都市を変える建築

建築家藤村龍至さんの高円寺に建つ新作「K-project」の見学会に参加しました。
このプロジェクトは僕も個人的に大学二年の時から模型作りに参加していて、意匠、構造、設備のチームのコラボレーションの現場をずっと見てきました。そうして出来った建築はまさに“現代都市”そのもの。
まずは写真から。

立面。大きなボリュームをタワー型に細分化することで街のスケールと連続する。

一階の店舗空間。構造と設備がコアにまとめられてすっきりした非常に気持ちのよい大きな空間。

屋上の路地空間。リズミカルなボリュームの間を風が通り抜けて、その先の風景と連続する不思議な空間。

屋上の路地空間から見下ろす。僕が大学二年の頃、藤村さんが“天空感”という言葉でこの空間を説明してくれたのを思い出す。まさに天空感抜群!

最上階のギャラリーのような空間。高くレイアウトされた窓からは青い空だけが見える。

メガストラクチャーが露出する空間。小物がたくさん置けそう。実はこの建築はこのメガストラクチャーから2,3,4階の床を吊っていることで一階の店舗空間に柱を出さないということをしている。

借景(借壁?)の空間。こういう空間は東京ならでは。となりの家の壁にプロジェクターで映画を映してみるということもできる。

美術館のような廊下。いわゆる普通のマンションの廊下はただの動線で暗く“裏”に見えるが、この廊下なら絵も飾れそうだし家具等置きたくなる。

居住空間のすぐ横に垂直にオープンエアの設備と構造が集約した空間が突き抜ける。ここで室外機から出される熱風が上昇気流を作り上空へ逃がす。

曲面になっているのが上昇気流を外へ逃がす風向板。昨年の春休みに開かれた藤村龍至展の模型のまさにこの部分を作ったので相当感動する笑。構造の大野さんが言う“ハイドテック”。こういった実践が新しい東京の風景を作っていく。

以前http://d.hatena.ne.jp/sandotakuto/20080515で書いたが、このK-projectはまさに“人間のような建築”なのではと思った。構造と設備と意匠が高度にインテグレートされたこの建築は同時に高円寺独特のスケール感や路地の空間性を引き込んでいてこの土地に既に根付いているように見えた。
少し前に建築家不要論なんてのが出てきて、建築家は都市に対して、表層の部分しかデザインできないじゃないかという議論があったがそういったものを吹き飛ばしてくれる建築だと思う。

建築はまだまだ都市を変えていけるという気がした。