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2016-12-30

[][][][]『フィクションは重なり合う』kindle版リリース!

Kindle ダイレクト・パブリッシングサービスを利用して、販売を開始しました。

おーすごい、自分の本がAmazon


フィクション哲学アニメ批評・文芸批評を架橋する一冊!

分析美学ウォルトンによるごっこ遊び説など)やマンガ評論(伊藤剛の「マンガのおばけ」)を用いて、『SHIROBAKO』や『キンプリ』などのアニメ作品、『耳刈ネルリ』や『夢幻諸島から』などの小説作品から「分離された虚構世界」を見出し、それが鑑賞体験にどのような効果をもたらすかを論じた長編評論「フィクションは重なり合う――分離された虚構世界とは何か」

付録「二次元アイドル比較」では、『アイマス』『ラブライブ!』『うたプリ』『アイカツ!』『プリパラ』などの人気作品から『ナナシス』や『あんスタ』といった今後ブレイク必至のアプリゲームまで、二次元アイドルコンテンツ全20作品について、企画概要や略史、主要スタッフなどのデータ、並びに独自の基準による比較チャートを掲載!


※印刷版と内容は同じですが、kindle版では一部の図版がカラーになっています。

Amazon内容紹介より)

続きを読む

2016-09-27

[][]『日経サイエンス2016年11月号』『Newton2016年11月号』

今月は1記事ずつちょろっと

日経サイエンス2016年11月号

恐竜時代の哺乳類

中生代哺乳類の進化史

キノドン類の話から始まって、基盤的哺乳形類が出てきて、獣類が出てくる。

獣類というのは、真獣類と後獣類からなるグループ。真獣類は有胎盤類、後獣類は有袋類とほぼ同じ。

中生代哺乳類恐竜のかげでこっそり生きていたと思われていが、実はかなり進化を遂げていた。

中国から保存状態のよい化石が結構見つかっているらしい?

今の哺乳類祖先とほぼ同じような形態の種類が収斂進化していた。

でも、そのうちのほとんどは中生代末に絶滅している。

中生代の間に、臼歯が進化した。これで被子植物が食べれるようになったグループもいる。

見開きで中生代哺乳類系統樹があったのがよかった。

恐竜時代の哺乳類 | 日経サイエンス

中生代哺乳類の話は、土屋健『ジュラ紀の生物』 - logical cypher scape土屋健『白亜紀の生物』 - logical cypher scapeでも読んだ。


Newton2016年11月号

“最古の化石”を発見か?

グリーンランドで発見された37億年前のストロマトライト

これまで最古とされていたのは、オーストラリアで発見された34億年前の化石

化学的な痕跡炭素)が38億年前の岩石から見つかっていて、それに近づいた、と意義を説明


2016-09-25

[][]『文學界2016年10月号』『新潮2016年10月号』

文學界

文學界2016年10月号

文學界2016年10月号

宮内悠介カブールの園」

アメリカで暮らす日系三世で、IT系ベンチャーを大学時代の友人と立ち上げた女性の話。

かなり直球に、三世のアイデンティティを巡る物語となっている。

彼女は、小学生の頃にいじめにあっていて、その頃のトラウマがもとで、VRを使ったセラピーを受けている。また、母親がいわゆる毒親っぽいタイプで、母とも距離をおいている。恋人は、ナチュラリストでVRセラピーをあまり快くは思っていなくて、タイトルのカブールの園とは、彼がVRセラピーのことを呼ぶ呼び名である。

半ば無理矢理休暇を取らされて、一人自然公園へ向かう途中、戦争中に日系人収容されていた収容所跡の歴史博物館へと赴くことになる。

彼女の祖父母は、まさに収容所にいた世代で、彼らは自分の娘(つまり主人公の母親)に日本語を教えようとしたが、娘世代はこれを拒む。女性消防士を目指すが、しかし人種の壁に阻まれてしまう。

主人公は、仲の悪かった母と祖母との間を取り持っていた近所の男性の息子から、収容所の人々が作っていた日本語の文芸誌を渡される。そして、久しぶりに会いに行った母の部屋に、日本語がわからないはずなのに、その文芸誌に収録されていた日本語の詩が飾られているのを見る。

そうして、自分のとらわれていたトラウマが、小学校時代に人種差別にあっていたことだということに気づく。

日本語の文芸誌を読んでいるあたりで、会社のボス(大学時代の友人でほぼ同僚みたいなものだが)から電話があって、「日本人の目をしているぞ」と言われるのとかがなかなかおもしろかった。主人公も、その文芸誌を渡された男性のことを「日本人の目をしている」と言っている。日系人と日本人との間に、目の違いがある、と。

最終的に彼女は、自分の人種的ルーツのことを認めたことで、戻ってきて日系人の目に戻って、会社の仕事に復帰していく。

会社は、クラウド上で音楽制作ができるソフトウェアを作っていて、世界中にメンバーが散らばっていても、音楽を共同制作できる、というもの。実はコンセプトは後付で、学生時代に音楽をやっていて、遠隔地で作業するのに作ってみたソフトウェアだったが、リリースしてみたら、本当にパレスチナインドかどこかのミュージシャン同士が共同制作をしはじめたりして、後付のコンセプトが実現していった。

それをさらに改良して、プレゼンをするシーンで終わる。


石原慎太郎×斎藤環 「死」と睨み合って

なんか面白い組み合わせの対談だったので、パラパラと眺めた。

体を動かしたいのだけど、なかなか思うように動けなくなってとか、頭の手術して字が書けなくなってるとか、何より、死について色々考えることが多くなっているとか、そういう話をしていて、しきりに斎藤環が、一般に思われている石原慎太郎のイメージとは違う姿なんじゃないでしょうかと言っているのだけど、まさにステレオタイプ石原慎太郎像しか持っていなかったので、結構面白いなあと思った。

