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2015-02-28

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で「21世紀の資本」は読める!

ピケティ本の中では一番最後に出た部類で、マイナーな出版社から出ている本ではあるけれど、英語版の40ページくらいの要約本以上に「21世紀の資本」の内容をうまく要約できていると思う。

「21世紀の資本」自体は恐らく電子書籍版は出ないだろうし*1、最近だと電子書籍しか買わないと言う人もこれを読めば「21世紀の資本」のエッセンスは理解できる。

追記

本当はみすず書房には、「21世紀の資本」とか「貧乏人の経済学」とか電子書籍化して欲しいのだけど...。

*1:という自分も「21世紀の資本」の資本を自炊したが、iPad miniではちょっと字が小さくてなかなか読み進まない。そうこうするうちにKindle版でこちらを先に読んでしまった。

2015-02-24

ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼

この本の元になったSynodosの連載は一通り読んでいたけれど、書籍になって改めて全体の構成がすっきりした。1970年台後半以降のマクロ経済学・経済政策をこういう視点でまとめるたのはかなり斬新に感じる。『松尾経済学』がコンパクトにまとめられている感じがする。

<<この本の主題は、1970年代からの「転換X」への誤解が現在の混乱を招いている。>>

というもの。「転換X」への誤解というのは、1970年代のケインズ政策に対する新自由主義(及びその後の第三の道)、1990年代のソ連型経済システムの崩壊と市場経済の導入を指している。ではその転換Xというのは何か、をハイエク(ルールの重要性)や反ケインズ派(予想の重要性)の成果から「リスク・決定・責任」と導いている。

そして最後には、左派の側から「転換X」に則った政策のあり方を語っている。新スウェーデンモデルでの地域事業の運営の話(リーダーに決定と責任が集中するフェーズ、関係当事者に共有されるフェーズ)は以前読んだ新しい左翼入門と重なる話だなあと思っていたら、やはりこの部分を中心に扱うことを意図していたと書かれていて、なるほどと思った。

2015-01-18

統計学をまる裸にする

この週末の課題を終え、夕方に最後の3章を一気に読んで読了。この前ナミビアにいた11月末からちびちびと読み進めていたが、ずいぶん時間をかけてしまった。

この本は最近のとても優しい統計の入門書(例えば同じく山形さんの翻訳した「この世で一番おもしろい統計学」)のような本の次に読むものかもしれない。個々の統計の概念が「何をやっているのか」を説明しているものだから。特に10章以降の世論調査、回帰分析、プログラム評価などのレベルの話をこのようにまとめているものはこれまでになかったように思う。

ただ、どうしても例示がアメリカのものになるので、山形さんの言うようにたとえ話がしっくりこない人もいるかもしれない。もしかしたら、「統計学が最強の学問である[実践編]」はここまでカバーしているのかもしれない。

それから、山形さんは本書のサポートページを用意してくれているのだけど、本書の姉妹書「経済学をまる裸にする」ともどもサポートページへのリンクが切れているみたい。

統計学をまる裸にする サポートページ

2015-01-17

阪神大震災から20年

阪神大震災から20周年の日はナミビアの首都ウイントフックで迎えた。

Faebookの方に当時の写真と思い出話を書いておいた。

https://www.facebook.com/youji.sakakibara/posts/946456165365026

それから、震災後20年の神戸の社会経済の状況について。市経済を支えていた港の取り扱いが頭打ちになって、すっかり大阪方面へのベットタウンとしか機能していないということなのかな。時間があるときに整理してみたい。

ジョナサン・アイブ

この週末に片付けなければいけない仕事があるのだが、それから現実逃避するように1日かけて読んでしまった。

確かにジョナサン・アイブ自体が優れたデザイナーであるのは間違い無いと思うが、この本を読むと、素晴らしいチームがそこにあって、そのチームを最初に作りあげていったロバート・ブルーナーの貢献も大きいと思った。それからイギリスのデザイン教育というか、アカデミックな世界ではないArtisan寄りの教育の話も興味深い。

この本にも抱えているが、Appleのハードウェアのデザインはユニボディで一つの到達点に達しつつあるように思う。最初は既成のものに対してカウンター的でクールなものであったAppleデザインも、エスタブリッシュメントなものになりつつあるように思う。そんな状況の中、Appleデザインがよりソフトウェア上で新しい流れを作り出していくのかどうか、関心深い*1

*1:とはいえ、最近のiOS 8.1.2の日本語入力の問題(おそらくiCloud関連のバグ)とOS X Yosemiteのメモリ食いはちょっといただけない。ソフトェアのデザインはどうあるべきかと同時に、不具合なく安定して動く環境を作り出してほしい。これはエンジニアリング側の課題だけど

2015-01-13

日本経済はなぜ浮上しないのか

年末から読み始め、今年最後の出張、ナミビアに向かう飛行機の上で読了。片岡さんの本は(辛口な方もいらっしゃるようだけど)新しい本になるたびに、やさしく、丁寧に伝えようという工夫を感じる。

この本が出版されたのは消費税10%増税をするかしないかを決定する前の2014年10月だったと思うけれど、アベノミクス1年目の分析(第1章)、消費税増税の影響(第4章)、アベノミクス再機動の提案(5章)は今読んでも全く古さを感じない、というか、ここから状況が動いていないのがなんとも残念だし、不安にもなる。

この本が書かれた以降に起こった大きなイベントは10月末の追加緩和だが、2014年4月の消費税増税の影響(典型的には消費者の消費行動)がそれだけで緩和されるわけでもなく、また効果を持つためには時間も必要になる。財政制作サイドでは給付金や社会保険負担の軽減、金融政策サイドでは日銀法改正などのレジームチェンジに働きかける政策が行われると良いのだが...。なんとなく、今のままではグダグダ進んでしまいそうなきがする。

国際金融に関する2つの章(第2章 円安なのになぜ輸出が増えないか、長期円高の大きな後遺症)も最新の国際収支体系(IMF国際収支アニュアル第6版)でやさしく説明していると思う。政府財政を家計のように把握するのと同じように、一国の国際収支の一部(特に貿易収支)で赤字・黒字というのはもうそろそろやめにしてもいいと思うのだけど。