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2015-09-09 Information

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CAAというアイドルマスターの小説を書いてます、如月千早の二年後のお話です。

8月9日更新

http://blog.livedoor.jp/kagiyoi/

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2011-01-14

日記のようなモノ.017

先日のことだ。


「魔法少女モノって……いいよね?」

「……それは性的な意味で?」

「ちがうちがう、バトルモノとして、だ」

多分、つい最近始まったまどかマギカとか見ちゃったから、コイツは急にこんなこと言い始めたたんだろう、と、私は感じた。

会話を流すにも、潰しにかかるには手頃な相手が居らず、仕方なく手元にある紅茶を啜る。

言葉を濁す前に、既に此方が濁りをみせていた。

「戦闘の傾向よりもさー、こう初期のCCさくらみたいにちょこっと手助け程度がよくない?」

他に会話もないし、仕方なく継続させることを選択。

「派手などんぱちで魅せるのは、アニメだけで良いと思うんよ」

「……まぁ、アニメだから映えるんであって、文章に起こすとしたら難しいよね」

「それこそ昔の富士見ファ……」

「よせぇ!」

名作を汚してはいけません。

しかし、たしかにそうだ。文章として行うと、基本的に造語満載の読者置いてきぼりってのが多い。

まぁでも、そんなこといったらRPGモノだって、教えてもらってもいない最強呪文とか後で出てきたりしても、「レベルが上がったから」程度で受け手は理解してしまう。

小説は多分ゲームと違って「組み上げられた物語」が明確に表されるから仕方ないのだろう、そういう時、アニメやゲームの曖昧というかやんわりしたモノを視覚で受け流せるのはすばらしいな、と思う。

「物書きに求めるなら、やっぱストーリーで勝負しなきゃならんね」

「ふむ」

「ありがちだけど、敵側にも理由があって、そこで感動させるタイプとか。魔法で戦ってきたこと自体が悪とか。まぁそういうのは使い古されてきたけど王道だよね」

「王道って言葉を使うなら、敵味方ハッキリしてる方がいいんじゃね……わかりやすくて」

「まぁそうともいうけど。そこで捻りを入れないと評価されないのが物書きよ」

「……そうだな」

だからこそ、世界観で勝負することが多いとも思うけれど。

魔法の造語もだけど、マジックアイテムとか、敵の種類とか。豊富すぎてもダメだと思うけど、最初からそれらを組み上げて、ある程度提示してあったらいいよね。考えてるんだーってなって。

故に、急に登場するとかがいかん、ってわけだが。

「個人的にはGANTZみたいな設定の魔法少女が良い」

「血みどろだな、虚淵ならやってくれそう」

「……お前やっぱマギカみて話題にしただろ」



そう考えるとfateって魔法少女(?)でバトルロイヤルだなーってオチ。


自分も何度か考えたことあります、魔法少女モノ。

魔法少女が死んだり暗い設定だったりを求めるのは、そういう汚れた大人なんだなーとも感じます。

……昔、魔法少女モノのギャルゲーとかやりすぎたからかもしれませんが。

マギカにもそういうこと期待しちゃいますよねー。




急になんて更新のしかただ、って感じですねどうも。

こっからは謝辞とか。

冬コミおつかれさまでしたー。

今年もなぜかサークル参加の付き添いにいって、西館動きまわってました。

コミケ楽しいですわー。うん楽しい

夏も行けたらいいなぁ……。


あと樹里きちが結婚しました!!

くそぉ!!!うわあああああああああああああああああああん!!!

