Hatena::ブログ(Diary)

karonikki らくがき手帖

Jun 22, 2014, Sun

[]第8期マイナビ女子オープン チャレンジマッチ データ的な雑感

棋譜中継はまだ追いきれてないので、「プロアマ」、更に「連盟対LPSA」に絞り、数値上のデータから思ったことを。

5戦全勝を挙げたのは渡部女流初段(LPSA)と中井広恵女流六段(フリー)。通過者は連盟2人(通過率33.3%)に対しLPSA5人(同55.6%)、勝率でも連盟側.652に対しLPSA側.795と、LPSAが連盟に大きく差をつけている。スイストーナメントによる順位差のおかげでLPSA側が対プロ戦をあまり経験せずに済んだ点もあるが*1、今回に限って言えば「LPSAの勝ち」と言って良いと思う。

連盟側の出場棋士過去の1次予選で3年連続1回戦負けをしている棋士対象。とはいえ、近年女流棋士数が急増していることもあり、チャレンジマッチからとなるような女流棋士が増えることも今後想定される。

クオリティ・コントロールを進めていく必要があると思う。現在女流棋士会普及活動重視のようなので難しいかも知れないし、我ながら厳しく、かつリストラめいた話で恐縮だが、成績に改善が見られない棋士に対しては引退を促す、最悪の場合強制引退させるなど、女流棋士全体の質を維持していく努力必要があると思う。1人いたが、有象無象アマチュア相手に負け越すレベルまで来ると、棋士としての存在意義が怪しい。


余談だけど、スイストーナメントはそれなりに優秀だとは思うけど、全局の結果が出ないと次の組み合わせを確定できないという欠点もあり、船戸-高群戦が2時間近い将棋になり、以降の対局に影響した。今後もこのルールを続ける場合、例えば一定時間経過後は判定で決めるなど、別途規定を設けたほうが良いと思う。

*1:このルールは上位棋士ほどプロ棋士との対戦機会が多くなり、反対に下位の棋士アマチュアとの対戦機会が多くなる。上位の連盟棋士の対アマ戦が1人あたり平均3.83局あったのに対し、下位のLPSA棋士の対アマ戦は4.33。実際に4局目終了時に4連勝中だった本田渡部を見ても、本田(1位)が4局目で対プロ戦を1局経験していたのに対し、渡部(9位)は対プロ戦を経験していなかった。ひとえにアマチュアと言っても相手が必ずしも対戦相手がいつものような「有名アマ」ばかりでないことを踏まえれば、この1局の差は大きい。

Jun 16, 2014, Mon

[]▲中井広恵女流六段 vs △藤田綾女流初段

先手の注文で後手三間飛車対先手イビアナ。△52金左がやや早い印象で(代えて△34飛で、場合によっては△32金と構える手も選択肢としては欲しかった)、鳥刺しの形に構えられて浮飛車が実現できず、早くも作戦負けの様相。左辺(つまり玉側)で戦いが起こり、後手は△97桂成の筋から暴れに行くが、大駒の活躍度が低いというか… 最後は先手が角を捌いて勝ち。

[]▲山根ことみ女流2級 vs △矢内理絵子女流五段

藤井システムの出だしだったが、藤井システムの例の攻め方を実現しようとしてたのなら▲67銀はうっかりだったのかも知れない(こういう前例があるか、定かではないけれど)。向かい飛車を強いられてしまうが、それを見て矢内女流も「串カツ」と呼ばれる玉香逆形に組み、先手もオーソドックス美濃→銀冠へ。指す手に難しい状況で先手は▲67飛から攻めさせる方策を選択。分かれは五分五分に見えたけれど、どうやらスピード大事にする局面と金大事にしすぎたのが先手の敗因だったか。後手勝ち。

[]上田初美女流三段 vs 石本さくら研修会員

上田女流三段の体調不良による不戦敗観戦記者さんの話を見る限り、どうやら対局当日に不戦敗が決まったようですが… 何はともあれ、お大事に。石本研修会員はあと1勝で女流3級有資格者に。

Jun 13, 2014, Fri

[]6/13対局2次予選(展望

中井六段-藤田初段:2年前の女流王座戦で1度ぶつかってて、そのときは後手藤田初段の4−3戦法で、逆転に次ぐ逆転で中井六段の勝ち。あれから2年、大物相手にどれだけの成長を見せられるか。

