瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

事故車の怪(4)

 まづ小池壮彦『幽霊物件案内2』を取り上げたけれども、割合早い時期の、著者の知人たちが実際に体験した話になっていることは、最初に取り上げる例に相応しいと云えよう。尤も、この〈自動車怪談〉の記述についても、2016年11月19日付「鉄道人身事故の怪異(10)」に指摘したのと同じような危うさを感じてしまうのだけれども。しかしながら、見た資料については不満も含めて紹介して置く主義なので、一通りメモはして置こう。
 昨日の続きで4話め、166頁6行め〜168頁3行め「呪いのフェアレディZ」を見て置こう。これは3話め「呪いのソアラ」の事故で、助手席にいながら無傷であったイソノの車に関する話で、この2話は連続している。イソノはヨシナガの友人らしく162頁13行め「イソノという男の運転するフェアレディZ」という書き方からして、小池氏とはソアラの事故の日が初対面であったようだ。冒頭、166頁7〜10行め、

 タンゲのソアラによる事故があったのち、イソノ所有のフェアレディZも呪われていることが判明/した。これは、私がソアラの事故で入院していた最中の話である。
 前の話に出てきたヨシナガが、私の病室を訪ねてきた。聞けば、イソノの車が粉みじんになったと/いう。あいかわらず彼らは無事なのだが、危機一髪ではあったらしい。


 ここまで続くと何だか、かつて若い子にウケた駄洒落をしつこく繰り返すオジサンを見ているような気分にさせられるが、やはりオチも、そうなのである。167頁15行め〜168頁3行め、

 この事故は、イソノの運転ミスということで処理されたが、なぜハンドルがきかなくなったのかに/ついては疑問が残った。イソノも多くを語らなかった。警察が調べたところによれば、ハンドルにO/型の血液が付着していたという。事故時のものと見られたが、イソノの血液型はAB型だった。その/後の調べで、車内のあちこちに、真新しいO型の血痕が散らばっていることが判明した。念のために【167】言うと、ヨシナガの血液型はB型である。誰の血がついていたのか、結局わからなかった。
 イソノのフェアレディZも新車だったことから、いつ悪霊がとりついたのか不明だが、とにかく廃/車になった。しかし一説に、この車も修理されて売りに出されたともいう。


 ヨシナガは直前まで同乗していたが、事故発生時には乗っていなかった。ヨシナガは「粉みじんになった」と言ったらしいが、どのくらいの壊れ方なら修理が可能なのか、私に知識はないけれども、大袈裟に云っても「大破」相当であったらしい。――それにしても「しかし一説に」とは、また一体どこから出て来た説なのだろうか。
 そして5話め、168頁4行め〜170頁14行め「安すぎる車の内幕」が、ここまでの話題の纏めになっている。冒頭を抜いて置こう。168頁5〜8行め、

 呪われた車が、安く売られているという。
 確かに素性のあやしい安すぎる車が、市場に出まわっている。
 某社の中古車販売担当の人に事情を聞いた。
 
 ――呪われた車の話というのがあるんですが、確かに、恐ろしく安い車がありますね?


 以下インタビューになるが、この人は怪談を肯定することなく、事故車か盗難車か、とにかくそれなりの理由があるはずだから気を付けた方が良い、と云う常識的なところに結論している。(以下続稿)