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2008-09-05

[][]名ゼリフ「てめーはおれを怒らせた」が持つ「重み」

ジョジョの奇妙な冒険 (28) (ジャンプ・コミックス)

ジョジョの奇妙な冒険 (28) (ジャンプ・コミックス)

荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険』、その中でも第3部が好き!という方は結構多いかと思います。もちろん、フジモリもそのなかの1人です。

『ジョジョの奇妙な冒険』第3部(以下:ジョジョ3部)の魅力を語りだすときりがありません。ジョースター家とDIOの長きにわたる因縁、超能力をビジュアル化した「スタンド」という画期的な表現手法、「やれやれだぜ」「ブラボー!オー!ブラボー!」などに代表される名ゼリフ・・・。

そんなジョジョ3部ですが、「”理”による戦い」、という要素がその魅力の一つであることは間違いないでしょう。それまでのバトル漫画は逆境から「怒り」などの「情」によって逆転したり、「後だしの必殺技」によって勝ったりと、ともすれば「ご都合主義」ともいえる勝負をしてきました。*1

しかしながらジョジョ3部では、それらとは一線を画す戦い方でした。

1部で筋骨隆々、自らの肉体を鍛えた戦いが、2部ではトリッキーともいえる「頭脳戦」による戦いにシフトしました。そしてその集大成とも言うべき第3部。いわば「理」による戦いです。「スタンド」という「主人公の能力が全て明らかになっている」勝負において、「意外な使い方」により勝つことで、読者は「意外」と「納得」の二つの感情を同時に味わいました。霧のジャスティス戦、脳内のラバーズ戦、などなど、ベストバウトを語るだけでこれまた一晩は平気で語れると思います。

当時のバトル漫画の主流と真逆の方向性を向くことで「異端の美」とも言うべき存在であったジョジョ3部。しかしながらその後のバトル漫画の流れが「異端」であるジョジョに続いていったというのは歴史の皮肉とも言えるかもしれません。

ところが、承太郎とDIOとの最終決戦において、

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これまで「理」によって勝ってきた承太郎が初めて「怒り」という「情」を口にします。現象だけ取り上げると、他のバトル漫画のように主人公が「怒り」によって勝つ、というお決まりのパターンかもしれません。しかしながら、ジョジョ3部ではここまで「理による戦い」を積み上げてきました。積み上げて、積み上げて、そして最後の戦いでそれまでの戦いとは真逆の(そしてそれはバトル漫画では本流の)勝ち方をする。まさに、読者に最大の「意外」と「納得」、そして「カタルシス」を与えた戦いだったと思います。

『てめーはおれを怒らせた』*2

このセリフに、ジョジョ3部の全てが濃縮されるといっても過言ではないかもしれません。

*1:とはいえ、その「ご都合主義」を上回るほどの「勢い・熱さ」があったからこそ名作は名作たりえたのだと思います。

*2:セリフが『』で囲まれていることもさらに重みを増しています。

kirasankirasan 2008/09/08 00:47 4部では逆に感情的なセリフが多かったですね。
初登場でブチギレ、エニグマ戦で一番顕著に。
でも最後の決め手は感情よりもCDの能力を使った理、そして「仲間」でしたね。

フジモリフジモリ 2008/09/08 21:08 kirasanさん、コメントありがとうございます。
仗助はクールな承太郎とは対称的に情に厚いキャラでしたね。荒木飛呂彦先生も意識した造形をされたみたいです。(唇を厚くするなど)
仗助が感情的になるのは自分以外の大切なものを守ろうとするときで、その「情」が最後の戦いで「返って」きたのかもしれません。

shinshin 2008/09/08 22:37 自称ジョジョマニアですが、所詮自称だと痛感しました。言われてみれば…この有名なセリフにそれほどの意味があることには気づきませんでした。何かくやしいw
ちなみに、ベストバウトはそれぞれ好き嫌いあって異なるでしょうが、自分はジャスティス戦はずっといい感じだったのに、最後の吸い込みはちょっとなーという理由でイマイチ好きじゃありません。自分の中では、死神13戦、ハングドマン戦がベストバウトです。

フジモリフジモリ 2008/09/08 23:14 shinさん、初めまして。コメント、ありがとうございます。
記事にしながら改めて思いましたが、ほんと、このセリフ、何度読み返しても背筋がゾクゾクするほどカッコいいですね。余談ですが、フジモリもハングドマン戦はベストバウトのうちの一つです。「我が名はジャン・ピエール・ポルナレフ…」のくだりは最高にカッコいいです。あとはヴァニラアイス戦も好きですね。ポルナレフ好きなのでしょうか(笑)。

アサメから来ましたアサメから来ました 2008/09/09 01:51 「てめーはおれを怒らせた」は怒りでパワーアップして勝った様に見えますが、前の流れを見ると、

背後からDIOの脚を砕く承太郎→脚が治るまで待とうと提案→DIO脚が治る前に血の目潰しをして蹴る→脚の強度が足りない為砕ける

と、理に適った結果と取る事も出来ますよ。

フジモリフジモリ 2008/09/09 08:01 アサメから来ましたさん、初めまして。コメントありがとうございます。
なるほど、ご指摘のように事前に脚を砕いたことによる「理」だと解釈することも可能ですね。新たな発見です。
そうしますと、そういった「理」で勝ちながらも「てめーはおれを怒らせた」と勝因をシンプルな一言に濃縮してしまう承太郎のかっこよさがより一層ひきたつ名ゼリフですね。

kou♪kou♪ 2008/09/09 22:03 そうかー、足が治ってなかったのか―・・・

足を砕いたことは承太郎の「理」ではないと思います。
あれは「過程」を大切にする味方と「結果」のみを求める敵というジョジョの5部で明らかにされる流れの一つで
結果だけを大切にしすぎたDIOが負けた、それも過程を大切にしなかったことが原因で、という話だと思います。