死後の世界は全く信じてはいないのだけど、宗教的な、スピリチュアルな人を求めていて、でもそういう人もいなくなってしまったなあ、どうしようなあ、みたいな話もしてたりする。

あと、今の天皇より1,2歳年上なんだね、石原。天皇と会ったときにスキューバダイビングを勧めたみたいなことも書いてあった。

新潮

新潮 2016年 10 月号 [雑誌]

新潮 2016年 10 月号 [雑誌]

星野智幸「眼魚」

何を見てもぽろぽろと涙をこぼしてしまう病気が流行しはじめた世界

その病気になった男が、魚の目玉のような花(エリカ(ヒース))を買って育て始める。最後の方になると、他の人には見えない魚が出てきて言葉を食べるようになっていくという、ちょっとファンタジーな話。

男の息子が、兵役につこうとしたりする架空の日本を部隊にしている。

おそらく、震災以後をテーマにした作品。架空の日本なので、東日本大震災は直接描かれないけれど、別のことがあって知人の家族が亡くなっているのだけど、その際に男がした失言を息子から咎められるシーンがある。

[][]『群像2016年10月号(創刊70周年記念号)』その2

『群像2016年10月号(創刊70周年記念号)』その1 - logical cypher scapeの続き

瀬戸内晴美「蘭を焼く」(1969年6月号)から林 京子「空罐」(1977年3月号)までの5編

死刑囚について書かれている「メロンと鳩」、長崎について書かれている「空罐」が、テーマ的にハードで心に残るが、その間に置かれた「立ち切れ」が年老いた落語家の話で比較的軽妙。

群像 2016年 10 月号 [雑誌]

群像 2016年 10 月号 [雑誌]


座談会〉「群像70年の短篇名作を読む」辻原 登、三浦雅士、川村 湊、中条省平堀江敏幸


三島由紀夫「岬にての物語」(1946年11月号)

太宰 治「トカトントン」(1947年1月号)

原 民喜「鎮魂歌」(1949年8月号)

大岡昇平「ユー・アー・ヘヴィ」(1953年5月号)

安岡章太郎「悪い仲間」(1953年6月号)

庄野潤三「プールサイド小景」(1954年12月号)

吉行淳之介「焔の中」(1955年4月号)

圓地文子「家のいのち」(1956年9月号)

室生犀星「火の魚」(1959年10月号)

島尾敏雄「離脱」(1960年4月号)

倉橋由美子「囚人」(1960年9月号)

正宗白鳥「リー兄さん」(1961年10月号)

佐多稲子「水」(1962年5月号)

森 茉莉「気違ひマリア」(1967年12月号)

深沢七郎「妖術的過去」(1968年3月号)

小沼 丹「懐中時計」(1968年6月号)

河野多惠子「骨の肉」(1969年3月号)

瀬戸内晴美「蘭を焼く」(1969年6月号)

三浦哲郎「拳銃」(1975年1月号)

吉村 昭「メロンと鳩」(1976年2月号)

富岡多恵子「立切れ」(1976年11月号)

林 京子「空罐」(1977年3月号)

藤枝静男「悲しいだけ」(1977年10月号)

小島信夫「返信」(1981年10月号)

大江健三郎「無垢の歌、経験の歌」(1982年7月号)

後藤明生ピラミッドトーク」(1986年5月号)

大庭みな子「鮭苺の入江」(1986年10月号)

丸谷才一「樹影譚」(1987年4月号)

津島佑子「ジャッカ・ドフニ――夏の家」(1987年5月号)

色川武大「路上」(1987年6月号)

山田詠美「唇から蝶」(1993年1月号)

多和田葉子「ゴットハルト鉄道」(1995年11月号)

笙野頼子「使い魔の日記」(1997年1月号)

小川国夫「星月夜」(1998年1月号)

稲葉真弓「七千日」(1998年2月号)

保坂和志「生きる歓び」(1999年10月号)

辻原 登「父、断章」(2001年7月号)

黒井千次「丸の内」(2003年1月号)

村田喜代子「鯉浄土」(2005年6月号)

角田光代「ロック母」(2005年12月号)

古井由吉「白暗淵」(2006年9月号)

小川洋子ひよこトラック」(2006年10月号)

竹西寛子五十鈴川の鴨」(2006年10月号)

堀江敏幸「方向指示」(2006年10月号)

町田 康 「ホワイトハッピー・ご覧のスポン」(2006年10月号)

松浦寿輝「川」(2009年1月号)

本谷有希子「アウトサイド」(2012年3月号)

川上未映子「お花畑自身」(2012年4月号)

長野まゆみ「45°」(2012年5月号)

筒井康隆「大盗庶幾」(2012年12月号)

津村記久子「台所の停戦」(2012年12月号)

滝口悠生「かまち」(2013年4月号)

藤野可織アイデンティティ」(2013年8月号)

川上弘美「形見」(2014年2月号)


〈評論〉

群像」70年の轍  清水良典

群像」で辿る〈追悼〉の文学史  坪内祐三

名物コラム「侃侃諤諤」傑作選

〈創作合評〉奥泉 光+大澤信亮滝口悠生


瀬戸内晴美「蘭を焼く」(1969年6月号)

不倫してる男が相手の女性の部屋で夜を過ごしてる時の話。

そろそろ帰る時間じゃないのかと言われても帰らずに、なんかブローチの話をしたり、過去の恋人の話をしたりしている。

三浦哲郎「拳銃」(1975年1月号)

