ゾンビ、カンフー、ロックンロール このページをアンテナに追加

2016-08-31

2016年8月に見た映画 2016年8月に見た映画を含むブックマーク

どーも! エンタメ味音痴でぇ〜〜す!

よろしくぅ〜〜→ https://filmaga.filmarks.com/articles/809/

『アンフレンデッド』

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5人の高校生がネットいじめが元で自殺した少女のアカウントから執拗な脅しを受けるサスペンスホラー。全編、主人公少女が使うPCのモニターのみで進行していく。スカイプにフェイスブックにメールにITUNE選曲までが恐怖演出に組み込まれているのが見どころ。途中、ITに強いオタク(でぶ)がウィルス除去ソフトを全員にダウンロードさせ、一時的にではあるが“幽霊アカウント”を追い出す。アメリカ幽霊はとことん物理攻撃に弱い。

『ハイ・ライズ』

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JGバラードの同名原作小説映画化。タワー・マンションの階層がそのまま階級の格差になっていき、停電によって下層の暴動が起こって文化レベルも変わっていく。原作はほぼ原始人みたいになって「せんたっきってなんだっけ……」みたいになるのだが、映画では中世くらいの文化レベルに。ミニマム・トゥ・マキシマムで小さな社会を描きながら世界全体を象徴させようということなんだと思う。たぶん。しらないけど。

『國士参上!!〜昭和最強高校伝』 1話/2話

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国士舘大学付属高校卒業生による学閥映画。『パッチギ! LOVE & PEACE』で「国“土”館高校」として悪役に回らされたことが気に入らずに作ったということだ。しかし、元不良によるイイ湯加減の思い出話から一歩も出ていない。劇場には国士舘エンブレムを付けたジャケット着用のOBたちが勤める案内係と、カタギには見えない観客たちが「おお!久しぶり!」などと挨拶をしていたので、学園祭ででもやってくれという思いを抱かざるをえなかった。

X-MEN:アポカリプス

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『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』から続く仕切りなおしで、80年代にシリーズ人気を不動のものとしたメイン・メンバーがようやく出揃った感のある最新作。分子構造を操れるという、およそ考えうる限り最強のパワーを持ったミュータント「アポカリプス」と、ストーム、サイロック、エンジェルアークエンジェル)、マグニートの「フォー・ホースメン」vsX-メンの戦い。ド派手なパワーが激突する2時間半の長丁場をかっさらうのはクイック・シルバーである。X-マンション爆破の危機を、終始フザケながら救う様子こそ、本作一番の見どころだろう。

ゴーストバスターズ

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メンバーを女性シフトした新生ゴーストバスターズヒロインは、クリス・ヘムズワース

コチラ見てみてねー>https://filmaga.filmarks.com/articles/842

ソング・オブ・ラホール

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パキスタン。イスラム原理主義の台頭によりコーランで「好ましくない」とされている音楽が衰退し、音楽家消滅危機に陥ってしまう。そこで、パキスタン特有楽器を使いジャズ演奏世界アピールを始める。効果はテキメン、アメリカリンカーンジャズセンターよりセッションコンサートの誘いを受ける。本作は、そのコンサート当日までのてんやわんやを追っていく。見た人全員が胃をキリキリと痛めたであろう、シタール奏者をめぐるドタバタが、もう! ほんとに! ねえ! それに引き換え、呑気で太くで本番に強いタブラパーカッション)奏者じーさん3人組のグルーブ感には尻が自然と揺れる。

ジャングル・ブック

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ディズニーアニメ版ベースにした実写リメイク。変更はそれほどドラスティックものでは無いが、見事に根幹的なテーマは塗りつぶされて、似てはいるけれど全く違う代物に成っている。

イレブンミニッツ

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スコリモフスキ新作。さまざまな人々の11分間を解体し、構築しなおし、積み上げて、壊す。観ている途中から絶対にイヤな終わり方だろうなぁと思わせる臭気が芬々と漂い、不穏さをおなかいっぱいに味わうこととなる。

『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』

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まり、「亀が人状になって、しかもニンジャでニューヨークの下水に住んで、悪のニンジャ宇宙人、サイやイノシシの怪人と戦う」映画なワケで、そこにリアリティなんて微塵も必要無い。ワイヤーフレームで敵の要塞を表した画像にピピピっと分析する風な音が鳴り「クランゲ」と出たなら、それは「クランゲと要塞テクノドームである。これこそマンガ映画化の正しい姿だ。

ライトオフ

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電気を消した暗がりの中だけは自由に動ける幽霊。という明確な設定があるために、「おばけ怖い」から「おばけ倒しちゃる!」へシフトし、ホラーアクション映画になっているのが大変素晴らしい。

『A Flying Jatt』

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聖なる樹の精霊が乗り移った小学校の体育先生が、スーパーパワーを発揮して悪者と戦うインドのスーパーヒーロー映画。敵役にリクタス・エレクタスことネイサン・ジョーンズが出演。インド映画上映グループ“SPACE BOX”さんによる英語字幕上映。“ぶつ”“おなら”などのフィジカルギャグに来場したインドちびっこ大爆笑! ヒロインのジャクリーンフェルナンデスにお父さん大興奮! で、劇場が揺れに揺れる大変素晴らしい映画。もうね。おならブーで劇場ドッカン! とか幸せ過ぎでしょう! おなら二発目がブヒョーみたいな若干ウェットなのとか笑い過ぎで死ぬかと思った。

スター・ウォーズ クローン・ウォーズ ロスト・ミッション』(全13話)

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打ち切りが決まる前の時点で、すでに作られていた13エピソードを収録したBD。「オーダー66」をめぐる陰謀や、銀行が共和国連合にカラ手形出してすっとぼけたり、といったツラくて暗い話と、ジャージャー・ビンクスのロマンスという誰も望んでいないエピソードが続く。

『ズーランダーNo.2』

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前作も銀座シネパトスでのアリバイ公開のみだったと思うが、続編はすでにソフト・スルーという憂き目に会っている。しかし「ズーランダーの続編!」で思い浮かべる作品に対する期待値は上回っている。ベネディクトカンバーバッジの「オール」最高。

『ヘルケバブ』

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トルコのホラー。山奥の廃警察署に巣くう謎の邪教集団に襲われるオッサン、という話。前半のフリがタルいが、不気味集団が登場してからの後半、一気にテンションが上がる。特に拷問センスの良さが光っている。パースペクティブの狂った個性的身長の邪教リーダーは暗い画面に映える。

『笛を吹く男』

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童話ハーメルンの笛吹き男」を、二次大戦終戦直後の韓国山間部の農村に置き換えて翻案した作品。もともと気分の良い話では無いのに加え、実写の人間が演じることでイヤさ倍増。最高にイヤな気持ちにさせてくれる。

『グッドナイトマミー』

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包帯ぐるぐる巻きで帰ってきたお母さんに困惑する双子兄弟。ドイツの農村部のじっとりした湿度をカラカラに乾いた視点で見せていくのがオシャレなミステリーホラー

バズビー・バークリーの集まれ!仲間たち』

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1930年代から40年代にかけてミュージカルの振り付け師として活躍したバズビー・バークレーの1943年の監督作。しつこいくらいのアクション繋ぎで続いていくミュージカルが楽しい

『Raman Raghav 2.0

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70年代にインドで実在した40人以上殺した連続殺人鬼に着想を得て作られたミステリーホラー。人を殺すことにあまり頓着しないサイコパスと、警察官じゃなければやくざにしか成りようが無い不良警官、という見たことのある設定だが終盤で一気に跳ねる。歪さゆえに孤独であった2人が出会い、歪さゆえに共鳴する。コミック版『殺し屋1』オチを思わせる異形の魂の焦がれるような出会いが傍目には地獄という素晴らしさ。

『Phobia』

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広場恐怖症の画家が移り住んだアパート怪奇現象に襲われるホラーなんだけど、芯になる部分で、とあるサブジャンルが通っている。これをバラすとネタバレになってしまうので、みんなIFFJで字幕上映を観よう! 面白かったよ!