フジモリフジモリ 2008/09/09 22:32 kou♪さん、初めまして。
フジモリの書き方が誤解を与えてしまったようですね。すみません。
フジモリの解釈になりますが、「事前に脚が砕けていたことにより承太郎が勝利した」事象そのものは「理(理由)」によるものかもしれませんが、承太郎はそれを意識していないと思います。ご指摘の通り、承太郎の「理」ではなく、承太郎の「情」による勝利です。
そしてその勝利の奥底には「過程」と「結果」という5部にも通じるテーマがあるのかもしれません。
うーむ、考察すればするほど深いですね。良いご指摘ご刺激ありがとうございました。

ちゃちゃちゃちゃ 2008/09/10 18:54 通りすがりですがコメントさせていただきます。
このセリフの重みというのは全く仰るとおりだと思います。私も当時ちょっとびっくりしたのを覚えています。
あえて説明をつけるなら、プッツン切れたからこそ絶体絶命と思われたロードローラーの下で9秒を耐え切り、なおかつ自分で2、3秒の時を止めて脱出・逆転できたということなのでしょう。
思えばスタンドが感情の高ぶりによりパワーが上がるという場面は、その少し前にヴァニラアイス戦で怒ったポルナレフが通常よりも遠くまで攻撃するというシーンでも表れていました。
足を砕いたのもその一時的なパワーアップによるものかな、と思っています。
まあさんざん理詰めできたスタンドバトルの最後にご都合といえばご都合な気がしないでもないですが、私個人としては初期の「俺が裁く!」と言っていた熱い承太郎が戻ってきた気がしてうれしかったですね。

フジモリフジモリ 2008/09/11 22:41 ちゃちゃさん、初めまして。コメントありがとうございます。スタンドのパワーアップ、確かにそうですね。これまた鋭いご指摘です。
承太郎vsDIOの戦いは、その前の花京院戦も含め、オラオラvs無駄無駄、止まった時を巡る頭脳戦、ピンチ、逆転に次ぐ逆転、ロードローラー、「てめーはおれを怒らせた」による勝利と、なんと言うか、「全てがクライマックス」の戦いでした。フジモリもリアルタイムに読んでいましたが、毎週ボルテージが上がってました。
それまでもそうなのですが、時折見せる承太郎の感情にグッときますね。これもツンデレっていうのでしょうか?(笑)

GIOGIOGIOGIO 2008/09/11 22:49 常に「読者の裏をかいた展開をする」という面ではこの台詞やその前までの流れなんかはジョジョっぽいと思ってましたが深く考えてはませんでした。
でもポルポル君のスタンドの射程がヴァニラ戦で伸びたのはポルポルの性格的にアリなんじゃないかと思ってたんですけどね。

フジモリフジモリ 2008/09/12 21:29 GIOGIOさん、コメントありがとうございます。
ジョジョは「裏をかかれることの心地よさ」がある気がしますよね。ヴァニラ・アイス戦も名勝負でした。何気にイギーが好きでした。承太郎、ポルナレフともシンプルなスタンドであり、それゆえに「成長」という伸びしろがあったのかもしれません。

ナナシナナシ 2008/09/13 01:10 私は、このDIOとの一戦を読んで一番最初に衝撃を受けたのは、スタプラが最初の一撃でDIOの腹を貫通させたことです。承太郎は今までの戦いで一度も本気を出してなかったんだなと、実感したからです。
そんな承太郎が怒ったらどうなるか・・・、それだけにとても重みのある言葉ですよね。

フジモリフジモリ 2008/09/13 09:18 ナナシさん、コメントありがとうございます。
確かに、承太郎はあのスティーリーダン戦ですら相手を殺していません。本気を出せばDIOの腹を貫通するパワーを持っていながら、です。(まあ、トラックを受け止めるだけのパワーを持っていますからそれぐらいの力はあるのでしょうね)
このエピソード一つとっても、承太郎のクールさの奥に秘められた「優しさ」が垣間見えるような気がします。

paspas 2012/09/30 21:08 承太郎の勝因は「プッツンする」と言いつつも我を失わず、ジョセフの提言に従ってクレーバーに立ち回ったことでは?
この台詞はむしろ逆説的に聞こえますね

フジモリフジモリ 2012/09/30 21:44 >pasさん、はじめまして。かなり昔の記事ですが、コメントいただきありがとうございます。
確かに、途中まではジョセフの死に際の助言に従い、クレバーに立ち回っていました。しかしながら、そうやって理詰めで戦いながらも、「てめーのつらを次みた瞬間オレはたぶん・・・プッツンするだろうということだけだぜ(28巻P138)」と「情」が「理」を上回り、ロードローラーからのくだりになります。
当然ながらそれまでの理の積み上げも勝因の一つなのでしょうが、たった一つのシンプルな答えで「てめーはおれを怒らせた」と言い放つところに承太郎の「カッコよさ」が滲み出ているのだと思います。
あえて言うなら、「だからこそ、カッコよい」のだと。

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