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2009-08-17

スクリーンサイズの怪人たち「傑・力・珍・怪 映画祭スクリーンサイズの怪人たち「傑・力・珍・怪 映画祭」を含むブックマーク

「傑・力・珍・怪 映画祭」鑑賞。

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http://ketsuriki.com/(傑・力・珍・怪 映画祭 公式HP)

ボクが何故、毎週々々、ワザワザ映画館などという場所、それもたいがい新宿だとか渋谷といった歓楽街のあちこちに点在するから、ボクの大嫌いな人ゴミの中を横断しなければならない場所へ行くのか?という事を考えた。というか「あぁ、コレがあるから映画館行くんだな。」と思い当たった。

「傑・力・珍・怪 映画祭」だが、どういう基準のチョイスなのかよく知らないのだけれど「大拳銃」「魔眼」「人喰山」の短編3本をメインとし、日替わりで1本ゲスト作品が上映される。

「大拳銃」は零細工場にやってきたカスタム拳銃製作依頼の話。ドン詰まった真面目な男が法を破る決意をしたあと、ダムが決壊するように闇の中へつき進んでしまう風情が素晴らしい。「零細工場」という最近ニュースでよく聞く、シリカゲルをぶちまけたような乾いた舞台を選んだ上に、そこへ「金」や「犯罪」といった揮発性の高い液体を流し込むイジメのセンスは映画製作者としての今後が信用にあたいする証左であろう。

「魔眼」は眼をつぶされ、母親と妹を惨殺される風景を幻視した女っという話。ジャッロ作品の不条理感と、往年の幽霊譚の主人公が陥れられるような孤独が素晴らしい。意図的にほとんど説明らしい説明をしない事で、真っ暗闇を手探りで進むような素晴らしい恐ろしさがあった。

「人喰山」は連続殺人犯の遺体放棄現場である奥深い山に検分のために訪れた犯人と警察の一行が出会う驚愕の事件という話。墨一色の濃淡で描かれた画が紙芝居のように替わって展開していく手法と物語の相性の良さ。それと何と言っても終盤の圧倒的な世界観が素晴らしい。

テーマ/ジャンルスタイルも違うこの3本の共通点はどれもテレビプロデューサーが眉をひそめるであろう所だ。テレビのデジタル信号に変換するには、その念のデータ量は重く、液晶モニターに写すには、猥褻モザイクすら煤けさせる。唯一、映画館の暗闇と大きなスクリーンだけが、これら作品投影を許されたメディアであろう。

テレビで事済むのであれば、ボクはワザワザ映画館なんかには行かない。ただ、せっかく映画館で見ているのに「こんなもん、テレビで充分じゃい!」と思う事は少なくない。最近ではほとんどがそうだ。

初めてマンコを肉眼で見た時の畏怖と高揚。骨折して手があらぬ方向に曲がっているのを見た時の痛みを忘れるほどの驚き。不良に囲まれアドレナリンが沸騰し、視界が狭くなりボコボコと殴られているうちにフッと訪れる冷静な怒りの開放感。そういった公にされる事の少ないものを闇の中から引きずり出すような映画というものがある。ハリウッド大作なども含めた、このサマーシーズンに公開されている映画の中で、今の所、唯一このプログラム作品群だけがそれに成功しており、映画館で上映される意味がある。

未見の人は渋谷へ急げ!

ketsurikichinkaiketsurikichinkai 2009/08/17 18:11 samurai_kung_fuさま。御来場ありがとうございます。
温かいコメント、ありがとうございました。
「傑力珍怪映画祭」、なかなかお客さんの反応が返って来なくて(まあ、普通はこのプログラム観たら言葉失うでしょうけど)、我々傑力メンバーは寂しい思いをしていたのです。ご感想、本当に嬉しいです。
samurai_kung_fuさんご指摘の通り、この三本(と、ゲスト作品)は「テレビプロデューサーが眉をひそめるであろう」作品ばかりです。
実は昨日、テレビアニメに関わってる方がご来場され、少しお話できたのですが。なんと、今放映されている『ドラゴンボール改』では、子供時代の悟空のチンチン
さえカットの対象になっているそうです。恐ろしい事です。

大畑は「個性とか、作家性とか言うより、ありふれてると言われても良いから、普通の映画が作りたいんですよ」と言います。
伊藤も「昔ながらの童話や、怪奇小説のテイストを元にしました」と言ってます。
にいや曰く、「『人喰山』の元ネタは『カチカチ山』です」。
「傑力珍怪」の作品群は、現代の視点から見ると異様な物かも知れません。しかし、我々が作ろうとしているのは、むしろかつて流通していた普通の映画、昔ながらのフィクションの世界です。
しかし、悟空のチンチンすらカットされる現在、我々が「普通」と思っていた世界が流通する場所はどんどん狭くなっています。
予算が無いかわりに自由のある自主映画でしか、かつて「普通」と思われていたような表現は出来なくなってるのかもしれません。

お時間ありましたら、日替わりゲスト作品からのご入場でも結構です。
どうぞ、またお越し下さいませ。
この度は本当にありがとうございました。

samurai_kung_fusamurai_kung_fu 2009/08/17 21:17 コメントどうもです!
ボクはてきとうな事を書いたり間違ったり堤幸彦が本当に死んでくれまいか?と呪いをかけたりしているので、コメント欄の書き込みではバカにされたり怒られたりで、感謝コメントされてうれしいです。
エントリーにも書きましたが、このプログラムは掛け値無しにこの夏の最重要上映だと思います。信憑性はクヒオ大佐なみの当ブログですが、少しでも注視を向ける事ができれば嬉しいです。
見れていないゲスト作品を見に、またアップリンクに行こうと思っています。
がんばってください。

ketsurikichinkaiketsurikichinkai 2009/08/20 01:02 samurai_kung_fuさま。
よろしければ、この記事を「傑力珍怪HP」から直リンクさせて頂いてよろしいでしょうか。
いや、褒めてくれる人少ない物で……。

過去の記事も読ませて頂きました。勇気ある御発言の数々、感服致しました。
『ランボー 最後の戦場』、僕も燃えました。
なんたって、エンディング除けば80分もないだろうという尺数。
ラストも今時の映画の定番=何の関係もない曲を流しっぱなしにするのではなく、キチンと(まあ、タイアップしてくれる所も無かっただろうけど)メインテーマで締めてくれる。素晴らしい。
・望月三起也の戦場マンガで始まり
・なんとなく『ランボー』調になってきたと思ったら
・『八時だよ!全員集合』になって
・『男はつらいよ』で閉める
昨年のベストワンでした。

傑力にいや

samurai_kung_fusamurai_kung_fu 2009/08/20 10:05 >にいやさま
リンクの件、ボクの駄文でよければかまいませんよ。よろしくお願いします。

傑力にいや傑力にいや 2009/08/20 13:27 samurai_kung_fuさま。
リンクの件、ありがとうございました。
HPの管理、外部の方にやってもらってるので、すぐにではありませんが。「コメント」欄にアドレスを記載させて頂く事になります。
この度はお世話になりました。
またの御来場、お待ちしております。

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