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2016-12-30

[][][][]『フィクションは重なり合う』kindle版リリース!

Kindle ダイレクト・パブリッシングサービスを利用して、販売を開始しました。

おーすごい、自分の本がAmazon


フィクション哲学アニメ批評・文芸批評を架橋する一冊!

分析美学ウォルトンによるごっこ遊び説など)やマンガ評論(伊藤剛の「マンガのおばけ」)を用いて、『SHIROBAKO』や『キンプリ』などのアニメ作品、『耳刈ネルリ』や『夢幻諸島から』などの小説作品から「分離された虚構世界」を見出し、それが鑑賞体験にどのような効果をもたらすかを論じた長編評論「フィクションは重なり合う――分離された虚構世界とは何か」

付録「二次元アイドル比較」では、『アイマス』『ラブライブ!』『うたプリ』『アイカツ!』『プリパラ』などの人気作品から『ナナシス』や『あんスタ』といった今後ブレイク必至のアプリゲームまで、二次元アイドルコンテンツ全20作品について、企画概要や略史、主要スタッフなどのデータ、並びに独自の基準による比較チャートを掲載!


※印刷版と内容は同じですが、kindle版では一部の図版がカラーになっています。

Amazon内容紹介より)

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2016-05-23

[][]「ロボット法研究会」設立記念シンポジウム

5月21日に、情報ネットワーク法学会の特別講演会として開かれたシンポジウム

場所は慶應三田キャンパス

時間は10時〜18時だったけど、自分は13時過ぎ〜17時くらいまでいたので、そのあたりのレポ

主に、パネル1の「ドローンは日本で飛躍できるか?」について

現状の取り組み紹介

午前から午後にかけて7件くらいの発表があったけれど、そのうち「全脳アーキテクチャイニシアティブ

」というのと「自動運転をめぐる現状」を見た。

前者について、ちょっと細かいところだけメモしておくと、

オープン性を、さらに「開放性」と「透明性」に分けていて、透明性についていくつかあげていたけれど、その中に、AI分散表象ブラックボックス化してしまうという問題があるのでそこが分かるようにすることや、その解釈可能性(AI自身に説明させる)というのを挙げていた。

後者について

自動運転について、政府で、レベル1からレベル4にわけて定義していたというの知らなかった。どのレベルがいつまでに実用化されるか、どのレベルだと誰に責任があるかなども定めているらしい。

総務省の人何人か来てたけど、総務省、というか霞ヶ関の人はどうして1枚のプレゼン資料に文字を詰め込むのか

パネル1 ドローンは日本で飛躍できるか?

司会は、小林正弁護士

パネリストは以下の通り。1人1人発表してからディスカッションするという形式ではなく、小林さんから各パネリストにそれぞれ話題が振られて、それに各パネリストが答えていくという形式だった

  • 野波健蔵

千葉大学。98年からドローンを研究し、今はベンチャーも立ち上げて、ドローンの開発や他企業などと連携してドローンのサービスをやってる。工学的面からの話題を提供。

弁護士ドローンで何か問題が起きた場合の刑事・民事の面からの話題を提供。あと、何かとジョジョとかマンガの話を織りまぜていた。

  • 田原康生

総務省から。電波行政を担当している人。

  • 古谷知之

慶應SFC統計が専門で観光・交通のデータサイエンスやってる人らしい。このパネルでは、ドローンのビジネス面について話題を提供。

  • 寺田麻佑

国際基督教大学行政法ドローンの登録制や免許制について話題を提供


ドローンが普及するには、物流分野が鍵

今はまだドローンが飛び回ったりなんてことはしていないけれど、90年代のインターネットのような状況で、これから当たり前のように飛び回る時代がくるはず、と。

ドローンの仕事は大きく分けて3つ

「データをとる」「物を運ぶ」「作業をする」

「データをとる」→インフラ点検や測量など

「物を運ぶ」→2018〜2020頃には物流Amazon千葉特区の話の他、楽天(と野波さんの会社)がゴルフ場内でのデリバリーサービスとしてドローンを使っている事例

作業する」→将来的には建築などにも


ドローンで使う電波については、Wi-FiやVHFを使えるようにしているらしいのだけど、より遠距離で操作するにあたって携帯の電波も使いたいという要望もあって、実験的に使えるような制度を作ろうとしているらしい。ただ、携帯の電波は地上で使う用に基地局配置してるので、空中で使ってどんな影響でるかはまだわからん、と。