いよいよ体調が悪くなってきて身辺整理をしはじめている80を過ぎた母親から、相談をうける。

それは、とうに亡くなっていた父親の残した拳銃の処分についてだった。

戦前に商売をしていた父が護身用だとどこかから買ってきた拳銃で、買ったものの全く使わずにしまい込まれていて、形見分けの時に出てきたのだが、その後もそのままになっていた。

吉村 昭「メロンと鳩」(1976年2月号)

主人公は、死刑囚と面会をして、彼らとの話し相手になったり、要望された品を差し入れたりする民間人の委員

メロンと鳩は、それぞれ差し入れをしたもの(食べたことない果物、飼いたい動物)

死刑執行後に残された手紙に書かれた「希望」と、殺された鳩


富岡多恵子「立切れ」(1976年11月号)

かつて落語家をしていたが、今は男やもめとして一人暮らしをしている老人の話

落語家としては50代ですでに辞めていたのだが、最近になって学生が頼みにきて、風呂屋で郭話をしている。ちょっと話題になって雑誌に取り上げられたりもして、前の前の妻が訪れる。彼女も芸人でお囃子をしていて、30代の頃に一緒に暮らしていた。

風呂屋での噺も最後になったので、一緒に「立ち切れ」をするという話なのだが、主人公のひねくれ者具合というかすね者具合というか、頼まれて噺をしているのは気にくわなくて、子供がおぼれているところをみて機嫌をよくしているとかそういうのが書かれてる。


林 京子「空罐」(1977年3月号)

60年代くらいから戦争の話はなくなっていたのだが、ここで長崎の話。

母校が廃校になるということで、久々に集まった女学校時代の友人たちが、空っぽになった学校の講堂で、講堂の思い出などを語りある。講堂の思い出=原爆被爆時の話なのだけど、例えば一人だけ戦後に転校してきた者があり、弁論大会のことを思い出したりしている。

その日、ガラスを背中から取り出す手術で一人来られなかった友人がいて、彼女が同じクラスだったか「私」は思い出せないのだけど、他の人から空罐のエピソードを聞き、確かにその子は自分のクラスにいたと思い出す。両親の骨を入れて学校に持ってきていた。

5,6人いて結婚しているのは一人で、他は独身者や離婚経験者。教員をやっていて長崎市外への転勤の話がそろそろ来そうだが、原爆病院がある長崎市から離れるのは不安だという話なども。

体内に脂肪に包まれて残されているガラス。

2016-09-17

[][]『群像2016年10月号(創刊70周年記念号)』その1

創刊70周年記念「群像短編名作選」ということで、54編もの短編が一挙掲載されている。

とりあえず、ちまちま読み始めているのだが、読み終わったときに一気に書くのも大変なので、とりあえず途中経過的にメモ書きしておく。

頭から順番に読んで、河野多惠子「骨の肉」まできた(17作目。ただし2作品読んでないので、読んだのは15本)。

今のところ、安岡章太郎「悪い仲間」や吉行淳之介「焔の中」、円地文子「家のいのち」、深沢七郎「妖術的過去」、小沼丹懐中時計」が面白かったけど、他の作品も結構面白い。

というか、自分は小説は現代のものばかり読んでて、古い作品は全然読んでいない人間で、このあたりの時期の小説は、まあ作家の名前くらいは知ってるけど……くらいなものだった。

なので、この目次を見たとき「おお、これはすごい!」とは思ったものの「果たして自分はこれを本当に読めるのか?」とも思っていた。

しかし、いざ読んでみるとこれが結構すらすらと読めるもので、意外と面白い。

あと、当たり前かもしれないけど、1950年代の作品は、戦中の話だったり、戦後すぐの話だったりするのだけど、それでいて古臭さ(?)をあまり感じないのが面白い。というか、わりと軽妙と読みやすい。

冒頭の座談会で、群像っぽい作品が揃っているというようなことが言われているけれど、「あーなんかうまく言葉にはできないけど、なんとなくわかる気がする」と思ったw


群像 2016年 10 月号 [雑誌]

群像 2016年 10 月号 [雑誌]


座談会〉「群像70年の短篇名作を読む」辻原 登、三浦雅士、川村 湊、中条省平堀江敏幸


三島由紀夫「岬にての物語」(1946年11月号)

太宰 治「トカトントン」(1947年1月号)

原 民喜「鎮魂歌」(1949年8月号)

大岡昇平「ユー・アー・ヘヴィ」(1953年5月号)

安岡章太郎「悪い仲間」(1953年6月号)

庄野潤三「プールサイド小景」(1954年12月号)

吉行淳之介「焔の中」(1955年4月号)

圓地文子「家のいのち」(1956年9月号)

室生犀星「火の魚」(1959年10月号)

島尾敏雄「離脱」(1960年4月号)

倉橋由美子「囚人」(1960年9月号)

正宗白鳥「リー兄さん」(1961年10月号)

佐多稲子「水」(1962年5月号)

森 茉莉「気違ひマリア」(1967年12月号)

深沢七郎「妖術的過去」(1968年3月号)

小沼 丹「懐中時計」(1968年6月号)

河野多惠子「骨の肉」(1969年3月号)

瀬戸内晴美「蘭を焼く」(1969年6月号)

三浦哲郎「拳銃」(1975年1月号)

吉村 昭「メロンと鳩」(1976年2月号)

富岡多恵子「立切れ」(1976年11月号)

林 京子「空罐」(1977年3月号)

藤枝静男「悲しいだけ」(1977年10月号)

小島信夫「返信」(1981年10月号)

大江健三郎「無垢の歌、経験の歌」(1982年7月号)

