瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(160)

 昨日は別に昔のことを書きたかった訳ではなくて、国立国会図書館デジタルコレクションが便利になった、と云う前振りをするつもりが、あらぬ方向に話が展開してしまったのです。
・「經濟雜誌ダイヤモンド」第二十七卷第七號(昭和十四年三月一日發行・特價金八十錢・ダイヤモンド社・二七二頁)
 赤マントの流言についてのジャーナリストの反応は、ちくま文庫『犯罪百話 昭和篇に再録されている大宅壮一(1900.9.13〜1970.11.22)の「「「赤マント」社會學」が掲載された、昭和14年(1939)4月1日発行の「中央公論」第五十四年第四號については、2013年11月18日付(28)から2013年11月25日付(35)に掛けて紹介・検討して見ました。それから2016年8月1日付(151)及び2016年8月2日付(152)に全文を引用した、「東京日日新聞」編集局主幹の阿部眞之助(1884.3.29〜1964.7.9)の「赤裏のマント」が、昭和14年3月12日発行の「サンデー毎日」第十八年第十三號(三月十二日號)に掲載されたものですから、大宅氏よりも早い時期の反応となります。
 そして、まだ終息する前に書かれたと思しきものとして、近藤操(1894〜1979)*1「赤マント事件の示唆【旬評】」があることは、昨年来*2国立国会図書館デジタルコレクションに載るようになって、しかし公開範囲が「国立国会図書館内限定」なので行こう行こうと思いつつそのままになっていました。女子高講師時代には放課後に少し時間を見付けて通ったものでしたが、今はそんな余裕がないので、漸く、先月末に久し振りで国会図書館に出掛け、登録利用者カードが有効期限切れ(!)になっていたので新規作成して、早速端末で閲覧して見ました。
 表紙の上部にゴシック体横組みで、やや大きく「誌 雜 濟 經」その下に大きく「ドンモヤイダ」その下に「(〈リ限/号本〉)錢拾八價定 號別特季春」2本の子持線の間に「號 七 第 行發日一月三年四十和昭 卷七十二第」とあって、その下は3段の企業広告。なお、右枠外に第三種郵便認可の日付の下に「〈昭和十四年二月廿六日印刷納本/昭和十四年三月 一 日發  行〉(毎月三回壹の日發行)」とある。Wikipediaダイヤモンド社」項の「沿革」の節に「1946年(昭和21年)9月 - 「ダイヤモンド」誌を旬刊化」とありますが、大正8年(1919)4月から月3回の旬刊になっています。――大正2年(1913)5月創刊時は月刊、大正6年(1917)1月からは1日と15日の月2回刊、そして旬刊になって以降は昭和20年(1945)、終戦前後の休刊時期を除いて旬刊が維持されています*3。そして「1955年(昭和30年)/3月 - 「ダイヤモンド」誌を週刊化 新聞社系しかなかった中で日本初の出版社系週刊誌となる」とあるのですが、国立国会図書館デジタルコレクションの「目次・巻号」欄を見るに、週刊化したのは昭和31年(1956)3月だと分かります。旬刊化の時期も週刊化の時期も間違っていると云うのは、一体何に基づいてのことかと思ってしまいますが、こうして居ながらにして確認出来るようになったのですから有難いことです。
 表紙裏は4段の企業広告で、小口側の上部にゴシック体縦組みで小さく「ダイヤモンド 昭和十四年二月廿一日号」とあります。以下、一頁以降は「ダイヤモンド 昭和十四年三月一日号」と正されています。恐らく前号の版をそのまま流用したために、所々不注意で直し損ねたところがあるのでしょう。
 一頁は4段の企業広告、二・五・七〜一〇・一六・一七頁は全面広告。三・四・六頁は2段、一一頁は3段。
 一二〜一五頁は「目次」。一三頁6行めに、

赤 マ ン ト 事 件 の 示 唆【旬評】…………………… 近  藤  操 ……七二

とあります。算用数字は半角。
 一八頁から本文で5段組、冒頭2段抜きで「經濟雜誌ダイヤモンド 第二十七卷 第六號」ありますが、これも前号の版を流用して直し忘れたのでしょう。
 二七二(1376)頁、下半分は広告(左右2社)で上半分は3段、3段め左に奥付、「昭和十四年二月廿八日印刷納本/昭和十四年三月 一 日發行」との印刷納本・発行日は、表紙の匡郭右辺の外に入っていたものと印刷納本日が異なります。
 裏表紙の裏は広告2段、裏表紙は3段で、左下匡郭外に「特價金八 十 錢(送料四錢)/   (滿樺は一割増)」とあります。(以下続稿)

*1:近藤氏の経歴については未だ調査していない。昭和11年(1936)には、12月に「東京日日新聞」に統合される「時事新報」の社説部長だった。【10月7日追記】近藤氏の生没年はWeb NDL Authoritiesに従って(1895〜1979)としたが、10月7日付(164)に参照した日本宰相列伝10『加藤高明』の「著者紹介」に「明治二十七年」とあるのに従って訂正した。

*2:「ダイヤモンド : 経済雑誌 = Diamond : economic journalの書誌情報」の「利用可能日」に「2017-05-26」とある。

*3:昭和20年12月中旬号と下旬号は発行されなかったのか、それとも国会図書館が所蔵しないのか不明。