HMD使ったドローン操作は何かビジネスにつながりますか、という小林さんからの質問に対して、古谷さんが「HMDといえばドローンレースですよ!」って話をしてたのが面白かった。

【動画】ドバイで開催された「ドローンレース」が美しすぎる件 / 完全に『F-ZERO(エフゼロ)』の世界 | ロケットニュース24

今年の3月にドバイドローンレースの大会が行われていて、優勝賞金25万ドルで、15歳の少年がいるチームが優勝している。

アラブの王族がお金出してるらしい。

古谷さん曰く、HMD使ったドローン操作は、10代の頃からやった方が熟達が早い。中国韓国ではドローン人材の育成が始まっていると。「ドローン人材」という言葉も初めて聞いたのだけど、なんかすごい。

板倉さんが、子どもたちにドローンやらせるには、コロコロで連載すれば一発ですよって言ってたw 板倉さんは、「ドローン(による犯罪や攻撃)っていうと自分はジョジョのスタンド(バッドカンパニーエアロスミス)しか思い浮かばない」などその手のネタを度々話題に挟んで、笑いを生んでいたw


民法によれば、土地の所有権は土地の上下に及ぶ。

航空法施行規則で、ドローンは地上や物件から30メートルの距離をとらなければならない。逆に言えば30メートル上空なら飛んでいい。でも、30メートル上空にはまだ所有権が効いてる。所有権侵害になるか?

→実際に利用を妨げられる場合を除いて損害賠償などの請求は認められないというのが学説。ほかにもドローンがたくさん飛び交うようにならない限りは、所有権で訴えられることはないだろう、と。

この話、あんまり意味は分からなかったんだけど、なんか聞いてて「法学っぽい」と思ったw


ドローンによる違法行為

盗撮とかだけでなく、銃器を載せるとか、そもそも体当たりでもダメージ与えられるので、そういう攻撃とか。

加害者が誰かわからない場合が多そうなので(損害賠償請求できる相手がわからないので)、給付金制度が必要になるかも、とか。

故意ではなく過失による事故に対して、保険制度をどうするか、とか


犯罪・事故等に対しては、登録制や免許制が有効だろう。

アメリカだと、250g以上はすべて登録制になっている。ただ、日本でも同じようにすべて登録制にするのか、特に大きい機体だけ登録制にするのかとか、いろいろどうするかは考えなきゃいけないとこ。

あと、自動車免許みたく点数制にするのか、とか。自動車だと罰金だけど、飛行禁止とかほかの行政罰も考えられるとか。

空路を設定するとか、自動充電スポットを作るとかも考えられる。


自動充電という話にたいして、野波さんから、バッテリ自動交換機というものをすでに開発している、と。

その上に着陸すると、装置の扉が開いてロボットアームがバッテリーを抜き差しするというもの。かっこよかったw

それから、障害物を回避するための自律飛行について

レーザースキャンと3Dマッピングを使って、周囲の障害物を検知して自動で回避して飛ぶ。すでに、福島のイチエフで導入されている。

ただし、時速10〜15kmしかでない。物流分野で実用化するためには、50km/hはほしいとのこと。

2016-05-21

[][]『別冊日経サイエンス アートする科学』

過去、日経サイエンスに掲載された記事の中で、「アート」に関わる記事を再録した別冊

別冊が、過去の日経サイエンス掲載記事の再録で構成されているのは知ってたけど、初出が70年代80年代の記事も入ってて、そんなところからも引っ張ってくるのかとちょっとびっくりした。