『Ungli』

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不正がはびこるインドで、賄賂要求する役人政治家にこっぴどいイタズラを仕掛ける「中指ギャング団」の活躍と彼らを追う警察のアクション映画。制作者(や、インド人)はよっぽど公務員の不正に腹立っているのだなぁ。もう役人政治家滅多クソに嫌な目に会う。この光景にインドの観客は溜飲を下すのであろう。日本リメイクを切に願う。

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2016-08-01

2016年7月に見た映画 2016年7月に見た映画を含むブックマーク

邦画ががんばってる月間。国際Dシネマ映画祭ロケーション、混み具合、映画のチョイスが好み。あと、在日インド人の方たち用の映画上映に初めておじゃました。30分前に劇場についたら施設の人が「まだ主催者の人、来てないんですよ〜」と洗礼を受けたのだった。

『日本で一番悪い奴ら』

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『凶悪』の白石和彌監督新作。日本警察最大の不祥事と呼ばれる「稲葉事件」を元にした映画。スコセッシの『グッドフェローズ』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などが引き合いに出されているのも納得のアッパー系な犯罪映画。やはり人間に生まれてきたからには一度くらい、開放的で爛れたセックスに溺れ、高級酒をシャワーの様に浴びながら、手裏剣の様にお金をシュシュシュっと撒きたいものだ。

葛城事件

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死にたいけれど怖くて自殺が出来ないから死刑にしてもらおうという犯罪者が生まれる過程を描く。宅間守酒鬼薔薇、秋葉原の通り魔事件などがイメージの原泉であろう。『羊たちの沈黙』以降、「頭が良くて人を殺すことも良心の呵責なく行えるサイコパス」という殺人鬼像が人気だが、そういった風潮に対して「そんなカッコイイもんじゃねえぞ!」というワケ知りオッサン的な説教はやはりグッタリする。しかし「ニートでマザコンで声優志望だけど、特に何か活動をしているワケでは無い」という殺人鬼像は哀しく切ない。そして何よりも滑稽。

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』

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整合性が取れていて突飛さが無い夢の話くらいつまらないものも無い。新キャラ「時間」のサシャ・バロン・コーエンも無駄使い感が強い。ジョニー・デップエキセントリック芝居は、もはや「ジョニデ風」としか表現しようの無い、ジョニデジョニデっぽい感じで出ているだけに見える。ただ、アン・ハサウェイが手をひらひらさせる過剰に優雅な様子だけは相変わらず面白い

ウォークラフト

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おっきいわんわ。RTSゲーム映画化アメリカでは惨敗だが中国で大ヒットだそうな。剣と魔法の世界でオーク軍と戦う人間/ドワーフエルフ連合軍という話。なに一つとして目新しさの無い、しかし古典にも成り切れない、普通に作ったバーモントカレーの様な映画。「豚肉が角煮みたいにデカいしホロホロ」とか「5年煮込み続けた超熟成」みたいな突出さが一切無い。ただ、突出さの無い普通のカレーが食べたい時だってあるワケで、時と場合によっては安定感のある映画だとも言える。

ブルックリン

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ジュブナイル版の『キャロル』みたいな映画。アイルランドの田舎町からニューヨークへ出稼ぎに来た少女の成長話。特別に目覚しい出来事は起きないものの、ゆったりと振動するような繊細な心の揺れが優しく切ない。ヤサセツ。終わり方もトゲがありつつ健やかで、鑑賞時間を気持ち良く過ごせる。

インデペンデンス・デイ リサージェンス』

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前作から20年の時を経て、色々とデカくなって帰ってきたものの、オツムの程度がそのままという浅知恵加減に加え、高度な知能を持っている意識生命体もバカという、異様にガタイだけはイイけど低偏差値な高校同士のケンカみたいな話になっている。アンジェラ・ベイビーが割とメインな役どころでの出演で終始目じりは下がりっぱなしではあった。

死霊館 エンフィールド事件』

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ジェームズ・ワン監督とパトリック・ウィルソンのおばけシリーズ、ヴェラ・ファミーガが出てる方。アミティビルをネタフリに使い切ってしまう贅沢さで、実録心霊モノの大ネタ、エンフィールドのポルターガイストを調査する。延々と誰かが居たり居なかったりし続けて2時間13分を駆け抜けるホラーライド。劇場で隣にギャル2人組みが座り丁度良い加減でビビッドに反応したりツッコミ入れたりするのが聞こえながらのギャル4DX鑑賞。暗がりの気配に誘われて起きてしまった末っ子に「ドア閉めて寝ろ!」ってツッコンでて「サムライマジでチョーそうおもう〜!」と賛同しながら楽しく観た。ギャルかわいい。

ファインディング・ドリー

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おすなはくしゅくしゅしてすきー。記憶障害を持つドリーが小さな頃に生き別れた両親を探す旅に出る。記憶が保てないので後悔をすることの無いドリーは、無鉄砲で場当たり的だが行動に移すまでが早い。という設定はアクション映画において非常に有利に働く。アクションに継ぐアクション、危機また危機。しかし、ピクサーはちっちゃい子供をスゴく恐ろしい存在として描くよね。

『シング・ストリート 未来へのうた』

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アイルランドのダブリン。不仲な両親の元、金欠で荒れた公立校へ転入させられた少年が気になる女の子のためにバンドを組む。80年代以降のMTV世代は音楽とはビジュアルを伴って、ようやく成立するものなんだよね。主人公のお兄さんのジャック・ブラック感がハンパなく、心の師匠として活躍する。ロックは魂だ!

『HIGH & LOW THE MOVIE』

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EXILEフランチャイズの不良映画。紹介記事書いてます。

>> https://filmaga.filmarks.com/articles/809

『ロスト・バケーション

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ジャウム・コレット=セラ新作。メキシコの隠れ家的ビーチでのサーフィン中に獰猛な人食いサメに襲われ、からがら岸から200メートルほどの岩場にたどり着くが、サメは狙いを定めて周回しているし、人はあんまりいない。満ち潮になれば岩場は沈む。どうする!? という話。序盤に張り巡らせたフリを回収しながら、最後の最後にデッカイ嘘をついて狂喜させてくれるジャウム節としか言い様の無い、スッポ抜け展開にもんどりうつ。さいこー!

ヤングアダルト・ニューヨーク』

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中年のアイデンティティ・クライシス。40半ばになると若い子らがわざわざレコードで音楽聴いたり、80年代的な洋服を着ている様子に、なんとなく不気味な思いを抱いてしまうのだが、そんな心象が克明に描かれる。80年代に青春時代を過ごした私(や同年代)にとって、80年代とは「忌むべき過去」になっていて、そりゃあ多少のノスタルジーはあるけど、一度は「ダサい!」と捨てた文化でもある。それを拾って集められて「クールだよね!」って言われても「そうなの?」と聞き返してしまう。サルエル・パンツってMCハマーだぜ!? って言ったところでMCハマーのダサさの説明からしなきゃいけないワケだし。

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』

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二次大戦終戦後、アメリカとソ連のにらみ合いと代理戦争、いわゆる「冷戦時代」にアメリカ国内で暗躍していると言われた共産党員狩り「赤狩り」の犠牲になった脚本家ダルトン・トランボの闘争。とは言ってもイデオロギーを声高にがなったり、押し付けたりするわけでは無い。「世の中の人々が仕事に応じて、それ相応に平たく幸せでいたいよね。」という考え方をしただけで迫害される時代に、超天才がどう立ち振る舞ったかが描かれる。不遇の時代にあったトランボを匿名で起用したRKOピクチャーのプロデューサー、フランク・キングジョン・グッドマンさいこー!)の広島死闘編の千葉ちゃんじみた啖呵がシビれる。