幸せそうならなによりです、ファン冥利に尽きます。

おめでとうございます。


…思ったより書くことなかった。

こんな感じでではでは

2010-10-25

日記のようなモノ.016

メダル争奪戦から抜け出したいぜアンク!(挨拶

オーズ大人気ですね……メ・ダ・ル!アツメ!マ・ク・レ!とか言ってる割には大きなお友達に買い占めされてて集めれないですよ、こんな世の中に誰がした。

まぁ私も堕落した大人とはいえ大人なんだから……そういうの卒業しろやってことなんですね。わかります。


愚痴はここらへんにして。

どうも私です。なんとか一月ぶりに更新しております。

そういや先週くらいまで、とある韓国ドラマ見てたんですよ。それがなかなか面白いんですよ、25話あるせいか展開が途中からぐっだぐだで(そこかよ

最終回2話手前で「え!? ここまでしといて、そんな展開で別れるのかよwww」とか爆笑

最終回前であまりの未練っぷりに爆笑

最終回がまるまるアフターなのにも笑いましたええ。

いやぁ…10話くらいの時はすごい面白いと思ったんですが……どうしてこうなったってドラマでした。ああいうのならずっと見ていたい。


あとインシテミル見てきたんですけど。

あれはどうしてああも面白くなかったんでしょうか…。

原作読んだ人、どう違うのか教えてください。それによっては評価変えます、って内容で。いや、内容が悪いんじゃなくて、きっと見せ方が悪いと思うんです。

ちんぷんかんぷん、ってことはないんですが、どうも設定を上手く使い切れてなくて「これただ殺人する様を見せたかっただけだよね?ん?」って感じで。だとしても表現がB級すぎる。尺が足りないから、にしてもなんというか……まぁそんなもんかって感じで。あとなぜ一億円投げたし

