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2009-03-25

[][][]私的囲碁漫画ベスト5

 突発的に私的囲碁漫画ベスト5のご紹介ー。今回は順位も付けてみました。基準は”囲碁度”です。それではどうぞ。

(以下、長々と。)

1位:『ニャロメのたのしい囲碁入門』

ニャロメのたのしい囲碁入門

ニャロメのたのしい囲碁入門

絶版本を投票で復刊!

 いきなりこんな本の紹介でサーセンwwwwwww

 今回のベスト5は”囲碁度”というのを基準にしているのですが、それはつまりこういうことです。いや、本当にすいません。とはいえ馬鹿にしたものでもありません。本書は、私が子供の頃に囲碁を覚えるのに使った本です。その内容はまさに囲碁の入門書。赤塚不二夫の漫画のキャラクターが総出演で、ニャロメが先生になってバカボンやバカボンのパパ、おそ松くんたちに囲碁を教えるというものなのですが、漫画と入門書のバランスが絶妙でとても分かりやすく囲碁のルールを覚えることができます。囲碁というのはとても奥の深いゲームではありますが、それでいてルール自体は将棋やチェスよりもずっと簡単です*1。なので、本当に本書を一冊読んだだけで囲碁のルールを完全にマスターできて、さらには実際に打てるまでになってしまうのです。もちろん、そこからさらに上達しようと思ったらそれなりの定石書を読まなくてはいけませんが、ルールだけなら本書一冊で十分です。惜しむらくは現在は入手困難になってしまっていることですが、囲碁の入門書として個人的には今でもオススメの一冊です。

2位:『入神』

入神

入神

 竹本健治は一般的にはミステリ作家として知られています。その著書には牧場智久という天才囲碁棋士を探偵役にしたミステリが何冊もありますが、本書はそんな竹本健治が、牧場智久の囲碁棋士としての側面のみを描いた囲碁漫画です。殺人事件などといったものはまったくなくて、ただただ囲碁を打っています。ミステリに登場する探偵・牧場智久はいかにも天才然とした颯爽とした風情なのですが、本書に登場する囲碁棋士・牧場智久の心情は苦悩に満ちています。最善の手を一切の妥協を許さずにギリギリまで追求し、自らを追い込み神経をすり減らして牧場は囲碁を打ちます。なぜなら牧場が向かう盤の向こうには、そうまでしないと勝てない相手、そこまでしても勝てない相手がいるからです。才能と才能がぶつかり合う対局の中で、牧場の中から消えていく風景、現れてくるイメージといった抽象的なものが漫画という”絵”によって描かれています。その画力はお世辞にも上手とはいえませんが、でもとても印象的です。現時点における”囲碁”漫画の最高峰といっても過言ではありません。また、作中では江戸時代以降の名物棋士の話や歴史に残る一手の話題も盛り込まれていて、囲碁漫画としてとても充実した内容になっています。囲碁度の高さゆえに読み手を多少選ぶかもしれませんが、私程度の打ち手*2でも楽しめるのですから、ぜひ気楽に読んでみて欲しいです。

 ちなみに、本書の執筆過程は『ウロボロスの純正音律』という作品でメタ的に語られていますが、本書は囲碁漫画として完結したものになっていますので、そうしたものを併読する必要はまったくありません。むしろノイズです。もっとも、そうしたこととは別に興味を持った方がそれらを読むのは別に全然構いませんし、また、牧場智久の探偵としての活躍に興味がある方には、とりあえずの一冊目として『囲碁殺人事件』をオススメしておきます*3

囲碁殺人事件 (創元推理文庫)

囲碁殺人事件 (創元推理文庫)

ウロボロスの純正音律

ウロボロスの純正音律

3位:『碁娘伝』

碁娘伝 (潮漫画文庫)

碁娘伝 (潮漫画文庫)