矢内五段-山根2級:矢内五段は相手が振り飛車党の場合居飛車にすることが多いので、この将棋居飛車振り飛車になるのかなと。山根2級の成績自体好調なので、この調子をなるべくなら維持したいところ。

上田三段-石本アマタイトル失冠後、目立った活躍の無い上田三段。個人的には1月の対石田直戦(新人王)で露呈した事前準備の悪さが引っかかってるけど、あれから半年、どれだけの水準を以て本局に臨めるか。相手の石本アマアマチュア研修会員)とは言っても甲斐女流四段、伊奈川女流初段などへの勝利実績を持つなど、決して侮れない存在

[]▲北村桂香女流2級 vs △千葉涼子女流四段

北村1級の角交換四間飛車に、千葉四段は銀冠で対抗。△14歩のタイミングがなにげにウマいなと思ったり(穴熊に組み難く、▲36歩〜▲38飛の筋をやんわり牽制している)。急戦に行く方法もあったと思うが▲66歩以下持久戦の様相。先手は角成から手を作ろうとするも、△42飛の筋を軽視していたのか苦戦模様へ。▲84馬が遊んでいるところから後手が玉頭から猛攻を仕掛けるが、手順の組み立てにもう少し工夫が必要だったんじゃないかという気がしてしまう(個人的にはどこかで△15香みたいな手が入らなかったのかなと思う)。結果先手玉を取り逃し、後手は入玉作戦変更するも、先手は丁寧に入玉を消し、逆に相手玉を押し戻し、逆転勝ち。

Jun 09, 2014, Mon

[][]▲香川愛生女流王将 vs △千田翔太四段

先手が矢倉採用し、後手は右四間飛車で対抗。右四間飛車効果的に利かすために先に△85歩をあえて突いて▲77銀を決めさせるというのはさすが。対する先手は慣れない戦型に加え相手の不気味さに振り回されたか、駒組はできているけど居玉というチグハグな陣形で、その状態で仕掛けさせられている段階で「これは…」という感じ。そのなかでも▲57角は良い案配だったと思うけど、秒読みで指した▲37桂は敵に塩。ここらへんで大きく差がついてしまったように思う。後手勝ち。

May 28, 2014, Wed

[][]「菅井五段の発言から〜」追記と、今更ながらの電王戦雑感。

ちょっと前になるが、「電王戦3.0」の対局ソフト「やねうら王」の開発者である磯崎氏が私のブログ引用していた。菅井竜也五段が先崎学八段(現九段)に対する発言から統計的コンピューターソフトの実力を類推しよう、という趣旨で、6位〜24位ぐらいの実力がある、という結論である。あとから出てきた記事等によれば「97勝95敗」の間違いらしいのだが、この場合以前の計算だと95%の確率で40.3〜47.5〜54.7%の範囲になる(前回のは39.2〜46.4〜53.6%)。参考までに現時点のデータ菅井五段がこの確率で勝てる棋士リストアップすると次の通り。

森内俊之竜王行方尚史八段、佐藤康光九段丸山忠久九段久保利明九段佐藤天彦七段、深浦康市九段広瀬章人八段、中村太地六段、屋敷伸之九段、永瀬拓矢六段、三浦弘行九段木村一基八段、村山慈明七段、糸谷哲郎六段、阿久津主税八段、稲葉陽七段、藤井猛九段山崎隆之八段、澤田真吾五段

(順番は5/28時点のイロレーティング上の順位に基づく)

僅かに棋力を下方修正するだけで、基本的には「棋戦優勝経験者・タイトル挑戦者決定戦進出者以上」という結論に変更はほとんど要らないと思う。

この3回の結果で、棋士の半数以上に第4回のお鉢が回って来ることはまずなくなった。そういう棋士達にとって電王戦は「どうでも良い」ということにもなる。しかし、そこで棋士「全体」で棋力向上を図るような取り組みができない限り、勝ち越しどころか1勝4敗以上を望むことすら大変になってくると個人的には思う。

[][]豊島将之七段 vs 鈴木大介八段

 前々期の銀河戦ではゴキゲン中飛車菅井流の攻防で鈴木八段の勝ち。鈴木八段の角交換四間飛車に対し、豊島七段は銀冠の勝負。以前の角交換四間飛車で見られたような振り飛車が受け潰しを狙う展開だったが、居飛車側が攻めず逆に受けに向かうと途端に後手が苦しむことに。手数こそ長かったが、後手に良い場面はあまり無かったような気がする。豊島七段の「倍返し」とでも言いたくなる勝ちっぷり。

Connection: close