片平なぎさのなんという無駄遣いとか、武田の演技とかは良かったですけど……あとあの釘打ち機めっちゃカッコいいんで下さい。

まぁ大奥よりは面白かったですよ。大奥はそれをさらに超える糞っぷりだったし。

次はSAWファイナルかなー。あれはあれで、どう1以外のgdgdを締めるかが楽しみすぎます。



書いてて思ったんですが、これら別にここで書く内容じゃなかったなぁ……。

SSとかは、オーメダルセット手に入ったら更新ということで(辞めれてないじゃん

ではでは

2010-10-10

あえてタイトルを付けるならば、im@s架空戦記のジャンルSF 16

一振りの刃が、得物を捕らえられず、啼く。

湿った腐葉土で、その音は聴こえないはずであった。この小さな空間の外での音など、まず動物の寝息さえ聴こえないのである、が。

――それでも、その一振りは、殺意という見えない何かを含み。であるからこそ、錯覚を与えるのだと、彼女は覚えた。

『な……んだ、アレは』

マスターが、誰と指定するわけでもなく、空に向かって問うた。まるで、神へ慈悲を欲するかのように。

少女の眼前にも、それと同じ光景は存在した。むしろ、リーダーであるマスターよりも見通せる、特等席であった。

黒獅子の照らすライトで光る、後方へ下がる紅き機体。スリムな体形をだと思いきや、それが屈む様は、穿つために用意されたような、産まれもっての肉体美。

が、その連なりよりも、彼等が気にするのは――

「何あれ……?」

後ろで待ち構える桃白の機体であった。

背にはマントのような布を纏い、それに覆われた箇処から抜き出た左腕には、指揮棒のような物を握っている。

ソレは、屈んでいるとはいえ紅い機体より二回りほど大きく。その棒は小さいといえど、この黒獅子ほどなのではないか、と伺える。

その体躯。そして、その異形。

「あんなの……みたことない……」

ただ、一つだけ。この小隊が理解できることがある。

敵。

その、シンプルな解答。だが、今はそう捉えるしかない。

『全員、地網を装備。攻撃に供えろ!』

慌てるように、マスターが放つ。皆がそれに目覚め、一斉に地網というナイフを引き抜いた。

同時、その咆哮が、振動となって鼓膜に伝わる。

身構え、警戒を含めた中腰の姿勢で臨む。小さな刃一振りに対し、相手は長物のレイピア。彼等が選択したのは、特功ではなく受身のカウンターだ。

来い。

それを伝えるかのように。口の中の唾を、音を立てて飲み込んだ。

『――――来るぞ!』

マスターが吼える。

視界を、敵機だけを捉えるために与える。

そして、わかりやすく変化は起こる。

火力の分散。

銃弾は3又に裂き、その鉛を元の形に戻さんとばかりに、収束を目指していた。

その場所に、彼等が居る。なんともわかりやすい図だ。

「……っ!」

先に銃弾を浴びたのは、先頭の春香であった。

ギリギリのところでレイピアを躱す。けれど、その鋭利な刃は、穿つことはせずとも、擦り傷という明確な被害を与えていた。

その擦れた音に対し、反射的に地網を振り回す。避けることを優先してのカウンターだ、無論、それはカマキリに命中せず、空振りに終わるのがみえていた。

だから、敵機へのダメージは一切ない。次の機体が春香を襲うこととなる。レイピアは肩を仕留め、削ぐように鉄の防具を破壊した。

その刹那的な破壊の刻、休憩を挟む間もなく次の機体が春香を仕留める。それに対応仕切れず、無様にも背中を見せつけていて、

『させるかよおおおおおおおおお!!!!』

命中よりも速く、男の咆哮が響いた。それは騒音と呼べるほどの音であったのだが、この時の彼女に、それは届くはずもなく――

そのため、同時に破砕された、彼の機体の悲鳴など、聴こえるわけもなかった。


全ての出来事は、並行して映されている。

春香が攻撃を受け、仲間の一人が消え去ろうとしている最中、マスターである彼女の機体にも、カマキリは存在していた。

運良く、最初の三機の攻撃を避け、未だ生存していた。けれど、絶望的な場面なのに代わりはない。

――それは、前方に立っていた仲間が既にやられ、それを喰むカマキリが、次にこちらを仕留めようとやって来たからである。

「6体――――流石に連続で避け続ける運はないぞ、自分には……!」

見るに、先程のように一度避けても、元の位置に戻ることはないようだ。

その考えも去る事ながら、1機目が彼女を襲う。

穿つレイピアを右手で弾く。そのまま地網を刺そうと放つ瞬間、2体目が黒獅子の腹を抉ろうと迫る。

瞬動。

臓物を引きずりだされる前に、彼女は身体を反らし、その弾を避けきったようだ。が、そのために、1体目を仕留められずにいた。

3体目が首を狙う。黒獅子にしゃがむというような人間的な動きは行えない。相撲取りとボクサーのような戦い方なのだ、彼女に残された方法は――

――突進しかなかった。

部位一つを失う覚悟で、自ら串刺しを望んだ。望みどおり、黒獅子の胸部が破損する。同時、モニターが赤く変色し、知らせるかのように警鐘が鳴る。

先読みさえ行える知らせを舌打ちで無視。見事、その殺意を回避出来た。

4体目は既に空へと至っていた。

振り下ろすレイピアは、まるで鷹のような勇ましさを誇る。

彼女の頭上に目等存在しない。ならば、ここまで生き延びた彼女の機体はどうなるのか。

言うまでもない。

頭部から見事に、それは突き刺さっていた。



春香の搭乗する機体だけが、その場で取り残されていた。

一人は背中をえぐられ。一人は五体不満足な状態で放置され、そして、風通しの良い機体が、墓標の代わりを務めていた。

春香にとって、それは5分とない現実であった。

体感した時間からしたら、それは1日とも1年とも取れたかもしれない。

9体のカマキリから8本の剣で取り押さえられながら、春香は、その声を聴いた――


――それは、今となっては懐かしく、探し求めていた、愛しい仲間の声であった。

2010-10-06

アイマスSS「初心者二人」

淑女の化粧にしては薄く、少女の化粧にしては、それは濃すぎた様であった。

白がそこに在る。私の居る世界にしては、それはとても小洒落ていた。

大地はまるで、白粉でもつけるが如き色を纏い、紅を塗るように私の手を紅くさせる。

その冷えた手を額に当て、私は問う。

自分はどうなのか、と。

私の様は着飾った格好には見えなかった。厚手のコートを身に纏ってはいるが、下はいつものジャージ。

化粧なんて、生まれて一度もしたことはなく。唇も乾燥し、この寒さで菫のようで。

フードなど被ってしまえば、それは女ではなく、ただの不審者だ。

今の彼女は、背景となるか、または不審に見られる目立ちたがりか、しか選択肢がなく。

――だからこそ。

自身の問いに、何と答えていいのかさえ、結論が出ないでいた。

「……はぁ」

それでも雪は降り続ける。

「……いっそ、粉雪が私を彩ればいいのに」

彼女が天上を見上げると、頬で、雪が容易く溶ける。

対し、彼女はただ、苦笑を漏らすのであった。


目的の場所へ至ると、室内の暖かさに、安堵の表情が、自然と表に出る。

自らの肩の雪を払い、コートのボタンに手をかける。

「……よしっ」

そう意気込んで、扉を開く。

「おはよう、ございます」

けれど、その声は弱々しく。それでも、ハッキリと声は響くようだ。

が、それに応じる反応はなく――

「誰もいないのかしら……」

慎重に扉を閉める。申し訳程度にドアノブの音が鳴る、場内を闊歩する運動靴と、大した差のない音だ。

見ると、部屋の電気は付いていた。窓もシャッターが下りていない。この寒さで、スモーク硝子となってはいるが。

その硝子の一枚に、指でなぞって書いたであろう文字がある。

「でかけ……でかけてきます、って書きたかったんでしょうね」

なぞった跡を侵食するように、水滴が下方に垂れていた。血でなぞらえてあれば、立派なホラーである。

現在、私が読み取れるから良いもの、他の人への書き置きだとしたら、どうするべきか?

