運輸事故

かつて、マッハの恐怖 (新潮文庫)続・マッハの恐怖 (新潮文庫)といった、柳田邦男の航空機事故ものを愛読していた。航空機の歴史は、コメット空中分解に始まる悲惨な大事故の歴史でもある。その中で、如何に事故の原因を解析し、ヒューマンエラーを人の問題で片付けずに改善策を講じるか、関係者は全力を尽くしてきた。
尼崎・列車脱線事故の原因調査プロセスを見ていると、これまでにこのような事故が起きなかったのが不思議なくらいだ。速度オーバーを防止できるATS-Pは、西日本にはほとんどない。航空機業界と比べると、事故防止のためのシステムの遅れが目立つ。
三月に、日航のトラブル多発を受けて、国土交通省は、航空・鉄道各社に安全対策の自主点検を実施するよう指示したばかりだというのに。JR西日本に、「置き石原因説発言」「133km/hで脱線発言」と言った、ほとんど子どもの嘘レベルの言い訳が続くのも腹立たしい。
報道の矛先は、過密ダイヤや日勤教育にばかり向いていて、ハードやシステム的な事故防止策にはあまり触れていないのが残念だ。コストがかかるのは確かだが、いっぺん死亡事故が起きればそれどころではないコストが嵩む。
とにかくやりきれない事故だ。