ゾンビ、カンフー、ロックンロール このページをアンテナに追加

2016-06-30

2016年6月に見た映画 2016年6月に見た映画を含むブックマーク

今年も半分おわり。上半期のベスト10を発表するイベントに呼ばれているので、何かなければ出ると思います。興味がある人は是非。

2016年度上半期劇場公開映画ベスト10発表会

7月10日(日) 16:0017:00〜21:00

場所:高円寺「薬酒バー」http://yakusyubarkoenji.com/

ホスピタリティ王と呼ばれる店主がきりもりするお店なので、お一人さまでも楽しいですよ。

デッドプール

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マーベルコミック世界の中でも異端児キャラデッドプール”が『X-メンシリーズの20世紀フォックス組から単独映画デビュー。R15指定ながら公開週末興行収入トップを飾るヒットである。実はコレ当然の話で、絨毯爆撃的な広告CM投下に公開を水曜の6月1日映画の日にずらし、IMAXに4DX/MX4Dにデカめなキャパの通常上映(字幕吹き替え)で、シネコンでは2〜3スクリーンでの上映。見ようと思って映画館に来た人が全員見れる状況。いわゆる「ブロックバスター」体制での公開なのでヒットしなかったら逆にヤバかった。とはいえ、軽いノリでジャンジャン人が死ぬ展開はやはり楽しいし、このヒットが及ぼす後発のバイオレント作への(良い)影響はあるだろう。洋画バイオレンス故のR15でも大ヒットは可能なんだよ! ソニピク!

スノーホワイト 氷の王国

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前作でやっつけられた悪い魔女には妹がいて、氷を操る魔力で白雪姫の国の隣国をほぼ制圧していた! という『アナ雪』人気乗っかり企画。前作に続く「強い女性の戦い」というジェンダーエクスプロイテーション的な香具師根性も解りやすく浅はか。ジェンダー対称性のバランスを一人でとりまくるクリス・ヘムズワースの色男感はもはや「ちびまる子ちゃん」の花輪くんじみた笑いを誘う。ヘイ・ベイベー!

カルテルランド

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メキシコ、麻薬カルテルに支配された地域で、反旗の狼煙を上げた市民団体を追っていくドキュメンタリー組織が小さい頃には高い志と理想が団体全体に共有されていたが、大きくなるにつれ細やかな判断は出来なくなり、単なる暴力集団へと変貌してしまう。どう考えてもヤバい事をしている現場(カルテルメンバーの車と、似た車に乗っていただけの普通家族を混同し、旦那を拉致して拷問にかける)すら「正しいことしとるんわワシらじゃい!」と胸を張って映させている。

『雨女』

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呪怨シリーズ生みの親、清水崇監督による4DX専用の35分の短編。同じコンセプトで先に白石晃士監督の『ボクソール・ライド・ショー』があるのはイタイところだろう。短い時間に巧妙な物語設定を織り込んだ脚本は面白いが、どうしても相対的に見てしまう。この場合、オバケ屋敷のライド・ショーに徹した白石作品に軍配があがる。グラグラ揺れたり水がバシャバシャ出せるなら、物語もだが、いかにギミックを盛り込めるかにも注力して欲しい。タイトル『雨女』なのに『ボクソール・ライド・ショー』より濡れなかったし。匂い効果、スモークフラッシュが使われなかったのもモッタイナイ

『64(ロクヨン)前篇』 『64(ロクヨン)後篇』

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ピンク映画四天王瀬々敬久監督作品。スター俳優総出演の大作で、商業的な成功をした上に、大変面白い。つまり、荒井晴彦の嫉妬は確実なので今年の映画芸術ワースト作品になるであろう。最近流行りの前後編構成の映画は、前半にエモい話が詰まって、後半に物語のつじつまを合わせていくような展開になりがちだが、この2本は前後でそれぞれエモい展開が詰まっている。特に瑛太演じる新聞記者は前/後編で“変化”していくオイシイ役割を担っている。

『FAKE』

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紹介記事を書いているよ〜>>>https://filmaga.filmarks.com/articles/763

森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』の言葉を、本も読まずに拡大解釈しすぎな人がけっこういる。「そーいう意味じゃないから!」って言いたくなる感想がちらほら。

サウスポー

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トレーニング・デイ』『イコライザー』のアントン・フークア監督の新作。ケンカっ早い不良ボクサーが、ケンカに奥さんを巻き込んで死なせてしまい、ドン底に突き落とされる。そこからの再生物語…… というあらすじで想像した通りの展開。そして、想像した通りに泣ける。もう、目にたまねぎのみじん切りを入れるとかと同じだよ。

マネーモンスター

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ジョディ・フォスター監督作。投資指南番組生放送ジャックした男と無責任司会者の真相究明劇。もちろんアメリカの富を独占する「1%」への批判なんだけど、キッチリと娯楽作品に仕上げられている。こういう、5年後、10年後にはあまり振り返られる機会が少なくなってしまう、そこそこ面白い娯楽映画大好き。

エクス・マキナ

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タイトルラテン語で、ロボット/人口知能を通して人間性とは何かを描きつつ、ファムファタールに惹かれて身を滅ぼす男という厨二病的カッコイイ話。ただ、これはやっぱり攻殻機動隊の『イノセント』だよねえ。精巧なロボットが作れるほどの未来なのにディペッシュ・モードだのゴーストバスターズだのがセリフに出てくるし、オリジナル劇伴がポーティス・ヘッドのジェフバーロウなのも絶妙に古臭い。チョイふる未来

『ノック・ノック』

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オリジナル(『メイクアップ 狂気の3P』)を、ほぼなぞった展開だが、たまごっちリセットみたいなオチはさすがにテコ入れされて、シャレの利いたアレンジになっている。善きパパが気の迷いで地獄を見る教訓話のように見えるが、イーライ・ロスにモチロンそんな気は無い。彼の監督フィルモグラフィ全てのサブジャンルは「セクスプロイテーション」で統一されている。いかに景気良くおっぱいを出すか、こそイーライ・ロス作家性だ。本作もスリラーサスペンスの「セクスプロイテーション」映画であるイーライ・ロス次回作は『狼よさらば』のリメイクだそうな。レイプ家族を殺された男の復讐劇。

『貞子vs伽耶子』

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『コワすぎ!』シリーズ白石晃士監督新作にしてカドカワ映画50周年記念作品。『リング』シリーズの貞子と、『呪怨シリーズの伽耶子の対決! 一気に暑くなった日々にぴったりな夏休み感溢れる1本。企画ものの様に捉えられているかもしれないが、真っ当に心霊ホラー的演出で怖がらせながら、終盤へむけて定石を少しずつ外して暴走させていく展開はサスガ。ちゃんと怖くて、ちゃんと面白い