シン・ゴジラ

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賛否両論あるようだが、おおむね「賛」側が多いような気がする。ファンダメンタル的な「ゴジラとはこういうものだ!」という確固としたゴジラ像を持っている人にとっては、「否」なのは理解できる。うんうん。違う! けど、映画としてこれだけ面白く創りあげられてしまった以上、やはりこれは天晴れ! と言ってあげたい。

ターザン REBORN

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CG技術でアップデートされた、今日的な普通にターザン映画。大変面白いです。アレキサンダー・スカルスガルドのエロ線(足のつけ根から腰の方へ伸びる筋肉の谷間の線)が深くて鋭角でズボンからハイレグビキニ状に上へ伸びているのが、過剰にエロいマーゴット・ロビーが活発なジェーンにピッタリで微笑ましい。

『DOPE/ドープ!!』

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90年代のヒップホップに傾倒する、治安の悪い地区の公立高校の優等生が偶然居合わせギャングの麻薬取引現場の混乱で、大量のMDMA(エクスタシー)を押し付けられてしまう。という話。主人公が傾倒する90年代ヒップホップ(ATCQやディガブル・プラネッツ、ブラック・シープ)が、そもそもオラオラ系のヒップホップに対するカウンターとして生まれているというのが有機的に繋がっていくのが見事。

『Sultan』

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『ダバング 大胆不敵』のサルマーン・カーンが毎年ラマダン明け(イード)に公開する新作、今年の1本。惚れた彼女のためにレスリングを始めた男が、メキメキと頭角を現し頂点を極めるも慢心から彼女にフラれてドン底に落ち、そこからまた這い上がる。『ロッキー』で言うと「1」と「2」が合体した様な映画が、多彩なミュージカル・ナンバーに彩られて約3時間にまとまっている。つまんないハズ無いでしょ!?

『ニュー・クラスメイト

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毎年、埼玉のスキップシティで開催されているデジタル撮影の映画を集めた「Dシネマ映画祭」長編コンペ作品でインド、ヒンディ語映画。映画大国なので、スター主演の派手な大作ばかりでは当然無く、ささやかな作品もある。これは「ささやか」な方。勉強がんばっても、どうせどうにもならないとペシミスティックになっている娘を奮起させるため、娘のクラスに編入したお母さんの奮闘。校長先生が朝礼でブラブラしている生徒をたしなめるジェスチャーエスカレートしていく様子で爆笑。健やかで楽しい作品。

ファミリー・ジャンブル』

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「Dシネマ映画祭」長編コンペ作品でイタリアの映画。同級生がみんな離婚家庭で、お父さん、お母さんそれそれからプレゼント貰ったり、それぞれとバケーション旅行に連れて行ってもらってるのが羨ましい円満夫婦の息子が両親を離婚させようとするコメディ。馬の興奮剤を父親と取引先の美人に盛るという手法がイタリアン(なのか?)。とはいえ、清々しい話に着地する楽しい映画。

『アンダー・ヘブン』

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「Dシネマ映画祭」長編コンペ作品で、カザフスタンと中国に挟まれた中央アジアのキルギスの映画。旧約聖書カインアベル」を元にした兄弟の嫉妬話。人生初のキルギス映画なんだが、これが見事に低予算邦画みたいな、解り易い暗喩や象徴表現のオンパレード。しかし、唐突にギャグをブッコむのが面白い。太ったギャングのボスが、そうとは悟られない様に「私はオペラ歌手なんですよ。〜〜(ひとしきり歌う)〜〜ほらね?」とか。

ドクトル・ジバゴ

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デビッド・リーン監督作。4Kリマスター版での上映。長い映画は映画館に自分を追い込まないと最後まで見ないので、この上映機会に見てみた。初見。ロシア革命に翻弄される若き医師と2人の女性を追う壮大な物語。当たり前の様に面白かったので意を決して観ておけて良かった。朝の映画館は老人率高くて、この上映はより長く時間が潰せるからか、満席での鑑賞。龍角散っぽい香りが劇場に満ちていた。

ドラゴンへの道』『燃えよドラゴンディレクターズ・カット)』『死亡遊戯

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新宿ピカデリー8周年という、微妙な経年を記念した特集上映でブルース・リー主演作『怒りの鉄拳』以外4本の上映で、「危機一髪」以外の3本を見てきた。ピカデリーでも大きめの2番スクリーンの上映で、特にリーのクローズアップから始まる『ドラゴンへの道』はいきなり心拍数が上がる。別に初めてというワケでもないし、何度も何度も観ているもの(今回は英語吹き替え音声だったりバージョンとしては比較的レアだけど)なのだが、しかし、それでも。やはりスクリーン映えするよね。リー。

『鬼談百景』

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『残穢 -住んではいけない部屋-』の実録ホラー作家「私」の元へ届いた様々な幽霊話10話を紹介していくというオムニバス形式のスピンオフ。最初の1本目が中村義洋監督、最後の1本が白石晃士監督。この2本は安定感すらある。間にはさまった8本を新鋭/中堅監督4人(安里真里/内藤瑛亮/大畑創/岩澤宏樹)が担当。この8本はさすがに出来のバラつきあったかも。良かったのは「一緒に見ていた」「空きチャンネル」「尾けてくる」「続きをしよう」「赤い女」。心霊小話は突き放される感じがMっ気を刺激してくれて夏の夜にぴったり。

『アノマリサ

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チャーリー・カウフマン監督最新作はストップモーション人形アニメ。徹底して常套展開を嫌うカウフマンらしい、しかし相変わらず内向きで陰鬱で暗澹たる人生を嘲笑して、さらに鬱になるような気分が描かれる。『脳内ニューヨーク』にもあった、キリが無いパラノイア感が楽しい

ナイト・ビフォア 俺たちメリーハングオーバー

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観ている途中に「何見てるの?」と聞かれ、このタイトルを口に出して答えたのだが途中から自分が全く意味の無い単語の羅列を喋っていることに気付いてふき出してしまった。男同士の友情と、大人への成長を面白おかしく、いつものセス・ローゲン映画。

モンスター 変身する美女』

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のっぴきならない理由でイタリア一人旅をしている青年が魅力的な女性に出会うのだが、数千年生き続けている怪物が変身している姿だった。という異形の愛なお話。恋愛模様もヒネリが効いて楽しいし、怪物造詣が割りと本格的で良い。

『ストーミー・ナイト

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日本語字幕で見れるインド映画シリーズ。そこそこな豪邸で、嵐の中一人留守番をする美女。ニュースでは近隣に出没する連続殺人鬼が報じられる。そんな中で奇妙に人なつっこいオッサンがしつこくドアベルを鳴らしてくるのであった…… というミステリー。このオッサン、しつこさで恐怖を煽るんだけど、本当にしつこくて30分延々とドアの前で何かとドアベルを鳴らすのが最高にイライラする。イライラが募ったところで終盤一気に展開するのが気持ちいい…… か? と問われれば、そーでもねーぞ!こんにゃろー! 90分程度の短い作品だが体感は3時間越え。

『バトル・オブ・モンスターズ

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フィリピンのアクションホラーケンカ別れした彼女を追って田舎町に来たら、吸血鬼軍団が襲ってきた。という話。吸血鬼軍団が普段は屠殺を請け負う部落を形成し、人間社会に馴染んで暮らしている。なので吸血鬼のボスが、白いビニールエプロンにランニング姿の屠場の親方然としているのが楽しい。そこそこテンポが悪い。

ケージ

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ハロウィンの夜、ベビーシッターをしていたら生の豚皮マスクの集団が襲ってくる。という、少なくとも10本は見たような話。後半にサスペンスがぴょんと跳ねて面白くなるまで、本当にいつものいつもの…… という感じでたるかったが、なかなか楽しめた。

インターセプション 盗聴戦』

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アラン・マックの盗聴シリーズ第3弾。貧乏人が持っている土地の権利を買いあさってデカいマンションを建てようという計画に群がる役人、商人、ヤクザの情報戦。なんだが、後半で大アクションなだれ込むのは、本当にサスガとしか言い様が無い。ヤクザの切ない仁義と友情話も相変わらず上手い。写真は賢者タイムのヤクザたちの様子。

