アルプスの少女ハイジ

  • 第49話 ひとつの誓い

おばあさんはクララが歩けるようになることを期待して、しばらく近くの温泉地ラガーツに滞在することにしました。
しばしのお別れに際しておばあさんは村の子供たちも招いて冬の家でパーティを開きます。
走りまわる子供たちを見てクララは自分も駆け回りたいと思います。おじいさんはクララに言います。「立って歩きたいと強く思っていれば必ず歩けるようになる。慣れない事をするのだからくじけるかもしれない。今クララに一番必要なのはがんばりだよ」
心の底から強く願えばできる。
これは制作者たちから子供たちへのメッセージであると同時に、制作者たち自身が心の支えにしていた言葉でもあったのだろうと思います。
宮崎駿の著書「出発点」にハイジ制作当時のお話が紹介されています。出発点―1979~1996
アニメーター志望の若者を対象にした講演で「ある仕上げ検査の女性」というタイトルのエピソードです。週40本のアニメ作品が制作される状況の異常さ。一週間を7日間に決めたというバビロニア人を恨んだりしつつも、とにかく少しでもよい作品を作ろうとする現場の人たちの姿が語られています。
その仕上げ検査の女性は毎日2時間睡眠で仕事をしていました。宮崎駿はそれはひどいだろうと、会社にかけあったり、せめてもと風呂を作らせたりするのですが、その宮崎駿自身が彼女の仕事っぷりに信頼を寄せ、どんどん仕事を任せてしまうのです。どうしても色の塗りなおしをしたいとき、それは彼女のたった2時間の睡眠時間をも削ることになると知りながらも、宮崎駿は頼むのです。そして彼女は「仕方がないですね、やります……」と引き受けてくれたというのです。

 そこまでする理由は、テレビという非常に日常的なものの中でも、子どもたちがアニメの「ハイジ」を見たときに、単にかわいい、美しい、楽しいだけでなく、本当に喜びを感じるような作品を送り出していきたいと考えるからなんです。日常的なテレビのワクを超えたかったわけです。

ハイジを観ていて、びしびしとその心意気、志の高さが伝わってきて、わたしの心を震わせます。

  • 第50話 立ってごらん

まわりのみんながクララに期待を寄せるなかでクララはプレッシャーに押しつぶされそうになります。そしてフランクフルトに帰る!と言い出します。おじいさんがやさしく諭します。
「誰もクララのことを責めてはいないんだ。みんなせっかちなだけだ。」
「こんなことをやっていても本当に歩けるようになるだろうかと思ったりすることある」
心のなかを見透かされたクララはドキッとする。
「なにを習っていてもそう思うときはあるもの。いつ歩けるようになるかなんてどうでもいいこと。」
そういってクララをはげますのでした。
一方、ハイジはいまいち練習に一所懸命でないクララにいらだちを覚えます。そして思いっきりクララの弱虫ー!!とか言って走って行っちゃいます。クララはハイジ!って言って思わず立ち上がっていました。ハイジが振り返ると立ち上がったクララが。駆け戻ったハイジとクララは喜びに涙するのでした。

  • 第51話 クララが歩いた

車椅子があっては頼ってしまうと考えたクララはおじいさんに車椅子を納屋にしまってもらうように頼む。しかし、また車椅子が恋しくなって、納屋からひっぱり出そうとするが、車椅子はガラガラーと転がって岩にぶつかって壊れてしまいました。
そのことをおじいさんに知られてクララは自分が恥ずかしいといって泣きます。
おじいさんはクララの気持ちがよくわかるよと言って、なぐさめてあげます。
クララの気持ちのゆらぎ、それを暖かく大きな心で包み込むおじいさん。
思わず声を出して泣いてしまった自分です。
おじいさんはクララを山の上のお花畑に連れていってあげます。そこでクララは歩いてお花を摘んだりできるようになったのです。やったねえ、クララ。

  • 第52話 また会う日まで

山にクララのおばあさんとおとうさんがやってきます。クララが立てるようになったことはまだ秘密です。山について、車椅子から立ち上がって迎えてくれたクララを見て、ふたりともびっくり、そして大喜びです!
クララはおばあさんとおとうさんと一緒にフランクフルトに帰りました。
春になったらまた山にくることを約束して。
フランクフルトのおうちではロッテンマイヤーさんもクララの歩く練習を応援してくれました。
この人も少し変化があったようです。
おわり