日清戦争

11月の初めから読み始めたが、仕事が忙しくなったこともあって、読み終わるまでにちょっと時間がかかってしまった。仕事が落ち着いて、ようやく読了。
日本は明治の後半から10年ごとに戦争をしてきたので、今年は第一次世界大戦から100年であるが、同時に日露戦争から110年、日清戦争から120年である。日清戦争といえば、ある程度止むを得ず行った戦争という風に学んだ記憶があるし、司馬遼太郎の「坂の上の雲」でもそのように書いてあったと記憶しているが*1、最近の学会のコンセンサスはそうではないらしい。
日清戦争というと、日本と清の戦争だという風に多くの日本人は思っているはずだが、実際には当時の韓国との戦争であり、また、台湾との戦争だった。その辺りの日本人の歴史認識の弱さは、韓国との関係のねじれの一つの原因であることは間違い無いだろうと思う。
この本の5章は日清戦争とメディアや国内の地方との関わりを描いている。全体の日清戦争の流れの中では唐突な感じがしたが、日清戦争が後の第一次世界大戦のような国家間の経済や社会も動員した全面戦争の走りのような感じがしてとても興味深かった。こういうことを感じるのも、第一次世界大戦を読んでいればこそだな。

日清戦争 (中公新書)

日清戦争 (中公新書)

*1:ちなみに、司馬遼太郎の書いたものは学生時代には貪るように読んで好きだったが、今はちょっと評価は違う。やはり、幕末以降の小説はどこまでが創作でどこまでが真実か分からなくなってしまうし、晩年のバブル批判とその文脈の中で日本史の中で鎌倉時代を最も評価しているという点は、日本の知識人の「反経済学」につながるものを感じてしまうから。