ワールドカップ2014ブラジル大会レビュー①
ワールドカップが終わって、1週間がたってしまいました。余韻はまだ残っているうちに、レビューを。
まず、ベスト11、というよりMost impressive 11を選んでみたいと思います。
GK:ナバス(コスタリカ)
ベストGKはどの雑誌、批評を見ても、ノイアーとなっています。ベストGKといえば、結果も出しているし、プレーの安定感からしても確かにノイアーでしょう。しかし、ナバスはギリシャ戦やオランダ戦でファイン・セーブを連発し、コスタリカをベスト8まで連れていきました。チームにおける存在感としては、ナバスの方がノイアーより上でした。強い印象を残したキーパーということでナバスを選びました。
DF
カイト(オランダ)
どこでも守り、どこにでも顔を出す、獅子奮迅のベテラン。ファン・ハールの采配を支えた選手です。
ダビド・ルイス(ブラジル)
ブラジルの成功と失敗を一身に体現した誰より目立つセンターバック。ドイツ戦では、ミュラーのマークを外す、オランダ戦ではクリアを中央に戻してシュートを決められる・・・。いくつかのミスにもかかわらず、ブラジルで一番気合が入っていて、身体を張っていました。ベストではないが、最も印象的なDFでした。
ガライ(アルゼンチン)
大会前は、アルゼンチンは守備が弱いと言われていましたが、大会を通じて堅守が光りました。その中心はマスチェラーノですが、ガライもよく貢献していました。
MF
マスチェラーノ(アルゼンチン)
7試合を通して言えば、アルゼンチン代表のベストプレーヤーかもしれません。アルゼンチンの堅守を支えたのは、マスチェラーノの献身と老獪であったかと思います。危険が迫るときに、必ずマスチェラーノが立ちはだかった、という選手でした。オランダ戦でロッベンのシュートを、身体を張って止めたシーンが代表的なプレーです。
ハメス・ロドリゲス(コロンビア)
ベスト8で終わったけれど、MVP候補に挙がった活躍ぶりは、多言を要せず今大会最も印象的であったと言えるでしょう。日本戦でのDFとGKを嘲笑うようなループが記憶に残ります。
ミュラー(ドイツ)
ドイツは、全体が組織立っていて、一人の選手が目立っていたという感じは薄い。その中でも安定した働きを見せていたクロースかミュラーか、ですが、得点ランキング第2位の5得点をあげたミュラーがやはり印象には残りました。
ディマリア(アルゼンチン)
彼が負傷していなかったら、決勝戦の結果も変わっていたかも。準々決勝までの5試合でそれだけの働きをしました。アルゼンチンのメッシ・システムを支えたのはディマリアの運動量。メッシが輝くのも、ディマリア次第というところでした。イグアインやアグエロは残念ながら、十分生きていませんでした。
FW
ロッベン(オランダ)
ロッベンの速さは本当にスピード違反と言えるくらい、異次元の速さでした。しかも、今大会の各試合で非常に高いパーフォマンスで、7試合目の3位決定戦に至るまでスピードが落ちませんでした。スペイン戦のセルヒオ・ラモスをぶっちぎってのゴールやチリ戦のアディショナルタイムの突破など印象に残るプレーを随所に残しました。
メッシ(アルゼンチン)
大会前に、メッシをMVPと予想していました。実際にMVPになったのもメッシですが、メッシ本人や多くのサッカーファンがそう思ったのと同様、メッシはMVPに相応しいとは言えないと考えます。決勝トーナメントまで含めて、最も価値のあるプレーをしたかといえば疑問符が付きます。しかし、それでもメッシが今大会強い印象を世界中のファンに残したことは間違いありません。
ネイマール(ブラジル)
月並みな選択ですが、ネイマールがいなくなって、いかにネイマールの存在が大きかったかがさらにわかりました。ネイマールの負傷させたスニガのチャージは、ゴールシーン以上にたくさん流れました。大会を象徴する選手の、大会を象徴するシーンでした。
ベスト・パス
ゴールには結び付きませんでしたが、アルゼンチン対ベルギー戦前半28分にメッシが出したディマリアへのスルーパス。長くて速いパスが、相手選手の裏を抜けていくディマリアにとおった瞬間はみていて感動しました。(ゴール前のシーン以外で)今大会全試合のすべてのプレーの中で一番印象に残るプレーでした。
ベスト・ゴール
多くの人はハメス・ロドリゲスのウルグアイ戦のシュートを挙げています。オーストラリア対オランダのケーヒルのボレーも素晴らしいゴールでした。
他にも素晴らしいゴールはありましたが、大会を終えて最も印象に残っているのは、オランダ対スペインのファン・ペルシのダイビングヘッドのゴール。正確にいうと、頭に当たってからダイビングしているようにも見えます。
長いフィードのボールがふファン・ペルシの頭に当たり、鮮やかな軌道を描いて、カシージャスの頭を越えていく・・・一連のプレーが残像のように残ります。前回王者スペインを粉砕した試合の最初のゴールとしても、今大会を象徴するゴールでした。
ベスト・ほっこり
アルゼンチン対ナイジェリア戦のGKエニェアマ。ハーフタイムの審判とのやり取りやメッシの頬をつっつくシーンは、2014年のワールドカップの記憶に残る場面の一つです。
ベスト・ゲーム
一番印象に残ったゲームは、オランダ対コスタリカ。スコアレス・ドローでこんなにエキサイトできるゲームは初めてです。攻めたてるオランダを必死でしのぐコスタリカ。時に見せるコスタリカのカウンターにも得点のにおいはしていました。120分が終わった時に、コスタリカは勝てると思ったのではないでしょうか。しかし、PK戦用にGKを交代させるというファン・ハール采配が待っていました。最後まで、興奮させたゲームです。