後藤明生ピラミッドトーク」(1986年5月号)

大庭みな子「鮭苺の入江」(1986年10月号)

丸谷才一「樹影譚」(1987年4月号)

津島佑子「ジャッカ・ドフニ――夏の家」(1987年5月号)

色川武大「路上」(1987年6月号)

山田詠美「唇から蝶」(1993年1月号)

多和田葉子「ゴットハルト鉄道」(1995年11月号)

笙野頼子「使い魔の日記」(1997年1月号)

小川国夫「星月夜」(1998年1月号)

稲葉真弓「七千日」(1998年2月号)

保坂和志「生きる歓び」(1999年10月号)

辻原 登「父、断章」(2001年7月号)

黒井千次「丸の内」(2003年1月号)

村田喜代子「鯉浄土」(2005年6月号)

角田光代「ロック母」(2005年12月号)

古井由吉「白暗淵」(2006年9月号)

小川洋子ひよこトラック」(2006年10月号)

竹西寛子五十鈴川の鴨」(2006年10月号)

堀江敏幸「方向指示」(2006年10月号)

町田 康 「ホワイトハッピー・ご覧のスポン」(2006年10月号)

松浦寿輝「川」(2009年1月号)

本谷有希子「アウトサイド」(2012年3月号)

川上未映子「お花畑自身」(2012年4月号)

長野まゆみ「45°」(2012年5月号)

筒井康隆「大盗庶幾」(2012年12月号)

津村記久子「台所の停戦」(2012年12月号)

滝口悠生「かまち」(2013年4月号)

藤野可織アイデンティティ」(2013年8月号)

川上弘美「形見」(2014年2月号)


〈評論〉

群像」70年の轍  清水良典

群像」で辿る〈追悼〉の文学史  坪内祐三

名物コラム「侃侃諤諤」傑作選

〈創作合評〉奥泉 光+大澤信亮滝口悠生



三島由紀夫「岬にての物語」(1946年11月号)

電子版で読んでいるのだが、電子版には収録されていない


太宰 治「トカトントン」(1947年1月号)

タイトルは有名で知ってたいけれど、読んだことなかった奴

復員して郵便局で働き始めて、小説を書いたり、恋をしたり、仕事に打ち込んだりといろいろするのだけど、そのたびに「トカトントン」という音が聞こえてやる気がなくなってしまう男が、その悩みを好きな作家に手紙で出す話


原 民喜「鎮魂歌」(1949年8月号)

これは途中で読み進められなくなって、飛ばした


大岡昇平「ユー・アー・ヘヴィ」(1953年5月号)

米軍捕虜になったときの話

病気になってもう一歩も歩けないから、タンカで運べ、歩けって言い合う(?)話


安岡章太郎「悪い仲間」(1953年6月号)

戦時中の学生の話

主人公が夏休みに藤井という学生に出会う。

これがまあいわゆる悪い奴で、彼と出会うことで主人公も雰囲気が変わっていく。で、休み明けにこれまでの友達と会うと、主人公がすっかり変わっててびっくりされる。

だけど、その前の友達も藤井と知り合って、主人公と2人、どちらがより藤井に近づけるかという競い合いみたくなっていくのだけど、それが限界を迎えていく。


庄野潤三「プールサイド小景」(1954年12月号)

戦後すぐのサラリーマン家庭の話

傍目には幸せそうに見える家庭なのだけど、実は夫の方が会社の金の使いこみがバレて馘になってる。

夫の方が女に弱かったという話なのだけど、最後、プールの水面に男の頭が出ているというシーンで終わる


吉行淳之介「焔の中」(1955年4月号)

空襲の時の話

主人公の青年は、母親と女中と3人で東京の家に暮らしている。女中といっても、東京にあこがれて田舎から出てきて東京に戻りたくないものだから居候して住み着いている。

空襲受けてもぎりぎりまで逃げなかったり、なぜかレコードもって逃げてしまったり

そして、一晩あけて戻ってきて、女中が開けちゃいけない箱をあけて爆発させちゃう


圓地文子「家のいのち」(1956年9月号)

戦後、とある家をめぐる話

戦争中もずっと東京にいて、住み続けた老夫婦から話が始まって、その夫婦が亡くなって、借主が変わって。新しい借主はその夫婦のことを知らないはずなのに、なぜか思い浮かべてみたいな。


室生犀星「火の魚」(1959年10月号)

作家が、表紙のために金魚魚拓をとろうとするけどうまくいかなくて、知り合いの女性に頼む話

読みながら、そういえば最近、金魚の話の映画があったなあとか思い出した。


島尾敏雄「離脱」(1960年4月号)

夫婦の話

ずっと勝手してた夫が妻からいろいろ


倉橋由美子「囚人」(1960年9月号)

これは急にカフカっぽいというか

Kという主人公が突然捕まって、本人は自分が罰せられるのは当然だとは思っているのだけど、裁判なし刑の執行が始まって、皮を剝がされたり内臓を鳥に食わされたりする。内臓とられても死なない。


正宗白鳥「リー兄さん」(1961年10月号)

兄弟の中で一人ちゃんと働かずに暮らしてたリー兄さん(林蔵)が亡くなって、長男が彼の住んでいた実家に戻る

リー兄さんの描いてた絵画が出てくる


佐多稲子「水」(1962年5月号)

富山から東京に出稼ぎにきた幾代。働いたお金で母親に東京見物をさせるのが夢だったが、母が危篤に陥る。親身になってくれていると感じていた雇い主は、しかし休みをくれない。そうしているうちに、母が亡くなってしまう。


森 茉莉「気違ひマリア」(1967年12月号)