クリーピー 偽りの隣人』

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香川照之香川照之業をこなす黒沢清監督新作。黒沢監督作には情緒の入る余地が無い。香川が演じる男の言うことをみんなが抗えず受け入れてしまうところに理由が無い。憶測は出来るけど、何を仮定しても心もとない。言いきれない。理由が無いのにしてしまう。と、いうのが気持ち悪いし怖い。途中、ドローン撮影したシーンが出てきて「うぉ! 黒沢監督が最新技術を!」と思うのだが、車の運転では相変わらずリアプロジェクターでくすんだ晴天を映して撮影するという気持ち悪くて怖いことしている。

『10クローバーフィールド・レーン』

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POVの怪獣映画だった『クローバーフィールド』の「フランチャイズ」作品。という解ったような解らないような。関連があるから効いてくるネタがあるワケでなし。物語構造は極秘にしたワリに目新しさもない。と、文字にすると良いとこ無いなぁ。細かい演出で恐怖を煽るシーンはとても良いですよ。オッサンがヒゲ剃っただけで怖いとか。ジョン・グッドマンおでこに深い切り傷を負ってメアリー・エリザベス・ウィンステッドにむかってプン!って感じで胸はって縫わそうとする場面がかわいい。

帰ってきたヒトラー

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ヒトラーが現代にタイムスリップしたら人気者になってしまうというアイロニックなコメディ。しかし、まさかサシャ・バロン・コーエン方式で、ヒトラーのコスプレをした役者をドイツの街中に放って反応を見るという、けっこうオッカナイことしているのが楽しい。ヒトラー役の俳優が上手くて、特別似ているワケじゃない(背が高いしガタイがイイ)んだけど、キャラクターとして作り込み完成度が高くて、街の人々の反応に対して「ヒトラーならこう対応するんだろうなぁ」という反応が見られる。タイムスリップ繋がりで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『ターミネーター』へ目配せがありニヤリとさせられる。

『ダーク・プレイス』

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ウェスト・メンフィス・スリー」事件に着想を得たであろう物語田舎者のバカな浅知恵で起こる事件を、地味に追っていく。これはマイケル・シャノンの不在が悔やまれる。バカが嵩じて狂気にならないと、バカの浅知恵計画に説得力的な“凄み”が欠落してしまう。マイケル・シャノン体言するバカの凄みこそ、この物語の核になるものだろう。

『トリプル9 裏切りのコード

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「999」(警察官の殺害のコード)を他所で発生させて、警察がいなくなったところで警備の堅い金庫を襲撃する。という燃える計画なクセに、その設定を活かせていないし、キャラ全員が浅知恵のオーナーで計画が崩壊するのも当たり前だしダラしない。監督ジョン・ヒルコートは『欲望のバージニア』『ザ・ロード』に続き、雰囲気100点、中身0点なフィルモグラフィが完成しつつある。劇中、チカーノの根城を電車ごっこっぽい感じで強襲する場面はかっこよかった。

『二ツ星の料理人』

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どうやらのっぴきならない理由でレストランを潰した一流シェフが返り咲きを目指すが、込み入った人間関係に悩むという話。『8月の家族たち』のジョン・ウェルズ監督作らしい、わがままキャラクターの苦悩が知覚過敏の歯でガリガリくんを齧ったように鋭く沁みる。登場人物に2人LGBTな人が出てくるんだけど、ヘテロと並列に描かれていて、当たり前なんだけど逆に新鮮だし心地よい。

『インドの仕置人』

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日本でソフト出てたインド映画シリーズ。ラジーニ・カーント主演『ロボット』『その男シバージ』のシャンカール監督、1996年のタミル語映画賄賂が横行するインドで、かつてイギリス領時代に独立運動の闘士だった老人が悪徳役人を殺してまわる。彼の行く手を阻むのは、かつて彼に反発したあげく賄賂役人になった息子だった。という話。『その男シバージ』も賄賂と戦う話だし、同監督でヴィクラム主演の『Anniyan』も不正に対して怒ったあげくに二重人格になってしまう話だし、『ロボット』でもギャグとして賄賂を要求する警察官の手をナイフでスッと切ったりと、シャンカールの賄賂嫌いは筋金入りだ。ラストまさかの『ダークナイト』展開もスゴイ。

アラジン 不思議なランプと魔人リングマスター』

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日本でソフト出てたインド映画シリーズ。「アラジン魔法のランプ」の設定を活かし、現代の北インドを舞台に、青年の恋物語が語られる。ジーニー(本作ではジーニアス)を演じるのがインド映画の至宝アミターブ・バッチャンで、ディズニーの『アラジン』ジーニー/ロビン・ウィリアムスを彷彿とさせるアッパーで陽気なジーニーを演じているのが楽しい。メインの話は気の弱いアラジンが人気者のジャスミンの気をいかに引くかのドコメディ。ミュージカル曲がインド・ヒップ・ホップでカッコイイです。

『FAN』

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インド/ヒンディー新作。シャー・ルク・カーン/SRKが自分自身を思わせるボリウッドスーパー・スターと、そのストーカー2役を演じるという倒錯した映画。このスターには「アリヤン・カンナー」という役名が付けられているのだが、使用されるフッテージや、キメポーズ(両手を広げ右側に重心を置いて立つ)はSRKのものだしで、自分で自分を痛めつけて自分が困るという凄まじく危うい構造を持っている。だって「アリヤン・カンナー」を「シャー・ルク・カーン」にしても全然成立しちゃう。つまり、社会における自分(SRK)実験にもなっていて、「あるある、充分ありえる。」という結果として映画が成立してる。そんな怖いこと、よくやるよなぁ。

『GHAYAL』

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1990年にインドで大ヒットした作品。ボクシング選手アジャイは行方不明の兄が麻薬組織に殺されていたことを知る。兄を探していく中で組織に目をつけられたアジャイは、その兄殺しの罪を被せられ刑務所送りになってしまう。アジャイは組織への復讐を誓って、仲間を募り脱獄するのだった。という話。序盤ではアジャイと恋人との恋模様が「ランバダ」に合わせて晴れやかかつコミカルに描かれるが、後半がガラリと転調し、バイオレンス満載の復讐アクション劇となる。これが『ランボートリビュートで、ミサイル・ランチャーばこばこ撃ちまくったりで大変な清々しさ。オチもランボーしてて楽しい

