『Newton2018年2月号』『日経サイエンス2018年2月号』

Newton

Newton(ニュートン) 2018年 02 月号 [雑誌]

Newton(ニュートン) 2018年 02 月号 [雑誌]

太陽系で探す地球外生命

タイタン、エンケラドゥス、火星について
タイタンについては、2017年に大量のアクリロニトリルというのが発見されているのが注目を集めているらしい。というのも、このアクリロニトリルは、集まるとアゾトソームという袋状の構造を作るから。
パンスペルミア説には、岩石の中に入ってやってきたという「リソ(岩石)・パンスペルミア説」と、微生物が塊になってやってきたという「マサ(塊)・パンスペルミア説」があるらしい。塊の表面は宇宙線にやられて死ぬけれど、内部は生き残るのでは、と。たんぽぽ計画で実験している。

“デザイナーベビー”は産まれるのか

CRISPER-Casでデザイナーベビーが作られるか、という記事。半分くらいにざっと目を通しただけ。
ゲノム編集の問題点として、似たような別の遺伝子まで編集しちゃう場合と、編集しそこなう場合とがあるらしい。

宇宙の謎に迫るILC計画,「ヒッグス粒子」の研究に焦点

ヒッグス粒子研究に的を絞った修正提案をしているところ、らしい。2018年末までにかためないといけないらしい

6億年後の海は干上がっている!?
隕石の衝突地点がずれていたら恐竜は絶滅しなかった!?

この2つは、なんかネット上のニュースでもみた話題だなあーと

新型ロケットエンジン初公開

H3ロケット用のLE-9エンジンの写真
現行のLE-7よりも構造をシンプルにすることで、信頼性とコストパフォーマンスを向上させる

幻の古代獣ホラアナライオン

これも前ネットニュースで見た
慈恵会医科大の鈴木教授、以前調べたところ、医学と工学と理学の3つの学位持っているという人だった。CTスキャンの研究をしているので、いわゆる医用工学ということで医学と工学なのだけど、それともうひとつ、古生物学も専門にしている、らしい。
シベリアの永久凍土から発見される古生物をCTスキャンする研究をしていて、このホラアナライオンもやっている、と。
今いるライオンよりも大きくて、1〜5万年前くらいにヨーロッパやロシアに生息していたらしい。

タンパク質のカタチをあばけ!

2017年ノーベル化学賞の受賞理由となったクライオ電子顕微鏡
クライオとは極低温という意味で、タンパク質の立体構造を保存することで、電子顕微鏡で撮影が可能になった。
電子顕微鏡で撮影するためには真空にする必要があって、その過程で水分が失われて、タンパク質の構造が壊れるらしい。
解像度が4オングストロームとか2オングストロームとか出てきてすごい
べん毛モーターとかアクチンとミオシンがどうやってATPからエネルギーを獲得しているかとかが分かるようになったらしい。

日経サイエンス

プレート移動の始まりはいつ?

プレートテクトニクスがいつ始まったかについては、10億年前〜42億年前とかなり仮説によって幅があるらしい。近年の研究では、30億年前という証拠がでてきている。
この記事では、35億年前説を支持する証拠が見つかったという話と、それに対する評価(沈み込みが原因とは限らない派と沈み込みが原因だとしてもプレートテクトニクスが始まったとは限らない派)
プレートテクトニクスは、いきなり全球的に始まったのではなく、局所的に動いたり止まったりしながら始まったのではないかという考えが主流
プレートテクトニクスは生命誕生に必要だったという説もあるので、時期推定は慎重になる、とか

子どもの脳に学ぶAI

子どもの脳に学ぶAI | 日経サイエンス
ボトムアップ型のアプローチであるディープラーニングに対して、トップダウン型のアプローチであるベイズモデルについて解説している。
例として、スパムメール判定の学習をあげている。ボトムアップ型の学習だと、メールの中に「100万円当たります」等の文面があるとか発信元がアフリカの小国だとか、そういった要素から判定していく。
一方で、うちの論文誌に投稿しませんかというメールが来た場合、スパムに典型的な文面もなく発信元も普通なのでスパムだとは判定されない。しかし、人間は、送ってきた論文誌が自分の専門とはずれていることや、最近の論文誌は投稿者がお金を払う形式になっていることなどから、このメールが詐欺であることに気付くことができる。
このような推論は「生成モデル」と呼ばれる。生成モデルは、60〜70年代に研究されたが、確率を組み込む必要があった。
近年、ベイズの考え方により、生成モデルと確率とを組み合わせたベイズモデルができるようになった、と。
それでもなお、人間の汎用的な学習には至らない。
ちょっと面白かったのは、筆者の5歳の孫の話として、「大人が子どもに戻るためには野菜を食べてはいけない、何故なら大人になるためには野菜を食べないといけないから」という突飛な推論は、どうやったらできるのか分からない、と

日本版「量子」コンピュータの選択

日本版「量子」コンピューターの選択 | 日経サイエンス
これまでの量子コンピュータ開発の流れがまとめられている。
その上で、D-waveの量子アニーリングや、NTT・NII他のQNNが、計算速度の点で、量子コンピュータに期待されている速度にはるかに及ばない点が指摘されている。
量子コンピュータではないものを量子コンピュータとして発表したQNNのチームだけれど、元々は、ちゃんと(?)量子コンピュータの研究開発をリードしていたらしい。
しかし、あまりにもお金がかかるわりには成果がでないために、2014年に撤退することを決めたらしい。
2014年に方針転換した結果としての、今回のQNNという流れらしい。
タイミング悪いのは、その方針転換を決めた数ヶ月後に、技術的ブレイクスルーとなる論文がでて、世界的には量子コンピュータ研究開発は加速したらしい
なお、この記事には囲みとして、山本プロジェクトマネージャーへのインタビューが載ってるけど、なかなか厳しい
雑にまとめると、日本の研究現場の資金力では、マジモンの量子コンピュータとか無理!→古典コンピュータの範囲内でもっと速いのを作る→量子コンピュータの定義を広くしてこれも量子コンピュータだと強弁すればいいんじゃね、みたいな感じがある。

仮面ライダーの方程式

仮面ライダーの方程式 | 日経サイエンス
この記事は、さわりだけ読んだ。本題である数式の解説自体は読んでない。
筆者は、大学の先輩が東映に勤めていた関係で、急に誘われて、ビルドの物理学アドバイザーになってしまった人で、1989年生まれと若い人だった

間近でみた冥王星 ニューホライズンズがとらえた素顔

間近で見た冥王星 ニューホライズンズがとらえた素顔 | 日経サイエンス
筆者は、ニューホライズンズのプロジェクトリーダーみたいな人で、プロジェクトのスタート時から現在までについて書かれている。
予算規模も小さく、政権交代で一度リセットにされたりもして、開発時間的にも限られる中での実施だったらしい。
ニューホライズンズが成し遂げたことも色々書かれていたけど、知らなかったのは、直径が従来考えられていたよりも大きかったことが分かったこと。そうすると、密度の見積もりも変わるから、内部組成の推定も変わる。
カロン以外の衛星は、全部ニューホライズンズのための観測の中で発見されたらしい。近いわりに潮汐ロックされてない、とか。
面白かったのは、筆者が、冥王星は惑星から外されたけど自分は惑星だと思ってるから、ここでも惑星だって書くからって注釈してるところw
直径の話も、他のカイパーベルト天体の中でも一番でかいことがはっきりしたという意味合いのことも書かれていて、冥王星は特別なんだぞという含みがあった気がするw


読んでないけど、雷で核反応起きる奴の記事もあった
来月は、生命の陸上起源説、楽しみ