あらすじというものは特にないが、マリアが、とにかく自分の住んでいるアパート(?)に一緒に暮らしてる者たちがいかに田舎者なのかというようなことを語っている話

最初わからなかったが、主人公マリアは結構老年

同じ東京の人間でも、浅草の人間はいいけど、世田谷の奴らはだめだ、ということを延々語りながら、自分の潔癖症や性格の由来が、父親永井荷風宇野浩二室生犀星遺伝したのだといい、他にも三島由紀夫と会った時の話とかも出てくる

深沢七郎「妖術的過去」(1968年3月号)

金次は、20歳の頃に、自分の住んでた町に一台しかない自動車運転手と仲良くなって、自分も自動車運転したりしたのだが、馬をはねてしまう。その後、運転手として働くようになったのち、結婚相手が、その時はねた馬の家の近くの家の娘だった。というあたりから、金次の父親が馬の呪いをきになるようになる。戦中に、その妻は死んでしまい、戦後に再婚するときも、馬がかかわってくる


小沼 丹「懐中時計」(1968年6月号)

一緒に碁を打ったりする友人から、腕時計をなくしたのをきっかけに、懐中時計をゆずってやるという話になるのだけど、いくらでゆずるかということで延々話がまとまらないうちに、次第に疎遠になっていく。

子供の頃に何度か行った街に行くときに、名前を聞くとなつかしさを覚えるけど行ったら全然知らなかった、というあたりが面白いなあと思った。

懐中時計のやりとり自体は、軽めの感じなんだけど、なんかいつの間に知り合った人が亡くなってるとかそういうのが描かれてる


河野多惠子「骨の肉」(1969年3月号)

同棲してた男が去ってしまって、部屋にわずかに残された男のちょっとした衣類とか歯ブラシとかいった荷物に悩む女。

この話は、人名も出てこないし、一人称でもなくて、「女」と「男」という呼び方だけでずっとすすんでいく。

男と暮らしてた頃の昔話で、殻付きの牡蠣とか骨付きの鶏肉とか食べたときのことが出てきて、女は殻や骨ばかり食べていて、その味覚が残っている。

最後、男の荷物を燃やす夢を見る。夢の内容と、布団の中で寝ているということが混ざり合う文章

2016-09-16

[][]土屋健『古第三紀・新第三紀・第四紀の生物』

生物ミステリーPROシリーズもいよいよ最終章。

哺乳類の時代、新生代である。

古生代中生代と比較すれば、見慣れた生き物ばかりではあるけれど、案外と哺乳類のことって知らなかったりする。

土屋健『エディアカラ紀・カンブリア紀の生物』 - logical cypher scape

土屋健『オルドビス紀・シルル紀の生物』 - logical cypher scape

土屋健『デボン紀の生物』 - logical cypher scape

土屋健『石炭紀・ペルム紀の生物』 - logical cypher scape

土屋健『三畳紀の生物』 - logical cypher scape

土屋健『ジュラ紀の生物』 - logical cypher scape

土屋健『白亜紀の生物』 - logical cypher scape


(上巻 目次)

新生代 第零部

1.「人類最良の友」たち

2.もっと速く,もっと大きく

第1部 古第三紀

1.大量絶滅事件の生き残り

2.鳥類,“水中”へ進撃す

3.緑の川,白の川

4.またもやドイツに“窓”は開く

5.バルト琥珀

6.哺乳類!哺乳類!哺乳類!

7.哺乳類,海へ


(下巻 目次)

第2部 新第三紀

1.“ほぼ完成”した大陸配置

2.哺乳類!!哺乳類!!哺乳類!!

3.孤高の大陸の哺乳類

第3部 第四紀

1.そして「氷の時代」へ

2.“タール”に封じられた動物たち

3.最後の巨獣たち

4.続・孤高の大陸の哺乳類

エピローグ

新生代 第零部

新生代は、古第三紀、新第三紀、第四紀の3つの「紀」に分けられ、本書の構成もそれに沿ったものだが、これらの時代に跨がって現れるグループ(イヌ、ネコ、ウマ、ゾウの仲間)については、第零部が別にもうけられている。


1.「人類最良の友」たち

まず最初にとりあげられるのは、ともに食肉類であるネコとイヌ

ネコでとりあげられるのは、いわゆる「サーベルタイガー

この名称は、複数の種をざっくりまとめた俗称で、英語ではSaber catと言われるらしい。

ネコ類ないしネコ型類の中で、するどい犬歯を持つ種がいくつも紹介されているが、その中にはほとんどライオンって感じのもいる。

そして、本命スミロドン

上巻の表紙にもなっているが120度まで開く。

見たときに、巨神兵っぽいなと思ってしまった。

ちなみに、この犬歯を実際どのように使っていたかはまだいろいろな説があって、謎らしい。


イヌについては、狼王ロボ並みの巨大をもつオオカミ、ダイアウルフ。

また、イヌ類ととものイヌ型類を構成するアンフィキオン類やクマ類についても。


2.もっと速く,もっと大きく

こちらは、ウマとゾウについて。

ウマについては、やはり足の進化。指の数が減り、蹄が発達し、高速化していった歴史。

最古のウマ、ヒラコテリムは頭胴長が50cm程度と小さく、前足が4本指、後ろ足が3本指だった

家畜化は、ヒツジやウシよりも数千年遅い。食肉用としては魅力がなかったのだが、移動用として使えることが分かってから広まっていったよう。


ゾウと近縁種からなる長鼻類は、新生代から始まって1000万年も経たない頃に出現した、哺乳類の中では古株

初期の頃は、頭胴長が50cmとやはり小さく、鼻はまだ長くなかった

次第に、下あごが長くなってスコップのような平たい牙が伸びるようになる。中新世頃には、今のゾウの姿にだいぶ近くなる。

竜脚類は、体が巨体化しても頭が小さかったので首を長くすることで、地面に頭を近づけることができたが、長鼻類は牙が重かったため、首を長くすることができず、代わりに鼻を長くしたらしい。