『Ghayal Once Again

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インド/ヒンディー新作。26年越しで公開された『GHAYAL』の続編。前作で麻薬組織を壊滅させたアジャイが、闇の仕置き組織を結成。州知事と息子が犯した殺人事件の証拠動画の入ったHDドライブをめぐり、街全体を巻き込んだ大スペクタクルアクション雪崩れこんでいく。一応、アジャイのトラウマや、亡くした子供への思いなんかが隠し味程度に混入されるが、中盤以降ほぼひっきりなしに行われる大アクションが素晴らしい。インドのアクション映画一本調子になりがちなんだが、カーアクション、ガンアクション、パルクールのスタントに格闘と、めまぐるしくスタイルを変えてくるので、飽きさせず一気に見せる。

『Neerja』

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インド/ヒンディー新作。1995年、ムンバイ発ニューヨーク行きの便がハイジャックされた史実を元に、乗客を救うために尽力した美人CAニールジャーさんを描く。ニールジャーさんの破局してしまった結婚や、現在恋人との仄かな思いがハイジャック事件の合間にフラッシュバックで語られる。美人だけど、失敗したり落ち込んだりもする普通女性であることと、事件での彼女の勇気を対比させていく構成が見事。ソーナム・カプールは高潔な気品溢れる女優さんになっててエレガンス。

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2016-06-01

2016年 5月に見たインド映画 2016年 5月に見たインド映画を含むブックマーク

思うところあって、日本語字幕付きソフトがリリースされているインド映画を集中的に観ていたら結構な本数になったのでインド映画だけでエントリを別けた。『Dilwale』以外は全て字幕付き。TSUTAYA(新宿店の)レンタルか、アマのマケプレ購入。久々にビデオデッキ大稼動。巻き戻すとか忘れてた。シリアル・ママに殺される!

『紙の花』

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1959年のヒンディー語映画。グルダット監督・主演。自伝的な内容であり、結果として遺作となった作品。ボンベイの映画スタジオを舞台に、映画業界監督として大成した男が、雨やどりで出会った薬売りの娘を自作の主演女優に起用したことで、妻との関係が決定的に決裂してしまい、娘をも巻き込み取り返しのつかない事態へ発展する。実際にグルダット本人も女優に恋をして手ひどくフラレて、本作を作った後に自殺、というナルシストらしい最期を迎えている。日本ではハスミンが褒めたことで一部シネフィル御用達な作品に見られがちだがミュージカル・ナンバーもある、れっきとしたボリウッド作品。身もだえ必須の悲恋ロマンス映画

『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦』

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シャー・ルク・カーンとカジョールのゴールデン・ペア1995年のヒンディー語映画。ロンドンでコンビニ経営する厳格なお父さん(『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』のモラ・ラム)の娘シムランが、大学卒業記念の旅行先で奔放な青年ラージに反目しつつも惹かれていく。しかし、彼女にはお父さんが決めた結婚相手がいたのであった…… という王道ストロング・スタイルの横綱相撲的メロドラマ。「始めは反目しあう2人が恋におちる」→インターミッション→「様々な困難を2人の愛で乗り越えていく」という構成が鉄板過ぎる。インドでは公開からロングランヒットを今もなお続けて、ついに1000週、約20年を突破した劇場があるそうな。もう宗教だね。

『Dilwale』

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SRKとカジョールの「DDLJ」ペア共演の、今年インドで公開されたヒンディー語映画新作。というか、この新作を見るために『DDLJ』を改めて観たのであった…… 対立していたギャング団の子供同士が恋に落ちるも、抗争でそれぞれの父親を失い、恋すれど反目しあう。というこれもまた大横綱な王道相撲。若い観客動員テコ入れなのか、初々しい若者も投入されてはいるがSRK×カジョールのペアが美しくまぶしすぎて、若者たちは完全にコミック・リリーフと化している。

家族四季 -愛すれど遠く離れて-』

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『マイ・ネーム・イズ・ハーン』『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』など、日本で公開される率が高いカラン・ジョーハル監督の2001年のヒンディー語映画。これもSRKとカージョル共演。3時間半(210分)の大作。SRKとカジョールのゴールデン・ペアに加えアミターブ・バッチャン、リティク・ローシャン、ラーニー・ムケルジー、カリーナ・カプールオールスター総出演。話は「引き裂かれる恋人」というザ★メロドラマ展開。アミターブが怒ってカミナリを落とすと、文字通り雷鳴が轟くというそのまんま演出も素晴らしい。

『たとえ明日が来なくても』

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2003年のヒンディー語映画。諍いの絶えない家族のお向かいさんにやって来た天衣無縫青年(にしては仕上がった感の強い男:SRK)アマン。なんやかんやと家に入り込んで家族わだかまりをほぐしていくのだが、アマンには秘密があったのだった…… という『ビバリーヒルズ・バム』やハル・アシュビーの『チャンス』などの「どっかから来た人が、影響を与えて去って行く」系の話。しかし、去り方が泣かす。泣かし加減で言えば、目にタバスコを流し込むか、この映画見るか、というくらい泣かす。SRKは酷い目に会えば会うほど輝くマゾヒストヒーロー

『ミモラ~心のままに』

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『ラームとリーラ 銃弾の饗宴』『バジラーオ・マスターニ』のサンジャイ・リーラー・バンサーリー監督1999年のヒンディー語映画。『ロボット』のアイシュワリヤ・ラーイと『ダバング 大胆不敵』のサルマーン・カーン共演。イタリアから来た音楽家ミルインド音楽大家の娘ナンディニのメロドラマ。恋心と愛の違いをつまびらかに描いているんだが、何よりもアイシュの情報量の多い表情と仕草にクギづけ。信じられないほど複雑な心境を、言葉よりも効率的で豊かな表情と仕草で、一瞬にして表現しきってしまう。すごいや!