『Baaghi』

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トニー・ジャーアクションをパクれる身体能力を持つインド・イケメン、タイガー・シュロフの新作。今度は『ザ・レイド』をパクりやがった。ただ、インド古来の格闘技カラリパヤットをフューチャーしているのは好印象。あんま使ってないけど。ベラベラした鉄板の鞭みたいので実戦が見たいところ。カラリパヤットの師匠が「カンフー? フッ…… インドで格闘技を編み出した達磨和尚が中国に渡って広めたやつな。」ってバカにするのは燃える

『Saala Khadoos』

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インド女子ボクシング・スポ根もの。跳ねっ返りのコーチに見出された魚売りの少女が女子ボクサーとして成長していくお話。少女がコーチに恋心を抱いてしまうのが、この手の話では珍しいかも。スポーツものは定石を外さなければ高確率で面白い映画になるが、本作もキッチリ面白く仕上げてきているのはインド映画の地肩の強さだね。

『Lady Terminator』

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フィリピンの女ターミネーター。『ターミネーター』1作目をほぼパクりながら、死なない設定に魔術の力があるとしたところにスッポ抜け感がある。景気良くバンバンおっぱい出してくるのは大変えらい。

『The Living Corpse』

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パキスタン1967年のドラキュラ映画。クレジットに「ブラム・ストーカーの原作に基づく」と出ている背景で、科学実験の末に吸血鬼になる科学者が出てきて「どこがやねん!」とつっこまずにはいられない。本編は歴史的な価値の方が高いのだろう。特典映像に南アジアにおけるホラー映画スタンスや歴史を紐解くドキュメンタリーが収録してあって、大変勉強になった。

『野獣戦争』

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原題は『Trouble Man』でマービン・ゲイサントラテーマ曲は大ヒットしたが、映画は凡作。粋な探偵ミスターTが自分を罠にハメた犯罪組織に復讐をする、というブラックスプロイテーションお手本みたいな話。ビリヤードがすごい上手くて、デカくてカッコいい車に乗って、いいスーツ着て、イイ女としけこむ探偵。

いろいろな酔拳の亜流

思い立って、酔拳の亜流を集中的に見てみた。あのスタイルを活かして、なおかつ有機的に物語に組み込んだユエン・ウーピンの手腕はやはり一流なのだと思い知る。

『Snake in the Monkey's Shadow』

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酔拳習ってイイ気になってケンカして破門されたら師匠が殺されて、復讐のために猿拳に弟子入りして酔猿拳を編み出す。

『Drunken Arts & Crippled Fist』

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酔拳の亜流。せむしの酔拳師匠に子供のころからカンフーを叩き込まれて育った青年が、町に出て悪者を成敗したものの、さらに強い相手が出てきたので師匠の奥義「せむし酔拳」を習う。

『World Of Drunken Master』

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酔拳の亜流。いつも対立してケンカばかりのコソ泥2人が惚れた彼女を追いかけて共に酔拳の師匠に弟子入り。厳しい修行の末それぞれ立派な使い手となり、協力して悪人を成敗する。

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2016-06-30

2016年6月に見た映画 2016年6月に見た映画を含むブックマーク

今年も半分おわり。上半期のベスト10を発表するイベントに呼ばれているので、何かなければ出ると思います。興味がある人は是非。

2016年度上半期劇場公開映画ベスト10発表会

7月10日(日) 16:0017:00〜21:00

場所:高円寺「薬酒バー」http://yakusyubarkoenji.com/

ホスピタリティ王と呼ばれる店主がきりもりするお店なので、お一人さまでも楽しいですよ。

デッドプール

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マーベルコミック世界の中でも異端児キャラデッドプール”が『X-メンシリーズの20世紀フォックス組から単独映画デビュー。R15指定ながら公開週末興行収入トップを飾るヒットである。実はコレ当然の話で、絨毯爆撃的な広告CM投下に公開を水曜の6月1日映画の日にずらし、IMAXに4DX/MX4Dにデカめなキャパの通常上映(字幕吹き替え)で、シネコンでは2〜3スクリーンでの上映。見ようと思って映画館に来た人が全員見れる状況。いわゆる「ブロックバスター」体制での公開なのでヒットしなかったら逆にヤバかった。とはいえ、軽いノリでジャンジャン人が死ぬ展開はやはり楽しいし、このヒットが及ぼす後発のバイオレント作への(良い)影響はあるだろう。洋画バイオレンス故のR15でも大ヒットは可能なんだよ! ソニピク!

スノーホワイト 氷の王国

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前作でやっつけられた悪い魔女には妹がいて、氷を操る魔力で白雪姫の国の隣国をほぼ制圧していた! という『アナ雪』人気乗っかり企画。前作に続く「強い女性の戦い」というジェンダーエクスプロイテーション的な香具師根性も解りやすく浅はか。ジェンダー対称性のバランスを一人でとりまくるクリス・ヘムズワースの色男感はもはや「ちびまる子ちゃん」の花輪くんじみた笑いを誘う。ヘイ・ベイベー!

カルテルランド

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メキシコ、麻薬カルテルに支配された地域で、反旗の狼煙を上げた市民団体を追っていくドキュメンタリー組織が小さい頃には高い志と理想が団体全体に共有されていたが、大きくなるにつれ細やかな判断は出来なくなり、単なる暴力集団へと変貌してしまう。どう考えてもヤバい事をしている現場(カルテルメンバーの車と、似た車に乗っていただけの普通家族を混同し、旦那を拉致して拷問にかける)すら「正しいことしとるんわワシらじゃい!」と胸を張って映させている。

『雨女』

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呪怨シリーズ生みの親、清水崇監督による4DX専用の35分の短編。同じコンセプトで先に白石晃士監督の『ボクソール・ライド・ショー』があるのはイタイところだろう。短い時間に巧妙な物語設定を織り込んだ脚本は面白いが、どうしても相対的に見てしまう。この場合、オバケ屋敷のライド・ショーに徹した白石作品に軍配があがる。グラグラ揺れたり水がバシャバシャ出せるなら、物語もだが、いかにギミックを盛り込めるかにも注力して欲しい。タイトル『雨女』なのに『ボクソール・ライド・ショー』より濡れなかったし。匂い効果、スモークフラッシュが使われなかったのもモッタイナイ

『64(ロクヨン)前篇』 『64(ロクヨン)後篇』

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ピンク映画四天王瀬々敬久監督作品。スター俳優総出演の大作で、商業的な成功をした上に、大変面白い。つまり、荒井晴彦の嫉妬は確実なので今年の映画芸術ワースト作品になるであろう。最近流行りの前後編構成の映画は、前半にエモい話が詰まって、後半に物語のつじつまを合わせていくような展開になりがちだが、この2本は前後でそれぞれエモい展開が詰まっている。特に瑛太演じる新聞記者は前/後編で“変化”していくオイシイ役割を担っている。

『FAKE』

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紹介記事を書いているよ〜>>>https://filmaga.filmarks.com/articles/763

森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』の言葉を、本も読まずに拡大解釈しすぎな人がけっこういる。「そーいう意味じゃないから!」って言いたくなる感想がちらほら。

サウスポー

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トレーニング・デイ』『イコライザー』のアントン・フークア監督の新作。ケンカっ早い不良ボクサーが、ケンカに奥さんを巻き込んで死なせてしまい、ドン底に突き落とされる。そこからの再生物語…… というあらすじで想像した通りの展開。そして、想像した通りに泣ける。もう、目にたまねぎのみじん切りを入れるとかと同じだよ。

マネーモンスター

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ジョディ・フォスター監督作。投資指南番組生放送ジャックした男と無責任司会者の真相究明劇。もちろんアメリカの富を独占する「1%」への批判なんだけど、キッチリと娯楽作品に仕上げられている。こういう、5年後、10年後にはあまり振り返られる機会が少なくなってしまう、そこそこ面白い娯楽映画大好き。

