『赤レンガダンスクロッシング for Ko Murobushi』

2016年2月20,21『赤レンガダンスクロッシング for Ko Murobushi』@赤レンガ倉庫

SideA
スガダイロー(ピアノ)× ucnv(映像)× パードン木村(DubMix) (20日)/空間現代 × ucnv(21日)
岡田利規
core of bells
捩子ぴじん×安野太郎×志賀理江子
<休憩>
Side B
呑むズ(美川俊治、HIKO、大谷能生)×伊東篤宏(20日)/山川冬樹×JUBE×大谷能生(21日)
川口隆夫と大橋可也と岩渕貞太と吉田隆一&吉田アミ
飴屋法水


キュレーション:桜井圭介+大谷能生




岡田利規クワイエット、コンフォート(仮)』
作・出演:岡田利規
映像:須藤崇規
協力:プリコグ



core of bells 『遊戯の終わり』

core of bellsは、近年、あらゆる表現の形式から実人生までも纏め上げるつまみ食い的な制作に磨きをかけながら、観客と共に過ごす時間についての思索を巡らせて来ました。その思索はかたちを変え時代も空間も越えながら蝶のようにひらひらと舞い、僕たちを翻弄します。それでも、しぶとく追い続け、舞い降りたところをつまみあげました。その間にも時間は刻一刻と過ぎ去って行くのです。最新作です。

出演:大塚美保子/徳原彩音伊藤真希子/久保田翠(20日)/田上望(20日)/水島ゆめ(21日)/小林絵美子(21日のみ)
脚本・演出:core of bells


捩子ぴじん×安野太郎×志賀理江子

3/14 thu. 
Painted Bride Art Center -初日。小屋入り前、タクシーを飛ばして、Phiradelphia Museumへ。デュシャンのコレクション。遺作の「沈黙」と「ノイズ」の絶妙の混ざり合い・・・幸せな気分で3回も覗いてた。「独身者の花嫁」のガラスは見事にヒビ割れていた!(これは今夜の自分の踊りに確実に共鳴。)
(JCDN日米振付家交換レジデンシープロジェクト 日誌から by室伏鴻
先月、フィラデルフィア美術館でデュシャンの“大ガラス”を、ムター博物館で石鹸化した人体を見た。“大ガラス”のヒビと、死体=DEAD BODYと、室伏鴻の記憶が響きあっている。(捩子ぴじん)

ダンス:捩子ぴじん
ゾンビ音楽:安野太郎
粉:志賀理江子
衣装協力:藤谷香子(FAIFAI)



川口隆夫と大橋可也と岩渕貞太と吉田隆一&吉田アミ

室伏さんに会ったことはない。作品は桜井さんが企画していた吾妻橋で一度だけ観たきりだ。わたしが最初に「知った」のはおわかれの会のときのことで、わたしはなぜか、その場に居て、いや、なぜか、ではなく、一緒に作品をよく作っている大谷能生さんが、そういうしめっぽいお別れの会とか行きたくないんだけど的なことを言ったのですが、なぜか、そのときのわたしは、なぜか、強く、一緒に行こうよと誘った。そのなぜかはなんなのかいまでもわからないけれど、なぜか強く思って、そういう行動をとった。草月ホールでみたものはわたしの記憶に強く残り、出合える機会はいくらでもあったのに、出合えなかったことについて、ひどく考え込んだ。その日、渡辺さんはなんどもなんどもワインを運んでいて、わたしは少し飲み過ぎた。あのときの、彼女の言葉は、いまでも、すべて、憶えている。

身体をつかった表現はいくら記録しても、再生できない。ひとびとの記憶の中にしか、残らない。それはそのひとそれぞれのものであり、同じ記憶を辿ることはできない。わたしだけのものにできる。

その日、桜井さんに会い、室伏さんのことを話しはじめた、大谷さんは目の前で慟哭し、泣き崩れた。大の大人が慟哭する瞬間を見たのは二度目であったが、それでもその姿に反射的に胸を打たれ、わたしが死んだらこの人はこんなふうに泣くのだろうかと、意地悪な気持ちが芽生えた。だから、わたしはそれをひとごとのように見ていたけれど、わたしは使役の役割をはたしたのだと、少し誇らしげだ。プロスペローの慟哭をシェイクスピアは書かなかったがわたしは知っている。

わたしはその場にいるのにいないような気がしていて、いまも同じようにこうして、すこし離れた場所で輪の中に加われない。知っているもの、知らないものと分け隔てられているのだろうか。生きているもの、死んでいるものと分け隔てられるように。その壁は外され、外へと向けられればいい。

今回の、この、はなしがきたときに、わたしが断らなかった。知らないのなら、関わるな。ぐるぐるとしながら、きっとどこかで、誰かを誘うための口実を、わたしは探っていたのだ。そのきっかけを与えてくれたのだろうか。パーティは終わってしまうし、そのパーティーにわたしは関われない。それでも、いいの?
とわたしは問いかける。

居ない人を強く思う。不在がこの作品のテーマだ。わたしは、亡くなったともだちや家族やこのあと出合えたかもしれない誰かのことを憶いながら誰もいなくなった赤レンガにいま、いる。

あなたがいる世界も、あなたがいない世界も両方わたしは知っている。

作・演出 吉田アミ(吉は土口)
音楽・吉田隆一、吉田アミ
出演 岩渕貞太、川口隆夫、大橋可也

室伏さん、機会を与えてくださって、感謝しています。


飴屋法水 スタンダップエッセイ「メキシコ」
出演:飴屋法水
映像制作:池田野歩
アシスト:西島亜紀、コロスケ.