話題としては、結構多岐にわたっており、美術、音楽、建築、小説に加えて、自然美に関わる記事も収録されている。

脈動する磁性流体アート  児玉幸子

ポロック抽象画にひそむフラクタル  R. P. テイラー

コンピューターが明かす名画の謎  L. シュワルツ

ルネサンス絵画 リアリズムの謎  D. G. ストーク

自然楽器とコンピューターの融合 「レポン」はこうして誕生した P. ブーレーズ/A. ゲルソー

トゥバの喉歌フーメイ   T. C. レビン/ M. E. エドガートン

歌声の科学   I. R. ティッツェ

生物の色彩マジック  P. ボール

微の美  K. ウォン

世界の砂  W. N. マック/E. A. レイスティコフ

太陽系 驚異の八景  E. ベル

建築家ライトの傑作「落水荘」を守る  R. スィルマン

水晶宮  F. T. キールステット

ジュール・ベルヌの意外な素顔  A. B. エバンス/R. ミラー

ジオットが描いたハレー彗星  R. J. M. オルソン

時を旅した生物画家  R. ミルナー

脈動する磁性流体アート  児玉幸子

磁性流体彫刻の作者による解説

あのトゲトゲは、液体の波が助長されたもの

磁性流体はもともとアポロ計画の時に開発され、後、防塵シールやスピーカなどに使われているが、芸術との接点はほとんどなかった


ポロック抽象画にひそむフラクタル  R. P. テイラー

ポロックの作品をコンピュータで解析したら、フラクタルになっていたという研究

フラクタルの研究自体は1970年代から行われたものなので、ポロックはそれに先駆けている

フラクタル図形の複雑さを示すDの値は、1.3〜1.5の範囲にあると好まれる。雲の形などは1.3

ポロックは作成年代を追うごとに、このDが大きくなっていき、1952年には1.7にまでなっている。また、1950年には1.9の作品があるが、これは破棄されている。

また、ドリップペインティングなら必ずフラクタルになるというわけではない。筆者は、フラクタルになっているかどうか解析することで、ポロックの作品かどうかを判定した。

ところで、『ART TRACE PRESS 01』 - logical cypher scapeでも、ポロックフラクタルの話がでてきているのだけど、こちらでは、フラクタルで真贋鑑定する話はうまくいかなかったとも書かれていて、わりとさらっと流されている感じ。

ちなみに、この日経サイエンスの記事は2003年のもの

コンピューターが明かす名画の謎  L. シュワルツ

「最後の晩餐」を鑑賞する位置はどこだったのかとか、シェイクスピア肖像画エリザベス女王肖像画を元に創られたのではないか、とか。

ルネサンス絵画 リアリズムの謎  D. G. ストーク

ヤン・ファン・アイクの作品について、ホイックニーは、レンズで投影して描いたのではないかという説を唱えたが、その説に対する疑問点を述べたもの

当時の鏡を創る技術では難しいとか、消失点がないとか

歌声の科学   I. R. ティッツェ

ちょっとだけ読んだ

声帯の構造の話など

柔らかくなったり硬くなったりすることで、普通の楽器よりもコンパクトに音を調整できる的な


生物の色彩マジック  P. ボール

鳥や昆虫などの構造色の話

難しくて仕組み的なことはよく分からなかったが、ウロコムシの構造を応用して今より優れた光ファイバーを作ったり、イカのタンパク質を応用して電圧に応じて透明から不透明に変わるポリマーフィルムを開発したりできるという話

2012年の記事で、このムックに掲載されてる中で2番目に新しい記事


太陽系 驚異の八景  E. ベル

これはイラスト集

建築家ライトの傑作「落水荘」を守る  R. スィルマン

川の上に張り出している部分が、構造的に脆くてこのままだと危ないということで、補強を依頼された設計事務所の所長による記事

基本的には、どんな構造をしているか調査して、こんな構造しててここが危なくて、こういう補強をしたという話

どうも、ライトが色々と間違っていたらしい。例えば、コンクリートに鉄筋入れるとむしろ弱くなると考えていて、構造事務所の人間がライトに無断で鉄筋を増やしたときに激怒したらしい(が、結果的に鉄筋を増やしたことの方が正しかった)


水晶宮  F. T. キールステット

水晶宮が作られた経緯、どのような工法や構造が用いられたか、20世紀建築への影響など

ジュール・ベルヌの意外な素顔  A. B. エバンス/R. ミラー

元々、ベルヌは科学文明に対して批判的な考え方の持ち主だったが、編集者エッツェルが彼を厳しく指導し、科学冒険小説を書かせてヒットさせた、という話

当時のフランスは、科学や工学への関心が高まり、一方で学校がカトリック支配下にあって科学教育が遅れており、教育的小説への需要があった。

エッツェルの死後、悪の科学者が出てきたり、環境破壊をモチーフにしたりした科学批判的な小説を書くようになるが、売れなかったらしい。

アレクサンドル・デュマに励まされ作家の道へ。天文学者アラゴーの弟で冒険家であるアラゴーらが友人で、彼らとの交流で科学や技術の知識を得て、また元々科学や歴史のライターみたいなことをしてたみたい。

月世界旅行』というと、大砲で打ち上げるところ以外は、現代で見てもほとんど間違いがないもので、その大砲で打ち上げるところも、作中で「とても信じられない」と書いていて、実はベルヌはロケットで打ち上げるのが正しいと分かっていたものの、当時だとまだロケットを人々が知らなかったから、あえて大砲にしたのではないか、という推測が、面白かった。