エクス・マキナ

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タイトルラテン語で、ロボット/人口知能を通して人間性とは何かを描きつつ、ファムファタールに惹かれて身を滅ぼす男という厨二病的カッコイイ話。ただ、これはやっぱり攻殻機動隊の『イノセント』だよねえ。精巧なロボットが作れるほどの未来なのにディペッシュ・モードだのゴーストバスターズだのがセリフに出てくるし、オリジナル劇伴がポーティス・ヘッドのジェフバーロウなのも絶妙に古臭い。チョイふる未来

『ノック・ノック』

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オリジナル(『メイクアップ 狂気の3P』)を、ほぼなぞった展開だが、たまごっちリセットみたいなオチはさすがにテコ入れされて、シャレの利いたアレンジになっている。善きパパが気の迷いで地獄を見る教訓話のように見えるが、イーライ・ロスにモチロンそんな気は無い。彼の監督フィルモグラフィ全てのサブジャンルは「セクスプロイテーション」で統一されている。いかに景気良くおっぱいを出すか、こそイーライ・ロス作家性だ。本作もスリラーサスペンスの「セクスプロイテーション」映画であるイーライ・ロス次回作は『狼よさらば』のリメイクだそうな。レイプ家族を殺された男の復讐劇。

『貞子vs伽耶子』

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『コワすぎ!』シリーズ白石晃士監督新作にしてカドカワ映画50周年記念作品。『リング』シリーズの貞子と、『呪怨シリーズの伽耶子の対決! 一気に暑くなった日々にぴったりな夏休み感溢れる1本。企画ものの様に捉えられているかもしれないが、真っ当に心霊ホラー的演出で怖がらせながら、終盤へむけて定石を少しずつ外して暴走させていく展開はサスガ。ちゃんと怖くて、ちゃんと面白い

クリーピー 偽りの隣人』

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香川照之香川照之業をこなす黒沢清監督新作。黒沢監督作には情緒の入る余地が無い。香川が演じる男の言うことをみんなが抗えず受け入れてしまうところに理由が無い。憶測は出来るけど、何を仮定しても心もとない。言いきれない。理由が無いのにしてしまう。と、いうのが気持ち悪いし怖い。途中、ドローン撮影したシーンが出てきて「うぉ! 黒沢監督が最新技術を!」と思うのだが、車の運転では相変わらずリアプロジェクターでくすんだ晴天を映して撮影するという気持ち悪くて怖いことしている。

『10クローバーフィールド・レーン』

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POVの怪獣映画だった『クローバーフィールド』の「フランチャイズ」作品。という解ったような解らないような。関連があるから効いてくるネタがあるワケでなし。物語構造は極秘にしたワリに目新しさもない。と、文字にすると良いとこ無いなぁ。細かい演出で恐怖を煽るシーンはとても良いですよ。オッサンがヒゲ剃っただけで怖いとか。ジョン・グッドマンおでこに深い切り傷を負ってメアリー・エリザベス・ウィンステッドにむかってプン!って感じで胸はって縫わそうとする場面がかわいい。

帰ってきたヒトラー

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ヒトラーが現代にタイムスリップしたら人気者になってしまうというアイロニックなコメディ。しかし、まさかサシャ・バロン・コーエン方式で、ヒトラーのコスプレをした役者をドイツの街中に放って反応を見るという、けっこうオッカナイことしているのが楽しい。ヒトラー役の俳優が上手くて、特別似ているワケじゃない(背が高いしガタイがイイ)んだけど、キャラクターとして作り込み完成度が高くて、街の人々の反応に対して「ヒトラーならこう対応するんだろうなぁ」という反応が見られる。タイムスリップ繋がりで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『ターミネーター』へ目配せがありニヤリとさせられる。

『ダーク・プレイス』

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ウェスト・メンフィス・スリー」事件に着想を得たであろう物語田舎者のバカな浅知恵で起こる事件を、地味に追っていく。これはマイケル・シャノンの不在が悔やまれる。バカが嵩じて狂気にならないと、バカの浅知恵計画に説得力的な“凄み”が欠落してしまう。マイケル・シャノン体言するバカの凄みこそ、この物語の核になるものだろう。

『トリプル9 裏切りのコード

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「999」(警察官の殺害のコード)を他所で発生させて、警察がいなくなったところで警備の堅い金庫を襲撃する。という燃える計画なクセに、その設定を活かせていないし、キャラ全員が浅知恵のオーナーで計画が崩壊するのも当たり前だしダラしない。監督ジョン・ヒルコートは『欲望のバージニア』『ザ・ロード』に続き、雰囲気100点、中身0点なフィルモグラフィが完成しつつある。劇中、チカーノの根城を電車ごっこっぽい感じで強襲する場面はかっこよかった。

『二ツ星の料理人』

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どうやらのっぴきならない理由でレストランを潰した一流シェフが返り咲きを目指すが、込み入った人間関係に悩むという話。『8月の家族たち』のジョン・ウェルズ監督作らしい、わがままキャラクターの苦悩が知覚過敏の歯でガリガリくんを齧ったように鋭く沁みる。登場人物に2人LGBTな人が出てくるんだけど、ヘテロと並列に描かれていて、当たり前なんだけど逆に新鮮だし心地よい。

『インドの仕置人』

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日本でソフト出てたインド映画シリーズ。ラジーニ・カーント主演『ロボット』『その男シバージ』のシャンカール監督、1996年のタミル語映画賄賂が横行するインドで、かつてイギリス領時代に独立運動の闘士だった老人が悪徳役人を殺してまわる。彼の行く手を阻むのは、かつて彼に反発したあげく賄賂役人になった息子だった。という話。『その男シバージ』も賄賂と戦う話だし、同監督でヴィクラム主演の『Anniyan』も不正に対して怒ったあげくに二重人格になってしまう話だし、『ロボット』でもギャグとして賄賂を要求する警察官の手をナイフでスッと切ったりと、シャンカールの賄賂嫌いは筋金入りだ。ラストまさかの『ダークナイト』展開もスゴイ。

アラジン 不思議なランプと魔人リングマスター』

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日本でソフト出てたインド映画シリーズ。「アラジン魔法のランプ」の設定を活かし、現代の北インドを舞台に、青年の恋物語が語られる。ジーニー(本作ではジーニアス)を演じるのがインド映画の至宝アミターブ・バッチャンで、ディズニーの『アラジン』ジーニー/ロビン・ウィリアムスを彷彿とさせるアッパーで陽気なジーニーを演じているのが楽しい。メインの話は気の弱いアラジンが人気者のジャスミンの気をいかに引くかのドコメディ。ミュージカル曲がインド・ヒップ・ホップでカッコイイです。

『FAN』

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インド/ヒンディー新作。シャー・ルク・カーン/SRKが自分自身を思わせるボリウッドスーパー・スターと、そのストーカー2役を演じるという倒錯した映画。このスターには「アリヤン・カンナー」という役名が付けられているのだが、使用されるフッテージや、キメポーズ(両手を広げ右側に重心を置いて立つ)はSRKのものだしで、自分で自分を痛めつけて自分が困るという凄まじく危うい構造を持っている。だって「アリヤン・カンナー」を「シャー・ルク・カーン」にしても全然成立しちゃう。つまり、社会における自分(SRK)実験にもなっていて、「あるある、充分ありえる。」という結果として映画が成立してる。そんな怖いこと、よくやるよなぁ。

『GHAYAL』

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1990年にインドで大ヒットした作品。ボクシング選手アジャイは行方不明の兄が麻薬組織に殺されていたことを知る。兄を探していく中で組織に目をつけられたアジャイは、その兄殺しの罪を被せられ刑務所送りになってしまう。アジャイは組織への復讐を誓って、仲間を募り脱獄するのだった。という話。序盤ではアジャイと恋人との恋模様が「ランバダ」に合わせて晴れやかかつコミカルに描かれるが、後半がガラリと転調し、バイオレンス満載の復讐アクション劇となる。これが『ランボートリビュートで、ミサイル・ランチャーばこばこ撃ちまくったりで大変な清々しさ。オチもランボーしてて楽しい

