織りを

ほぼひと月ぶりに機に糸を掛けました。夕焼け色が好きという依頼を受けて、気に入るかどうか自信がないままに、さくらの思う夕焼け色の布を織っています。人それぞれの思いの色があり、言葉では表せない色を表現するのは大変です。結局はさくら好みの布になるからで、さくらの夕焼けと、知人の夕焼けは違うからです。さくら好みの夕焼け色の糸は、ただ今糸から布へと変わりつつあります。

昨日の朝刊の投稿欄に”閉店したあの本屋さん”と題した一文が載っていました。投稿者の住む街の本屋さんの一軒が閉店し、20年以上前に閉店した行きつけの本屋さんとの、温かなつながりを思い出した事、そのような本屋さんに出会いたい事が綴られていました。

20年以上前にさくらも同じ思いをした事がふと思い出されました。駅ひとつ隣に住んでいた頃、今はコンビニに変わってしまった改札口脇に小さな本屋さんがありました。御夫婦で経営されていて、愛想の良い奥様と、シャイな御主人で、さくらはよく利用していました。奥様はさくらの好みを覚えて下さり、電話で新刊の案内などして下さって、便利に利用していました。開店10年で閉店してしまったその小さな本屋さんを、時々思い出すので、投稿者の思いがよく伝わり、昨今の出版状況を思うと暗澹たる思いを持ってしまうのです。


f:id:sakura1944:20220123233355j:plain:w400
f:id:sakura1944:20220123233401j:plain:w400
f:id:sakura1944:20220123233405j:plain:w400