瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Agota Kristof “Le Troisième Mensonge” (2)

アゴタ・クリストフ/堀茂樹 訳『第三の嘘』(2)
 これまでに見た単行本の諸版、平成4年(1992)の初版・5版、平成6年(1994)の14版、平成7年(1995)の15版・19版・21版・23版について比較して見た。
 私がこれまでに見た三部作の前2作、6月10日付「Agota Kristof “Le Grand Cahier” (6)」に見た三部作の第1作『悪童日記』及び、6月11日付「Agota Kristof “La Preuve” (2)」に見た第2作『ふたりの証拠』の単行本のカバーは、平成3年(1991)の初版から(何故かこれらもやはり)平成7年(1995)までの増刷しか見ていないのだが、いづれも一致している。しかるに、本書のみカバーに異同があるのである。
 その、カバー裏表紙折返しの著者紹介文については、5月29日付(1)に、当時見ていた初版・5版・15版について、15版にて末尾の記述が削除されていることを指摘して置いた。――その後、見た諸版のカバーだが、19版・21版・23版はこの著者紹介文に限らずカバーそのものが15版に一致している。問題は14版がどうなっているかだが、著者紹介文は15版に同じなのだが、カバー裏表紙が15版とは異なっている。いや、カバー裏表紙は初版・5版・15版・19版・21版・23版がいづれも一致しているのに、14版のみ異なっている。すなわち、私の見た14版のカバーは、23版刊行よりも後に掛け替えられたもの、と云うことになるのである。
 具体的に見て置こう。カバー裏表紙の左上部、装画の上から長方形(7.1×5.1cm)に少し白くしてバーコードや定価表示等を収める。バーコード1つめ「9784152077493」は一致、2つめは初版・5版・15版・19版・21版・23版は「1910097016008」で、14版のみ「1920097015536」である。その下のISBNコード「ISBN4-15-207749-2」は一致、その下の1行が初版・5版・15版・19版・21版・23版は「C0097 P1600E」であるのが14版のみ「C0097 \1553E」となっている。最後の行、初版・5版・15版・19版・21版・23版は小ぶりなゴシック体で「定価1600円(本体1553円)」とあったのが、14版は明朝体(数字は times new roman)で「定価(本体1553円+税)」となっている。
 本体、本文にも手直しがあるかも知れないが、そこまで検討出来ていない。
 確認出来た異同はやはり奥付である。まづ発行日の2行が、当然のことながらそれぞれの版で異なっている。
 それから『悪童日記』『ふたりの証拠』と同じく、電話番号と振替番号が、初版・5版は「電話 東京(3252)3111(大代表)/振替 東京・6-47799」で『悪童日記』初版・13版・14版『ふたりの証拠』初版に同じ。14版・15版・19版・21版・23版は「電話 03−3252−3111(大代表)/振替 00160−3−47799」となっていて『悪童日記』24版『ふたりの証拠』17版・22版に同じ。
 そして最下部に、14版・15版・19版・21版・23版には5月31日付「Agota Kristof “Le Grand Cahier” (3)」に注意した2行「落丁・乱丁本は小社制作部宛お送り下さい。/送料小社負担にてお取りかえいたします。」が『悪童日記』14版・24版『ふたりの証拠』17版・22版と同様に追加されているが、初版・5版には『悪童日記』初版・13版『ふたりの証拠』初版と同じく入っていなかった。
 すなわち、初版と5版*1、それから14版・15版・19版・21版・23版とは、それぞれ発行日以外は一致しており、さらにそれぞれの本に固有の情報(書名・発行日・ISBNコード)を除いて、奥付の形式や訳者・発行者・版元・印刷所・製本所などは『悪童日記』及び『ふたりの証拠』と一致しているのである。
 奥付の裏には上部に横組みで「東欧からの新しい風」と題する広告があり、右に『悪童日記』が「衝撃の第一作 」左に『ふたりの証拠』が「驚愕の第二作 」云々と紹介されている。この広告は私の見た諸版とも一致している。(以下続稿)

*1:8月12日追記】4版も同じ。