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心のなかの独り言 内言の科学 C. ファニーハフ
心理学では、声に出さずにいう独り言を「内言inner speech」、声に出して言っている独り言を「私的会話private speech」と呼ぶらしい。
1920年代、ピアジェは、子どもはまだ他人の立場にたって考えられないので、なんでも声に出して言ってしまうので「私的会話」が多いが、それが次第に他人の立場もわかるようになっていくことで、減っていく、と考えた。
1930年代、これに対して、ヴィゴツキーは、子どもは、他人とのコミュニケーションにおいて成功したことをもとに、それを自分に対しても使っているのが「私的会話」なのだと考えた。
相手に対して何かをいって、それで相手が動いてくれたという体験をもとに、自分に対して、自己制御をするのに使っている、というような考え。
近年の研究は、ヴィゴツキー的な考え方により親和的。
筆者が1990年代に内言の研究を始めたときはまだ全然なされていなかったが、この20年で急速に研究が進んだ分野だとか。
fMRIによる研究
モノローグ型の内言とダイアローグ型の内言において、活動している脳部位と、声に出して話しているときの脳部位などを比較
言語野だけでなく、社会的知能と関わっている部位も働いていることが分かった。
内言は、ダイアローグ型のが多いとか。
また、実験において、実験者から言われてやらされている内言と、自発的な内言とでは、脳の中の反応する部位が異なることも分かった(これは、内言の研究に限らず、神経心理学の研究において注意すべきところなのかもしれない、とも)
他に、内言は、省略が多くなる、ということをヴィゴツキーは指摘していて、これを実際に検証しようとしている研究もあるとか。
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