オーベルトもツィオルコフスキーガガーリンアームストロングもベルヌを読んでいた。

元は1997年の記事。真理が其理になっていたり、青年が背年になっていたりする誤植が


ジオットが描いたハレー彗星  R. J. M. オルソン

ジオット「東方の三博士の礼拝」に描かれているベツヘレムの星が、1301年に現れたハレー彗星をモデルにしているという話

これ以外にも、ハレー彗星が描かれていると思われる絵画などを紹介している。

1979年の記事で、このムックに載っている記事の中で最も古い記事だと思われる。


時を旅した生物画家  R. ミルナー

古生物の絵を多く手がけたチャールズ・ナイトについて。

2016-05-20

[]「小説」『文學界2016年6月号(佐藤友哉「離昇」ほか)

佐藤友哉「離昇」

ひさびさにユヤタン

ユヤタン文体みたいなのは、だいぶおとなしくなったなって感じ

話的にも、かつてのユヤタン的なものの残滓はなんとなくあるけれど、だいぶ大人になってしまったなあというか

ただ、読みながら、これ最初の数ページ読んだら飽きるかなあと思いつつも、結局最後まで何となく読んでいた。


その他

はまのんが朝井リョウ書評書いてる!

あと、中島義道永井均書評も見た。

文學界2016年6月号

文學界2016年6月号

2016-05-19

[][]古川日出男「ミライミライ」(『新潮2016年6月号・連載第1回)

かつてソ連に占領統治されていたという架空の歴史を歩む北海道を舞台に、北海道発のヒップホップ=ニップノップを駆使するミュージシャン野狐を中心に、架空の戦後北海道を描く物語


題材に引きつけられて、久しぶりに古川日出男を読んだ。

1972年札幌から始まり、2010年代や1990年代、1945年など、時間があちこちに飛んで進んでいくが、大体以下のような架空戦後史を辿っている。


日本がポツダム宣言を受け入れるも、樺太にいた、いづる大佐率いる部隊が、第二帝国陸軍と称して戦闘を続ける

北海道へ軍を進めたいソ連が、これを奇貨として北海道へ進軍。一方、道内に残っていた旧日本軍もゲリラ戦を始める

北海道ソ連が、沖縄アメリカが占領する

日本は、インドと統合された印日連邦のインディアニッポン州として独立

1972年詩人たちが銃殺刑にあう(立ち読み|新潮|新潮社

アイヌ伝承換骨奪胎した詩でソ連への抵抗運動を行っていた

アメリカ沖縄返還と同時に、ソ連北海道返還を行う

青函トンネルの工事の折、インド人が亡くなり、道庁銅像が建つ

ソ連空軍基地の隣に新千歳空港がつくられるとともに、観光地として千歳動物園が出来る。羆、月の輪熊の他、ソ連から友好の証しとして白熊が送られる。

札幌には、インド人の多い「キャンプ」と、ロシア軍基地がある。

本土では、本場のカレー進出したため、日本風カレーライスは姿を消すが、北海道では生き残り、北海道名物となる一方、ラーメンはあまり。

ロシア語自体は懐かしさをもたらす過去のものになったが、キリル文字表記は数多く残る。

1986年、後に野狐となる男子生まれる(名前忘れた)。

1991年、千歳動物園で、ロシア軍の脱走兵の人質事件が起き、野狐は野狐となる?

野狐は、中学生の頃から友人達とバーのような店にたむろし、中学卒業の頃にヒップホップチームを作る。


もし、北海道が戦後ソ連に占領されていたら、というのは、戦後史のifとしてよく言われることだけれど、この話は、文体レベルで、「もしかしたらそうなっていたかもしれない」という可能性が織り込まれている。

例えば、「もし彼は聞かれていたならそう答えていただろう。しかし、実際には答えていない。」みたいな感じの文が、沢山入ってくる。新潮社のサイトで立ち読みできる詩人達の処刑のシーンでも、「彼らのうち何人かはこう考えていたはずだ」と書きつつ、三人称ながら全知ではなくて、そういう可能性に近いようなことが書きつらなれている。


札幌キーワードにしてラップバトルしたりしてる。

一条通を南に見下ろすビルに、占領時代のソ連の司令部があったらしい。


ところで、道西って言葉が出てきたのはひっかかった*1



新潮 2016年 06 月号 [雑誌]

新潮 2016年 06 月号 [雑誌]

*1:普通は言わない