『愛しのヘナ』

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2000年にひょっこりビデオリリースされた1991年のヒンディー語映画。主演はランビィール・カプールのお父さんリシ・カプール木材製材工場を切り盛りする青年チャンダル自分結婚式へ向かう途中で自動車事故に会い、インドからパキスタンへ流れるジェラム川へ落ちて流されるままパキスタン入り。事故のショックで記憶喪失になったチャンダルは看病してくれた若い娘ヘナに仄かな恋心を芽生えさせてしまう! という、インド/パキスタン問題を始めとした諸問題全部ぶっこんだダブルグランドビックマックみたいな壮大なロマンティック・アクション劇。グイグイ引き込む展開が3時間一気呵成に観せる。

『ボンベイtoナゴヤ』

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1993年のヒンディー語映画。両親を殺したギャング団を追って日本の名古屋へ来たインド人刑事。インド・ダンサーと偶然の再会に恋心を抱きつつもギャングを追う! 名古屋を中心に大々的なロケ撮影が敢行されているのだが、十中八九ゲリラで、交差点のど真ん中で踊っているインド人を通行人がガン見している。「パチンコ屋」が面白く感じたらしくギャングアジトの出入り口になっているのが、「悪の巣窟」という意味本質的に間違っていないあたり笑った。ビデオで105分。始まって40分あたりでインターミッションが入るので、前半かなり、後半もチョイチョイカットされている感じだが、正式な長さが調べても出てこないよう。相当楽しい映画写真デパート屋上、こども広場をゲリラロケの様子。

『アンジャリ』

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1990年のタミル語映画。マニラトナム監督作。死産の悲しみを乗り越えて都市部の団地引越した4人家族。お兄ちゃんと妹は子供らしい実直さと無軌道さで地元のいたずらっ子グループに仲間入りし、愉快な日々を送っていた。そんな中、お父さんの不倫疑惑が持ち上がる…… マニラトナムらしいと言えばらしいのだが、あまりに雑な展開とスピルバーグ作品への直裁な憧れが歪な形で現れる珍作。

ディル・セ 心から

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1998年のヒンディー語映画。こちらもマニラトナム監督作。SRK主演。ラジオパーソナリティとテロリストの恋物語。1991年に実際にあったラジーブ・ガンジー元首相に対する自爆テロモデルに、自爆した少女がもしも恋をしていたら、という着想のお話インド映画フォーマットに準じてミュージカル・ナンバーを多く取り入れつつも、政治に翻弄された男女の悲恋を描く。マニラトナムは徹底して社会問題を娯楽の味付けに使う。地べたを這う様な泥臭さは、身を膾に切り刻む切実さを孕む。

『マッリの種』(ソフトタイトル「ザ・テロリスト 少女戦士マッリ」)

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1999年のタミル語映画。マニラトナム組の撮影監督サントーシュ・シヴァンの監督作。撮影監督を勤めた『ディル・セ 心から』の同年に公開された作品で、本作も同様に「自爆テロ少女」をモチーフにしているが、アプローチも展開も異なった、いわば姉妹作になっている。革命の戦いで勇敢に死んでいった兄を持った少女マッリ。自爆テロに向け事情を知らない農家に預けられ、日々を過ごしていく中で「命を繋いでいく」ことを農民の爺さんに教わっていく。あくまロマンスの味付けで自爆テロが取り上げられた『ディル・セ 心から』に対し、正面から向き合った本作は当然、対照的に洗練さがある。

インディラ』

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マニラトナムの奥さまで女優のスハーシニが監督したタミル語映画。1995年製作カーストの低い人たちが村から追い出され、川を挟んだ対岸に移住させられてしまう。国策としてカースト制度の廃止が決められた後でも、依然低いカーストの人々は虐げられていた。そんな差別を無くそうと奮闘する村長と、彼の意思を継ぐ娘を描く。さすがのマニラトナムの奥さまだけあって社会問題エンタメ化と、不幸つるべ打ち。ただ、降りかかる困難を都度々々解決していくノー・ストレスな構成は映画マゾには物足りないかも。画像検索で、「高いカーストの村で火葬してほしい」とわがままを言う胸毛がすごい老人しかひっかからない……

『女盗賊プーラン』

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1994年ヒンディー語映画。日本でも自叙伝出版されていた、低カースト出身で盗賊から政治家へ転身したプーラン・デヴィの半生を描いた作品。オープニングの字幕で「家畜と太鼓と低カーストの女は叩け」という言葉にギョッとする。11歳で嫁いだ先でレイプされ、逃げた先でレイプされ、警察でレイプされ、ようやく盗賊に拾われる。ヒンドゥーカースト制度の軋轢から逃げた人を受け止めるセーフティ・ネットが、カースト関係無いイスラーム違法集団になるというのはアチャーという話。監督は後に「70億人の彼氏」ことケイト・ブランシェット主演で『エリザベス』を監督するシェカール・カプール

サラーム・ボンベイ!』

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1988年のヒンディー語映画。ミーラ・ナーイル作品。「ボンベイに和平あれ!」のイスラム風な挨拶タイトルに、ボンベイのストリート・チルドレンの日々を捉える。様々な困難に対して放火してその場をうやむやにして、後からエラい目に会ってしま自業自得少年をインドの実景の中で追っていく。子供らしい浅薄さで強引に社会を渡り歩く、たどたどしく、もどかしい様子がネオレアリズモ的な生々しい貧しさと猥雑さで描かれる。

カーマスートラ/愛の教科書

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1996年の全編英語インド映画。ミーラ・ナーイル作品。16世紀のインドを舞台に、良家の娘と姉妹のように育てられはしたものの低い階級の娘の、愛と嫉妬の物語。インドを舞台に、インドの有名な性の聖典カーマスートラ」をテーマにしながら登場人物は全員英語を喋る海外向け作品。いわば『ロボゲイシャ』や『デッド寿司』のインド版、インド・エクスプロイテーション映画だ。だったら井口監督くらい派手で面白いウソをついて欲しい。

『モンスーン・ウェディング

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2001年のヒンディー語映画。ミーラ・ナーイル作品。結婚式を舞台にした群像劇。様々な人生結婚式という晴れやかな場で交錯する構成は見事。インドを舞台にした、インド人監督による、インド特有の結婚式を描いた、紛れもないインド映画なのだが、日本人寿司職人が作ったカリフォルニア巻きのような空気が漂う。描写に間違いや誇張は無いし、面白い映画ではある。

『その名にちなんで』

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2006年基本的には英語映画。ミーラ・ナーイル作品。ニューヨークの大学研究者として働くアショケと見合い結婚した芸術家の娘アシマ。2人の間に生まれた男の子は後で変えるの前提でアショカが好きだった小説家から仮の名前ゴーゴリ」と名づけられる。後に生まれた妹ソニアの4人家族生活に、綿ぼこリの様に紛れ込むちょっとした齟齬の、繊細な機微が描かれる。ピューリッツァ賞受賞の原作小説映画化した作品ながら、アフリカ政治学教授マフムード・マムダニ結婚したミーラ・ナーイル自身の境遇と重なるところもあり、自叙伝の様な印象。「名前」とか「名づける」という概念そのものが孕む運命めいた事がらが浮かび上がる構成が見事。