今のゾウに姿は似てるけれど、面白い姿をしている3種

ステゴテトラベロドンは、牙が4つある

デイノテリウムは、下あごの牙がした方向に反っている

アナンクスは、2本の牙がまっすぐと前に伸びていて、長い。3mもの長さのもいたとか。

第1部 古第三紀

1.大量絶滅事件の生き残り

新生代は、古第三紀、新第三紀、第四紀の3つの紀に分けられる。

第三紀というからには、第一紀と第二紀はあるのか。

かつて、こういう呼び方の地質年代はあった、と。第一紀は今の先カンブリア時代、第二紀は今の古生代中生代にあたるとか。

また、古第三紀と古第三紀は、英語でPaleogene、Neogenとなっていて、すでに「三」を意味する言葉ではなくなっているらしい。

第三紀は、暁新世、始新世、漸新世にわけられる。

新生代に入ると温暖化が進み、暁新世と始新世の間でピークを迎え、始新世に入ってからは寒冷化・乾燥化が進む

第零章に出てきた動物たちはみな暁新世の森林の時代に生まれてきている。

始新世から、「草(イネ科の植物)」がでてくる。

(これより前の時代に草原はない。草食動物という言い方があるが、こういうこともあって、草食ではなく植物食という方が正しい)

南極オーストラリア大陸が分離し、南極大陸を一周する冷たい海流が生まれたことが、寒冷化を促したという。


この章では主に、コリストデラ類という、中生代からの生き残りである爬虫類について紹介されている。

また、ガストルニス類という、飛べない鳥がが紹介されている。

身長2メートルで巨大なクチバシをもつ飛べない鳥

長いこと肉食性だと考えらていたが、1990年代から植物食性ではないかと指摘されはじめている。この本では、2012年の足跡にカギツメがなかったという発見、2014年の骨の炭素同位体分析、筋肉組織の復元という研究により、植物食性の可能性がさらに高まったということが紹介されている。


2.鳥類,“水中”へ進撃す

この項目は、ペンギン

ペンギンの歴史は古く、恐竜絶滅の400~500万年後には登場している。全然知らなかった!

最古のペンギン、ワイマヌは、ペンギンというよりはウ(鵜)のような姿をしている

ペンギンは、始新世に躍進していく。

始新世初期、地球がもっとも温暖化していた時期に、南緯14度あたりといった熱帯からも発見されている。

始新世における躍進は、その後の寒冷化に適応していったかららしい。

150cm、あるいは170?といった巨大種も登場する。

一方、北半球では、ペンギンモドキと呼ばれるプロトプテルム類が登場する。こちら、ペンギンモドキという名前ではあるが、姿としてはペンギンよりもワイマヌに近い。

日本でも発見されており、そのうちの一つには、ホッカイドルニス・アバシリエンシスと名づけられている。

また、プロトプテルム類の名前の由来となったプロトプテルムは、日本とアメリカから発見されており、2mという大型種だったとか。

ペンギン類は、漸新世後期から衰退し、それにとって代わるようにクジラ類の多様性が増加しているらしい


3.緑の川,白の川

アメリカ中西部の、グリーンリバー層群とホワイトリバー層群

グリーンリバー層群は魚類化石が非常にきれいに残っている

ナイティアという魚が大量に算出するらしく、一般に流通している魚の化石のほとんどは、グリーンリバーのナイティアらしい。

また、翼手類つまりコウモリも見つかっている。すでに、エコーロケーションに適応していた種とそうではない種が見つかっている。


4.またもやドイツに“窓”は開く

ドイツ、グルーベ・メッセルという化石の産地の話

オイルシェールの堆積層で、保存状態が極めてよいが、水分を多く含んですぐ壊れてしまうので、最近までなかなか研究が進まなかった

オイルシェールの採掘が終わった後、産業廃棄場にする計画があったが、世界中の古生物学者の反対によってこの計画は撤回され、1995年には世界遺産となっている。


魚の化石の写真が掲載されているが、グリーンリバーの化石魚拓っぽい感じだとすると、こちらはもう生きているときの姿をそのまま残しているかのような浮彫のような感じ

魚だけでなくカエルやヘビ、また、哺乳類も多数見つかっている。


ここで見つかった鳥の体内から、花粉が見つかり、鳥媒(鳥が花の蜜を吸うことで知らず知らずに植物の受粉を手伝ってるアレ)がこの時代には始まっていることが分かっている


また、ここからは、「イーダ」の化石も発見されている。

発見されたときは、直鼻猿類だと分類されて、それで人類の祖先として注目を浴びたが、のちに曲鼻猿類と分類が変わり、人類の祖先という地位ではなくなった、と。

直鼻猿類と曲鼻猿類とか、霊長類の分類はなんか最近勉強したけど、何だったか忘れてしまったなーと思って検索したら生命大躍進展 - logical cypher scapeだった。


5.バルト琥珀

バルト海沿岸の琥珀

クモ、ゾウムシ、ハチ、アリ、カナヘビ、バラなど

ここはまあ写真見て、保存状態すごいなあって眺める章


6.哺乳類!哺乳類!哺乳類!