彼女は窓硝子の方へと近付く。コートの袖で手を覆うと、それをおもむろに消し始め、近いデスクから、紙とペンを拝借する。

「でかけてきます、っと」

緑色のペンでそう文字を書くと、今度は扉の方へと戻ろうとする。

――が、彼女はその動作の途中で一度、足を止めた。

「おはようござ――――え?」

奇しくもそれが、二人の最初の出会いとなった。



アイマスSS――「初心者二人」



「私の名前は、天海春香、っていいます。えーっと……あなたは?」

「……如月、千早

きさらぎ、きさらぎ……。と空を見つめ、頭の悩ます少女を眼前に。彼女は先程メモ用紙とペンを机の上に置いた。

慣れた手付きで、自らの名前を書く。

「こういう、字」

「あー! それで如月って読むんだねー……あ、私はね」

ひょい、とペンを彼女から取り上げ、春香、と名乗る少女は、紙に同じように自らの名前を書く。

「こう書くの!」

「そ……そう」

私はなんとなく想像出来た……なんて言えないわね。

それにしても変な人だ、と、千早は思う。この事務所のアイドルなのかしら、と首を傾げ。

「如月さん、素敵な名前だねー」

だからその、笑顔を兼ね備えた、褒め言葉という不意打ちに、瞬時に対応出来なかった。

「あ、ありがとう……」

不思議な人だ。けれど、至って不快には思わない。

同時に、可愛い人。とも感じた。

無邪気に笑う少女を見て、まるで正反対な人生を送っているのだろうと、彼女は見つめた。

白やピンクを強調とした明るい普段着。明るい髪色に大きな瞳。要素がすべて、彼女を可愛いと感じさせるよう、際立たせていた。

モノトーンな自分を見て、余計にそう思う。

「あ、如月さんは、この事務所のアイドルの方なんですか?」

意外な事を問われた。

〜さんは、ということは、彼女は……?

「私は、少し用事があって来ただけで……貴女こそ、ここのアイドルじゃ……?」

一拍置いて、眼前の少女は答える。

「いえ……そう考えると、私もちょっと用事があっただけというか……」

お互いがお互いに、此処の人間ではない、ということを打ち明けた。

同時に、気まずい沈黙が続く。

――その沈黙を破るのは、押し黙った春香自身で。

「あ、あの! 私、ここのアイドルになろうと思って、オーディションを受けに来たんです!」

突如として、理由を述べた。

「そ、そうなんだ……アイドルになる、ね」

その次は、自然と言葉として溢れた。

「貴女なら、きっと立派なアイドルになれると思うわよ。天海さん」

ありがとうございます、と、少女に言われ。

同時に、彼女は自身の理由に振り返る。

なんて皮肉、そう感じながら。

「あのね――私は逆に、アイドルになる事を、断りに来たの」


                   ・


スカウトを受けたのは冬休みになるずっと前。都内に雪も降らず、葉が枯れ果てようとしていた時期。

アイドルを、やってみないか

その一言を聞いたのは、通学路の帰り道でのことであった。

怪しい勧誘だと思って、彼女は最初、無視することを選んだ。

けれど、彼は次の日も、また次の日も私に声をかけてきた。だんだん無視することにも飽き、一度くらい話を聞いてみよう、と気まぐれで誘いを受けた。

そこから、真剣にアイドルについてを聞かされた。貰った名刺を調べると、彼は本当にアイドル事務所の人であった。

好機だと感じた。

突然だが、私の夢は歌手になることだ。歌うことが大好きで、より自分を磨きたくて。その腕で、トップシンガーになりたかった。

そのためになることを欠かさず、これまで努力を積んできたと、誇りを持って言える。

もしその気があるなら、一度事務所に来てくれないか

名刺を貰ったときに言われた、最後の言葉であった。

やがて冬が来た。

その時の私は、アイドルになる、ということについて、本気で了承する気であった。

夢を追える、現在という現実を捨てれる。これほどの好条件、どうすれば破棄出来ようか。

そんな、ある日のこと――

彩り鮮やかな薄型テレビが連なる、電化製品特有の店で、私は初めてアイドルというモノをなんたるか知った。

華やかなステージ。ステップでかわいさを魅せるダンス。少女特有の愛らしさを見せた、表情。

重要視されることは、決して歌だけではなかったのだ。私がなるのはシンガーじゃない、アイドルなのだから。

ダンスを踊ることさえままならない、笑顔だって上手く作れない。

ましてや、私のような素体が着飾ったところで、こんなに可愛くなれるのだろうか?

