読み終わるまでにちょっと時間がかかってしまった。仕事が落ち着いて、ようやく読了。

日本は明治の後半から10年ごとに戦争をしてきたので、今年は第一次世界大戦から100年であるが、同時に日露戦争から110年、日清戦争から120年である。日清戦争といえば、ある程度止むを得ず行った戦争という風に学んだ記憶があるし、司馬遼太郎の「坂の上の雲」でもそのように書いてあったと記憶しているが*1、最近の学会のコンセンサスはそうではないらしい。

日清戦争というと、日本と清の戦争だという風に多くの日本人は思っているはずだが、実際には当時の韓国との戦争であり、また、台湾との戦争だった。その辺りの日本人の歴史認識の弱さは、韓国との関係のねじれの一つの原因であることは間違い無いだろうと思う。

この本の5章は日清戦争とメディアや国内の地方との関わりを描いている。全体の日清戦争の流れの中では唐突な感じがしたが、日清戦争が後の第一次世界大戦のような国家間の経済や社会も動員した全面戦争の走りのような感じがしてとても興味深かった。こういうことを感じるのも、第一次世界大戦を読んでいればこそだな。

日清戦争 (中公新書)

日清戦争 (中公新書)

*1:ちなみに、司馬遼太郎の書いたものは学生時代には貪るように読んで好きだったが、今はちょっと評価は違う。やはり、幕末以降の小説はどこまでが創作でどこまでが真実か分からなくなってしまうし、晩年のバブル批判とその文脈の中で日本史の中で鎌倉時代を最も評価しているという点は、日本の知識人の「反経済学」につながるものを感じてしまうから。

2014-11-02

ODAの経済学

この本の初版が出版されたのが大学4年生だった1992年の6月で、その年の夏休みにはこの本も使って勉強していた記憶がある。「ずいぶん熱い先生だな」というのが当時の小浜先生に対する印象*1。第2版は援助関係の仕事を始めて3年目の1998年に出ていて、それも入手して実家にあるはずだが、おそらく読んではいなかったのだろう。ちょうど1年前くらいに第3版が出ていることに気づき、購入して自炊して、10月の週末を中心に読み進め、読了。

この本を読み進めていくと、ファンジビリティとRandomized controlled trials (RTCs) 、平和構築、MDGs(もう来年は2015年になってしまうけど)のような新しい分野の追加あって、ちょっと全体の統一性は書いているような気はするけれど、初版の頃からの著者の一貫したメッセージは活きているし、参考文献もたくさん載せられているので、途上国の経済について勉強するにはいい本なんじゃないかなと思う*2

日本の経済状況によるところが大きいと思うが、1990年台後半から援助の仕事は今ひとつ活気を失った状態が続いているような気がする。それに伴って日本国内の援助の経済学、途上国の経済分析のような分野も、今ひとつ元気がないような気がする(自分がそういう世界から遠くにいるからかもしれないが)。実際のところ、どうなんだろうなあ。

ODAの経済学 第3版

ODAの経済学 第3版

*1:まさかその20年後には、自分が小浜先生の在籍していた組織で仕事をしているとは思わなかった。

*2:あまり最近の開発経済の本は見ていないけれど。

2014-10-25

日本人はどう住まうべきか

数年前、妻が読んでいた本がKindkeでも売り出されていたので買って読んでみた。隈研吾と養老孟司の対談集。この本のポイントは「だましだまし=現実主義」なのだろうが、対談部分と最後の隈研吾の長いあとがきにはちょっとニュアンスの違いを感じた。

対談部分では養老孟司が議論を引っ張っていて、「だましだまし=現実主義」一本の話をしている。一方、あとがきでは隈研吾は現実主義の大前提は夢(理想主義)が存在することであり、現実主義と理想主義がタッグを組むことで夢は現実に向かうのだという話をしている。この話を読んで松尾先生の「左翼入門」の「嘉顕」と「鉄二」の話を思い出した。こうなると、対談部分はこの「あとがき」のための長い導入部分だったような気もする。

専門家が書いている専門以外の部分が妙に歪んでいると感じることがTwitterのツイートであるけれど、この対談での養老孟司の言葉にも同じことを感じた。ああ、だからこの人の書いたものはあまり好きではないのだなと思った*1

日本人はどう住まうべきか?

日本人はどう住まうべきか?

*1:同じような感じを味わうのは内田樹か。「寝ながら学べる構造主義」は良い本だと思うけれど。

2014-10-24

幕末維新の城

南アフリカのケープタウン、ダーバンを旅している最中に自炊した本を読了。

「城」というと戦国時代と結びつける本がほとんどだと思うのだが、この本はペリー来航前から西南戦争までの歴史の中で日本のあくちの城がどんな命運をたどっていったかということを丁寧に調べた本。なかなか面白い視点だと思う。

欧州列強が日本近海に来航したり開国要求をする中で作られた城(品川台場五稜郭は知っているが、鯖江城とか福江城などは知る人は少なさそう)、戊辰戦争の中で戦争に巻き込まれた城、版籍奉還や廃藩置県による城の命運(廃藩置県をきっかけに取り壊された城が多いことは知っていたが、詳しい経緯は知らなかった)。

この本の中で興味深かったのは戊辰戦争後の江戸城西の丸の招魂祭の部分(170ページ)。江戸城で官軍側の戦没者の招魂祭を行い、敵側は邪霊として扱われたという記述。しかしこれは日本古来の戦没者の弔い方ではないのではないかと、筆者は禁門の変後の孝明天皇による供養(官賊両方の戦死者の供養を行った)。この江戸城西の丸の招魂祭がその後の東京招魂社、靖国神社につながっていったというのが興味深い。官軍側の戦没者の招魂祭を行ったのは長州藩で幕末に始まったとされているが、そのバックにある考え方はどこから来たのだろう。

2014-10-11

思考をみがく経済学

経済学思考の技術思考の「型」を身につけようにつながる、飯田先生の経済学思考の本。もともとNHKの「ラジオビジネス塾*1という番組を書籍化したもののようで、かなりビジネス実践編的な内容になっている。

私自身、経済学と経営学は全く思考が異なるものだと思っていて、経済学は経済活動に関わる仕組みを疑い、分析するもの、経営学は制度を含む経済活動に関わる仕組みを所与としてその中で一番企業組織がパフォーマンスを上げる方法を分析するものだと思っているけれど、この本では経済学的には競争は素晴らしいものでも、会社経営では競争を避ける手立て(差別化)を考えなければいけないことを説いている。

その他には機会費用やサンクコストの考え方、自然独占、情報の非対称性、ゲーム理論などを具体的な事例を踏まえながら説明している。経済学のバックグランドがない人でもとっつきやすいのではないだろうか。

NHKラジオビジネス塾 思考をみがく経済学

NHKラジオビジネス塾 思考をみがく経済学