暁新世「第一次適応放散」

哺乳類の中でも有胎盤類が「大攻勢」を行う。

この時期には、恐角類、火獣類、輝獣類、紐歯類といった植物食性のグループ、肉歯類という肉食性のグループがが出てきたが、ほとんどが絶滅している。

この時期に登場した哺乳類の中で、現在まで生き残っているのは、霊長類や食肉類


始新世「第二次適応放散」

続いて、奇蹄類、長鼻類、翼手類、鯨偶蹄類など、現代まで生き残る哺乳類のグループが登場する

この時期に、第一次適応放散期の哺乳類のほとんどが姿を消し、肉食性では、むしろ食肉類より優勢だった肉歯類が姿を消す。なぜ、このような入れ替えが起きたかは謎。


この時期、最大の哺乳類インドリコテリウムが登場

また、筆者のお気に入りとして、アルシノイテリウムという種が紹介されている。

これは、長鼻類に近縁の重脚類だが、子孫も祖先も不明とされる。

見た目は、サイのようだが、サイは角が骨ではないのに対して、こちらは角が骨

2本に見える(が実際は根本でつながって1本の)巨大な角を持っていて、確かにかっこいい。


7.哺乳類,海へ

鯨偶蹄類の中のクジラ類の話

祖先は、インドおよびパキスタンから発見されているが、資金不足と治安の悪化で研究が進んでいないらしい。

4000万年前頃、完全に水中適応し、20mとなるバシロサウルスが登場する。

見た目はあまり鯨っぽくない。発見当初、海棲爬虫類と思われ、この名がついた。のちに、リチャード・オーウェンが歯の特徴から哺乳類と分類しなおした。


第2部 新第三紀

ここから下巻

1.“ほぼ完成”した大陸配置

第三紀は、中新世と鮮新世という二つの時代からなる。

大陸配置がほぼ完成したが、一時期、ジブラルタル海峡が閉じて、地中海が干上がった時期があるらしい。


この章では、哺乳類以外の動物について紹介されている。

まずは、恐鳥類

すでに、古第三紀のところで、ガストルニス類という飛べない鳥が紹介されたが、そちらは北米の種で古第三紀の間に絶滅している。一方、南米に生息していたフォルスラコス類、通称恐鳥類は、1万年前まで生存していた。

こちらは、ガストルニス類と違って、肉食性


同じく鳥類では、骨質歯鳥類が繁栄

鳥に歯はないが、クチバシにまるで歯のような突起が生えているグループ

埼玉三重からも産出している。


メガロドンという巨大サメも

名前について注意が必要で、属名メガロドンは、古生代から中生代二枚貝を指す。サメの方のメガロドンは種小名で、属名も含めると、カルカロドン・メガロドンというらしい。

とにかく巨大で、歯の化石が実寸大で掲載されているのだが、歯だけでページの3分の2くらいを占めている!

サイズについては、11〜20mと様々な推定値があるが、現生のホホジロザメが最大で6mと言われているので、どのサイズだとしてもホホジロザメを上回る巨体である。20mの場合、マッコウクジラよりも大きい!

2008年の研究では、噛む力が10万N以上という推定値が出ている!!

噛む力の比較については土屋健『デボン紀の生物』 - logical cypher scapeにもあるが、アリゲーターで4000Nとされているので……


2.哺乳類!!哺乳類!!哺乳類!!

まずは、偶蹄類の中でツノを持ったものたち

螺旋を描いてまっすぐ伸びる2本のツノをもったイリンゴケロスや

まるで6本のツノを持っているかのようにみえる(実際は3又のツノを2本もつ)ヘキサメリックスなど

この2ページにいろんな種が載ってるけど、どれもなんかやばい

まあ、シカの仲間っぽいなとは思うんだけど、ツノの形が全く現世種にはないので、異世界ファンタジー感んがすごい


キリンの進化史

いったん、首が少し長い種がでてきたあと、さらに長くなっていったグループと、もう一度短くなったグループに分かれたらしい


奇蹄類の中には、カギヅメをもったカリコテリウム類なる珍種も

カリコテリウムは、なんか前脚が長く、前足のかぎづめが握りこぶしのようになっていて、ゴリラっぽい


南米大陸は、新第三紀の終わり頃まで独立した大陸であったため、異なる動物グループが収斂進化をとげていた。

ウマ類に似た滑距類

カリコテリウム類に似た南蹄類

サイに似たトクソドン

バクに似た輝獣類アストラポテリウム

サーベルタイガーに似た有袋類ティラコスミルス

約300万年前、北米大陸との間でパナマ地峡が形成され、これらのグループは淘汰されていく。

北米から他のグループが侵攻し、滑距類、南蹄類は絶滅、有袋類もその地位を譲り、哺乳類以外では恐鳥類も絶滅する。

このイベントのことを「GABI」と称するらしい。

2015年の研究で、パナマ地峡の成立はもっと古くにさかのぼるという異論が出てきており、GABIが起きたのはパナマ地峡の成立ではなく、寒冷化によるものという考えもあるとか

同時期、南米では全長3m、体重1tのげっ歯類が登場


束柱類

「日本を代表する古生物」

デスモスチルスやパレオパラドキシア

日本各地の博物館に全身骨格があり、特に足寄動物化石博物館に多くの骨格がある。

また、この本では、デスモスチルスについて、1936年1970年1997年にそれぞれ復元された3つの骨格写真が並べられていて、復元によって足のつき方が全然違うというのを見ることができる。面白い。