『Ghayal Once Again

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インド/ヒンディー新作。26年越しで公開された『GHAYAL』の続編。前作で麻薬組織を壊滅させたアジャイが、闇の仕置き組織を結成。州知事と息子が犯した殺人事件の証拠動画の入ったHDドライブをめぐり、街全体を巻き込んだ大スペクタクルアクション雪崩れこんでいく。一応、アジャイのトラウマや、亡くした子供への思いなんかが隠し味程度に混入されるが、中盤以降ほぼひっきりなしに行われる大アクションが素晴らしい。インドのアクション映画一本調子になりがちなんだが、カーアクション、ガンアクション、パルクールのスタントに格闘と、めまぐるしくスタイルを変えてくるので、飽きさせず一気に見せる。

『Neerja』

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インド/ヒンディー新作。1995年、ムンバイ発ニューヨーク行きの便がハイジャックされた史実を元に、乗客を救うために尽力した美人CAニールジャーさんを描く。ニールジャーさんの破局してしまった結婚や、現在の恋人との仄かな思いがハイジャック事件の合間にフラッシュバックで語られる。美人だけど、失敗したり落ち込んだりもする普通女性であることと、事件での彼女の勇気を対比させていく構成が見事。ソーナム・カプールは高潔な気品溢れる女優さんになっててエレガンス。

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2016-06-01

2016年 5月に見たインド映画 2016年 5月に見たインド映画を含むブックマーク

思うところあって、日本語字幕付きソフトがリリースされているインド映画を集中的に観ていたら結構な本数になったのでインド映画だけでエントリを別けた。『Dilwale』以外は全て字幕付き。TSUTAYA(新宿店の)レンタルか、アマのマケプレ購入。久々にビデオデッキ大稼動。巻き戻すとか忘れてた。シリアル・ママに殺される!

『紙の花』

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1959年のヒンディー語映画。グルダット監督・主演。自伝的な内容であり、結果として遺作となった作品。ボンベイの映画スタジオを舞台に、映画業界監督として大成した男が、雨やどりで出会った薬売りの娘を自作の主演女優に起用したことで、妻との関係が決定的に決裂してしまい、娘をも巻き込み取り返しのつかない事態へ発展する。実際にグルダット本人も女優に恋をして手ひどくフラレて、本作を作った後に自殺、というナルシストらしい最期を迎えている。日本ではハスミンが褒めたことで一部シネフィル御用達な作品に見られがちだがミュージカル・ナンバーもある、れっきとしたボリウッド作品。身もだえ必須の悲恋ロマンス映画

『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦』

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シャー・ルク・カーンとカジョールのゴールデン・ペア1995年のヒンディー語映画。ロンドンでコンビニ経営する厳格なお父さん(『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』のモラ・ラム)の娘シムランが、大学卒業記念の旅行先で奔放な青年ラージに反目しつつも惹かれていく。しかし、彼女にはお父さんが決めた結婚相手がいたのであった…… という王道ストロング・スタイルの横綱相撲的メロドラマ。「始めは反目しあう2人が恋におちる」→インターミッション→「様々な困難を2人の愛で乗り越えていく」という構成が鉄板過ぎる。インドでは公開からロングランヒットを今もなお続けて、ついに1000週、約20年を突破した劇場があるそうな。もう宗教だね。

『Dilwale』

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SRKとカジョールの「DDLJ」ペア共演の、今年インドで公開されたヒンディー語映画新作。というか、この新作を見るために『DDLJ』を改めて観たのであった…… 対立していたギャング団の子供同士が恋に落ちるも、抗争でそれぞれの父親を失い、恋すれど反目しあう。というこれもまた大横綱な王道相撲。若い観客動員テコ入れなのか、初々しい若者も投入されてはいるがSRK×カジョールのペアが美しくまぶしすぎて、若者たちは完全にコミック・リリーフと化している。

家族四季 -愛すれど遠く離れて-』

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『マイ・ネーム・イズ・ハーン』『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』など、日本で公開される率が高いカラン・ジョーハル監督の2001年のヒンディー語映画。これもSRKとカージョル共演。3時間半(210分)の大作。SRKとカジョールのゴールデン・ペアに加えアミターブ・バッチャン、リティク・ローシャン、ラーニー・ムケルジー、カリーナ・カプールオールスター総出演。話は「引き裂かれる恋人」というザ★メロドラマ展開。アミターブが怒ってカミナリを落とすと、文字通り雷鳴が轟くというそのまんま演出も素晴らしい。

『たとえ明日が来なくても』

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2003年のヒンディー語映画。諍いの絶えない家族のお向かいさんにやって来た天衣無縫青年(にしては仕上がった感の強い男:SRK)アマン。なんやかんやと家に入り込んで家族わだかまりをほぐしていくのだが、アマンには秘密があったのだった…… という『ビバリーヒルズ・バム』やハル・アシュビーの『チャンス』などの「どっかから来た人が、影響を与えて去って行く」系の話。しかし、去り方が泣かす。泣かし加減で言えば、目にタバスコを流し込むか、この映画見るか、というくらい泣かす。SRKは酷い目に会えば会うほど輝くマゾヒストヒーロー

『ミモラ~心のままに』

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『ラームとリーラ 銃弾の饗宴』『バジラーオ・マスターニ』のサンジャイ・リーラー・バンサーリー監督1999年のヒンディー語映画。『ロボット』のアイシュワリヤ・ラーイと『ダバング 大胆不敵』のサルマーン・カーン共演。イタリアから来た音楽家ミルインド音楽大家の娘ナンディニのメロドラマ。恋心と愛の違いをつまびらかに描いているんだが、何よりもアイシュの情報量の多い表情と仕草にクギづけ。信じられないほど複雑な心境を、言葉よりも効率的で豊かな表情と仕草で、一瞬にして表現しきってしまう。すごいや!

『愛しのヘナ』

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2000年にひょっこりビデオリリースされた1991年のヒンディー語映画。主演はランビィール・カプールのお父さんリシ・カプール木材製材工場を切り盛りする青年チャンダル自分結婚式へ向かう途中で自動車事故に会い、インドからパキスタンへ流れるジェラム川へ落ちて流されるままパキスタン入り。事故のショックで記憶喪失になったチャンダルは看病してくれた若い娘ヘナに仄かな恋心を芽生えさせてしまう! という、インド/パキスタン問題を始めとした諸問題全部ぶっこんだダブルグランドビックマックみたいな壮大なロマンティック・アクション劇。グイグイ引き込む展開が3時間一気呵成に観せる。

『ボンベイtoナゴヤ』

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1993年のヒンディー語映画。両親を殺したギャング団を追って日本の名古屋へ来たインド人刑事。インド・ダンサーと偶然の再会に恋心を抱きつつもギャングを追う! 名古屋を中心に大々的なロケ撮影が敢行されているのだが、十中八九ゲリラで、交差点のど真ん中で踊っているインド人を通行人がガン見している。「パチンコ屋」が面白く感じたらしくギャングアジトの出入り口になっているのが、「悪の巣窟」という意味本質的に間違っていないあたり笑った。ビデオで105分。始まって40分あたりでインターミッションが入るので、前半かなり、後半もチョイチョイカットされている感じだが、正式な長さが調べても出てこないよう。相当楽しい映画写真デパート屋上、こども広場をゲリラロケの様子。

『アンジャリ』

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1990年のタミル語映画。マニラトナム監督作。死産の悲しみを乗り越えて都市部の団地引越した4人家族。お兄ちゃんと妹は子供らしい実直さと無軌道さで地元のいたずらっ子グループに仲間入りし、愉快な日々を送っていた。そんな中、お父さんの不倫疑惑が持ち上がる…… マニラトナムらしいと言えばらしいのだが、あまりに雑な展開とスピルバーグ作品への直裁な憧れが歪な形で現れる珍作。