葛藤だけが重くのしかかる毎日。一度は結論を急いだことであっても、たった一つの障害が、私に「無理」という烙印を押す。

ある時、私は嫌になった。

考えることが、思考で囁く自分自身の言葉が。

そうして、刻だけが過ぎ。

――断りの返事をすべく、今日という日がやってきたのだ。


                   ・


「……私は、貴女のように、輝いてなんていないもの」

そういって、彼女は溜息をつく。

俯いて語るので、本当に溜息が出たのかは定かではないが、安易に想像できる様であった。

私は、まだアイドルではないから。

アイドルというものが、何かわかっていないから。

だから、眼前の少女に、アイドルになろう、なんて簡単な事は伝えられなくて。

「――あの、私は、そうじゃないと思います」

簡単な事じゃない。

けれど、シンプルな頭脳で挑めば、きっとそれは簡単になると思うから。

「如月さんは、なんで、最初アイドルになろうと思ったんですか?」

それは彼女が既に言い終えたこと、けれど、改めてもう一度聞いておきたかった。

「それは……歌える場所が、歌で伝えられる、そういう居場所が欲しくて」

きっと、この如月千早という少女において、それが唯一の目的。

ならばこそ。と、春香は確信する――

「それで、いいんじゃないですか?」

思わぬ答えに、千早は驚いて、顔を上げた。

「私も……最初は自信がなくて。歌うことは好きだけど上手じゃないし、ドジだし、特別かわいいなんてこともなくて……」

眼前の少女は、真剣に語る。

「でも、それでも。私は、アイドルになりたくて来ました。頑張って頑張って頑張って! それで、立派なアイドルになれればいいな、って」

アイドル。

私にとって、ただ、歌えるためだけに用意された職種。

そう、そうだ。私は『アイドルになる』ということに不安になりすぎていて、なぜ『なりたい』のか、という事を閉じ込めていたに過ぎず。

「だから、如月さんも、それで良いと思います! きっと、誰だって最初は、私達のように不安だらけでここに来るんです……だったら、振り払えるほどの強い人にになるために、アイドルになってみませんか?」 

またその顔で、無邪気に笑む。人の気も知らないで、余計なお世話よ。と、呟きたくなるほどに。

知ってるわ、知ってたよ。天海さん。

私は多分、引き止めて欲しくて、此処に来たということを。

「それに、如月さん……充分に綺麗ですよ?」

「なっ!?」

ずいっ、と少女が千早へと顔を近づける。その差に、数センチという単位は大きすぎ。

「ほら、お肌だってすべすべ……!」

撫でられるくすぐったさに、千早は。

「もう……やめてください!!」

その声は、扉を叩いた時とは大違いで、外まで透き通る、美しき響きであった。






「……では、本日付けで、貴女をこの事務所のアイドル候補生とします。天海春香さん」

事務所の女性から、書類を受け取る少女が一人。

「はいっ! よろしくお願いします!!」

書類と同時に、事務員さんの笑顔を受け取ると、春香はそこで、その場を離れた。

忙しなく働く人々。師走の時期はとっくに過ぎ、季節は春になろうとしているのに、随分とこの事務所は慌てているかのようだ。

鳴り響くコール音、交わす言葉と積まれた書類を華麗に避けながら、春香は出口を目指す。

ドアノブに手を伸ばす、その一瞬。

――ガラスの向こう側に、人影を見た。

「……? あ、春香」

シャカシャカと鳴り響くイヤホンを外し、長髪の少女は、会釈をした。

同時に、視線を彼女の手元に送る。

「……やっと、アイドルになれたのね。おめでとう」

「うん、夢を叶えに来たよ。千早ちゃん」

それをいい終え、にーっと笑うと。春香はその場で、千早に抱きつく。

「ちょ、ちょっと……! 何するの春香!」

しがみつくのを無理やり剥がそうとする。千早の方が腕っ節が強いのに、こういう時の春香には、不思議と勝った試しがない。

「えへへー……あ、今日はお化粧でもしてるの? キレー」

ジロジロ見ない、と、左手を春香の顔に押し付けながら。

「この後の仕事で……ね」

と、照れて頬を掻くしかなく。

「貴女の言った通りだったわ……やってみないと、わからないものね」

「うん!」

春香は満足気に、そう、力強く頷いた。


END