瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

稲川淳二「生き人形」(3)

 『日本“怪奇”伝説』版の冒頭見開き左側、071頁左上の縦組み白抜きのリード文も『怪奇事件はなぜ起こるのか』には再録されていませんから、ここに引いて置きましょう。

かつて芝居で使われた少女人形に纏わる、/実際に起きた数々の怪異。/今なお恐怖の増殖を続ける/最凶怪談「生き人形」。/本誌は、この「生き人形」の原典とも言える/人形劇「呪夢千年」の/関係者にコンタクトを取り、/現実的な視点から/伝説の怪談の検証を試みた。/そして、関係者の証言によって/今まで触れられることになかった/数々の事実が明らかとなった。


 071頁の図版は、表紙と同じ写真で人形の太腿まで、また後ろに立つ使い手らしき白塗りの男性まで入っています。頁の右上にゴシック体白抜き縦組みで、

当時の貴重な資料から。/白塗りの男性が左手に持っているのが、/「生き人形」の少女人形である

とのキャプションがあります。同じ写真は『怪奇事件はなぜ起こるのか』103頁下左にあって、下右にゴシック体横組みで「芝居では少女人形と少年人/形が対で使われた。シュー/ルな内容だったようだが、/映像は残っていないという」とのキャプションがあります。
 ついでに『怪奇事件はなぜ起こるのか』の図版を確認して置きましょう。103頁上段には2体の人形が、少女が騎乗位で性交している場面の写真があって、下右にゴシック体横組みで小さく「『呪夢千年』のワンシーン。/少女人形の表情は角度によ/って恍惚となる」とのキャプションが附されています。同じ写真は『日本“怪奇”伝説』では079頁上段に掲載されており、図中左上にゴシック体縦組み白抜きで、

「呪夢千年」の貴重な写真。
"人形ストリップ"などと紹介されることもあったが、/呪夢千年は前野の「夢幻世界」のエッセンスが凝縮された/人形劇であり、この独特な世界観は、海外で評価された

とのキャプションがありました。『怪奇事件はなぜ起こるのか』の図版はもう1点、107頁左下に、下にゴシック体横組みで「人形劇を通じて人間の内面を追究した孤高の表現者・/前野博」とのキャプションがある、腕を組んで斜めに遠くを見詰めた上半身の写真があって、『日本“怪奇”伝説』では085頁左側に黒地で別枠になっている「異才の人形師/前野博の軌跡」に挿入されていました。この前野氏の写真は公演パンフレットから採られています。

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 稲川氏の「生き人形」については、ネット上にもnekota氏のサイト「実話怪談の真相」に「②「生き人形」特集」として、公演パンフレットの写真と、人形に憑いているとされた「空襲」で死んだ「戦前に赤坂にあった青柳って料亭の7歳になる女の子」の実在の可能性についての調査(2006.12.12)が示されています。nekota氏は非常に真面目に調査をしているのですが「③呪われたレストランの怪談」の調査が所期の目標を達しなかったことで嫌になってしまったらしく(違うかも知れません)そのままになっています。(以下続稿)
2021年6月12日追記】2019年3月に geocities のサービスが終了したために「実話怪談の真相」は閲覧出来なくなっている。移転等もしていないようだ。