3.孤高の大陸の哺乳類

オーストラリアの話

オーストラリは、白亜紀南米インドと離れ、新生代に入って南極大陸と分離している。

リバースレーという場所が、一大化石産地になっているらしい

第三紀漸新世から第四期完新世までの地層があり、同一地域でこれだけ多くの時代を見れる珍しい場所


オーストラリアなので有袋類の話が書かれているが、

この中で一番驚いたのは、肉食性のカンガルーがいたというもの。

エカルタデタ、体長1.5m

カンガルーで肉食ってやばいだろ


第3部 第四紀

1.そして「氷の時代」へ

新生代第四紀

いよいよ最後の時代である

第四紀は、259万年間という、紀の中では最も短い

最も長い白亜紀の3.3%

第四紀の次に短い第三紀の13%

しかし、最近なので情報量は多く、古生物学会地質学会とは独立した学会もあるほど。


地質年代は、頻繁に更新されており、第四紀は一度消えたことがあるらしい。

もともと、人類の出現によって定義づけられていたが、研究の進展で人類出現が第三紀にさかのぼることがわかったことや、あまりにも期間が短いことから、2004年に第四紀をなくしたらしいが、多くの研究者からの反発にあい、2009年に復活したらしい。

その際、人類の出現から、寒冷化によって定義することに変更

第四紀とは「氷河時代」のこととされる。

氷河時代といってもずっと寒いわけではなく、氷期間氷期を繰り返している。

今は間氷期だが、さらに今より暖かった時期もあり、大阪からワニが発見されている。

これは、当時の日本が今より温暖だったことを示唆するが、このワニが寒冷地仕様だった可能性もある。

大阪大学博物館に展示されているらしいが、「ちょっと驚きの位置に展示されている」らしい(標本の写真は掲載されているが、標本だけ抜かれた写真なので、どのような位置に展示されているのかはわからないようになっている)


2.“タール”に封じられた動物たち

ランチョ・ラ・ブレア

ロサンゼルスの街中に位置する化石産地

タールの沼にはまった哺乳類化石が多数みつかっている

サーベルタイガーことスミロドンアメリカライオン、ダイアウルフ、コロンビアマンモスアメリカマストドンなど

また、1標本だけ人類の化石も見つかっているらしい。「ラ・ブレア・ウーマン」と呼ばれる女性でイヌを伴っていた。死因は不明。


3.最後の巨獣たち

絶滅哺乳類といえば、なんといってもマンモス

下巻の表紙もケナガマンモスである

また、同時期の日本には、ナウマンゾウが生息していたわけだが、

瀬戸内海でもよく漁の際に網にかかる」「日本橋にある都営新宿線浜町駅の工事中に2体分の化石が発見された」「池袋原宿などでも見つかっている」とあり

そんなにあちこちで見つかっているとは思っていなかった。

北海道は、ケナガマンモスの南限であり、ナウマンゾウの北限であったらしい。

ただ、マンモスは寒冷な草原を好み、ナウマンゾウは温暖な広葉樹林ないし針広混交林を好む

寒冷化するとマンモスが南下し、温暖化するとナウマンゾウが北上するというせめぎあいがあったのではないかと考えられていた。

ところが、2013年以降、実は共存していたのではないかという研究が報告されている。

このあたりは、年代測定の幅の問題なのではないかともされているが、2015年に、この時代の北海道は9割が針葉樹林で、草原でも針広混交林ないし広葉樹林ではなかったことが分かった。自分の好む環境だったから進出したわけではないようで、共存説の可能性も高まる。


ナウマンゾウの同時期には、ヤベオオツノジカもいた。

日本最古の化石発掘記録、化石の鑑定書、実物標本があるとか。

1797年に発掘され、当時は「地底で土砂崩れを起こす蛇」の骨だと考えられたが、1800年、江戸幕府侍医がシカの一種だと看破し「後世の学者が正体を明らかにするだろう」と書き記したらしい。

実際、その通りになっているわけで、すごい。

オオツノジカとして、メガロケロス・ギガンテウスという種も紹介されている

ツノの左右幅が3mとなる種で、写真が載っているが、なんというか、神々しいくらいにかっこいい。パリ自然史博物館所蔵。

しかもこいつ、人類とも生存時期が重なっており、なんとラスコーの壁画に姿が描かれている。


2015年に、ロシアで冷凍ホラアナライオンの幼体が発見されているそうで、写真が載っている


巨大なナマケモノメガテリウム

徳島博物館に迫力ある復元骨格があるらしい。

3mもあるアルマジロのようなグリプトドン


1万年前、こうした巨大な哺乳類は次々と絶滅

これには、寒冷化の終わりという気候の変化と、人類による殺戮という二つの要因が仮説としてあげられている

そのどちらが要因だったのか、あるいは両方の影響があったのか、まだ決定的な説はでていない。


4.続・孤高の大陸の哺乳類

再びオーストラリア

1936年まで生存していたフクロオオカミ

200kgもあった巨大ウォンバット

身長3mもあるが、“ジャンプ”ができないカンガルー

他の大陸で1万年前に絶滅があったように、オーストラリアも7万2000~4万4000年前に大量絶滅が起きている。しかも、他の大陸よりも規模が大きい。

これまた、気候変動説と人類到着説の両方があげられているが、決定的な議論はまだない。


エピローグ

エピローグは人類について

霊長類は、哺乳類の中でも最古参のグループ。第一次適応放散の際にすでに登場している。

2013年に中国で5500万年前の地層から発見

身長7cm

  • 最古の人類=サヘラントロプス

アフリカ中央部チャドで発見。720~600万年前とされる

  • アルディピテクス・ラミダス

最初期の人類で最も情報量が多い

エチオピアで発見。450~430万年前

タンザニアエチオピアケニアなどで発見。370~300万年前

ルーシー」が有名

樹上生活をやめ直立二足歩行を始めた種

南アフリカエチオピアなど。230万年前

190万年前までにアフリカで出現し、世界中に拡散

20万年前にエチオピアに出現