個人的経験だけど、今まで「元気」っていう名前の人「須藤元気」以外で3人に会ったことあるけど、全員すごい元気だった。中学1年生の時の、朗らかで健やかな生徒会長名前は「素直」。

ミッシングポイント

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2012年基本的には英語映画。ミーラ・ナーイル作品。パキスタン人作家自伝的な小説『コウモリの見た夢』を原作とした作品。2001年9月11日のニューヨークで、企業コンサルタント会社のアナリストとして働くパキスタン人が強いられた数奇な運命を描く。よく知られた俳優も多数出演の国際的な作品。この題材はインド出身でコスモポリタンのミーラ・ナーイルでなければ表現できない領域であろう。南アジアとアメリカでのイスラム教徒に対する空気感の違いや、911以前と以降での変化など、繊細かつ残酷な機微がすさまじいバランス感覚で見事にあらわされている。

ミーラ・ナーイル監督5作、立て続けに見たのだが、『サラーム,ボンベイ!』『カーマスートラ 愛の教科書』あたりは、国際社会の中でインド人であることを全面におしだした「みんなが見たいインド」を作品にした感が強い。

しかし『モンスーン・ウェディング』になると、インド人であることを意識的に打ち出すまでもなく、インド人だなぁという自覚が芽生えている感じ。

『その名にちなんで』『ミッシングポイント』と「異国で南アジア人として生きること」を描きながら「自分が何者であるか?」という命題を濃く浮かびあがらせている。面白さの質が作品ごとに、成長的な変化をしている。

2016-05-31

2016年 5月に見た映画 2016年 5月に見た映画を含むブックマーク

今月は往年のゲームスプラッターハウス』のPS3リメイク『Splatter House』をクリア。すぐにジャック・ブラック主人公CVをあてて、JBっぽいキャラヘッドバンギング武器にする原住民を引き連れて戦うRTSゲーム『Brutal Legend』をプレイ。と、大遅刻洋ゲーマーと化している。

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テラフォーマーズ

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公開前から駄作認定されたのは、原作コミックファンが「漫画実写映画はクソ」的なクリシェに飛びつく子らであったからだろう。実際には名作/傑作とは決して言えないが、邦画レベルでは充分な娯楽作品だと言える。中でも女優陣、太田莉菜と小池栄子のキレ感はゾクっと来るものがあった。しかし、アメリカで公開したら炎上必須だね。黒々として筋骨隆々でつぶらな瞳でこん棒持ってるって、バカにする気満々でカリカチュアした黒人だと受け取られかねない。No Fun No TV Do Honky

『スキャナー 記憶カケラをよむ男』

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金子修介監督の新作。野村萬斎を現代劇に起用というのが売りなのであろう。ただ、彼の演技は時代劇などで見せる大仰さのまま。加えて金子監督平成初期感(ガラケーがパカパカ活躍)が合わさり、作品全体が絶妙に古臭く、90年代の傑作が発見されたような、奇妙な味わいになっている。しかし、ここまでベタベタ映画が作られて、広く公開されている意義はあるだろう。ベタが出来ないのにネタやメタをやって失敗し続けたのが邦画なんだから。ただ、終盤の泣きのどんでん返しを畳み掛ける構成は、昨今邦画の下手な泣きバイ映画に対して、金子監督からの「泣かしたいならココまでやってみろや!」という挑発であろう。

青春100キロ』

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久々に映画1本でエントリー書いたよ>http://d.hatena.ne.jp/samurai_kung_fu/20160509#p1

音楽がすごく良くて、サントラエロロック」買いました。

『SHARING』 『SHARING(アナザー・バージョン)』

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日ごろから世界なんか滅亡してしまえばイイんだ!」と思ってた人は311震災で原発が爆発した時にどう思っていただろうか? という軸に予知夢ドッペルゲンガー混沌と絡んでいくオリジナル版。自分家族、親類縁者、知り合いさえ被害にあっていない311震災へ、共鳴する様に悲しみを持つ気持ちはどんなメカニズムなのか? という軸に予知夢(のみ)が控えめに絡んでいくアナザー・バージョン。それぞれほぼ同じ撮影素材が使用された、正に「ドッペルゲンガー」的な2作になる。エモーションの輪がシュッと閉じていくウェルメイドなアナザー・バージョンを先に見て、面白かったのだが「みんなが言うほどすごくは無いかなぁ……」と、後日あらためてオリジナル版を観たら、アナザー・バージョンに違法増築改築をバンバンしまくって奇妙な形になった沢田マンションみたいなスゴイ映画だった。

ヒーローマニア -生活-』

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近未来架空の日本都市を舞台に、自警行為の虚飾を暴き、更に若者のやる気搾取までを描いてしまう。アイドル仕事の多い豊島圭介監督らしい俳優さんらの魅力の引き出し加減が心地よく、中でも、ふざけたセリフを力いっぱいに演じて見せた上で嫌味を感じさせない小松菜奈のオモシロ百面相作品価値を上げている。往年の竹中直人が憑依したかの様な船越英一郎の怪物っぷりもすごい。

『ディストラクション・ベイビーズ』

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暴力依存的に取り憑かれた青年を軸に、サディスティック欲望を開花させてしま若者や、万引き依存キャバ嬢などを描く。演出の狙いや演技、脚本、編集音楽など全てが製作者/監督が思った通りの意図寓意表現できていて観客にも充分届いている。その巧みさは理解できるが、面白さに繋がっていない印象。ピース数が多いでっかい真っ白なジグソーパズルの完成品を見せられた気持ち

ヒメアノ〜ル

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今月の一等賞。『告白』以降、近年立て続けに作られている、生々しい犯罪邦画系譜の中でもトップグループに入るであろう。海外の低予算ホラーでは度々見られる「セックスの代償行為としての暴力」をここまでストレートに表した製作者には、グラスが空になっていればお酒を注がせていただきたいほどの、感謝気持ちすらある。いいもの見せていただいた! ありがとう

アタック・ナンバー・ハーフ デラックス

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アタック・ナンバー・ハーフ』のリメイク監督が「オリジナルはコメディに寄せすぎている。」とインタビューに答えているのを読んでいたので、クリストファー・ノーラン的な作品にでもなっているのか? と思ったら、ZAZ映画みたいな高密度オカマギャグを満載した作品になっててズッコケた。同じストーリーなのに出来に大きな差があるということで、『バタリアン』に対する『バタリアン2』の様な作品だと思ってもらえれば理解は早いだろう。

