3月15日付(10)の続きで、隣の市の中央図書館で借りた森満喜子『沖田総司抄』の第一刷を、2月6日付(04)に記述した第七刷を比較して置こう。
私の見た第一刷のカバーは、特に背表紙が褪色、裏表紙もやや褪色している。異同はカバー裏表紙の左下、第一刷「0093―50045―3306 890円」とあってこれはオークションサイトの写真で見た第三刷に同じ。第七刷「第一刷「0093―50077―3306 定価 980 円」算用数字は半角ではないが第一刷・第三刷よりも細く字間が詰まる。
奥付の上部の著者紹介は2023年12月24日付「森満喜子「濤江介正近」(16)」に、第七刷を基準して検討しているが、第一刷では1行め「森 満喜子(もり・まきこ)」と全て明朝体である。続く経歴3行は一致。そして「著書『新選組覚え書』(「沖田総司――おもかげ/抄」)『新選組隊士列伝』(「吉村貫一郎」)『沖田/総司哀歌』」とあり最後は「現住所 大牟田市浄真町136の2」である。下部の縦組み部分は、第一刷ではゆったりと行間を等しく空けて組んでいたのが、第三刷では標題と著者の間に発行日2行を収めていたが、やはりオークションサイトで見た第五刷の写真と第七刷は標題と第一刷発行日の間を1行弱分空け、著者名との間だけ詰める。著者名が若干小さくなっているように見える。以下、第一刷は第三刷に同じ。最下部の横線とその下はオークションサイトの写真には写っていないが、横線の下、左寄りにごく小さく「© 森 満喜子」とあるのは第一刷・第七刷一致、右寄りに第一刷では「0093―50045―3306 」とあったが第七刷では「(定価はカバー・帯に表示してあります) 」とある。
奥付裏の広告「全ての沖田総司ファンに捧げる」の4点の広告については、既に③『沖田総司幻歌』第一刷(1974.11.15)にあるものと同じであることを2月6日付(04)の註【2月16日追記】に指摘した。
これにて、近隣の図書館で借りられる本については<新装版>2冊と一部関連本を除いて一通りメモを取った。<新装版>については改めて検討することにして、これからしばらくは森氏の経歴や係累について確認出来たことを若干指摘して置くこととしたい。(以下続稿)
祖母の蔵書(180)女流歴史小説家
日本の女流作家の歴史小説で、永井路子や杉本苑子のように冊数の多くない人の分をここに纏めて置く。
【來水明子】
題名からして最初歌集かと思っていた。寝間の本棚にあって、若い古本屋が採ってくれた。
・『殘花集』昭和三十八年五月 二 十 日 印刷・昭和三十八年五月二十五日 発行・定価四二〇円・桃源社・257頁・四六判上製本角背函入
私は来水明子(1932.1.26~1999.10.29?)について全く知らず、川口則弘のサイト「直木賞のすべて」の「候補作家の群像/来水明子」によって色々と教えられた*1。第37回・第46回・第47回・第49回と4度直木賞候補になっており、朝井リョウに抜かれるまで、最年少の直木賞候補作家だった。30歳前後で続けざまに『背教者』『涼月記』『短夜物語』の長篇3冊と最後に本書の合計4冊を刊行しているが、以後は、歴史雑誌の書き手として活動していたようだ。
川口氏はブログ「直木賞のすべて 余聞と余分」でも2008年6月1日「読みづらい、って決して欠点じゃありません。一人の女流作家の生きざまです。 第46回候補 来水明子『背教者』」なる記事に來水氏を紹介している*2。
直木賞候補(小説新潮賞候補・女流文学賞候補でもある)来水明子さんも、自殺だったらしい。彼女の作品もそうとう取っつきにくく、しかし読みでのある小説で、好きだ。
— pelebo (@pelebo) 2011年1月17日
オール新人杯作家で、直木賞候補、女流文学賞候補、小説新潮賞候補、来水明子さんの没年月をようやっと追加する。遺された作品は少いけど、忘れ難き作家。
— pelebo (@pelebo) 2011年7月29日
川口氏の関連する tweet も挙げて置こう。ブログのコメントと Tweet の時差が少々気になる。
著書は全て国立国会図書館デジタルコレクションの送信サービスで閲覧可能となっている。殆ど忘れられた、再刊の見込みのない本は著作権切れを待たずにこのような形で閲覧可能にするべきだと思う。そうでないといよいよ忘れられてしまうだろう。そして、著作権保護期間は、改めて50年に戻すべきだろう。ほんの一握りが儲けるだけの仕組みである。どうして70年後の子孫の面倒まで見てやらにゃならんのか。
【樋口茂子】
・PHP文庫 ひ 10 1『小説 壬申の乱――星空の帝王』1996年5月15日 第1版第1刷・定価738円・PHP研究所・445頁※ 帯あり「PHP文庫|今月の新刊」
この本は寝間の本棚にあったと思う。(以下続稿)