 唐の天宝の頃を舞台とした中国痛快娯楽活劇です。

 囲碁というのは基本的には陣取り合戦です。しかし、相手の石を囲んで取る=殺すこと、すなわち、石の生死によっても勝敗が決まることもあります。なので、囲碁の話をしているときには、まるで殺人事件の話をしているかのような物騒な単語が飛び交うことがままあります。本書に登場する美女・碁娘の活躍には、そんな囲碁の物騒な側面が巧みに表現されています。

 清廉な者を助け復讐のために剣を振るい囲碁を打つ女。こう書いてしまうと、剣が蛮勇を、碁が知性を象徴しているように思われるかもしれませんが、そうでもありません。本書で碁娘の復讐の対象となる者たちはそれぞれに碁を打ちますが、碁打ちだからこそプライドを、あるいは好奇心を刺激されて、結果として碁娘の術中に嵌ってしまうのです。その意味で、剣士として碁娘と敵対することになる呉壮令の方が余程理性的です。囲碁というゲームが持っている謎の奥深さや妖しさといったものが碁娘を通じて表現されています。

 作中に登場する盤面の正確性については私程度の腕前ではまったく判断できませんが(誰か教えてください)、石の死活や征(シチョウ)といった囲碁の問題が物語にも絡んできてますから、囲碁に詳しい方にもまずは楽しんでもらえると思います。

4位:『ヒカルの碁

ヒカルの碁完全版 1 (愛蔵版コミックス)

ヒカルの碁完全版 1 (愛蔵版コミックス)

 言わずと知れた囲碁漫画の金字塔です。今回は”囲碁度”なるふざけた基準で順位付けしましたのでこのような順位になりましたが、普通に考えれば文句なしの1位でしょう。

 有名漫画ですから今更ここで語る必要もないでしょうが、それでもあえて語るとすれば、一人の少年の成長物語と絡めて囲碁棋士になるまでの過程とその厳しさを描いたこと、さらには、棋士になることがゴールではなく、その先の無間地獄ともいうべき棋士の宿命を未来への希望として謳い上げた点が個人的には素晴らしいと思っています。

5位:『小林クンちのお部屋事情』

小林クンちのお部屋事情 (E★2コミックス)

小林クンちのお部屋事情 (E★2コミックス)

 人間と神様のほのぼのラブストーリー、というか惚気話です(笑)。囲碁は手談ともいいますが、人間と神様の種を超えた交流の方法として囲碁が使われています。その交流は基本的には勝敗にこだわらないホンワカとしたものですが、言葉による会話においてもときに命を削る真剣なやりとりが行なわれるように手談もまた例外ではありません。才能ある碁打ちの友人同士ともなれば尚更です。とはいっても、まあどこまでいっても人間と神様がいちゃいちゃしてるだけのお話なんですけどね(笑)。「人生は一局の将棋なり」なんてことを言ったりしますが、それは囲碁の場合でも同じことがいえるわけで、だからこそ、人間だけでなく神様にとっても囲碁は意義あるものなのでしょう。『ヒカルの碁』の佐為が女性だったら、もしかしたらこのようなお話になったかもしれませんね。


 以上、”囲碁”漫画ベスト5を紹介してきましたが、次点はありません。なぜなら、私が他に囲碁漫画を知らないからです(ただし入門書はのぞいて)。『花右京メイド隊』の囲碁部とか『魔法先生ネギま!』のエヴァンジェリンの趣味が囲碁だとかが思いつく程度ですが、それではとても囲碁漫画とはいえません(笑)。他に何かありましたらご教示いただければ幸いです。

 将棋も決してメジャーな趣味とはいえませんが、それでも漫画のジャンルとして囲碁よりは充実しています。理由はよく分かりませんが、まだまだ開拓の余地のある分野だと思うので、ひっそりと期待しています。

*1:類書として『ニャロメのたのしい将棋入門』というのもありますが、将棋版よりも囲碁版の方が優れていると思います。

*2:町の公民館で打っている腕自慢のおじさんに九子置かせてもらってフルボッコされるレベル。

*3:『囲碁殺人事件』以外の作品では囲碁はほとんど関係ありませんので、その点はご注意を。

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