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さめたパスタとぬるいコーラ

2011-10-03

初見で理解できなかった部分を理解できた気がする 『ピングドラム』12話感想

| 03:44 | 初見で理解できなかった部分を理解できた気がする 『ピングドラム』12話感想を含むブックマーク

12話、素晴らしい内容でした。

ヒマリは一度は死んだキャラ。なのにもう一度死んで、それも「王道」な死に方だったにも関わらず、物凄く心動かされてしまった。カンバの哀しみも、「どうして俺じゃ駄目なんだ」という叫びも心に刺さった。予想通りの部分と予想外の部分が程よく混在する冒頭の回想からグイグイ引っ張られた。

そんな力強いメインストーリーの引率があったからこそ、否応なく頭に流れ込んできた「メリーさんの話」が、そこだけ、「なんだか不思議なものを見た」という以上の感想を持てなくてもどかしかった。なんといっても初見では「りんごの樹」どころではなく、目の前でヒマリちゃんが死にそうで、それどころではなかったから。「初見では」というか、二回目に観た時もそうだったけど。

しかし、「おとぎ話風」に描かれて虚をつかれたので戸惑ったというだけで、これって実は、幾原監督が最近インタビューでよく話題にする「幸福論」と合わせて考えてみると、びっくりするほどストンと来るのではないか。ちょっとじっくり読んでみて欲しいのだが・・・。

まず、本編で核となっていると感じた台詞を一つ引用。

かつてりんごの樹は、その輝きで世界の未来、夢、愛を照らしていたのです。(りんごの樹が枯れて)世界は闇につつまれてしまいました

次に、以前こちら(http://d.hatena.ne.jp/samepa/20110717)でも引用した、「ikuniweb」の監督の言葉から引用。

幸福とは幸福を探すことである 2009年06月16日(火)

 

戦後、経済成長を経て日本は近代化した----。

そんな論調をメディアで見たり読んだりするたびに奇妙な違和感があった。

“何か”が抜け落ちているような気がしていた。

 

100年に一度の不況だと言う。

お金が無くなって、日本人もようやく分かっただろう。

近代化とは“幸せの価値”が人それぞれになることだって。

なんだ、そんなことか。

いやいや、結構、それって難しいんだ。

 

古いメディアは、相変わらず「格差」だと「婚活」とか言ってるけど、みんなそんなことはどうでもいいって分かっている。

いい学歴を得たって、高い収入を得たって、大きな家を買ったって、そんなことで幸せになれないってことは、みんなとっくに知ってる。

幸せの価値がひとそれぞれってことだとすると、そこで最も大切なのは“想像力”だ。

メディア“幸せ”を教えてもらわないと不安な人には難しい。 

他の誰にも、それが分からなくっても、私には分かる。

“私だけの幸せ”を想像する力。

それだけでいい。

 (以下略)

 

※強調は全て引用者による

http://www2.jrt.co.jp/cgi-bin3/ikuniweb/tomozo.cgi?no=491

 

どうでしょう。個人的にはもう、「メリーさん」云々を飛び越えてピングドラム」みーつけた、という勢いなのですが。この監督のブログで語られたものに近い話が『季刊エス』の10月号(→Amazon CAPTCHA)の監督へのインタビューでガッツリ語られ、先日発売されたばかりの『オトナアニメディア』の2号(→Amazon CAPTCHA)のインタビューでも当然のように出てきます。

前の世代の人たちによって作られた「幸せの価値」がもう通用しなくなっている。物質的な豊かさとか、所謂「社会的成功」とかが、最早ヒトの幸せとイコールに無い。幸せが何なのか、見失ってしまう、いや、そもそも見つけるのも難しい時代。それは、りんごの樹が枯れてしまっているから。「僕達には未来なんてなく、きっと何者にもなれないってことだけがはっきりしている」とまで言わせている脅迫観念。それらを打ち消すほどの「未来、夢、愛」を持たせてくれるマジックアイテムが「ピングドラム」であり、また、視聴者にとっては『輪るピングドラム』という作品そのものが「ピングドラム」になるよう、幾原監督は色々仕掛けているんじゃないでしょうか。

 

おっと、最後にちょっと飛躍してしまいました。今回一番の趣旨のはずだった「メリーさん」の話に絞っていま一度まとめてみます。

メリーさん=高倉剣山(いうまでもない?)

三匹の羊=高倉三兄妹(これもいうまでもない?)

二匹の黒兎=最後に出てきた二人の少年(これも(以下略))

りんごの樹昔は存在した、“幸せの価値”の指標となるものピングドラム」?

↑個人的にはこの簡単な構図を自分の中に組み立てられただけで、12話が驚くほど気持ちよく観返せました。

ちなみにこれを踏まえてプリクリ様の言葉を聞き返すと、ますますテンションが上がってきます。↓

やれやれ、ヒトというのはほとほと学習能力に乏しい生き物だな、やむ終えまい。では最後に一つだけ良い事を教えてやろう。ヨッコイショっと・・・。聞け!呪われた運命の子らよ!お前達はピングドラムを失った!世界は再び闇兎を呼び込んだ。そう!運命の日は、すぐそこまで近づいている!(崩れ落ちるプリクリ様)ピングドラムを手に入れろ・・・。妹の命を救いたければ。己を縛る、運命から逃れたければ。そのレールを切り替えたければ。ピングドラムを見つけて・・・ヤツを、止めろ・・・。

 

闇兎というのは「メリーさん」のお話にもでてきた、剣山をそそのかした兎たち(=サネトシにくっついてた子ども達)の事でしょうか。「ヤツ」というのがサネトシの事であれば、「止めろ」とはどういう事なんでしょう。「ピングドラム」が「“幸せの価値”の指標となる」概念のようなものであると仮定すると、それをサネトシが自分の都合の良いように書き換え、人々に植え付けようとしているとか?

うーん、いよいよ妄想が膨らみすぎてきたので、これより先は次回の放送を待ちたいと思います。それと本日発売の「ノルニル」のCDと、90ページの特大ピング特集が組まれた『オトナアニメ』の22号(Amazon CAPTCHA)の発売もとっても楽しみです。(※ややこしいけど、『オトナアニメ』と『オトナアニメディア』は別雑誌w)