グランド・フィナーレ

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オリジナルタイトルは「YOUTH」(若さ)。アルプスの高級サナトリウム施設で、じいさんたちが自身の老いと対決していく中、どうしても対比として「若さ」を突きつけられる。しかし、この邦題日本版のポスターは枯れの美学とか最期の一花的なイメージ喚起させるが、もっと奇妙で単純に愉快な画面が散文詩的に続いていくホドロフスキー映画に近い。ウィンクが上手くできずにぴょこんと跳ねてしまメガネ童顔の売春婦とか、「おじさんね、左効きなんだよ。」と近づいてくるマラドーナ(風のおっさん)とか。

『ヘイル,シーザー!』

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1950年代のハリウッドを舞台にしたノワール風内幕もの。下衆なスター俳優に、双子ゴシップ記者、がらっぱちなスター女優、キツい南部訛りのウェスタン俳優などなどの猛烈な個性をむき出しにした人々が集うショービジネス界を切り盛りする“相談役”の奮闘劇。スターウォーズのスピンオフで若きハンソロに抜擢されたアルデン・エーレンライクは劇中のおいしい役どころもあって可愛さ爆発。ミュージカル女優とのデートシーンが微笑ましく楽しい

エンド・オブ・キングダム

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FPSゲームバトルフィールド』や『コール・オブ・デューティーシリーズの、プレイアブルなパートが無くて約100分実写のムービーが続いている感じ。実際、アクションパートプレイアブルにするだけで、バリエーションに富んだゲームになるだろう。ハンドガンでの篭城からカーチェイスヘリコプターでの脱出から地下のステルスアクションなどなど。多彩なステージアクションが展開していき、合間々々にドラマ・パートが挿入される。なので、唯一の難点はコントローラー付いてないところだ。

神様メール』

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ヨーロッパの人がたまに作る、ちょっとビターで猛烈にカワイイ映画神様があまりにヤな奴なので、嫌気がさしたキリストの妹が世界を変えるために新しい聖書「新・新約聖書」を作り始めるという話。神様を演じるのが『ありふれた事件』のサイコパス殺人鬼ブノワ・ポールヴールドなので、本当にサイコウに嫌な神様っぷりが痺れる。そして、ヨーロッパの人が描くエロさの生々しさには毎度ニヤニヤさせられる。映画が始まる前のエア・フランスのコマーシャルエロくて好きさ! オランジーナ先生エロい目で見ているよ!

『アーチ&シパック -世界ウンコ大戦争-』

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いまさらながら。韓国のアニメ映画。天然の燃料資源が枯渇して人糞が燃料になった未来世界の話。ポンチっぽい絵とバカバカしい設定で、おちゃらけた印象があるが、動きの快楽に満ちた素晴らしいアニメ映画であった。『攻殻機動隊』や(アニメの)『イーオン・フラックスからの影響と同じくらいハリウッドスピルバーグ作品引用がある。世界中ボンクラのいかほどが『インディ・ジョーンズ 魔宮伝説』にクラッシュしたのやら?

スリ

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いまさらながらパート2。軽やかな側面が正面に来たときのジョニー・トー作品スリかスられる人しかいなくて、他の犯罪が無い世界。悪い人はいずれも全員スリというのが『柔道龍虎房』みたい。健気でカワイイおっさんたちがチームでスリをする場面の息が合ってる感が楽しい。何で見逃したのかなぁ?っと思ったら、公開されてねーでやんの。

『スター・フォース未知との遭遇〜』

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いまさらながらパート3。気立てが良くて美人だが底抜けに頭が悪いレイ大富豪御曹司との結婚を控えていたが持ち前の頭の悪さで反故にされてしまう。そんな彼女の不幸に共感した失敗続きの探偵2人が、彼女を助けるために宇宙人を探す…… というベッタベタなコメディ映画ジャケットがこちら。

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こういう場面はあるのでウソでは無いけど悪質さはある。とても前向きにダマされての鑑賞ですが。ツイ・ハークがちょろっと出ていた。

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2016-05-09

「100%報われる努力」というロマンティック・ファンタジー青春100キロ』 「100%報われる努力」というロマンティック・ファンタジー 『青春100キロ』を含むブックマーク

AVアイドル上原亜衣ちゃんの引退記念作品素人100人が鬼ごっこ上原亜衣ちゃんを捕まえたら生で中出しセックスできる、という企画に応募したケイくん(仮)。彼が応募用紙に「走ってでも会いに行きたい」と書いたことから、だったら新宿からロケ地の山中湖までの100キロ走ったら確実に上原亜衣ちゃんに生で中出しさせてあげよう、ということで立ち上がった企画AVドキュメンタリー作品監督は『由美香』『監督失格』の平野勝之

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ケイくん(仮)はそもそも趣味マラソンをしていて、ホノルルマラソンでも一般ランナーとしてフルマラソンを完走している。その彼が何故マラソンを始めたのかと聞かれ、こう答える。いわく、特別テクニック必要なく、練習を積めば積んだ分だけ確実に上達するのが明確に解るから、だそうだ。

恋愛において、出会いから2人きりのデートに漕ぎ着けるまでは「お試し期間」。そこから次のデートへ繋げられれば「本採用開始」で、様々な関門を突破し、「この相手なら裸になって何もかもさらけだしても良い」と思わせたら、ようやくセックスにたどり着く。

実際の恋愛では更にその先があるワケだが、「上半期報告」としてのセックスに到る工程相手次第になる。文字通り千差万別で明確な答えは無い。世に溢れる恋愛指南本はある種の類型的な「成功例」のようなもので、書かれた内容を100%こなしたとしても、成就できるかはまた別の要因になる。

恋愛にはマラソンの様に「確実な結果を出す練習」は無い。予行演習や特訓も通用しない。100%の攻略法も無い。夜景キレイな丘で愛の言葉をつぶやいて高額な装飾品をプレゼントしても、必ずその夜に結ばれるとは限らない。

本作のタイトルにある「青春」とは「苦労をしても報われるとは限らない」という事実を実感として知るまでの期間のことだ。恋愛を始めスポーツ仕事はもちろん、趣味だってその頚城からは逃れられない。若く経験の浅い若者特有の万能感で人の苦労をバカにする。