ディル・セ 心から

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1998年のヒンディー語映画。こちらもマニラトナム監督作。SRK主演。ラジオパーソナリティとテロリストの恋物語。1991年に実際にあったラジーブ・ガンジー元首相に対する自爆テロモデルに、自爆した少女がもしも恋をしていたら、という着想のお話インド映画フォーマットに準じてミュージカル・ナンバーを多く取り入れつつも、政治に翻弄された男女の悲恋を描く。マニラトナムは徹底して社会問題を娯楽の味付けに使う。地べたを這う様な泥臭さは、身を膾に切り刻む切実さを孕む。

『マッリの種』(ソフトタイトル「ザ・テロリスト 少女戦士マッリ」)

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1999年のタミル語映画。マニラトナム組の撮影監督サントーシュ・シヴァンの監督作。撮影監督を勤めた『ディル・セ 心から』の同年に公開された作品で、本作も同様に「自爆テロ少女」をモチーフにしているが、アプローチも展開も異なった、いわば姉妹作になっている。革命の戦いで勇敢に死んでいった兄を持った少女マッリ。自爆テロに向け事情を知らない農家に預けられ、日々を過ごしていく中で「命を繋いでいく」ことを農民の爺さんに教わっていく。あくまロマンスの味付けで自爆テロが取り上げられた『ディル・セ 心から』に対し、正面から向き合った本作は当然、対照的に洗練さがある。

インディラ』

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マニラトナムの奥さまで女優のスハーシニが監督したタミル語映画。1995年製作カーストの低い人たちが村から追い出され、川を挟んだ対岸に移住させられてしまう。国策としてカースト制度の廃止が決められた後でも、依然低いカーストの人々は虐げられていた。そんな差別を無くそうと奮闘する村長と、彼の意思を継ぐ娘を描く。さすがのマニラトナムの奥さまだけあって社会問題エンタメ化と、不幸つるべ打ち。ただ、降りかかる困難を都度々々解決していくノー・ストレスな構成は映画マゾには物足りないかも。画像検索で、「高いカーストの村で火葬してほしい」とわがままを言う胸毛がすごい老人しかひっかからない……

『女盗賊プーラン』

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1994年ヒンディー語映画。日本でも自叙伝出版されていた、低カースト出身で盗賊から政治家へ転身したプーラン・デヴィの半生を描いた作品。オープニングの字幕で「家畜と太鼓と低カーストの女は叩け」という言葉にギョッとする。11歳で嫁いだ先でレイプされ、逃げた先でレイプされ、警察でレイプされ、ようやく盗賊に拾われる。ヒンドゥーカースト制度の軋轢から逃げた人を受け止めるセーフティ・ネットが、カースト関係無いイスラーム違法集団になるというのはアチャーという話。監督は後に「70億人の彼氏」ことケイト・ブランシェット主演で『エリザベス』を監督するシェカール・カプール

サラーム・ボンベイ!』

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1988年のヒンディー語映画。ミーラ・ナーイル作品。「ボンベイに和平あれ!」のイスラム風な挨拶タイトルに、ボンベイのストリート・チルドレンの日々を捉える。様々な困難に対して放火してその場をうやむやにして、後からエラい目に会ってしま自業自得少年をインドの実景の中で追っていく。子供らしい浅薄さで強引に社会を渡り歩く、たどたどしく、もどかしい様子がネオレアリズモ的な生々しい貧しさと猥雑さで描かれる。

カーマスートラ/愛の教科書

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1996年の全編英語インド映画。ミーラ・ナーイル作品。16世紀のインドを舞台に、良家の娘と姉妹のように育てられはしたものの低い階級の娘の、愛と嫉妬の物語。インドを舞台に、インドの有名な性の聖典カーマスートラ」をテーマにしながら登場人物は全員英語を喋る海外向け作品。いわば『ロボゲイシャ』や『デッド寿司』のインド版、インド・エクスプロイテーション映画だ。だったら井口監督くらい派手で面白いウソをついて欲しい。

『モンスーン・ウェディング

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2001年のヒンディー語映画。ミーラ・ナーイル作品。結婚式を舞台にした群像劇。様々な人生結婚式という晴れやかな場で交錯する構成は見事。インドを舞台にした、インド人監督による、インド特有の結婚式を描いた、紛れもないインド映画なのだが、日本人寿司職人が作ったカリフォルニア巻きのような空気が漂う。描写に間違いや誇張は無いし、面白い映画ではある。

『その名にちなんで』

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2006年基本的には英語映画。ミーラ・ナーイル作品。ニューヨークの大学研究者として働くアショケと見合い結婚した芸術家の娘アシマ。2人の間に生まれた男の子は後で変えるの前提でアショカが好きだった小説家から仮の名前ゴーゴリ」と名づけられる。後に生まれた妹ソニアの4人家族生活に、綿ぼこリの様に紛れ込むちょっとした齟齬の、繊細な機微が描かれる。ピューリッツァ賞受賞の原作小説映画化した作品ながら、アフリカ政治学教授マフムード・マムダニ結婚したミーラ・ナーイル自身の境遇と重なるところもあり、自叙伝の様な印象。「名前」とか「名づける」という概念そのものが孕む運命めいた事がらが浮かび上がる構成が見事。

個人的経験だけど、今まで「元気」っていう名前の人「須藤元気」以外で3人に会ったことあるけど、全員すごい元気だった。中学1年生の時の、朗らかで健やかな生徒会長名前は「素直」。

ミッシングポイント

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2012年基本的には英語映画。ミーラ・ナーイル作品。パキスタン人作家自伝的な小説『コウモリの見た夢』を原作とした作品。2001年9月11日のニューヨークで、企業コンサルタント会社のアナリストとして働くパキスタン人が強いられた数奇な運命を描く。よく知られた俳優も多数出演の国際的な作品。この題材はインド出身でコスモポリタンのミーラ・ナーイルでなければ表現できない領域であろう。南アジアとアメリカでのイスラム教徒に対する空気感の違いや、911以前と以降での変化など、繊細かつ残酷な機微がすさまじいバランス感覚で見事にあらわされている。

ミーラ・ナーイル監督5作、立て続けに見たのだが、『サラーム,ボンベイ!』『カーマスートラ 愛の教科書』あたりは、国際社会の中でインド人であることを全面におしだした「みんなが見たいインド」を作品にした感が強い。

しかし『モンスーン・ウェディング』になると、インド人であることを意識的に打ち出すまでもなく、インド人だなぁという自覚が芽生えている感じ。

『その名にちなんで』『ミッシングポイント』と「異国で南アジア人として生きること」を描きながら「自分が何者であるか?」という命題を濃く浮かびあがらせている。面白さの質が作品ごとに、成長的な変化をしている。

2016-05-31

2016年 5月に見た映画 2016年 5月に見た映画を含むブックマーク

今月は往年のゲームスプラッターハウス』のPS3リメイク『Splatter House』をクリア。すぐにジャック・ブラック主人公CVをあてて、JBっぽいキャラヘッドバンギング武器にする原住民を引き連れて戦うRTSゲーム『Brutal Legend』をプレイ。と、大遅刻洋ゲーマーと化している。

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テラフォーマーズ

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公開前から駄作認定されたのは、原作コミックファンが「漫画実写映画はクソ」的なクリシェに飛びつく子らであったからだろう。実際には名作/傑作とは決して言えないが、邦画レベルでは充分な娯楽作品だと言える。中でも女優陣、太田莉菜と小池栄子のキレ感はゾクっと来るものがあった。しかし、アメリカで公開したら炎上必須だね。黒々として筋骨隆々でつぶらな瞳でこん棒持ってるって、バカにする気満々でカリカチュアした黒人だと受け取られかねない。No Fun No TV Do Honky

