呉エイジ・金平守人『我が妻との闘争』角川書店

我が妻との闘争 1 (KADOKAWA CHARGE COMICS 15-1)

我が妻との闘争 1 (KADOKAWA CHARGE COMICS 15-1)

本作品はwebにて掲載されて書籍化されたコンテンツをコミック化したものです。
呉エイジ、職業会社員。趣味、HP作成とマック。月の小遣い2万円。
この主人公と、彼の趣味を嫌う(理由:金食い虫だから)妻との抱腹絶倒のエピソード、というのが大まかな内容です。
同じ趣味を持つなら兎も角、通常、旦那の趣味と言うものは妻には理解しがたいものかと思われます。
まあ、スーパーのチラシを見比べ最安値で買い物をし、月の食費を数十円単位でやりくりしている横でウン万円のDVD-BOXを衝動買いされたら、そりゃ妻もブチ切ることでしょうけどね(←伝聞)。
しかしながら「男には自分の世界がある」わけで、「私とゲームどっちが大事なの?」と聞かれて「両方」と答え火に油を注いだ経験は誰しもあるのではないでしょうか(←伝聞)。
本書はそういった、男性の「あるある」エピソードを交えながら、彼と妻との「闘争」を面白おかしく描いています。
いわゆる「鬼嫁」的なエピソードとは異なり、客観的に見ると、基本的に旦那に非があります。最初から勝ち目無しの戦いです。
それでもなお、「でも、しかし・・・」と弁解する旦那を笑うことができない人も多いのではないかと思います。
妻の怒りは理不尽ではなく、すごいごもっともなんだけど、でも「愛する趣味を堪能したい」という思いもある。
この二律背反の思いが各エピソードから滲み出ていて、良質なペーソスに仕上がっていると思います。
思うに、単なる文章化よりも、コミックとして完全なる「笑い」に転化することにより、この夫婦のやり取りに読者は安心して感情移入できるのかなぁ、と思います。
趣味を理解してくれない妻(脳内妻含む)を持つ男性にも、理解不能な趣味を持つ旦那を持つ女性にもオススメできる一作でした。