「ふふん。あれくらいオレにだって出来るし、もっと上手にやってやれるぜ!」

こう思っている期間が「青春」だ。実際に立ち向かい、見事に玉砕し、コテンパンに伸されて「青春」は終了する。


からこそ『青春100キロ』はロマンチックだ。


本作にあるのは、巧妙なAV的なロマンだ。AVには、家に帰ったら可愛らしくて異様にエロい義理の妹がいて常にセックスを迫ってくるとか、病院に行ったら「あら!まぁ大変!」とエロい美人ナースに一本抜かれるといった、都合の良いロマンがある。これらのAVは、棚の下で口開けて待っていたら、ぼた餅が落っこちてきた的な、完全他力本願ロマンだ。AVを観ることとは、ウソだと理解した上でそのロマンに耽溺することだ。

本作の場合、100キロ走破というそれなりな苦労があることが肝だ。

例えば、私が今から100キロ走ったところで上原亜衣ちゃんとはもちろん、他の誰かともセックスできるワケじゃない。しかし、本作は「それが出来る世界」の中で撮影されている。

本作の世界では上原亜衣ちゃんへの愛を100キロマラソンという苦労で表現しきることで確実にセックスとして思いを成就できる。都合が良いという点で他力本願AVと大した変わりは無い。

本来セックス人間関係の構築という相当に面倒臭い工程必要だ。その面倒臭い工程を、本人いわく「特別テクニック必要なく、練習を積めば積んだ分だけ確実に上達する」マラソンという、ドラゴン・クエストのレベル上げ的苦労に置き換える。

「がんばれば、報われる。」

なんと甘美で危険な誘惑だろう。今、この世界はいかほどがんばろうが、必ず報われるとは限らない。むしろ、苦労を二束三文に買い叩かれて、思ったような結果を得られることは少ない。そんな世界と地続きに、100キロ走って憧れの上原亜衣ちゃんとセックスした男がいると思うと、なんだか勇気が湧いてくる。意味は無いが、自分マラソンをしてみようかと考える。

そんなロマンティックな「青春」の想いを、今更私に抱かせるほど、本作は危険で甘く、魅力的だ。

マラソンはしないけど。

2016-05-01

2016年 4月に観た映画 2016年 4月に観た映画を含むブックマーク

あなた携帯にウィルスが入って、遅くなってます!」という恐ろしいメッセージがスマホに出て、言われるがままに色々インストールしたらインターフェイスが変わってしまい、パニック中。

『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』

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バンクシーがNYのあちらこちらに日替わりで作品を残していった一ヶ月を追うドキュメンタリー。バンクシーは本来価値が無いもの価値を加えていくというアートフォームで、二束三文に狂騒する人々を作り出す。そのアートフォーム現在の経済システム虚業富豪たちを嘲笑っているのだろう。バンクシーのNY連作が収められているという点で貴重な記録だが、ドキュメンタリーとしてはとっちらかって散漫な印象。5ポインツとの対比がもっと上手にいってれば。

LOVE 3D』

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監督ギャスパー・ノエなので、もちろん生々しいセックスを3Dで見せるという露悪的な発想で作られているのは確かなのだが、物語は今まで以上に内省的。だが、自傷に見せかけた、他の誰かへのあてつけでもあるだろう。どうすることも出来ない生まれついての才能や感覚セクシャリティ投影する。セクシャリティが修練で身につけられるものでは無いように、芸術的なセンスも生まれついてのものだと突きつけるのだ。

ボーダーライン

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秘密だらけで何も教えてもらえないまま、銃撃や殺戮に投じられるエミリー・ブラントは観客の感情移入対象なんだろうけど、我々はそこまで映画杓子定規正義規範は求めていない。むしろ「殺っちまえ!」と拳を振り上げている。なので「そこで意地はったって何の意味も無いじゃん!」と常に思いながら、CIAの作戦に帯同していくハメになる。終盤でマグマの様にたぎる男の物語へ移行するのが慌しい。

ルーム

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奇妙な性癖を持った男の被害に会う女性が、困難に立ち向かっていくというのがスティーブン・キングの皆既日食連作「ドロレス・クレイボーン」「ジェラルドゲーム」に似た感じ。しかし、後半に訪れるジャック少年無双こそが、本作の高い評価と各映画賞をもたらしているのは明白だ。もう、観客全員泣いてた。映画館がしゃくりあげてた。

『コップ・カー』

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今月の一等賞。ケビベーTシャツも買ってしまった。こどもが汚い大人からマシンに乗って猛スピードで逃げる映画。って、つまりはニューシネマか? かつて『スピード』を撮り終わったヤン・デボンが調子こいて「手漕ぎボートでもサスペンス演出できる」と嘯いたそうだが、本作では車を100マイル/h(140キロくらい。アメリカの高速では珍しい速さでもない)で走らせるだけで、猛烈な感動を起こす。

『スポットライト 世紀のスクープ』

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今年のアカデミー賞作品賞カトリック教会犯罪を暴く新聞記者の戦い。しかし、暴力的な脅しがあるとか、謎の暗殺者に狙われるといった劇的な対決は無い。それなりに妨害もあるが、戦いの最大の相手は新聞記者としての矜持だ。あまりに強大な相手の不正を暴くことで、世界ベルで影響を与えてしまうし、身近な人々の信仰心に傷を与えかねない。そんな静かな戦いに参戦することになった記者たちの熱がヒンヤリとしたトーンの画面でコントラストとなって浮かび上がる。平坦な景色に僅かな起伏をつけて大自然表現する日本庭園の様なわびさびムービー

『レヴェナント 蘇えりし者』

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八甲田山』の撮影で、俳優の準備も整っていないのに、真冬の池の中にジャブジャブ突っ込んでいって水に浸かってカメラ構えている木村大作の鬼気迫る様子に、エキストラ全員「……この現場やべえ……」と戦々恐々とした、その空気映画に収められている。という逸話に似た、ルベツキの狂気とデカプの執念のアカデミー賞であろう。ちなみに『八甲田山』の現場で、やることもなく樫の木と話をして仕上げた脚本を映画化したのが橋本忍の『幻の湖』。キチガイばっかりの現場。ちなみに、デカプが生きた魚をかじる場面を一部のアメリカ人たちが「エクストリームスシ・モーメント」と呼んでいるそうだ。