『スキャナー 記憶カケラをよむ男』

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金子修介監督の新作。野村萬斎を現代劇に起用というのが売りなのであろう。ただ、彼の演技は時代劇などで見せる大仰さのまま。加えて金子監督平成初期感(ガラケーがパカパカ活躍)が合わさり、作品全体が絶妙に古臭く、90年代の傑作が発見されたような、奇妙な味わいになっている。しかし、ここまでベタベタ映画が作られて、広く公開されている意義はあるだろう。ベタが出来ないのにネタやメタをやって失敗し続けたのが邦画なんだから。ただ、終盤の泣きのどんでん返しを畳み掛ける構成は、昨今邦画の下手な泣きバイ映画に対して、金子監督からの「泣かしたいならココまでやってみろや!」という挑発であろう。

青春100キロ』

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久々に映画1本でエントリー書いたよ>http://d.hatena.ne.jp/samurai_kung_fu/20160509#p1

音楽がすごく良くて、サントラエロロック」買いました。

『SHARING』 『SHARING(アナザー・バージョン)』

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日ごろから世界なんか滅亡してしまえばイイんだ!」と思ってた人は311震災で原発が爆発した時にどう思っていただろうか? という軸に予知夢ドッペルゲンガー混沌と絡んでいくオリジナル版。自分家族、親類縁者、知り合いさえ被害にあっていない311震災へ、共鳴する様に悲しみを持つ気持ちはどんなメカニズムなのか? という軸に予知夢(のみ)が控えめに絡んでいくアナザー・バージョン。それぞれほぼ同じ撮影素材が使用された、正に「ドッペルゲンガー」的な2作になる。エモーションの輪がシュッと閉じていくウェルメイドなアナザー・バージョンを先に見て、面白かったのだが「みんなが言うほどすごくは無いかなぁ……」と、後日あらためてオリジナル版を観たら、アナザー・バージョンに違法増築改築をバンバンしまくって奇妙な形になった沢田マンションみたいなスゴイ映画だった。

ヒーローマニア -生活-』

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近未来架空の日本都市を舞台に、自警行為の虚飾を暴き、更に若者のやる気搾取までを描いてしまう。アイドル仕事の多い豊島圭介監督らしい俳優さんらの魅力の引き出し加減が心地よく、中でも、ふざけたセリフを力いっぱいに演じて見せた上で嫌味を感じさせない小松菜奈のオモシロ百面相作品価値を上げている。往年の竹中直人が憑依したかの様な船越英一郎の怪物っぷりもすごい。

『ディストラクション・ベイビーズ』

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暴力依存的に取り憑かれた青年を軸に、サディスティック欲望を開花させてしま若者や、万引き依存キャバ嬢などを描く。演出の狙いや演技、脚本、編集音楽など全てが製作者/監督が思った通りの意図寓意表現できていて観客にも充分届いている。その巧みさは理解できるが、面白さに繋がっていない印象。ピース数が多いでっかい真っ白なジグソーパズルの完成品を見せられた気持ち

ヒメアノ〜ル

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今月の一等賞。『告白』以降、近年立て続けに作られている、生々しい犯罪邦画系譜の中でもトップグループに入るであろう。海外の低予算ホラーでは度々見られる「セックスの代償行為としての暴力」をここまでストレートに表した製作者には、グラスが空になっていればお酒を注がせていただきたいほどの、感謝気持ちすらある。いいもの見せていただいた! ありがとう

アタック・ナンバー・ハーフ デラックス

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アタック・ナンバー・ハーフ』のリメイク監督が「オリジナルはコメディに寄せすぎている。」とインタビューに答えているのを読んでいたので、クリストファー・ノーラン的な作品にでもなっているのか? と思ったら、ZAZ映画みたいな高密度オカマギャグを満載した作品になっててズッコケた。同じストーリーなのに出来に大きな差があるということで、『バタリアン』に対する『バタリアン2』の様な作品だと思ってもらえれば理解は早いだろう。

グランド・フィナーレ

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オリジナルタイトルは「YOUTH」(若さ)。アルプスの高級サナトリウム施設で、じいさんたちが自身の老いと対決していく中、どうしても対比として「若さ」を突きつけられる。しかし、この邦題日本版のポスターは枯れの美学とか最期の一花的なイメージ喚起させるが、もっと奇妙で単純に愉快な画面が散文詩的に続いていくホドロフスキー映画に近い。ウィンクが上手くできずにぴょこんと跳ねてしまメガネ童顔の売春婦とか、「おじさんね、左効きなんだよ。」と近づいてくるマラドーナ(風のおっさん)とか。

『ヘイル,シーザー!』

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1950年代のハリウッドを舞台にしたノワール風内幕もの。下衆なスター俳優に、双子ゴシップ記者、がらっぱちなスター女優、キツい南部訛りのウェスタン俳優などなどの猛烈な個性をむき出しにした人々が集うショービジネス界を切り盛りする“相談役”の奮闘劇。スターウォーズのスピンオフで若きハンソロに抜擢されたアルデン・エーレンライクは劇中のおいしい役どころもあって可愛さ爆発。ミュージカル女優とのデートシーンが微笑ましく楽しい

エンド・オブ・キングダム

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FPSゲームバトルフィールド』や『コール・オブ・デューティーシリーズの、プレイアブルなパートが無くて約100分実写のムービーが続いている感じ。実際、アクションパートプレイアブルにするだけで、バリエーションに富んだゲームになるだろう。ハンドガンでの篭城からカーチェイスヘリコプターでの脱出から地下のステルスアクションなどなど。多彩なステージアクションが展開していき、合間々々にドラマ・パートが挿入される。なので、唯一の難点はコントローラー付いてないところだ。

神様メール』

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ヨーロッパの人がたまに作る、ちょっとビターで猛烈にカワイイ映画神様があまりにヤな奴なので、嫌気がさしたキリストの妹が世界を変えるために新しい聖書「新・新約聖書」を作り始めるという話。神様を演じるのが『ありふれた事件』のサイコパス殺人鬼ブノワ・ポールヴールドなので、本当にサイコウに嫌な神様っぷりが痺れる。そして、ヨーロッパの人が描くエロさの生々しさには毎度ニヤニヤさせられる。映画が始まる前のエア・フランスのコマーシャルエロくて好きさ! オランジーナ先生エロい目で見ているよ!

『アーチ&シパック -世界ウンコ大戦争-』

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いまさらながら。韓国のアニメ映画。天然の燃料資源が枯渇して人糞が燃料になった未来世界の話。ポンチっぽい絵とバカバカしい設定で、おちゃらけた印象があるが、動きの快楽に満ちた素晴らしいアニメ映画であった。『攻殻機動隊』や(アニメの)『イーオン・フラックスからの影響と同じくらいハリウッドスピルバーグ作品引用がある。世界中ボンクラのいかほどが『インディ・ジョーンズ 魔宮伝説』にクラッシュしたのやら?

スリ

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いまさらながらパート2。軽やかな側面が正面に来たときのジョニー・トー作品スリかスられる人しかいなくて、他の犯罪が無い世界。悪い人はいずれも全員スリというのが『柔道龍虎房』みたい。健気でカワイイおっさんたちがチームでスリをする場面の息が合ってる感が楽しい。何で見逃したのかなぁ?っと思ったら、公開されてねーでやんの。

『スター・フォース未知との遭遇〜』

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いまさらながらパート3。気立てが良くて美人だが底抜けに頭が悪いレイ大富豪御曹司との結婚を控えていたが持ち前の頭の悪さで反故にされてしまう。そんな彼女の不幸に共感した失敗続きの探偵2人が、彼女を助けるために宇宙人を探す…… というベッタベタなコメディ映画ジャケットがこちら。

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こういう場面はあるのでウソでは無いけど悪質さはある。とても前向きにダマされての鑑賞ですが。ツイ・ハークがちょろっと出ていた。

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