『アイ・アム・ア・ヒーロー』

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ゾンビ演出はかなり面白いゾンビパンデミックで平穏な社会がひっちゃかめっちゃかにひっくり返る感じは本当に素晴らしい。クライマックスの大殺戮大会も見事としか言い様が無い。しかし、ゾンビが出ていない場面全てがダメだった。臭いセリフと臭い演技は、いわゆる「ダメ邦画」の見本みたいなダメさ。もちろん「ゾンビ映画」の「ゾンビ描写」が良いんだから、という気持ちもあるけれど、なんというか。こだわりの生地と厳選したトマトソースと極上のチーズで作ったピザに乗ったサラミが腐ってるしカビ生えてるような台無し感。もったいない

ズートピア

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フルCGの動物アニメながら、閑職に追いやられたウサギの警察官とキツネの詐欺師が、裏社会にも渡りをつけて事件を追っていくという『ロング・グッドバイ』や『インヒアレント・ヴァイス』を思わせる不良探偵ものになっている。しかもテーマは人種差別だ。ブッといテーマフィルム・ノワールを動物アニメコーティングして子供に見せようというという発想がスゴイ。

『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

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MCU新作。予告だけでも充分興奮したのに、さらなるサプライズを用意してしまう過剰サービスノックアウトサプライズだらけの終盤決戦はもちろん、スパイダーマン参入エピソードで史上最高にセクシーなメイおばさん登場にはアゴが外れた。仲間割れという湿気の多い辛さをキャップ高潔童貞スピリッツが救う。

『Bajirao Mastani』

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去年の私のベストで挙げた『ラームとリーラ 銃弾饗宴監督と主演2人の新作。インドでは『スターウォーズ フォース覚醒』の方が、この作品上映を避けて上映をずらしたというほどの期待作。それも納得のセットや衣装の美しさ。「目を奪われる」とは正にこの映画のこと。しかし、基本的にはお家騒動なので陰湿なやりとりがメインの会話劇になってしまっている。すっごい美しい世界の中、すっごい美しい男女が、ストレスで内臓溶けるような会話を続けるというマゾ映画

『Airlift』

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1990年サダム・フセインのクウェート侵攻で、帰れなくなったインド人たち16,000人の脱出を描く。『シンドラーのリスト』『杉原千畝』系映画のインド版。侵攻前の裕福な暮らしから一転、侵攻が始まり略奪と殺戮の場となるクウェートの様子がゲームコール・オブ・デューティ4 モダン・ウォーフェア」オープニング的にワンカットで展開していく“地獄絵図”がスゴイ。

『Wazir』

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テロリストに娘を殺された対テロ組織の隊員と、とある理由で娘を亡くした老人の頭脳ゲーム…… っぽい感じの、実はあんまり頭脳関係ない戦い。思わせぶりにチェス盤を出して、IQ高そうな謎を解決しつつ、最終的にはド派手に大混戦というのは、ジェラルド・バトラーの『完全なる報復』だね。『ミルカ』のファルハーン・アクタル主演、インドの至宝アミターブ・バッチャン共演。最近短くなってきたインド映画の中でも90分ちょっとという、かなり短いインド映画

ポルターガイスト』(リメイク

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いったいどこのバカがスティーブン・スピルバーグと、トビー・フーパーがタッグを組んで作った映画リメイクしようと思ったのだろうか?

インシディアス 序章』

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老いて肉体的には弱々しいが強い霊能力を持つ者と、技術面でバックアップする若者研究者というのは『ポルターガイスト』だねぇ。チーム結成までのエピソードゼロ逆恨み幽霊呪いと、亡くした肉親のあの世からの愛がセットの定番幽霊譚。無理やりヒネリ出した感は否めない。

『絶叫のオペラ座へようこそ』

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ホラー・ミュージカルだが、ロックっぽさは無く、いわゆるミュージカル調の歌。しかし、ホラー描写には気合いが感じられる。端々にツメの甘さやテンポが崩れる場面もあるが意欲的な部分は充分汲めるし、それなりに楽しい仕上がりになっているのも好印象。

パージ

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ようやく鑑賞。「金持ち憎し!」が狡猾に脚本に落とし込まれている。『ハンガーゲーム』同様に「こんなにイヤな制度が施行された世界で、嬉々として参加する人と嫌々参加せざるをえなくなった人の対決」を描きつつ「嫌々参加した人」に感情移入させて「嬉々として参加」したい気持ちを満足させる。「金持ちぶっ殺したいよな!」という製作者の声に、ヒットさせて「イェ−!」と答えるボンクラたち、という図式。イェ〜〜!

パージ アナーキー

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続編。パージの舞台を街に移したら、モロに『ニューヨーク1997』みたいな脱出劇になったよ、という感じなんだけど、スネーク・プリスキンいないと、こんなに締まりが無いねえ。及第点アクション映画という程度で、何もすることが無い休日にぴったりな作品

救世主伝説 ザ・タイガー

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ガエル・ガルシア・ベルナル主演。アルゼンチンのジャングル農業を営む貧乏親子と使用人の3人の元へ、地上げ屋8人くらいがやってくる。その時、一人の男がフラリと現れて貧乏一家に加勢する。という『七人の侍』を、極限までソリッドに刈り込んだ話。途中でベルナルがハッパ吸って異世界交信し始めたり、何の前触れも無くトラが加勢したり。と、説明するとオモシロそうだが、実際はかなり眠い

『ワイルド・スピード SKY MISSION』

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3作目あたりからレンタルで済ませて、それまでは「相応しいな」と思ってたんだけど、これは大後悔。物語が完全に機能不全なのに面白く出来ているのは発明的だと言っても良い。ヴィン・ディーゼル軍団の目的は「ステイサムを探すための衛星ハッキング用のデバイスの奪取」。それを邪魔しに来るのがステイサム。しかも何度も! 探す必要無いじゃん! もはやマクガフィンですらない。けど面白い! RIPポール・ウォーカー

マンホール

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下水調査のため、なぜか秘密裏調査を請け負った修繕人が、下水の吹き溜まりみたいな箇所に閉じ込められてしまう。という何から何までババッチイ映画。見どころは主人公の腐敗進行。最終的に日野日出志「蔵六の奇病」状態になるのがなかなかの鳥肌ものクリストファー・ノーランが『悪魔の毒々モンスター』をリメイクしたらこうなるのだろうなぁ、という映画

マーシュランド

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スペインミステリー映画。余計な場面が全く無い編集が神がかっている。登場人物たちの動きのテンポカメラの動きはゆっくりしているのに、必要な場面だけが延々と続いて、サスペンスを一つづつ積み上げていくので、目が離せない。老獪なじじい刑事と若い実直な刑事という常套的なペアにも途中でヒネリを入れてくるので安心できない。

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